チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

20世紀の名曲50選(1955年)

2014-12-03 18:31:56 | 名曲選

『藝術新潮』昭和30年3月号に「二十世紀の名曲五十選」という座談会記事がありました。
メンバーはこの4人です(敬称略)。

中島健蔵(フランス文学者、1903-1979)
深井史郎(作曲家、1907-1959)
吉田秀和(音楽評論家、1913-2012)
入野義郎(作曲家、1921-1980)

この有名な方たちがまず1901年から1954年までに発表された主な曲をリストアップし、それからケンケンガクガクたる議論を経て最終的に50曲に絞るという企画です。

結果を先に書いてしまうと、この50曲に決まりました!

(順不同)
R.シュトラウス エレクトラ 薔薇の騎士
マーラー 大地の歌
シベリウス 交響曲第2番
ドビュッシー ペレアスとメリザンド 前奏曲集第1巻 聖セバスチャンの殉教
ラヴェル 鏡 ダフニスとクロエ ピアノ協奏曲
ルーセル 組曲ヘ長調
シェーンベルク 月に憑かれたピエロ ワルシャワの生き残り
ファリャ 恋は魔術師
バルトーク 弦と打楽器とチェレスタのための音楽 弦楽四重奏曲第4番 ディヴェルティメント
ストラヴィンスキー ベトルーシュカ 兵士の物語 詩篇交響曲 エディプス王 火の鳥
ヴァレーズ イオニゼーション
ヴェーベルン 弦楽三重奏曲作品20
ベルク ヴォツェック 室内協奏曲
オネゲル 火刑台上のジャンヌ・ダルク 交響曲第3番
ミヨー プロヴァンス組曲
フランク・マルタン 小協奏交響曲
サティ ソクラート
アルベニス カタルーニャ
プーランク オーバード
ヒンデミット 画家マチス
プロコフィエフ キージェ中尉 ヴァイオリン協奏曲第1番
ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲
ガーシュイン ポーギーとベス
コープランド エル・サロン・メヒコ
ヴァイル 三文オペラ
ハチャトゥリアン ガイーヌ
カバレフスキー ヴァイオリン協奏曲
ダラピッコラ 囚われ人の歌
ショスタコーヴィチ 交響曲第1番、第5番
メシアン 世の終わりのための四重奏曲
ジョリヴェ ピアノ協奏曲
ブリテン ピーター・グライムズ
アイネム 審判
ブゾーニ ファウスト博士

同記事より、『ファウスト博士』のブゾーニ(Ferruccio Busoni, 1866-1924)



この選曲で特に意外なのは、マルタンの小協奏交響曲、ダラピッコラの囚われ人の歌、ジョリヴェのピアノ協奏曲、アイネムの審判。。

いまではあまり有名とは言えない曲ですが、60年前とはいえ、50選に入ったんだからじっくり聴いてみようって気にもなります。

早速ダラピッコラをNMLで聴いてみましたが、自分にはダメでした。。「怒りの日」出まくりだし。マルタンの小協奏交響曲も悪くないけど50曲に入れちゃう?

あと、この座談会では春の祭典(1913年)のハの字も出てこないのには違和感を覚えました。1955年に座談会メンバー4人全員がハルサイのことを知らない筈がないので、ちょっと不思議。。



最後に、この座談会で20世紀の作曲家や作品がかわいそうにも一刀両断されるシーンです。

【サン=サーンス】
中島 サン=サーンスは抜かすかね。


【フォーレ】
深井 フォーレはよそう。


【レーガー】
中島 つまりヒンデミットをしぼればレーガーは落とさざるを得ないということだ。


【シェーンベルクの『グレの歌』】
深井 「グレリーダ」を残すということは、シベリウスに「悲しきワルツ」を残すようなものだ。


【スクリャービン】
中島 スクリャービンは?

吉田 いれない。


【オーリック】
吉田 オーリックを入れると恥ずかしい。


【ウォルトン】
入野 1902年のウォルトン。

中島 いらない。


【バーンスタイン】
入野 バーンスタイン。これは絶対にダメですか。

吉田 ごめんだ。


。。。結構皆さん好き勝手おっしゃっていますね。少々ムカつきます。