これは、朝日新聞の投稿欄「朝日歌壇・俳壇」に掲載された短歌と俳句の中から、東京電力福島第一原子力発電所の原子炉溶融事故に関連して詠まれたものを縮刷版から抜き書きしたものである。
原発事故の発生時から2012年7月までの期間について順次抜き書きを進めていて、今回は2012年5月に掲載されたものである。
2012年8月以降については、新聞発行をリアルタイムでフォローしながら適宜まとめてこのブログで紹介している。
2012年5月6日
ウクライナの春は林檎の花が咲く二十六年汚染さるるまま
(浜松市)松井惠 (馬場あき子選)
線量計当てることなく掘りて食う地を割り出ずる黄いろい竹の子
(所沢市)風谷螢 (馬場あき子選)
2012年5月14日
人もなき町の桜のトンネルは帰れぬ人の魂(たま)遊ぶ処(とこ)
(福島市)青木崇郎 (高野公彦選)
満開の桜並木の映像はわれの故郷 逃れて哀し
(東京都)反杭螢子 (高野公彦選)
2012年5月21日
たんぽぽの咲く畦道をさんぽする子らに添ふ保母線量計下ぐ
(前橋市)荻原葉月 (永田和宏選)
終戦後科学に希望のあったころアトムとウランは誕生をした
(西海市)前田一揆 (永田和宏選)
(写真は記事と関係ありません)
2012年5月28日
原発の世に千の御手差し伸べて立木観音の深きまなざし
(福島市)美原凍子 (高野公彦選)
いわきの海前のすがたとちがう海海鮮丼の店もなかった
(郡山市)平栗萌愛 (高野公彦選)
原子炉の全て止まりぬこどもの日
(東京都)吉竹純 (長谷川櫂、大串章選)
フクシマの蝶がモスラになる悪夢
(八王子市)樋口雄二 (金子兜太選)