放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

ポリープ5

2024年09月28日 15時06分16秒 | Weblog
 9月に入り、再度医師に呼ばれて来院。
 大腸ポリープの切除手術(ポリペクトミー)についての説明があった。

 患部の根っこに生理食塩水を注入し隆起させ、ポリープを取りやすくした後、高周波スネアと呼ばれる輪っか状の器具を根っこに引っ掛けて、焼き切る。
 焼き切った傷口は金属クリップで閉口させる。
 切除したポリープは生理学的検査で良性・悪性の判断をする(2週間以上かかる)。
 術後の経過を見るため2日以上入院してもらう。
 とのこと。

 説明の後に、麻酔で寝ている間に施術もできるがどうするか、と訊かれた。
 
 けっこうです、と回答。
 どんだけ痛い手術なのか見当もつかなかったが、「どうするか」と訊くということは、麻酔ナシもアリということだろう。麻酔ナシのほうが早く済むような気がした。

 説明が済んでから、一つ質問した。
 「先日、内視鏡検査の時に見つかったポリープをその場で切除するという選択肢はなかったですか?」
 「ありません」即答。
 
 「腸に傷をつけるということは危険なので、かならず入院という手続きで行っています。傷口から出血する場合もあるので。」
 なるほど。
 この件について、後日かかりつけ医に話したところ、「そりゃそうだろう」と言われた。
 へー、以前は日帰りの手術もあったと思うけど、ポリープの種類と場所によるのかな。

 手術は9月末に決まった。
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ポリープ4

2024年08月10日 00時39分33秒 | Weblog
 内視鏡室前の受付にて説明を受け、医療用ガウンに着替えさせられる。そのまま待合でしばらく待たされる。
 待たされている間にも2回トイレに行った。まだ少し残っているかな。
 
 いよいよ呼ばれて台に上がる。左を下にして横向きに寝ろという。つまりお尻をこちらに向けて横になれということだ。
 もう何も考えないことにした。
 右肩に「腸の動きを抑える薬です」と注射された。
 ぐいっと肛門に何かがねじ込まれた。さすがに痛い。それから内視鏡の先端がずるりと入り込んでくるのがわかった。
 「大腸にもいくつか曲がり角がありますからね、そこだけ少し苦しいけれどガマンですよ。」と先生。
 ああ、と理科の授業で習った程度の簡単な大腸のイメージを思い浮かべる。大雑把に言って大腸は四角形。四角形だから大雑把に4箇所の苦痛ポ
イントがあるのかな? いや最後の4つ目のポイントは終点のはずだから苦しくないかも。
 横になった自分からも見える位置に大きなモニターがある。これで自分の大腸を見ることができる。思いの外キレイな色している。時折何か液体を吸い上げるような音がする。腸内で分泌されている液体を吸い上げているんだろう。内視鏡が進む先が視界不良にならないように。

 そうこう言っているうちに急にお腹に張りを感じた。これは空気を送って腸管を広げているのか。おそらく1つ目の苦痛ポイントだろう。
 思わず唸る。これは苦痛か? いや、それだけではなく違和感と恐怖感が混ざっているかも。
 腸管が張るのって、正直イヤな気持ちになる。破裂しそうな恐怖感。イレウス(腸閉塞)の時はこんな痛みがずっと続くんだろう。
 腹部の膨張感とそこを逆行してくる機械。この違和感は確かに恐怖に置換しやすい。苦痛とされる一因はそれかも。

 腹圧が下がってきた。ぐんぐん先へ進んでいるらしい。
  そうこうするうちに、またお腹が張ってきた。イタタタ、思わず声が出る。
 「はいー、仰向けになります。」
 は? お尻に挿さったまんまで体位変えんの?
 「ええ、このままでは入りにくいので。」
 いや充分入っています。
 介助者(看護師?)が右膝を起こしにかかる。手荒にされては困るから、言われるままに仰向けになる。すると今度は右足を組んでくれという。
 大丈夫かな、お尻の筋肉を使う動作が続くぞ。内視鏡を挿したところから何か滲んでこないだろうか。
 「大腸管内視鏡は初めてですか?」
 「はい」
 それ今訊く? フツーその質問は内視鏡を挿す前じゃないの?

 「はい、虫垂部(盲腸)到達です」
 あれ、意外と早かった。
 「こっち見ると管が細くなっていますね。この先は小腸です。内視鏡は太すぎて此処から先へは行けません。」
 自分の盲腸や小腸を見るのは生まれて初めて(そりゃそーだろ)。
 「では抜きなから腸内を見ていきましょう」
 医師が内視鏡をずるりずるりと引っ張り出してゆく。それに合わせてモニター画面も後方へスクロールしていくのがわかる。
 あらかた内視鏡を引っ張り出してから、
 「あらかた見ましたがキレイですね。ただ気になったのはここ。」
 突然また内視鏡ケーブルをぐいっと差し込んだ。そこにぷるんとした肉塊がぶら下がっていた。
 「ポリープですね。ここだけなんで、増えてはいないようですね。ただ大きさが5ミリ程度なんで、これは取ったほうがいいでしょうね。」
 じゃあ今とって。
 「後日入院していただいて、ポリープを切りましょう。入院は2,3日かかります。」
 え、そんな大掛かりなの?
 医師はさっさと内視鏡を抜いてしまった。
 「はい、終わりです。ゆっくり起きてください。」
 お尻にたくさんのペーパータオルが当てられた。やっぱり肛門から何か漏れていたんだ。仰向けになんかさせるから・・・。
 椅子に座らされ、今のポリープ画像を見せられた。
 ポリープはどの部位なのか訊いたところ、直腸からちょっと奥にいったところだという。
 「ポリープ切除は9月ですかね。8月はすでにいっぱいなので。」

 やっぱり今切ってもらえばよかった。でも今切ろうとしなかったのは何か理由があるんじゃあなかろうか。
 例えば止血対策。例えば切除する器具を一緒に挿入していなかった。例えば痛すぎて麻酔が必要とか。

 次の予約を取ってから医師に礼を述べて内視鏡室を出た。
「やっぱり今切ってもらえばよかった」疑念はいまも続いている。
                                                                                                                                           
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ポリープ3

2024年08月02日 23時35分45秒 | Weblog
 大腸の内視鏡検査を受けるにあたり、まず大腸をキレイにしなければならない。
 キレイという表現が正確ではないかもしれない。腸内の固形物をすべて出して隅々まで調べられるようにしなければならない。
 下剤を呑んで胃腸の内容物を全部出してしまおうというのがその手段であるが、その準備は検査日の前日から始まっている。
 油っこい食材や繊維の多い食材を避けて、なるべく流れやすいものを摂取するよう指導された。
 特に繊維はクセモノで、下剤でも流れにくいのだそうな。
 ワカメなど海藻がダメ。夏が旬のキュウリもダメ。ごはんNGお粥OK。果物でOkなのはバナナだけ(スジを丁寧に除去した上で)。ポテトサラダに至ってはジャガイモだけOKとのこと。
 こうなると摂取できるのは豆腐やスムージー、バナナくらいしかない。あと卵か。
 BELAちゃんにも協力してもらって、言われた通りの食事を心がけた。魚はOKであることを知ると、BELAちゃんは手間かけて銀タラを煮付けてくれた。但し皮は食べれない。コラーゲン乗ってて美味しいのにね。
 どうせ寝る前に下剤(錠剤2錠)飲むのでどこまで栄養を吸収されるかわからない、けれど夕食の銀タラはあんまり旨くて舌に沁みた。
 
 大腸管内視鏡検査について、調べようかと思ったが、やめた。
 胃カメラ(胃部内視鏡)検査なら毎年やっている。だから内視鏡という機械がどのようなもので、どんなことができるのか、大体わかっている。
 その上で、いったい自分は何を知りたいのか考えてみたら、大したことではなかった。
 痛いのか痛くないのか、とか。
 どんなトラブルが予想されるのか、とか。
 その病院の評判、とか。
 ガンの見落としはどのくらい、とか。

 この前の診察のときに、内視鏡室がずらりと並んでいるのを見た。これは日頃から相当数の受診者を検査しているということだ。そんだけ検査してりゃ、医師の経験値は相当高くなるし、大抵のトラブルもとっくに起きている。その反省と対策も十分なんじゃないだろうか?
 従って、調べようかと思ったことの大半はすでに答えが出ている。
 残るは「痛いか痛くないのか」。
 でもそんなの痛いに決まっているし、のたうちまわるほど痛いなら、はじめから麻酔の提案が出てくるはずだ。つまり「耐えられる程度」と判断するより他はない。身体への負担は未知数だが、そもそも日帰りなんだから、それもどうにかなりそうな気がする。
 なんだかんだ考えて、スマホや何やらで無駄な知識を仕入れるのは意味がなさそうである。
 明日は余計なことは考えず、無為に過ごそう。

 検査日当日になった。
 当然ながら朝食ヌキ。昼食もヌキ。そして8:00から「ニフレック」という下剤を飲み始めた。
 プロテインでも入っていそうな容器に顆粒が入っている。これに水を2リットルを入れて顆粒が溶けるまで容器を振る。

 それをコップに注いで200mlを15分位かけてゆっくり飲むように書かれている。それで2リットルを2時間程度で飲め、とある。

 んん?計算おかしい。
 200mlを15分位ならば1時間では800ml。2時間では1600mlつまり1.6リットル。ぜんぜん追いつけない。
 かと言って下剤を一気飲みすれば大惨事が待っている。そんなの想像もしたくない。
 とにかくうまくいくかどうか分からないまま飲み始めた。
 ニフレック、飲み始めはそれほどマズくない。バリウム飲むのに比べたら全然ラク。

 ところが2時間経っても全然飲み終わらない。ゴクゴク飲めるようなものでもなかった。そのうちだんだん飽きてきた。
 気持ちの所為か軽い吐き気を催してきた。いきおいコップから手が離れてしまう。気晴らしに外出するわけにもいかない(逃避か)。
 12:30頃、とうとう飲み残した。600mlくらい残しただろうか。予定時間を大幅に過ぎている。
 でも腸管の内容物はすっかり出たようだ。これでいいかな?

 ニフレックは若干の栄養補給・水分補給の成分も入っているのだろうか。朝食、昼食と抜いたのに、血糖が欠乏したように感じなかった。喉が渇くということもないし、普通に立ち居できて、頭がぼーっとすることもなかった。こちらも多くの知見が生かされているようだ。

 このあと、いよいよ病院へ向かう。
 
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ポリープ2

2024年07月28日 00時13分14秒 | Weblog
 初診日を迎えた。
 電話で初診予約を取ったときに、受付の人から「当日は朝ご飯ヌキで」と言われていたのでその通りにした。
 だいたい初診で何をするのだろう。問診と、内視鏡検査の日取りを決めるくらいしか想像できない。
 朝ご飯ヌキの目的は何なのか。専門的な検査をするのだろうか。でも調べるのは腸管のはず。下剤も呑んでいない。まさかその場で浣腸されてすぐに内視鏡で検査とか・・・。

 電話受付の険しい対応の影響なのか、病院へ行く前からアウェー感が甚だしい。ありもしない浣腸の妄想もネガティブな心境だからこそである。

 広い病院だから右見ても左見ても情報が多すぎる。キョロキョロしていると案内の人がすぐに声を掛けてくれた(アウェー感が一気に薄れました)。初診受付を済ませて胃腸科フロアへ移動。そこで「御机下」つまり紹介状を手渡した。
 まずは身体計測。身長と体重、血圧も。終わったら待合でしばらく待たされる。
 ずらりと並んだ診察室の一室に呼ばれて問診。そこで初めて便に潜血があったことを知らされる。
 再び待合室で待つこと40分。今度は別の先生に呼ばれて検査の日程を相談。今日はこれで終了。
 
 帰りに待合スペースを振り返ると、人がいっぱい。さすが大病院。
 思うに、先日電話で険しい対応した人は、そのするように言われて応対していたのだろう。その目的は「診療所」と「基幹病院」とを分けること。診療所で済む話なら診療所で治療してくれ、基幹病院はパンク寸前なのだから、こちらへ通う患者を増やしてくれるな。つまり役割分担のようなことを診療所と基幹病院の2者はやっているのだ。基幹病院へ初診の申し込みをすれば、ソレは本当に基幹病院で診なければならない事案なのかとしつこく確認を求めてくる。受付も大変だね。
 
 お金を払って表へ出た。
 ささやかな疑問。
 結局、オレが朝食ヌキにしなければならなかった理由って・・・?
  
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ポリープ(その1)

2024年07月25日 20時11分02秒 | Weblog
職場の健康診断でなにやら引っかかった。
「御机下」と書かれた封筒を寄こされて、急いで胃腸科を受信しろと言われた。

胃腸科にお世話になったことはない。だからかかりつけの内科医のところへ行った。
すると内科医は大きな病院へ行けと言う。「御机下」と書かれた封筒は開けもしないで返された。
「『御机下』ってなんスか?」と訊くと、それは専門医への紹介状だという。専門医でもないのに紹介状を開けるわけにはいかないとのこと。

おそらく内視鏡で検査することになるだろう。ウチには胃部の内視鏡設備はあるが腸管用の設備はない。
だから大きい病院へ行け、ということらしい。

腸管の内視鏡かぁ・・・。メンドクサイことになった。

大きい病院で、徒歩(交通機関込み)で行きやすい病院を選び、さっそく受診しようとした。
ところが、

どうにもラチがあかない。
なんどもしつこく「なぜウチの病院なのか、一度罹ったことがあるのか、紹介状はウチの病院を名指しで書いてあるのか」などと訊いてくる。
仕舞いには「紹介状のオモテ書きを上から下まで全部読め」などど意味不明なことまで言い出す。
「『御机下』としか書いていない」というと、「じゃあ紹介状を持ってきたときに今言った通りでなければ即刻受診をお断りする」という。
これが国民皆保険の実体か?

いいかげん腹が立ったが、文句言うのは後でもできると思い、低頭低腰で初診の予約をとった。
なんつー病院だ。
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石田組!!(inふくしん夢の音楽堂)

2024年02月17日 11時17分08秒 | あんなこと、こんなこと、やっちゃいました
 いよいよお待ちかね。「ボヘミアン・ラプソディ」。
 透明感と虚脱感織り交じる前奏から名曲は始まる。バランス完璧、音程、タイミングともに微塵も歪んでいない。
 こりゃすごいや・・・。

 とその時、身体に異変が起きた。
 喉の奥からこみ上げるヒリヒリした痛み。
 激しく咳き込みたい衝動に駆られる。

 しまった。

 コロナウイルスに感染してからときどき咳き込むことがある。咳はなかなか無くならない。
 でも今日はこれまで不思議と咳き込むことはなく、むしろすっかり忘れていた。
 
 油断した。みんな集中して聴いているのに、ここでゲホゲホやったらすごい睨まれる。
 
 とりあえず息を止めてみる。
 咳き込む衝動は抑えられるが、目から火花が出るほど苦しい。
 こりゃダメだ。

 小さく息を再開。小さい息ならば咳の衝動はそれほど強くない。
 一生懸命ツバを飲み込んでみる。                          
 本当は水を一口ゴクリと飲むと咳はおさまるのだが、ここでゴクリはマズい(ってか水持っていないし)。

 曲はまだワンコーラス目。こりゃ長いぞ。

 小さく咳払い。といってもエヘン、と音を出すわけにもいかない。喉の奥をこするように息を出す。ツバ飲みと咳払いを何度も続ける。こうして少しずつ咳の衝動を遠ざけることに成功した。
 やっと息が吸える。酸欠で周りが暗い。あ、そもそも暗いんだ。でも一層暗い。
 もうオペラパート終盤きてるじゃないか。くそコロナ。

 名残惜しむように集中してボヘミアン・ラプソディ後半を聴き(却って世界観に入り込めた)、終わった瞬間、拍手鳴り止まぬうちにゲホゴホゲホゴホ咳を吐いた。
 BELAちゃんびっくりして見ている。
 「いやぁ、咳が・・・。」
 「大丈夫?」
 「なんとか。」
 またひとしきりゲホゴホ。

 疲れた。
 今日イチの危機だった。

 石田組の盤石かつ上質な演奏は続く。
 エンディング、オアシスの「What Ever」。
 小気味良いリズム、手拍子も入り、気持ちいいひとときが終わりに近づいている。 
                                      
 お客さんの「帰らないで!」コールが笑いを誘う。うんうん、そうだね。
 次は9月に仙台だそうです。仙台のどこ?

 終演後、すっかり暗くなった町を国道6号線に向かう。
 福島駅行きのバス停は長蛇の列。増便はないらしい。
 仕方がない、寒い中並びましょうか。
 北へ南へ東へ西へ。お客さんの帰路も様々。在来線で帰ろうか、特急が出ているか、など方方から聞こえてくる。ちなみに僕たちは在来線はあきらめて新幹線になりそう・・・。
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石田組!(inふくしん夢の音楽堂)

2024年02月14日 00時37分19秒 | 観劇日記
2024年1月27日。福島・「ふくしん夢の音楽堂(福島市音楽堂)」に石田組のコンサートを浴びに行きました。
 
 福島駅からバスの乗って音楽堂を目指す。
 このバスの運転手さんがとても丁寧。
 「皆さん、今日は音楽堂のコンサートに行かれるんですよね」
 はい、普段よりも乗り具合が多いようで。
 「音楽堂へは〇〇バス停降りましたら左へ行くと近いですよ。帰りは向かいのバス停から駅へ行けますんで。」
 なんて親切・・・。
 タクシーの運転手との会話であれば、このくらいパーソナルな応答はしてくれるだろう。ところがこれは乗合バス・・・!
 バスって他にアナウンスしなければならないことが多いから、それ以上案内できる余裕なんて無いと思っていたけど、この対応はすごい。予め今日はこの路線を利用する人が多いことを把握し、どういう案内をすれば役に立つかという配慮を考えてくれたのだ。仙台ではコンサートあるからってこんな対応してくれるかどうだか・・・。

 さて夢の音楽堂は古関裕而記念館に隣接している。古関への顕彰の意味合いが強い。
 一度中に入ってみたかった。ふくしん夢の音楽堂の大ホール。

 天井高い・・・!
 正面には巨大なパイプオルガン。
 ゴシック建築のピア(束ね柱)を思わせる垂直の装飾壁。それがパイプオルガンを真ん中にずらりと並ぶと、まっすぐ伸びるオルガン金管パイプがさらに際立つ。 
 カトリック聖堂みたい。
 
 時間とともに客席が人で満ちてゆく。
 みんな公演についての期待を仕舞っておくことができず、誰彼ともわならない声が今日の話題を口にする。それがさざめく波のようにホールのあちこちから湧いては消え、また湧いて消えてゆく。
 まるで開演前のルーティン。
 
 間もなくブザー。
 登場する10人の演奏者。もちろん最後にゆっくり出てくるのが石田組長さん。
 今日もカッコイイ。

 弓を構えると小さくチューニング。ホントにちょっと音を出すだけ。これだけで10人の音色がピタッと合ってしまう。これはもはや調律というより規律に近い。
 すぐに音楽が始まる。冒頭はシベリウス「アンダンテ・フェルボージョ」。仙台で聴いて以来すっかり大好きになった一曲。
 
 おや。

 音が深い。リバーヴが効いている。
 「アンダンテ・フェルボージョ」が別物に聴こえる。
 これがこの音楽堂の特徴なのか。

 きっとこの音楽堂はパイプオルガンの残響をより深くするために設計されているのだろう。
 音楽ホールによって音の響きが違うということなのだろうけど、おんなじ奏者でおんなじ曲を聴き比べるなんて滅多にできる体験ではない。すごくおもしろい。
 
 きょうもプログラムはさくさく進む。
 前半はノーМC。こういう小気味よさはクラシック慣れしていない自分にはありがたい。

 大好きな「アンダンテ・フェルボージョ」に「ニュー・シネマ・パラダイス」も聴ける。
 でも今日の最大の楽しみは、なんと「ボヘミアン・ラプソディ」。
 言わずと知れたクイーンの名曲。
 とにかく石田組は音がキレイ。だから一層楽しみ。(つづく)
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武雄のレモングラス

2024年01月18日 23時55分47秒 | Weblog
 コロナ罹患から10日以上たった。
 もう隔離も終了し、社会復帰もできた。

 ただ、咳が出る。

 痰が絡むわけでもなく、息がしづらいわけでもない。
 ほとんど空咳というやつ。
 喉を潤したり、のど飴で咳を抑えようとするが、喉をむせ上がってくる衝動はかなり強く、思わずゲホゲホしてしまう。
 寝ていても突然この衝動がくるので、睡眠も断続的になる。
 漢方薬で効きそうなものを使ってみようと思う。

 嗅覚はほとんど回復した。
 レモングラスのおかげ。
 回復するまでに、焼き魚を1回、鍋を1回、焦がした。
 どちらも焦げる匂いがわからなかった。 
 コゲているのが判るようになるまで1週間くらいかかった。
 
 嗅覚が回復したとはいえ、以前のように戻ったかどうかはわからない。
 たとえば、日本酒の香りはよくわからない気がする。
 あずきもちょっと自信ない。
 蕎麦もどうだか・・・。

 好きな食べ物で、香りが淡いものは意外と多い。
 それが香ってこないとなると寂しいことになる。
 まだ時間を要するということなのか。

 今でも寝る前には窓際のレモングラスを嗅ぐようにしている。
 もうずいぶん香りが抜けてきた。抜けてきていることは判るようになった。
 
 でも香りの向こうに小さな不安を感じていたことは覚えている。
 今更だが、気が張りつめていたいっぽうで、やはり不安だったようだ。
 新型コロナに感染したが、ちゃんと回復するのか、社会復帰できるのか、家族に感染させないか、不安だったのだ。

 もう少し、もう少し。
 今、体中にはコロナウイルスの残骸がいっぱいあるようだ。いまPCR検査をすれば陽性反応が出てしまう。ウイルスの残骸を検知してしまうからだ。こういうのを「偽陽性」と言うらしい。
 ウイルスの残骸が体内から去るのに1ヶ月くらい。そのくらい影響が残るということだ。

 もう少し、もう少し。
 今日もレモングラスを嗅いで眠りにつく。
 今も胸を離れないレモングラスの匂い。
 ・・・どっかで聴いた歌詞だな。
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コロナに罹った3

2024年01月13日 13時56分25秒 | 肝苦りぃさ
新型コロナ罹患5日。

お風呂に入ることができた。
それまでは、朝夕に熱いタオルを持ってきてくれて、背中など拭いてもらっていた。
(ホントに病院並みの待遇です)
人間50歳の坂を越えると新陳代謝も衰え大して垢も出なくなる。
髪の毛もやや脂付いたがフケ・カユミ・脂臭などは無し。
といっても体臭などはよくわからない状態だが。
手指などは却って乾燥期の手荒れから開放されてよかったくらいである。
4日位ならお風呂に入らなくても大丈夫らしい。
とはいえ、お風呂。
温かい湯に身を沈めたくない筈がない。
そういう時には災害で何日も入浴できない人々のことを想う。

入浴順序は当然ながら家族が全員入った最後。
ちなみに脱いだ衣類も家族とは別に洗濯する。罹患初日からそうだった。
洗濯機を二回廻すことになるのだから、その負担にはやはり頭が下がる。

少し寒かったが、まず全身を洗い、それから浴槽に身を入れた。
温かい。
つま先、指の先の毛細血管まで温まってゆくのがわかる。
鼻腔もしかり。
奥の方までゆっくり開いてゆくような気がした。

浴槽に浮かんでいる柚子をすくい、鼻先にもってゆく。
何も香ってこなかった。
だめか。

もう一度ふかく吸い込んでみる。
お、左の鼻腔に何か懐かしい香り。

遅れて右の鼻腔からも遠く懐かしい香りがした。
柚子だ。
柚子の香りが・・・。

それにしても香りが遠い。柚子は目の前にあるのに、こんなにも遠い。
くそコロナ。

風呂から上がり、寝室へ。
ふと柚子に似た香りを嗅いだ気がした。
あれ、と思い、BELAちゃんが置いてくれたアロマストーンを手に取る。
今度は右の鼻から香りが届いた。
柚子とも少し違う。柑橘系だろうか。野生種のような香り。橙?橘?
筑波山のふくれみかん?

BELAちゃんに言うと、驚き、喜んでくれた。
でも柑橘系はハズレ。
「レモングラスだよ。武雄の。」
ハズレはくやしい。でもいい香り。

佐賀県武雄の陶土で作った小石のような素焼きに、同じく武雄産のレモングラスのエッセンスを滴下したものだという。
陶土は素焼きだが、下半分には空色の釉薬を塗ってある。こうすればエッセンスを滴下しても下から染み出すことはない。
上半分の素焼き部分からはエッセンスが少しずつ蒸発して香るという仕掛け。かなり長持ちしそうな仕掛け。
本当は寝室いっぱいにレモングラスが香っているのだろう。でも僕は素焼きを鼻先に持ってきてやっと検知できるくらい。

仕方がない、ゆっくり行こう。
仕事も再開しなければ。
多くの人に迷惑をかけた。
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コロナに罹った2

2024年01月11日 19時36分04秒 | 肝苦りぃさ
新型コロナ罹患4日目。

やっと微熱が下がりはじめたが、夕方になるとやはり37℃を超える。
こういう体質は子供の頃から変わらない。

トイレに立って、ふと芳香剤の匂いがしないことに気がついた。
あれ

寝室に戻り、龍角散のど飴を口に含む。
いつもなら鼻腔に昇るハーブの香りがしない。

嗅覚やられた。
なんてこった。
新型コロナは何か爪痕残さないと気が済まないらしい。

鼻から空気を深く吸う。
空気の温度は分かるが何も匂わない。
のど飴が口の中でなくなっても、ついにハーブの香りはやってこなかった。

これが後遺症になるかも知れない。

BELAちゃんが心配してアロマを用意してくれた。
小さな素焼きの荒肌にアロマオイルを一滴染みこませてある。
何の香りかは聞いていない。
鼻を近づけてみる。
やはり香ってこない。

気長に恢復を待つしかないか・・・
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