「大人の科学」という雑誌がまだ発行されていることを知り、そのふろくで、たまには「ものづくり」をしてみようとして購入した。ふろくは、「小さな活版印刷機」で、卓上型の印刷機を組み立て、印刷用の活字を拾って、活版印刷を体験するものである。
そう言えば、子供の頃、「少年クラブ」という雑誌を購読し、次のふろくは何だろうとわくわくしながら待っていた思い出がある。
ふろくの印刷機を組み立てるのは比較的容易である。しかし、それから先の工程が大変で、ここから「ものづくり」の本番が始まることを知る。プラスチックの活字板から個々の活字を切り取る。考えていた文言に使う活字を拾って活字台にセットする。インキ台にインキをのせ、インキローラーで練る。インキローラーを回転させて活字台の活字にインキをのせる。印刷機のハンドルを操作して、圧盤上の紙が活字群に密着するようにプレスする。
活字の種類として、ひらがなと英大文字、英小文字の162個の活字が用意されているが、原則として一文字は一個しかないので、同じ文字を繰り返し使うときには、活字台上の活字を組み替えて複数回印刷しなければならない。
また、活字は左右反転しているので、活字台に活字をセットすることに慣れてなく、活字の種類や上下方向を間違えることが多い。
さらに、活字を活字台にセットするための軸足が一本なので、印刷中に活字が抜け落ちたり、向きを変えたりしやすい。このため、一単語が一文字で成る場合などにダミーの活字を隣接させることにした。ダミーの活字は、使わないと思われる活字の文字部分を削って作った。
印刷機は、ハンドル操作によってインキローラー上にインキを充填したり、そのインキを活字にのせたりするようになっているが、これは多くの印刷物をつくる印刷機をモデルにしたためと思われ、活字に充分なインキをのせるのが難しい。この印刷機では、できるだけきれいな印刷物を一枚だけつくればよいので、ハンドル操作ではなく、手作業で活字にインキをのせた。
ひらがなの活字を用いて和文の格言を印刷しようと試みたが、思うような印刷物ができなかったので、次の日に再試行しようとしてインキローラーや使用した活字の水洗いをしていた。その作業の途中で、うっかり一個の活字を排水口に落としてしまい、失ってしまう。そうなると、和文の格言の印刷はあきらめざるを得なかった。
そこで、気をとりなおして、英文字の活字を用いる英文の格言を試みることにした。
なんとか印刷物らしいものができたので、これをスキャナーでスキャンして画像イメージをつくった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/93/adf0725019544ea2b8c1d7854285cbff.jpg)
幸いなことに、母音のa,i,eの活字が2個ずつ用意されているので、1個の活字だと6回印刷しなければならないところを、3回の印刷で済ませる。
出来上がった印刷物を見ると、活字によってインキののり具合にバラツキが生じている。また、版を重ねたことによる文字のずれが生じている。
ディジタル技術の時代にあって、我々が毎日目にするのは、整然としてはいるが画一的な表示文字の配列をもつディスプレイや印刷物である。そのような環境の中で、たまには手づくりによる活版印刷のプロセスを楽しむのもいいのでは?
そう言えば、子供の頃、「少年クラブ」という雑誌を購読し、次のふろくは何だろうとわくわくしながら待っていた思い出がある。
ふろくの印刷機を組み立てるのは比較的容易である。しかし、それから先の工程が大変で、ここから「ものづくり」の本番が始まることを知る。プラスチックの活字板から個々の活字を切り取る。考えていた文言に使う活字を拾って活字台にセットする。インキ台にインキをのせ、インキローラーで練る。インキローラーを回転させて活字台の活字にインキをのせる。印刷機のハンドルを操作して、圧盤上の紙が活字群に密着するようにプレスする。
活字の種類として、ひらがなと英大文字、英小文字の162個の活字が用意されているが、原則として一文字は一個しかないので、同じ文字を繰り返し使うときには、活字台上の活字を組み替えて複数回印刷しなければならない。
また、活字は左右反転しているので、活字台に活字をセットすることに慣れてなく、活字の種類や上下方向を間違えることが多い。
さらに、活字を活字台にセットするための軸足が一本なので、印刷中に活字が抜け落ちたり、向きを変えたりしやすい。このため、一単語が一文字で成る場合などにダミーの活字を隣接させることにした。ダミーの活字は、使わないと思われる活字の文字部分を削って作った。
印刷機は、ハンドル操作によってインキローラー上にインキを充填したり、そのインキを活字にのせたりするようになっているが、これは多くの印刷物をつくる印刷機をモデルにしたためと思われ、活字に充分なインキをのせるのが難しい。この印刷機では、できるだけきれいな印刷物を一枚だけつくればよいので、ハンドル操作ではなく、手作業で活字にインキをのせた。
ひらがなの活字を用いて和文の格言を印刷しようと試みたが、思うような印刷物ができなかったので、次の日に再試行しようとしてインキローラーや使用した活字の水洗いをしていた。その作業の途中で、うっかり一個の活字を排水口に落としてしまい、失ってしまう。そうなると、和文の格言の印刷はあきらめざるを得なかった。
そこで、気をとりなおして、英文字の活字を用いる英文の格言を試みることにした。
なんとか印刷物らしいものができたので、これをスキャナーでスキャンして画像イメージをつくった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/93/adf0725019544ea2b8c1d7854285cbff.jpg)
幸いなことに、母音のa,i,eの活字が2個ずつ用意されているので、1個の活字だと6回印刷しなければならないところを、3回の印刷で済ませる。
出来上がった印刷物を見ると、活字によってインキののり具合にバラツキが生じている。また、版を重ねたことによる文字のずれが生じている。
ディジタル技術の時代にあって、我々が毎日目にするのは、整然としてはいるが画一的な表示文字の配列をもつディスプレイや印刷物である。そのような環境の中で、たまには手づくりによる活版印刷のプロセスを楽しむのもいいのでは?