11月18日付でオウムアムアに関するブログを書いた後、新たな新聞記事も出たので、現段階でオウムアムアとは何者なのかについて整理してみることにした(オウマウマウは私の読み違いらしいので、訂正します)。
すでに記載した通り、2017年10月に、太陽系外からやってきたとみられる天体が観測され、オウムアムアと名付けられて、世界中の天文学関係者の興味を引くことになった。
この天体が何者なのかについて、二つの見解が対立している。
一つはNASAが主張するもので、天体は彗星であり、太陽光によって温められ、ガスを噴き出して加速したと結論づけた。
もう一つは、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究者らが唱えるもので、天体は、太陽光の圧力を受けて進む宇宙帆船であるという。
両見解から推察できることは、この天体は、通常の小惑星などとは異なり、太陽系内で加速されているという観測データが得られているということである。この天体が太陽系に侵入するときの初速度は26km/s程度で、特に注目するような速度ではないようだ。
ハーバードの研究者は、この天体が彗星とする説は、観測データと整合するような説明が難しいとしている。
研究者は、この天体は、太陽光を受けて推進できることから、薄さ0.3~0.9mmの曲面をもつシートでできた帆船であると推定している。
この天体が星間を航行している間に、微細な星間物質が付着して小惑星のような外観になったという。
研究者によれば、オウムアムアは、薄いシート曲面をもつ星間物質を代表するものであり、まだ未知のプロセスによって星間あるいは原始惑星円盤内で自然に生成されたものか、宇宙人によって構築された宇宙帆船の可能性があるという。
もしそれが宇宙人によってつくられたものであるならば、オウムアムアは、宇宙帆船の一つである可能性がある。宇宙帆船は、恒星系内に存在する惑星の間の物品輸送に利用されるであろう。そうであれば、不要となった宇宙帆船が廃船として宇宙空間に放出されても不思議ではないだろう。
JAXAが打ち上げたIKAROSは、そのような宇宙帆船が可能であることを実証するテスト機であり、燃料なしで宇宙空間を移動できる。
ハーバードの研究者は、IKAROSから多くの示唆を受けたことは疑いない。
しかしながら、オウムアムアがエイリアンの探査機と考えるのは早計と考える。オウムアムアから発信された電波らしいものが検出されていないので、探査機の可能性は低い。また、オウムアムアは宇宙人由来の廃船と考えるのもSFめいていて信じ難いものである。
ハーバードの宇宙帆船説は、仮説を提唱しただけで、誰もこの仮説を実証することができない状態にあるので、まだ科学の領域には入っていないものと考える。
少なくとも、コンピュータ・シミュレーションによって、理論上のオウムアムア・モデルの加速性能が観測データと整合することを示して欲しいと思うのである。
また、研究者らは、宇宙空間にはオウムアムアのような宇宙帆船またはその廃船が多数放浪していると考えているので、オウムアムアに続く第二の太陽系外天体の観測が期待される。
参考文献
2018年11月28日付の朝日新聞夕刊の記事のほかに、
Could Solar Radiation Pressure Explain ‘Oumuamua’s Peculiar Acceleration ?, The Astrophysical Journal Letters, 868 No.1, 2018 Nov.20
すでに記載した通り、2017年10月に、太陽系外からやってきたとみられる天体が観測され、オウムアムアと名付けられて、世界中の天文学関係者の興味を引くことになった。
この天体が何者なのかについて、二つの見解が対立している。
一つはNASAが主張するもので、天体は彗星であり、太陽光によって温められ、ガスを噴き出して加速したと結論づけた。
もう一つは、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究者らが唱えるもので、天体は、太陽光の圧力を受けて進む宇宙帆船であるという。
両見解から推察できることは、この天体は、通常の小惑星などとは異なり、太陽系内で加速されているという観測データが得られているということである。この天体が太陽系に侵入するときの初速度は26km/s程度で、特に注目するような速度ではないようだ。
ハーバードの研究者は、この天体が彗星とする説は、観測データと整合するような説明が難しいとしている。
研究者は、この天体は、太陽光を受けて推進できることから、薄さ0.3~0.9mmの曲面をもつシートでできた帆船であると推定している。
この天体が星間を航行している間に、微細な星間物質が付着して小惑星のような外観になったという。
研究者によれば、オウムアムアは、薄いシート曲面をもつ星間物質を代表するものであり、まだ未知のプロセスによって星間あるいは原始惑星円盤内で自然に生成されたものか、宇宙人によって構築された宇宙帆船の可能性があるという。
もしそれが宇宙人によってつくられたものであるならば、オウムアムアは、宇宙帆船の一つである可能性がある。宇宙帆船は、恒星系内に存在する惑星の間の物品輸送に利用されるであろう。そうであれば、不要となった宇宙帆船が廃船として宇宙空間に放出されても不思議ではないだろう。
JAXAが打ち上げたIKAROSは、そのような宇宙帆船が可能であることを実証するテスト機であり、燃料なしで宇宙空間を移動できる。
ハーバードの研究者は、IKAROSから多くの示唆を受けたことは疑いない。
しかしながら、オウムアムアがエイリアンの探査機と考えるのは早計と考える。オウムアムアから発信された電波らしいものが検出されていないので、探査機の可能性は低い。また、オウムアムアは宇宙人由来の廃船と考えるのもSFめいていて信じ難いものである。
ハーバードの宇宙帆船説は、仮説を提唱しただけで、誰もこの仮説を実証することができない状態にあるので、まだ科学の領域には入っていないものと考える。
少なくとも、コンピュータ・シミュレーションによって、理論上のオウムアムア・モデルの加速性能が観測データと整合することを示して欲しいと思うのである。
また、研究者らは、宇宙空間にはオウムアムアのような宇宙帆船またはその廃船が多数放浪していると考えているので、オウムアムアに続く第二の太陽系外天体の観測が期待される。
参考文献
2018年11月28日付の朝日新聞夕刊の記事のほかに、
Could Solar Radiation Pressure Explain ‘Oumuamua’s Peculiar Acceleration ?, The Astrophysical Journal Letters, 868 No.1, 2018 Nov.20