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桜ヶ丘公園で小鳥の声を聴く

2022-05-22 08:14:09 | ブログ
 昨年4月だろうか、多摩市の桜ヶ丘公園を散策しているとき、ウグイスとガビチョウがさえずりの競演をしているのが印象的であった。そこで今年も同じ場面に出会いたいと思い、よく晴れた4月22日を選んで、桜ヶ丘公園へ行くことにした。

 京王永山駅で降りて、陸橋を渡ってから石段や上り坂を上がって行く。聖ヶ丘で陸橋を渡り、商店のある通りと学校の脇を通ると、桜ヶ丘公園の入り口に着く。この公園の山道を上がって行くと、旧多摩聖蹟記念館に到着する。公園の頂上広場から「ちょうの道」を下っていくと、途中に兎平という所がある。昨年、二鳥の声の競演を聴いたのはこの辺りであった。

 ここまで来る途中で、何度かウグイスとガビチョウそれぞれの声を聞いたが、残念ながら二鳥が競演している場面に出会うことはなかった。同じ場所で両者が常に競演するとは限らないし、小鳥の生態系が変わるということもあり得る。

 そこで、さらに山を下って、「とんぼの広場」まで来ると、近くで鳴くウグイスの甲高い声に聞きほれ、しばらく休憩してウグイスの声を聴くことにした。晴天に恵まれ、山の新緑がよく映えるとともに、初夏を思わせる爽やかな風が吹き抜けていく気持のよい日であった。この先、このような日が何度もあるとは思えない。

 その後、聖蹟桜ヶ丘駅まで下りて、電車で帰宅した。

 ここで、今年の4月18日に戻り、区役所で行われたロビーコンサートの話になる。この日のコンサートでは、ウクライナの戦禍をのがれて東京に避難してきたチェロ奏者のタチアナ・ラヴロワさんとヤーナ・ラヴロワさんの母娘の演奏を聴くことができた。グリエール作曲「ヴァイオリンとチェロの2重奏曲」よりでは、母娘ともにチェロの演奏をした。カタロニア民謡(カザルス編)「鳥の歌」では、日本フィルの弦楽四重奏のメンバー3名とチェロ・パートのタチアナさんが共演した。

 最後に、タチアナさんは、「私たちは破壊のためにこの世界にいるのではない。破壊という歌ではなく、鳥の歌を聴きたい」と挨拶した。まことに、平和な日本で小鳥の声を聴くことができるのは、この上ない幸せであると思う。

 ここまで書いてきて、このブログ記事に対して「でき過ぎ」とか「盛り過ぎ」というコメントが予想されるのではないかという気がした(実際にコメントを寄せるか否かは別として)。しかし、二鳥の競演は、昨年4月から期待していたことであり、今年4月になって急に思い付いたことではない。また、私は区役所のロビーコンサートを毎回聴いており、今回のコンサートにタチアナ/ヤーナさんがいなくとも聴きに行っていただろう。つまり、二つのイベントは偶然に結び付いただけであり、作為があるわけではない。

高齢者の健康寿命を延ばすには・・・

2022-05-01 08:07:42 | ブログ
 65歳以上の高齢者には、フレイル(虚弱)および/またはロコモ(運動機能の低下)の状態となり、病院などの医療機関通いをするか、要介護となる人が少なくないという。

 要介護となる原因を調べた統計データによると、認知症(18.1%)、脳血管疾患(15%)、衰弱(13.3%)、骨折・転倒(13.0%)という数字が出ている。

 認知症の発症リスクを高める12の因子として報告されているものは、喫煙や過剰飲酒、高血圧など、いわゆる生活習慣病の要因として知られているものに他ならない。

 こうなると、病気や要介護状態になるリスクが少なくない人は、その生活習慣を見直して健康寿命を延ばすように努力する必要がある。上に述べた要因からみて、その鍵をにぎるのが、喫煙飲食、運動、睡眠に関する生活習慣に集約されることは間違いない。

 ここでは、特に脳活動と身体運動に焦点を当てて論じてみたい。

 生物学者のラマルクは、個体が一生のうちに獲得した特徴が子に受け継がれるという進化の理論を提唱した。いわゆる「用不用説」である。この説は、ダーウィンの進化論の出現によって否定されたが、人が少なくとも一生のうちに獲得し、継続して保持している形質については、現在でも正しいと言える。

 つまり、ヒトがその筋肉を使い続けていれば、筋肉は増量して強くなるか現状を維持し、ほとんど使わなければ減量して運動機能が低下する。また、頭脳についても同様であり、日常的に脳活動が活発な状態にあれば、年齢によらず新しい神経細胞(ニューロン)がつくられることが報告されている。いわゆる脳の自己組織化によって、新しいニューロンが作られたり、軸索と呼ばれるニューロン間の新しいリンクがつくられるのだろう。脳活動とは、思考活動に限られるものではなく、音楽を聴いたり、人と会話したり、バズルが解けたりすることによって感動を伴うような脳活動でもよいようだ。活発な脳活動は、脳の血流増加によって確認できる。一方、脳活動が不活発な状態が続けば、脳は、その神経細胞の消失のなすがままということになるのだろう。

 脳の知覚活動と身体運動とは、根深く結びついている。まず知覚活動を行う大脳よりも運動制御を行う小脳の方がニューロンの数が多い。大脳には運動野があるが、ここは感覚器官が受け取った外部の情報に基づいて認知と思考を行い、小脳など脳の各部位や脊髄に指令を出す。小脳は、大脳が学習した運動スキルを受け取って記憶し、素早い身体運動ができるように制御する。

 運動は、大脳の運動野から脊髄にある運動ニューロンを介して筋肉に信号が送られ、その信号に従って筋肉が収縮することによって実行される。運動ニューロンは、筋肉内部にあるセンサーから受け取った筋肉の状態に基づいて筋線維を収縮させる指令を送る。

 以上述べたように、身体運動とは、筋肉の活動ばかりでなく、脳とそれに接続する神経系が深く係わる大規模な全身活動なのである。身体運動は、脳の血流を増やし、新しい血管の生成に寄与するばかりでなく、新しい神経細胞を生成し、神経細胞を修理することによって記憶力を高めるのである。こうしてみると、認知症は記憶力を含めた脳の認知機能低下であるから、運動が認知症を予防するかその発症を遅らせることは、疑いのないところである。また、運動によって筋肉を強化するか現状維持できるのであるから、骨折・転倒を予防する効果があることは言うまでもない。

 最近思うことであるが、身体を動かすことができるにもかかわらず、「動くのがおっくう」と言う人がいる。これは「脳を活動させるのがおっくう」と言い換えてよいと考える。脳の知覚・認識活動と身体運動とは深く結びついているが、脳は考える手順を少なくするためにさぼりたがるのである。その結果、身体運動も不活発になる。逆に脳が活発に活動していれば、身体活動も活発にしたいという欲求が生じ、体を動かすことが面倒でなくなる。高齢者にとって、日常生活を活気あるものにするためには、脳活動は欠かせないと思うのである。

 脳が活動しにくい状態にあるときには、次に何をしようかと考えるためにマインドフルニス(瞑想)をするとよい。次にやりたいことを思いついたときに、脳の活動が始まるだろう。

 最後に、睡眠について一言添えておきたい。人が必要充分な睡眠をとらないと、認識機能が低下すると報告されている。動物実験によると、ベータ・アミロイドのような有害なタンパク質が脳内の血管系を循環する状態で溜まる。動物が眠りにつくと、そのような浮遊タンパク質のレベルが急激に低下する。ポンプの役割をする細胞が有害タンパク質を脳から排出するためである。

 参考文献
 甘利俊一著「脳・心・人工知能」(ブルーバックス)
 乾敏郎他著「脳の大統一理論」(岩波科学ライブラリー)