河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

さよなら夏ばかりの日

2015年06月15日 | ZIZY STARDUST
「さよなら夏の日」などというフレーズが生まれるのは
日本の夏が7月から8月の2ヶ月ほどであるから
その名残惜しさからだろう
年中夏のような地域ではこういう感情は生まれないのではないか


「こ、ここは、どこなんだ」

私は目の前に見える天井を見て、つぶやいた。

白いペンキで塗った壁と天井、直管型の蛍光灯、古い大きなエアコン、ブラウン管式テレビ。
昭和の時代の、脳病院に送り込まれたのだろうか。

今、私は本当に目覚めたようだ。

思い起こせば、タイ航空のキャンペーン料金に目がくらみ、知人から、すら谷は楽園だと聞かされ、
福岡空港まで行ったのだった。

そこから、ぷっつりと記憶の糸が切れているのだ。

スワンナプーム空港で誰かにドリアンガスを吸わされて、そのまま、
この脳病院に監禁されたに違いない。

どんどんどんどん

夢の中で聞こえていた音がまた聞こえる
ああ、これは、アパート、じゃなかった、脳病院中の患者が、
いっせいにドアを乱暴に閉める音だ
日本のマンションのようにドアにダンパーやゴムの枠も付いていないし
ロックをしてから、みんなドアを思いっきり強く閉めるのだ
というか、そうしないと閉まらないドアなのだ。

私は、この脳病院でこのまま死んでしまうのだろうか
そうなのだ、病人には、生死を選ぶ権利は無いのだ
無理やり生かされるか、死を待つかしかない

健康なうちに死んでおかないと
病気になってからでは、自由に死ねない、という変な話ではないか

私の唯一の持ち物、ソニーカセットウォークマンから、聞き覚えのある曲が流れてきた

「さよなら夏ばかりの日」

♪波立つものすごい雷雨の道路 しぶきを上げて
♪一番素敵な季節は すぐに終わる
♪時が止まればいい 僕の背後でつぶやく霊見てた
♪さよなら夏ばかりの日 いつまでも忘れないよ
♪雨に濡れながら わしらは老人になっていくよ

作詞・作曲・唄:山下達五郎


ドングラ・マングラ 第3話 完