いのちに関わるような病院での検査、皆さんもある程度の年齢の方は、ご経験があるかと思います。検査の結果が出るまでの間の二週間、とても長く感じ、生きたここちがしません。何を聞いても、うわのそら、旅行に誘われても、行く気はしません。たとえ、旅行に行っても、まったく、楽しめません。美味しい食物も美味しく感じません。なぜなら、その検査結果の事で、頭が一杯だからです。その訳は、健康に対する執着、生きることへの執着があるからです。私も何度か、経験しました。ところが、医者より、心配ありませんという診断を聞いた瞬間、急に、気分は晴れやかになり、生きている事がなんて幸せなんだと思えたり、美味しい物が食べたくなったり、旅行に行きたくなったりします。しかし、診断結果が自分の願い通りでないことも当然あります。同じ世界なのに、世の中が極楽浄土に感じたり、逆に地獄のように感じるのです。この世界は、自分の心が作り出しています。どんな結果であっても、心が動じることなく、受け入れられるなら、楽なのに、人間(私は)そうはいきません。病気や死を恐れるのは、人間だけだと、聞きます。今の時期、境内の老木のしらかしは、たくさんのどんぐりを実らせています。境内の樹木の管理をして下さっている樹木医さんに、昔、今年もこんなにたくさんの実がなり、しらかしが元気で安心しましたとお礼を言ったことがあります。しかし、樹木医さんの返答は、意外なものでした、実は、逆なんです。この木は、もうかなりの老木です。私としては、こんなに、どんぐりを、実らせて欲しくないのです。本当は、このどんぐりを、実らせる栄養を、自分に使って欲しいのです。これは、木が、子孫を残そうと必死なのです。木が、世代交代の時期がきていることを分かっているからなのです。私は、この話を聞いて、涙が出てきました。前にも紹介しましたが、植物学者の先生が、植物は、人間に比べてはるかに強いものですとおっしゃっていましたが、本当に、そのとおりだなと思いました。
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