社労士(社会保険労務士)さんのひとり言

社会保険労務士ブログは早く卒業して、グルメブログにしたいものです。

そんな自己申告制度は意味がありません。

2004年12月19日 20時25分13秒 | Weblog
 私が会社にいた時の話です。労働組合と会社の話し合いで、自己申告制度が始まりました。従業員の能力を活用するために鳴り物入りで始まったのですが…。その後、1年ほど経ったとき、オルグ(この表現自体古いですかね??)で発言を求められた私は「そんな自己申告制度は意味がありません。」と言いました。本当は「時間の無駄。」「こんな制度を作って満足しているようでは、労働組合の価値はありません。」とまで言いたかったのですが、さすがに、そこまでは言いませんでした。

 なぜ、私が「意味がない。」と言ったのか。理由は2つあります。

1、上司の検閲がある自己申告制度…課長と課員が自己申告の用紙をはさんで話をする。それはいいのです。しかし、自己申告の用紙をコピーさせ、下書を書いた上で面談し、書き方を指導するような自己申告では意味がありません。実際、「あなたは、今の仕事に向いていると思いますか?」という質問に対して「向いていない」に○をした課員に、課長が「向いていると思う」に○をするよう説得したと言う事例がありました。事前検閲をするような自己申告制度は、意味をなしません。

2、自己申告用紙が部長で止まる…課長と面談して書いた自己申告は、その上の部長が別用紙に書き換えて提出するようになっていました。そして、部長が書いた書類は課員に対してフィードバックされません。つまり、人事部に届いたかどうかもわからないのです。そんな自己申告には意味がありません。

 私の言った意見が通ったのかどうかはわかりませんが、一年後、自己申告用紙は直接人事部に通るようになりました。それが当たり前なのですがね。

 私は、その時、社会保険労務士なる資格を知りませんでした。つまり、労務管理の事は全く知らなかったに等しいのです。そんな私でも穴が見えるような制度を、労働組合が疑問も持たずに応じてしまう…という現実を見たとき、情けなく思った覚えがあります。

(この項、続く。)