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今週の読書! ペナンブラ氏の24時間書店/犬身/アルモニカ・ディアボリカ

2015年05月26日 | もう一冊読んでみた
 今週は、この3冊。

ペナンブラ氏の24時間書店/ロビン・スローン  2015.5.26

  米光一成/ロビン・スローン『ペナンブラ氏の24時間書店』解説[2014年4月]

 年齢によるものか、文化によるものか、ぼくには良く理解することの出来ない小説でした。
翻訳された文章は、大変読みやすかったのですが。

  『 ペナンブラ氏の24時間書店/ロビン・スローン/島村浩子訳/東京創元社 』



犬身/松浦理英子  2015.5.26

  性器結合中心の性愛から離れた形での関係性を考えたかった
    ..................性も種も超える愛「犬身」 松浦理英子氏、7年ぶり長編小説

   ただし、初版は、2007年10月30日。

 久々に面白い小説を堪能しました。

 「小さいことを言うな。限りある犬生(けんせい)から汲み取れるだけのものを汲み取らずしてどうする。平板な幸せなんて鳥の餌にくれてやれ。多少の苦しさを支払ってでも愛情と情熱の深みで酔え。淡彩ではなく極彩色の幸せを追え

かっこいいですね、「淡彩ではなく極彩色の幸せを追え」なんて言ってみてへ。

 「地獄の炎の色の幸せ? 朱尾(あけお)さんの価値観で煽られても困るけど

このあたりのユーモア感覚のおもしろさに、小説の随所でくすくすと笑ってしまいます。

胸切なく悲しく、思い出される場面もありました。
別れた人が、とくに幽明境を異にするひとの場合は、なおさらのこと。

 どうしてこんなことしか言えないんだろう、もっと他に言うべきことがあるんじゃないか、と疑いながらもううまいことばが閃くことはなく、もどかしいまま房恵はコートをはおり荷物を手に取った。人と別れる時っていうのはいつも何か言い忘れたような感じが残るものなのかも知れない


この小説に漂う、とんでもない悲劇が起こりそうな、不吉な予感。

 「わたしもです。魂は合意の上でいただくものだ

    『 犬身/松浦理英子/朝日新聞社 』



アルモニカ・ディアボリカ/皆川博子  2015.5.26

 皆川博子氏の『アルモニカ・ディアボリカ』を読みました。
皆川さんは、1930年旧朝鮮京城市生まれですから、今年85歳。
その衰えを知らない、旺盛な創作意欲には敬意を感じます。

少し長くなりますが、ぼくが、興味深かった部分を引用します。

 自己殺害はきわめて罪深い不名誉なことであり、墓地に埋葬を許されないばかりか、十字路の交差点に掘った穴に放り込まれ、時には胸に杭を打ち込まれもする。命は神の贈りだから、奪うのも、神であらねばならない。自殺は神の特権を奪う究極の罪悪と、教会は見なしている。頑迷なほどに。十字路は十字架をあらわしている。頻繁な人の行き来が、自殺者の亡霊が浮かび上がるのを防ぐ。古い古い迷信が、いまだに続いているのだよ。狂人の方が、教会にしてみれば、自殺者よりもはるかにましなのだ。

キリスト教では、なぜ、自殺を嫌うのかということが、よくわかります。
そして、十字路というのは、不吉な場所なのだということも、よく分かりました。

    『 アルモニカ・ディアボリカ/皆川博子/早川書房 』


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