今週は、この4冊。
■ホーンズ/ジョー・ヒル 2015.9.26
ジョー・ヒルの2冊目『
ホーンズ』を読みました。
最初なかなか内容がつかめない、どのような結末の話しに落ち着くのか見通せない、といったもどかしさがありましたが、最終近くなって全貌が見えてきたという感じで読み進めました。
一種壮絶な青春小説です。
世の中には、どれだけ多くのものを手にしていても、決して手放してはならないものがある。
「道をまちがうことになるぞ」
「人は何回か道をまちがえるべきだと思うの」メリンはいった。「道をまちがえないと、その人はやたらに考えすぎるようになる。それはまた最大の誤った道だと思うわ」
映画『ホーンズ 容疑者と告白の角』公式サイト
『
ホーンズ/ジョー・ヒル/白石朗訳/小学館文庫 』
■テミスの剣/中山七里 2015.9.26
中山七里氏の小説を、初めて読みました。
中山氏が岐阜県の出身であることや「どんでん返しの帝王」と呼ばれていることを知りました。
『
テミスの剣』で、その「どんでん返し」を体験しました。
「人を逮捕し、訴え、裁く。大した権力だと思います。行使する側はさぞかしご自分の正義に陶酔されていることでしょう。ご自分がその正義を振り翳すに相応しい知性と見識備えていると思い込んでいらっしゃる。権力はご自分が獲得したものとだと信じていらっしゃる。お笑いぐさですよ。そんなものは全て与えられたものに過ぎません。権力者がやがて別の権力に潰されるように、正義の代行者もやがて別の正義によって抹殺されるのです。.............」
「冤罪」の話なのですが、ぼくは時々、思うことがあります。
もし、やってもいないことで訴えられて、裁判になって、一貫して「やってません」とがんばったら、それはそうでしょう、やってもいないことだから正直に、でも、裁判官は、きっと判決文で「
被告人は、罪を反省することこともなく」と書くでしょう。
反省もなく、と言われてもねえ、こんな時、一体どうすればいいのでしょうか、ほんと途方に暮れてしまいません。
『
テミスの剣/中山七里/文藝春秋 』
■魔女は甦る/中山七里 20165.9.26
中山七里氏の2冊目を読みました。
『
魔女は甦る』です。
これも一種の「
どんでん返し」でしょうか、おもしろい娯楽小説でした。
呪いは既に術者の手を離れて、それ自身が意志を持つようになった……。
人が憎悪の呪縛から逃れられない限り、魔女はいつでも何度でも甦る
ぼくにとって、ドキッとする表現もありました。
自分としては、余り意識してなかったことなのですが、まあ、頼まれもしないのに手間暇かけてブログを書いているなんぞは、「自己顕示欲の塊」そのものかも知れませんがねえ。
「あの本棚は何度も見たけど、背表紙なんていちいち覚えていません。それに自分がどんな本を読んでどんな感銘を受けたかなんて、自己顕示欲の余程強い人しか口に出さないものでしょ」
人格を磨き、知識を求め、勉強に努めることは、このためです。
「人は自分の知識の範囲でしか人間を語ることができないから。人間を語るって、結局自分を語ることでしょ?」
『
魔女は甦る/中山七里/幻冬舎 』
■連続殺人鬼カエル男/中山七里 2015.9.26
中山七里氏の3冊目を読みました。
『
連続殺人鬼カエル男』です。
派手な完全娯楽小説、サイコスリラーの一冊です。
刑法第三十九条と人権派弁護士との関係や少年法との問題点など深刻な内容も豊富であり、著者の深い知識も感じさせます。
「第一次世界大戦当時にレメーカーという画家が発表した<負傷兵輸送列車>という風刺漫画........」とありどんな絵か、気になりました。
疑問に思ったこともありました。
渡瀬=捜査一課の警部で班長/連続殺人鬼カエル男
渡瀬=浦和署強行犯係所属の刑事、階級は巡査部長/テミスの剣
渡瀬は、はたして同一人物か。
行動パターンは似ているが、人格が本質的に随分違う気が、ぼくにはするのですが。
もし、同一人物とするなら、著者は、読者に後味の悪い思いを残したのではないか、とぼくは思うのですが。
善意の道は地獄に通じるって言葉、知ってる?
本当にその人のためを思うのなら、助言はしても助力はしない。
『
連続殺人鬼カエル男/中山七里/宝島社 』