今週は、この3冊。
■悪意の波紋/エルヴェ・コメール 2015.8.15
エルヴェ・コメールの『悪意の波紋』を読みました。
交互に語られるジャックとイヴァンの一人称の短い話が平行して語られ、どのように交差するのか読みながら全然想像がつかない。
いぶかしく思いながらも読み続けることしばし...............すごく面白い
「周囲に一石を投じてできる波紋を気に留める人はめったにいない。なぜなら分からないからだ。我々がすれ違った人びとの人生をどの程度変えてしまうのか、どうして分かるだろうか?」
「偶然のメカニズムを分解するただひとつの方法は、人為的に偶然の出来事を仕組んで、自らがその発端となることだ。誰かに対してわざと偶然の出来事を引き起こすんだ。さらに、その続きを観察することなんだ」
昔はよかった。
昔がよかったから、老いぼれたんだ。下手なヤツは早死にする
『 悪意の波紋/エルヴェ・コメール/山口羊子訳/集英社文庫 』
■悪魔の羽根/ミネット・ウォルターズ 2015.8.15
ミネット・ウォルターズの『悪魔の羽根』を読みました。
事件の展開や謎解きの面白さより多彩な人間模様についての考察の深さが、ぼくにはおもしろかった。
コニー........きみは、見知らぬ人が自分のことをどう思おうが気にしないはずだ。たいていの人がそうだよ。自己像というのは、自分の知人や愛している人たちに自分がどう見えるかってことで、たまたま知り合っただけの、ふたたび会うことはなさそうな人には関係ないことなんだ。ほとんどの人にとって、世界はとても狭いんだよ。
欠陥人間が自分の優位を感じようとしてすることには気が滅入るような共通点があって、それには必ず相手に、"屈辱を感じさせる"ことを意図した行為がふくまれるんだ。きみに関しては、その意図が目論見どおりに行っていないのを、ぼくは喜んでいる。きみはそうは(いまのところは)思っていないにしても。
「奥さんと張り合うのは簡単なのよ。自分が何と闘っているかがはっきりしているから。これがべつの愛人となればそうはいかない。自分がその座から引きずり降ろそうとしている女と同じように退屈な女だってことになるもの」
画家のポール・ゴーギャンの言葉----『生きるとは、復讐の夢を見ることだ』。わたしはたえず復讐を夢見ている。
「幸せの秘訣は自由である。.......自由の秘訣は勇気である」(トゥキディデス)
悪魔の羽根(起源はトルコ語)----男の関心を、そうと知らずに煽りたてる女。
無意識に性的興奮を引き起こす存在。
そして、ニーチェのあの有名な言葉。
Webミステリーズ!........今月の本の話題
『 悪魔の羽根/ミネット・ウォルターズ/成川裕子訳/創元推理文庫 』
■薔薇の輪/クリスチアナ・ブランド 2015.8.15
今月の3冊目は、クリスチアナ・ブランドの『薔薇の輪』を読みました。
本書の「解説(福井健太)」がおもしろかった。
一九〇七年に英国領マラヤ(現在のマレーシア)で生まれたブランド(本名=メアリ・クリスチアナ・ミルン)は、英国領インド帝国で育ち、英国のサマセット州でフランシスコ修道院の学校に進んだ。父親が破産したため十七歳で退学し、家庭教師、モデル、ダンサー、秘書、室内装飾家などを経て、調理器具販売店の販売員時代に「若い女の売場主任にさんざんいじめられて」て殺意を抱き、彼女を被害者のモデルにした『ハイヒールの死』を執筆。
舞台は、ダイヤル即時通話、公衆電話など時代を感じさせる1970年代の社会です。
ブランドがメアリ・アン・アッシュ名義で発表したA Ring of Roseは、一九七七年にStar Booksからペーパーバックで上梓され、同年にW.H.Allenからブランド名義のハードカバーで再刊された。
今週の本棚:若島正・評 『薔薇の輪』=クリスチアナ・ブランド著
『 薔薇の輪/クリスチアナ・ブランド/猪俣美江子訳/創元推理文庫 』
■悪意の波紋/エルヴェ・コメール 2015.8.15
エルヴェ・コメールの『悪意の波紋』を読みました。
交互に語られるジャックとイヴァンの一人称の短い話が平行して語られ、どのように交差するのか読みながら全然想像がつかない。
いぶかしく思いながらも読み続けることしばし...............すごく面白い
「周囲に一石を投じてできる波紋を気に留める人はめったにいない。なぜなら分からないからだ。我々がすれ違った人びとの人生をどの程度変えてしまうのか、どうして分かるだろうか?」
「偶然のメカニズムを分解するただひとつの方法は、人為的に偶然の出来事を仕組んで、自らがその発端となることだ。誰かに対してわざと偶然の出来事を引き起こすんだ。さらに、その続きを観察することなんだ」
昔はよかった。
昔がよかったから、老いぼれたんだ。下手なヤツは早死にする
『 悪意の波紋/エルヴェ・コメール/山口羊子訳/集英社文庫 』
■悪魔の羽根/ミネット・ウォルターズ 2015.8.15
ミネット・ウォルターズの『悪魔の羽根』を読みました。
事件の展開や謎解きの面白さより多彩な人間模様についての考察の深さが、ぼくにはおもしろかった。
コニー........きみは、見知らぬ人が自分のことをどう思おうが気にしないはずだ。たいていの人がそうだよ。自己像というのは、自分の知人や愛している人たちに自分がどう見えるかってことで、たまたま知り合っただけの、ふたたび会うことはなさそうな人には関係ないことなんだ。ほとんどの人にとって、世界はとても狭いんだよ。
欠陥人間が自分の優位を感じようとしてすることには気が滅入るような共通点があって、それには必ず相手に、"屈辱を感じさせる"ことを意図した行為がふくまれるんだ。きみに関しては、その意図が目論見どおりに行っていないのを、ぼくは喜んでいる。きみはそうは(いまのところは)思っていないにしても。
「奥さんと張り合うのは簡単なのよ。自分が何と闘っているかがはっきりしているから。これがべつの愛人となればそうはいかない。自分がその座から引きずり降ろそうとしている女と同じように退屈な女だってことになるもの」
画家のポール・ゴーギャンの言葉----『生きるとは、復讐の夢を見ることだ』。わたしはたえず復讐を夢見ている。
「幸せの秘訣は自由である。.......自由の秘訣は勇気である」(トゥキディデス)
悪魔の羽根(起源はトルコ語)----男の関心を、そうと知らずに煽りたてる女。
無意識に性的興奮を引き起こす存在。
そして、ニーチェのあの有名な言葉。
Webミステリーズ!........今月の本の話題
『 悪魔の羽根/ミネット・ウォルターズ/成川裕子訳/創元推理文庫 』
■薔薇の輪/クリスチアナ・ブランド 2015.8.15
今月の3冊目は、クリスチアナ・ブランドの『薔薇の輪』を読みました。
本書の「解説(福井健太)」がおもしろかった。
一九〇七年に英国領マラヤ(現在のマレーシア)で生まれたブランド(本名=メアリ・クリスチアナ・ミルン)は、英国領インド帝国で育ち、英国のサマセット州でフランシスコ修道院の学校に進んだ。父親が破産したため十七歳で退学し、家庭教師、モデル、ダンサー、秘書、室内装飾家などを経て、調理器具販売店の販売員時代に「若い女の売場主任にさんざんいじめられて」て殺意を抱き、彼女を被害者のモデルにした『ハイヒールの死』を執筆。
舞台は、ダイヤル即時通話、公衆電話など時代を感じさせる1970年代の社会です。
ブランドがメアリ・アン・アッシュ名義で発表したA Ring of Roseは、一九七七年にStar Booksからペーパーバックで上梓され、同年にW.H.Allenからブランド名義のハードカバーで再刊された。
今週の本棚:若島正・評 『薔薇の輪』=クリスチアナ・ブランド著
『 薔薇の輪/クリスチアナ・ブランド/猪俣美江子訳/創元推理文庫 』
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