三重県志摩市では,我が国初の新しい取り組み「里海基本計画」がスタートしました。里海とは,人間と海とが共存しながら持続的に利用できる海を指します。
ただし,ここでいう海とは,私たちが関わる水圏環境のことを指します。沿岸域の海だけでなく,源流の山から下流域の河口域までを含んでいます。なぜかといえば,沿岸域の自然環境は陸域の自然環境(人間活動ももちろん含む)とも密接な関わりを持っているからです。
三重県志摩市は真珠産地であり,観光リゾートの町としても誰でも知られる名所でした。しかし,近年は水質が悪化するとともに漁業生産も落ち込み,これといった産業もなく,過疎化が進行しています。
そこで,志摩市では一元的であった海の利用を,地域住民やステークホルダー等様々なセクターが積極的に関わって持続的に活用できる環境にしよう,と「里海」作りを始めたのです。そして,地域住民らによる基本計画策定会議を開催し,里海基本計画を策定するにいたったのです。
里海基本計画は「稼げる里海」「学べる里海」「遊べる里海」の3つを目標として掲げ,市役所内に「里海推進室」を設置しこの4月からスタートしました。
最終的な成果は今は形として見えにくいものですが,里海づくりが順調に進めば,環境が改善され,水産資源が回復するだけでなく,観光資源,教育資源など新しい価値が生まれてくると思われます。
このような取り組みが今後ほかの地域でも採用され,島国である日本の地方の沿岸域が元気になることを願っています。