英生化学者のF・サンガー氏死去=ノーベル化学賞2度受賞(時事通信) - goo ニュース
Fred Sanger, 1918-2013, A remarkable man (WELLCOME TRUST SANGER INSTITUTE)
ノーベル化学賞を2度も受賞したフレデリック・サンガー博士が逝去されました。95歳。
彼の死去を伝える記事をいろいろと巡りましたが、本当に日本のジャーナリズムのインテリジェンスの低さに暗澹たる気持ちになります。科学に対する向き合い方が違う。一応、DNAでメシ食ってるので、英国のサンガー研究所の追悼文をリンク先に選びました。これ以上のサイトはないでしょう。サンガー研究所のスポンサーWELLCOME TRUSTは、民間では世界2位の医学研究支援団体です。現在の研究所のトップはサルストン博士。ちょっと有名じゃないですが、ロバート・ホロヴィッツ博士、シドニー・ブレナー博士と共同でノーベル賞を取った人といえば、ど偉い人だということが分かると思います。まあ、とにかく、すごい研究所なのです。ゲノム研究で世界をリードしておりまするよ。
O大4回生の時に入った研究室は遺伝学のラボだったので、もちろんDNAの塩基配列決定は盛んにやってました。ちょうど塩基配列決定法がマキサム&ギルバート法からサンガー法(ダイデオキシ法)へ移行している頃でした。化学修飾によるDNAの部分分解からヌクレオチドアナログによるDNA合成酵素の停止という全く違うコンセプトの実験方法への変化でした。初期の方法は、単鎖DNAファージを使って読みたいDNA断片を単鎖化する必要がありました。そのかわり、ラベルは入る入る・・・放射活性が。w w w ガイガーカウンターが元気にピーピーゆうレベル。電気泳動かけるには、サンプルを精製する必要がなくて、反応液を熱変性したらそのまま流すことが出来ました。これは楽だった。マキサム&ギルバート法だとラジオアイソトープセンターで3~5日働いて、1週間感光したあと現像して読めるのがせいぜい100 bpくらいなのが、サンガー法なら200 bpはいくし、ラジオアイソトープセンターでの作業は1日で良かった。翌日現像してOK。画期的でした。
今は合成DNAプライマーとPCR機、そして、蛍光ラベルのおかげで楽々です。読んだ結果もコンピューターに自動的に取り込んでくれてます。人間が自分で読んでいた時はたいへんだった。
サンガー法(ダイデオキシ法)は長年塩基配列決定法として君臨してきましたが、そろそろ違う方式が出てくるそうです。もうヒトゲノムをその日のうちに読み終えられるレベルのマシンが。
しかし、最新技術がどんなにすごかろうと、最初の開発者があっての今なのです。
あなたの実験法でまだもうちょっとメシを食わせてください。お願いします。どうか、安らかに。心から感謝をこめて。
Dr. Sanger, thanks to you, I work with DNA, but I am very sorry to hear about your loss. With best regards.
本日のお酒:KIRIN 一番搾り STOUT + 熊本米焼酎 白岳
Fred Sanger, 1918-2013, A remarkable man (WELLCOME TRUST SANGER INSTITUTE)
ノーベル化学賞を2度も受賞したフレデリック・サンガー博士が逝去されました。95歳。
彼の死去を伝える記事をいろいろと巡りましたが、本当に日本のジャーナリズムのインテリジェンスの低さに暗澹たる気持ちになります。科学に対する向き合い方が違う。一応、DNAでメシ食ってるので、英国のサンガー研究所の追悼文をリンク先に選びました。これ以上のサイトはないでしょう。サンガー研究所のスポンサーWELLCOME TRUSTは、民間では世界2位の医学研究支援団体です。現在の研究所のトップはサルストン博士。ちょっと有名じゃないですが、ロバート・ホロヴィッツ博士、シドニー・ブレナー博士と共同でノーベル賞を取った人といえば、ど偉い人だということが分かると思います。まあ、とにかく、すごい研究所なのです。ゲノム研究で世界をリードしておりまするよ。
O大4回生の時に入った研究室は遺伝学のラボだったので、もちろんDNAの塩基配列決定は盛んにやってました。ちょうど塩基配列決定法がマキサム&ギルバート法からサンガー法(ダイデオキシ法)へ移行している頃でした。化学修飾によるDNAの部分分解からヌクレオチドアナログによるDNA合成酵素の停止という全く違うコンセプトの実験方法への変化でした。初期の方法は、単鎖DNAファージを使って読みたいDNA断片を単鎖化する必要がありました。そのかわり、ラベルは入る入る・・・放射活性が。w w w ガイガーカウンターが元気にピーピーゆうレベル。電気泳動かけるには、サンプルを精製する必要がなくて、反応液を熱変性したらそのまま流すことが出来ました。これは楽だった。マキサム&ギルバート法だとラジオアイソトープセンターで3~5日働いて、1週間感光したあと現像して読めるのがせいぜい100 bpくらいなのが、サンガー法なら200 bpはいくし、ラジオアイソトープセンターでの作業は1日で良かった。翌日現像してOK。画期的でした。
今は合成DNAプライマーとPCR機、そして、蛍光ラベルのおかげで楽々です。読んだ結果もコンピューターに自動的に取り込んでくれてます。人間が自分で読んでいた時はたいへんだった。
サンガー法(ダイデオキシ法)は長年塩基配列決定法として君臨してきましたが、そろそろ違う方式が出てくるそうです。もうヒトゲノムをその日のうちに読み終えられるレベルのマシンが。
しかし、最新技術がどんなにすごかろうと、最初の開発者があっての今なのです。
あなたの実験法でまだもうちょっとメシを食わせてください。お願いします。どうか、安らかに。心から感謝をこめて。
Dr. Sanger, thanks to you, I work with DNA, but I am very sorry to hear about your loss. With best regards.
本日のお酒:KIRIN 一番搾り STOUT + 熊本米焼酎 白岳