法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』 - 開発の経緯

2018-06-17 21:13:53 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
マーケティングの話は、一先ず終了とさせていただき、今回から、『理詰めの営業』の話に移ります。

一般的に、営業には一年間の売上目標や新規顧客開拓の目標を持たせます。売上目標は会社全体の目標を事業部、部、課、そして個人へと落とし込んだ数字です。新規顧客開拓は、いままで販売できていない顧客や業種などをターゲットにした営業、あるいは、新分野への進出です。

私がいたK社(半導体製造向け計測装置メーカー)では、ベースサラリーの他に売上げに応じたコミッションを払っていました。ただし、ベースサラリーの1.5倍までといったように上限は決めていました。また、新規顧客開拓に関しては成功度に応じてスポットボーナスを払う仕組みにしていました。例えば、顧客からデモ依頼が来てデモが成功すれば10万円、見積依頼が来れば15万円、受注できれば50万円といった具合です。受注までに時間がかかる製品でしたので、途中の段階でもスポットボーナスを払い、営業のやる気を維持するようにしていました。

毎週、営業会議を開いて、案件を一つ一つチェックすることになっているのですが、案件の詳細が見えにくく、進捗を十分に把握することができず、実際には売り上げの数字だけを追いかけることが多くなりました。案件の中身が見えないので、適切なアドバイスもできない等の問題もありました。

そこで、営業に向けた精神論ではなく論理的で明確な指針ができないか、個人の資質にのみ依存しない営業、営業の可視化の方法論を確立できないかと考えました。目指したのは、営業プロセスの標準化やマニュアル化ではなく、顧客の動きや環境変化に対して動的に、柔軟に対応するためのツールの作成と営業を論理的に行う方法の開発でした。

そのときの経験をベースに、論理的に営業のステップを受注に向かって一歩一歩進める営業の方法論を『理詰めの営業』としてまとめました。ここで言う営業のステップの基本となるのは、今まで見てきた「購買行動と営業プロセス」にある営業のステップです。もちろん、具体的な営業ステップの詳細は、会社によってことなります。

この営業の方法論は、もともとは価格競争の土俵に上がるのを避け、付加価値を売るという意味で『バリューセリング』という名前を使っていましたが、顧問先の社長から「将棋や囲碁のように論理的に、一手先、二手先を考えて営業をする手法だね」と言われ『理詰めの営業』という名前に変えました。

この手法の開発では、コンプレックスセールスと呼ばれる法人営業への適用を目指していました。

コンプレックスセールスとは、高額の商談や技術的に複雑な商談で、

・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注に至るまで長期間複数
 の商談を行う必要があり、
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定が必要とされ、
・意思決定は商談の場以外のところで行われる営業です。

例えば、プラント建設やIT関連システム、生産設備、ビル管理などは好事例でしょう。

『理詰めの営業』は、上記のコンプレックスセールスを成功に導く手法です。少額でシンプルな営業ではなく、高額で複雑な案件に対応できる営業プロフェッショナルを育成します。

そして、営業としてのシンになる考え方・アプローチの方法を確立できます。
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「営業がやるべきことが分かる」 - その営業を勉強する方法は?(その1)

2018-04-22 22:09:19 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
理系の大学を卒業し、エレクトロニクスのエンジニアからマーケティングそして営業とキャリアを積み重ねるなかで、どう勉強したらよいのか一番悩んだのが営業でした。

エンジニアの仕事は、学生時代に学んだ数学や物理、化学、専門科目を基礎にして、実務を行いながら関連する書籍や論文を読み、自分の知識・経験を蓄積していきました。

転職してプロダクト・マーケティングとなったときは、技術的なバックグラウンドを活かしつつ、フィリップ・コトラーの『マーケティング・マネジメント』や田中幸一の『マーケティング理論と実際』、西村務の『新しい生産財のマーケティング』などを精読。また、ボストンカレッジのエグゼクティブコースでインターナショナル・マーケティングを学ぶ機会もいただきました。今も、Webマーケティングや中高年のマーケティングなど興味を持って研究しています。

では、営業はどうでしょうか。

何事も新しいことを始めるときは勉強から入ります。営業を学問的に研究しようと思いましたが、営業学という学問はありません。営業はマーケティングの4P(製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion))のプロモーションの中の人的販売に過ぎません。コトラーの本を紐解いても、営業に関する記述は多くはありません。

一方、書店に行くと営業に関する本はたくさんあります。

外資系コンサルティング会社の社員が書いた本には、論理的に営業を分析したものもあり、ある程度は役立ちましたが、肝心なところがぼやけていたり、事例の内容が簡単化されすぎていたりで、今一つ満足できない内容でした。

また、営業の神様といわれる人たちが書いた営業の本は、精神論、根性論が多く、元気づけられることはありましたが、営業の方法論を考える上ではあまり役立ちませんでした。

私自身がハードディスクの営業をしていたのは、パソコンのハードディスクが搭載され始めた時期でした。世の中がその製品を必要としていたので、同業他社との競争はありましたが、自分のエンジニアとしての経験を活かして、顧客の懐に入り、信頼を築くことにより、比較的容易に成果を上げることができました。

しかし、90年代後半に半導体製造装置の営業に移ってみると、私のやっていた素人営業では通じませんでした。

担当していた半導体製造装置の場合、顧客が世界を代表する企業で組織が巨大、顧客の意思決定は非常に複雑。販売する製品も高価で技術的にも高度で複雑。ハードディスクの時は、エンジニアとしてのバックグラウンドを生かして、一人で営業をできましたが、半導体製造装置ではそうはいきませんでした。

どうすればいいのか。同じような立場の営業はいるはずですが、勉強すべき適切な本が見つかりませんでした。さて、どうすればいいのか。
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「営業がやるべきことが分かる」 ‐ 属人的営業の問題点

2018-04-01 21:40:20 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
前回、テーマとしてあげた営業の個人的な能力・人間関係にもとづく営業、いわゆる属人的な営業では、以下のような問題が生じます。

・人と人との人間関係に依存しているため、他の人への引き継ぎが困難
・営業能力向上の教育が難しく、結果として能力のバラツキが大きくなる
・営業のプロセスが見えないため、マネージャが適宜適切な対策を打てない
・同様な理由で営業マネージャはリソースの有効活用ができない
・営業の中に運不運、不公平感が発生

 また、以下のような見方もできます。

・現在の経営環境に合わない
 ‐顧客の情報収集力・商品知識の向上
  インターネットの普及により顧客の調査能力が向上し、関連知識の習得が容易に。よって営業にはそれ以上の情報力・商品知識が求められる
 ‐顧客の選択肢の増加
  インターネットの普及により顧客の調査能力が向上し、顧客はより多くの選択肢を獲得
 ‐販促手段の効果の変化
  インターネットを販促に活用することにより、営業にはより高度な対応が求められる
 ‐商品のライフサイクルの短縮化
  ライフサイクルの短縮化により個人による短期間での商品知識の習得に限界、グループで商品を分担する必要性が増加
 ‐長期継続的な取引、サプライチェーン
  顧客は長期的な取引を求めており、会社対会社の対応が必須

この他に、
・個人プレーに陥る
・環境の変化に合わせた営業方法の変更が困難
・営業と顧客との相性の問題
・不正の発生
などの問題が発生します。

 これらの問題を解決するにはどうしたらよいでしょうか。やはり営業プロセスのみえる化が必要です。
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米国政府の仕事で2連勝。はたして喜んでいいのか。

2017-02-09 23:42:39 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
米国政府は、Federal Business Oppotuniteisというホームページで入札案件を公開しています。

このホームページを毎週チェックし、顧問先の企業が対応できそうな案件をお知らせし、英文の入札資料を用意するのも私の仕事です。

一日10件~20件ほどの案件が掲載されますが、当該企業の事業内容、地理的な要件等で絞り込んでいくと、3か月に1件くらい「おいしそうな案件」が出てきます。

今回、たまたま連続して案件があり、受注に成功しました。

企業選定のクライテリアは、①企業の財務的な信用度、実績、顧客による評価等、②価格です。

参加企業を①のクライテリアで3社程度に絞り込み、その後、価格を比較。

受注できたということは、①をパスした企業の中で価格が最も安かったということです。

はたしてこの受注を喜んでいいのでしょうか。

本来取るべき戦略は、入札情報が公開されるよりもはるかに前に、関係者と密な関係を作り、入札に必要な情報を提供し、仕様を自社に都合の良いように書いてあげることです。こうすることで価格を下げることなく受注が可能となります。

米国政府の仕事ではまだできていませんが、国立大学の実験機器の入札では実績を積んでいます。
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営業を勉強するには?

2016-06-22 23:02:07 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
今日、グローバルリーダー協会を一緒に運営するRon McFarlandと蒲田で明るいうちから飲んでいました。

これは個人事業のメリットの一つです!

飲み会の中、「新しい事業やプロジェクトを始めるときに人は何から始めるか?」という話になりました。

私もRonさんもまずは書物やネットでの基礎知識を蓄えることから始めることで一致。

一方で、子供たちは勉強しないとの嘆きも。

しかし、営業はどうでしょう。営業を体系的に学べる書物は今のところないのです。

私も約50冊の営業関連の本を読みましたし、いまでも面白そうな本があれば手に取ります。

私のようなエンジニアが営業になるにはどうしたらよいのか。

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「理詰めの営業」の初期の適用事例は、大手の生産財メーカーやSI企業でした。デモや提案の必要な業種です。

一方で、中小企業診断士として製造業やIT企業を中心に中小企業の営業強化支援も行いました。

その事例の一つを『匠な工場から巧みな営業へ~営業力強化による工場の町の経営革新』を2011年の中小企業経営診断シンポジウム(社団法人中小企業診断協会主催)で発表し、日刊工業新聞社賞を受賞しました。

この事例は、中小企業のメッカ大田区の中小企業計測器メーカーでの適用事例です。

その後、ビル管理業などのサービス業への適用も行っています。

「理詰めの営業」を学ぶことにより、営業の方々は、論理的に営業を進める方法を習得します。

ご自分の体験も加味することにより、自分自身の『理詰めの営業』を確立できると思います。

また、新入社員あるいは経験の浅い営業にとっては、精神論でやみくもに行動するのではなく、論理的に効率よく営業に取り組む方法が理解できると思います。

営業部門の管理職にとっては、各営業案件の可視化を可能にしています。

具体的には、顧客の課題・問題・ニーズ、案件の進捗状況、顧客との関係、競合の状況、自社のポジションの明確化が可能となります。

これらが明確になることにより、議論が深まり、案件担当者への適切なアドバイスが可能になります。

さらに、管理職として人的リソースの配分を適切に行うことが可能になります。

『仕切られる会議から仕切る会議』では、能動的に営業ステップを確実に進める会議の方法をお知らせします。

営業以外の領域でも有効に活用できますので、日々の会社生活の中で試していただければと思います。

営業が本職ではない元エンジニアが開発した営業手法『理詰めの営業』について、コメントやアドバイス、あるいはご批判をいただければ幸甚です。

今後もよろしくお願い申し上げます。
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