さて、脳神経系の発生とその運用原理は、今の所は、神経網の確定された原理は把握されていない。何らかの基本的な原理が在る事が想像できるが、やはり、今の段階では未知のままだ。多くの脳神経を探求する人が居るが、すでに出来上がった神経系について、その運用現象を追求することの大切には違いないが、もっとそれ以前、遺伝子と自己組織化の次元で、問題の答えを探求すべきであると考える。データは遺伝子が環境に適応する為に、最善の方法を選ぶように組み込まれているか?であるが、生物にとって最も重要なのは、「環境の変化に適応する」という事が、生き残る為の最大の目的である。この為にこそ、適応が考えられるのであるが、遺伝データの存在理由は、自己組織化を繰り返すと云う事と、今まで繰り返して来たデータの保存としてのデータベースである。また、それとは別に遺伝子は、たえず分子的な浮動を繰り返し、たえず自己変動を自律的に繰り返しているので、当然のある部分の変化が繰り返される事で、分子的な変化、進化?が起きている。根本的な形態進化には中立だが、遺伝子は浮動に因って進化に中立的な変化を遂げている。それは、木村資生氏の提唱している中立説である。この変動は何のために存在するか?分子不動は絶えず熱的な変動が分子にエネルギーを与えて、絶えず変動する。この変動は、どんな役割を持つものなのか?変動は、形態的な変化を起こさないレベルの部分で主に変動しているという。それでは何故なのか?形態変化を起こさない部分と云う物は、何らかの拘束力が弱い部分に他ならないから、表現形式に直結している部分より、何らかの変動がしやすいレベルに置かれているはずだ。現代の遺伝学は、その部分の現象を解明したいのだろう。
この遺伝子浮動の現象は、熱力学的な部分と統計的物理と確率過程の総合として認識されるべき分野だ。