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2020年08月18日 21時30分53秒 | 数理科学の世界

 20世紀の後半部から21世紀にかけて、非線形現象の解析が先端の科学的対象になり出した。大方の自然は、どちらかと云うと単純な線形的なもので割り切れる対象ではなかったのだった。この非線形現象は我々の回りの至る所に見ることが出来ますし、また存在するものです。こう云う現象を取り上げて議論できるように成ったのは、恐らく電子計算機の発明とその発達が根本的なエポックに成っています。計算機の発達が無ければ、このように複雑な問題は見過されていたに間違いありません。算盤はじつに安価な計算機でしたが、それを遥かに上回る機能を持つLSIで動く電子計算機が開発されて、この非線形現象の背景の解析が議論できる時代になった。その進歩は著しく、電子計算機といっても、ごく初期の計算機はコップのように大きい真空管で動いて居ましたので、何万本もの真空管の発熱はもの凄く、我が家の風呂水を二・三分でお湯に変える。その電機量タルヤ凄まじく、発熱で溶けてしまう真空管を、それを冷却するには大変なものでした。それがICチップとなりLSIから超LSIとなり、最近では「量子もつれ」というEPR相関の原理を応用し、それを背景とした量子コンピューターとなって現れようとしています。

計算機の速度の発達は、10年で千倍に成る展開で来ましたが、ともあれ、この量子コンピューターを個人で持てるように成れば、大変な複雑で面倒な計算は緩和されると思います。然し乍ら、この記事で云いたいのは計算機のスピードの事ではありません。自然に含まれつつ、今まで分からなかった自然の驚くべき構造と調和に関するものです。この問題は20世紀の後半から夙に目立ちだし、恐らくは21世紀の前半部の主要なテーマとなり得るものです。半面この技術は不安な未来を予想させるものでもある。J・オーウエルが描くような全体主義的独裁国家の党が、徹底的に個人を管理する、ある意味での地獄を予想させるものでもある。非線形科学の人工知能(AI)研究も、実際の人間の神経系の探究も、この先端科学の分野に入る事に成り、やがて意識と自己組織化の機能的背景が探求される事に成ります。

自然が作り出す有機的な作品の数々、これ等に関しては以前から関心がある分野があるが、それは「自己組織系」とか「自律系」とか謂われている分野で、自然の本質を捉えるには最も重要な考え方のフィールドです。誰かが目的性をもって作ると言う物ではなくて、自分から互いに作用し合って対応・相互関係、作用関係、を作り上げて行くシステムというフィールドです。こういう考え方の中にこそ、ごく自然に原子核とか、原子構造、分子化合物、遺伝子、惑星系、そして我々のような生命体、言葉、生命体の合目的な性質、生殖系、そして最後に脳神経系の創成と言う物がその対象として在ると思われます。このフィールドを耕すための道具としては、まず数学的な土台を固めることが必要です。それを固めた後にその方法論を指針として諸現象を解析して行くそう謂う方法論と手順がある。

およそ自然は無駄を好まない。そしてDNAは古文書の最たるものであり、それは地球の発展史を現わしている。我々の言う物事の本当の理解というものは、内的動因の外的作用を現わす一連の手順を知る事にある。それが法則といわれるものだ。真理はそこらへんに転がっているのだが、われわれの認識レベルが、それらに対応できないだけに過ぎない。あと5000年、人間が好奇心をもって生きていれば、その方法は自ずと開けるかもしれない.

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