心のハンドル操作方法 幸せに生きるための教習所

旧精神科医療は思想警察なのか?

老年期看護学の目的志向型思考は間違っているぞ。これはストレングスモデルのことだ!

2019年01月02日 | 看護 死生観レポート

『病気で苦しむ人を看護して回復させ退院、社会復帰させるのが看護の使命・喜びだ』

と考えるのならば、あなたは救急外来以外の看護師には向いていません。

『専門職・技術職について、一生くいっぱぐれなく安定した人生を送りたい』

と考える人や

『とにかく必要とされたい、偉くなりたい』

『存在意義を示したい』

『感謝されたい』

という考え、安定志向を持つひとは看護師向きだと思います。

 

これは決して偏見でなく、現実的に医療・看護の現場で働いていて日々感じたことです。

外科に行けば、80代、90代でも平気で胃がんや大腸がん、乳癌の手術をしています。

 

『…もう必要ないだろ?』

 

これが正直な感想です。

老化や高齢を「病気」としてしまうのが現代医療の特徴です。

看護実習をすると、老年期が2つ存在します。

「老年看護実習Ⅰ期」「老年看護実習Ⅱ期」

高齢者の特徴を理解して看護展開していきます。

車や自転車も使っていけば古くなりパーツにガタがきます。

当然、「買い替えする必要」も出てきます。

歳を取れば、体の形態機能は変化していくのは当然です。

ですから、機能回復を目指すというよりは、「超慢性期看護」=「老年期看護」となってしまうのです。

医療の世界では「問題解決型思考」を持たないといけません。

しかし、福祉分野では本人の努力以外の社会の仕組みやサポート、技術により、QOLを上げる「ストレングスモデル」を採用しています。

まず、はっきりいいますが、「目的志向型思考」では何も解決しません。

老年期看護の特徴はストレングスモデルです。

その理由を説明していきたいと思います。

老年期看護学では、「目標志向型思考の看護」を採用しているそうで、そもそも「目標志向型思考」とは何か?と調べると、本来の目標志向型思考とは全く違っておりびっくりしました。

その例を以下転載いたします。

・・・・・・・・・・・・・・・(「目標指向型」と「状況対応型」  ~個性心理学講座にて)

さて、富山に移動の前は、東京目白、学習院大学、百周年記念会館にて。

㈳個性心理學研究所主催の
講師・カウンセラー認定講座のゲスト講師に招いていただく。

個性心理学、そうだ、かつて熱心に学んだことがある。

そして、ずいぶんとそれに助けられたことがある。

十数年前、年下の女性と組んで仕事をした時のこと。

彼女はきっちりと計画を立て、
何事も段取りよく仕事を進め、
着実に目標へと向かっていくタイプ。

私はそんな彼女の有能ぶりにすっかり惚れこんでいて、
仕事に一緒をすること愉しみにしていた。

けれど、いざ、一緒に仕事を始めてみると、
彼女の綿密な計画に私がついていけず、
あえなく関係は崩壊。

そうだ、予め設定した予定どおりにすべて行動する彼女と、
予定は未定ぐらいにしか捉えていないその都度方式の私とは、
まるで水と油くらいの性質の違いがあったのですね。

結果、彼女は、計画どおりに仕事を進めない私に終始苛立ち、
私はといえば、彼女の緻密な計画に息苦しくなるばかり。

そう、彼女は「目標指向型」で、
私は「状況対応型」であったのです。

それは、どちらが良くて、どちらが悪いという問題ではなく、
お互いが、お互いのタイプを知ることなく、
性質の違いを踏まえたうえでの関係を築けなかったということ。

関係の機能
関係の機能不全

そうですね、私が
対象となるモノ、対象となるコト、対象となるヒトとの関係性に、
より焦点を当てて思考するようになったのは、
この彼女との関係崩壊の体験があったからこそ。

自分のタイプを知ることなく、
相手のタイプを理解することなく、
ただただ、不用意にも相手に自分流を期待していたあの頃。

その彼女と私が同時に押しつけ合った期待で、
お互いを潰しあってしまっていたあの時の愚かさ。

その私の愚かな行為に気づかせてくれたのが「個性心理学」なんですね。

そして今、その講座に講師として招いていただいたとは!
あの当時も、今も、想像すらしていなかったこと。

私を講師にとして招いて下さった弦本将裕先生に、

私の講義を熱心にご聴講下さった受講生研修生の皆様に、
心より感謝申しあげます。

有難うございます。
あなたとの出逢いにいっぱいの愛を込めて。

・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)

あれれ!??

個人心理学という胡散臭い学問においては「目標指向型」の対語は「状況対応型」思考となっていますね!

「目標指向型」とは目標達成のために計画を立てて、コツコツ進めていく考え方。

「状況対応型」とは「とりあえず思ったこと、感じたことをやってみて、問題が生じたらその時々で柔軟に対応していく考え方」=無計画タイプのことです。

明らかに老年看護における「問題解決型思考」の対語個人心理学の「目標志向型思考」の定義ではないですね。

 

さらに調べていくと、類似した思考方法がありました。

「目標」ではありませんが「目的志向型思考」でした。

「《目的志向型と問題回避型》」という考え方です。

以下見ていきましょう。

・・・・・・・・・・・・・・・(《目的志向型と問題回避型》投稿日: 2013年12月25日 作成者: 経営システム研究室)

 何か行動を起こそうとする時に、どちらのほうが、あなたはやる気が高まりますか?
 “目標を達成しようとする時” “問題を解決・回避しようとするとき”

 プロファイリングでは次のように説明しています。
※目的志向型
 目的志向型は、自分の目標に意識を集中します。目標達成という観点から物事を考えるのです。所有したり、取得したり、達成したり、到達することでやる気が高まります。目標を達成することに関心があるので、物事の優先順位をつけるのが得意です。目標を持つことで意気が上がり精気も養われます。
 その一方、問題点を見つけたり、それを回避したりするのは得意ではありません。そのため、極端な場合には、起こりうる問題に対してまったく無頓着な人と思われることもあります。

※問題回避型
 問題回避型は、実際には起こらないことのほうが多いものの、避けるべき事態や問題を意識します。解決すべき問題や回避するべきことがあると、やる気が高まります。脅威によって力を出すのです。

問題回避型で行動する人は、無意識のうちに『何がうまくいかないか』ということに注意を向けているため、問題の処理や解決がじょうずで、起こりうる障害を予測することも得意です。
 このパターンを持つ人は、否定的な状況に遭遇すると、考えたり反応したりするため、目標に注意を向け続けることが苦手です。問題に取組みはじめたら、ほかのことが目に入らなくなります。

 目的志向型 40%  問題回避型 40%  両面型 20%

・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)

《目的志向型と問題回避型》の違いわかりましたか?

目的志向型とは「目標達成するためにはリスクや問題はつきもの、問題が生じたらその時に考えよう。悩んでいても仕方ない、行動あるのみ、とりあえずやってみよう!」「動かなければ始まらない!」

問題回避型思考とは「目標達成を阻害する要因は何か?綿密に分析してひとつづつ解決していけば、目標達成できるぞ!」

という考え方。

(まるで頭が筋肉の元プロテニスプレイヤー「松岡修造」のようですね。)

どちらが正しいというのはなく、本来、両方とも人間は使っています。

前者が「ノリ重視」後者が「慎重派」といった感じでしょうか?

 

では、看護はどちらが良いでしょう?

はっきり言いますが、後者の「慎重派」であるべきです。

常にリスクに配慮して慎重に進むべきです。「安全第一」「石橋を叩いて渡る」べきなのです。

しかしながら「できない理由を探す問題解決型思考」」と「前向きにできそうなことを使っていこうと考える目的志向型思考」なら後者を選ぶというのが老年期看護学の考えなのでしょうか?

しかし、言葉の定義が不明瞭です。

少し整理すると

明らかに、「目的志向型思考」「目標志向型思考」とは「とりあえず、目標を持て!」という抽象的な概念に過ぎず、その目標を維持し続けて、突き進むこと、自己洗脳しモチベーションを維持することを第一とした物事の進め方に過ぎません。

ですから、現状把握、現状分析をしてからアクションを起こす「問題解決型思考」の前駆段階です。

 

例えば、「私はラーメンの食べ歩きが好きだから、行列のできるラーメン屋さんになりたい!」と本気で考えたとします。

Aさん「有名店に修行に行こう」

Bさん「ラーメンを食べ歩きするのが好きなだけだから、実際ラーメン屋さんのような立ち仕事、長時間労働、土日祝休みなしの飲食業なんてできるだろうか?有名ラーメン屋さんの店主さんに質問したり、ネットで調べてみよう」

と2人が行動します。

 

 

5年後の結果がどうなるか?というと

Aさん「有名店で修業し、店長まで経験し、独立、行列店となり一躍有名に。しかしアルバイトをうまく使ったり、マネジメント、経営することができず、ラーメンブームも去り、景気の冷え込みにより外食産業の低迷下、不眠不休、肉体疲労、心労が重なり体調不良となって5年で閉店」

Bさん「食べ歩き、業界研究を重ね、有名ブロガーとなり、雑誌の編集者になる。グルメ担当や地方情報誌にもその知識を生かして活躍。資金提供をして独立開業したい人をサポートし、自身のお店をプロデュースしている経営者となる」

Aさん、Bさんとも「自分の好きなことに関わることはできた」のですが、

「目標志向型」のAさん

「問題解決型」のBさん

と結果が歴然としています。

「できない理由を探す前にとりあえず、やってみろ!?」という目的志向型思考だけでは、達成できないことはお判りでしょうか?

継続できるだけの資金源、周囲のサポートがなければ到底無理なのです。

これが

「目標志向型」「問題解決型」

の具体例です。

老年期看護はAさんを目指せ!と言っているようにしか思えません。

要するに「ノリと勢い」「イケイケどんどん」です。

「老化」は避けがたい形態機能変化であるため、「問題回避型」つまり「問題解決型思考では解決できない」という結論になってしまったのか?と予想されます。

それにしてはこの老年期看護学はお粗末極まりないと思いませんか?

ストレングスモデルを使えば、QOLは上げることはできるのですから。

ここからは推測ですが、福祉論の「ストレングスモデル」を知らない看護師が、どこかで聞きかじったマネジメントか何かの「目的志向型思考」「目標志向型思考」と混同してしまった結果生まれたのが老年期看護の「目的志向型思考」のように思えます。

 

ここからは福祉の話になります。

ストレングスモデルの本来の目的とは、実際は「本人の努力は必要としない」ところにあります。

・・・・・・・・・・・・・・・(ストレングスモデル - 国立障害者リハビリテーションセンター)

ストレングス(Strength)」とは. ケアプランを作るときにポイントになる、

本人と環境の両方にある強さのことをいい、

ストレングスモデルとは、

『全ての人やその人を取り巻く環境には、ストレングスがあるので、それを中心にアプローチして行こう』

とする考え方をいう。

・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)

そもそも、「本人の持てる能力を生かして、生活することができるよう、社会システムをうまく活用する」

つまり、「本人ができないことがある(生活障害がある)のは、社会システム、社会の構造に問題があるからだ」

という考え方なのです。

医療におけるリハビリテーション定義とは「訓練によって生活機能を回復する」つまり「当事者努力型」

福祉におけるリハビリテーション定義とは「本人の努力+社会資源を活用して生活障害を回復する」つまり「当事者+社会努力型」

なのです。

しかし、健常者用に作られた社会システムですから、障害を持つ人には行き届いたサービス、サポートシステムがないため

ソーシャルワーカーによる「ソーシャルアクション」によって、

「高齢者や障害者が努力しなくても、生活障害なく、社会参加できる仕組みを作ること」が福祉の考え方となります。

持てる力を生かして生活していくのは福祉論で言えば、ストレングスモデル。

つまり、老年期看護の考え方はICFによる「ストレングスモデル」のことになります。

 

しかし実際の臨床で行われていることは?というと

高齢者は未だに整形的な観点でリハビリテーションプログラムの乗っかり、ひーひー言いながら、筋力トレーニング、可動域拡大訓練を受けています。

「老い」とは「悟り」であり、「感謝して受け入れること」つまり「欲望を減らすことではないか?」と私は日々感じます。

身体の形態機能は放っておけばどんどん低下していきます。

それは致し方無いことかもしれません。(とはいっても維持するために負荷をかけ続ける必要はあると思いますが)

「他人のお世話にならずに生きる、自己実現する」という考えが高齢者のリハビリテーションにあるのかな?と思いますが、

 しかし、ひーひー言いながら、PTにリハビリテーションされている80代を超えた高齢者を見ていると、

「穏やかに老後を過ごしたいはずなのに、まだ芸能人みたいに筋トレさせられている可哀想な人達だなぁ」

と哀れに思えてしまいます。

 

リハビリテーションルームではこんなやりとりを耳にします。

「●●さん、早く動けるようになって、温泉でも行っておいで」

「●●さん、早く元気になって、お孫さんに会えるといいね」

 

温泉に浸かって、孫の面倒を見て、果たして高齢者の心は満たされるのでしょうか?

正直医療従事者は「身体と病気(機能異常)しかわからない人達」だと思えて仕方ありません。

 

私たちが寝たきりになって苦しむのは何故でしょうか?

「お世話になりたくない」

「自分でやりたいことをやりたい」

「遊びたい」「車に乗りたい」

など、「欲を満たすこと」ができなくなり、「不便になるから」ではないでしょうか?

高齢者に必要なのは、「心を救うこと」なのです。

いえ、人間、現代人には「幸せを感じる心」が全くありません。

そのまま大人に成長し、歳をとっていくだけなのです。

 

「好きな食べ物、美味しいものを食べる」「彼氏彼女と過ごす」「海外旅行をする」「エステに行き綺麗になる」

これらは一時的な「快楽」を得る手段です。

なくなればまた欲しくなるし長続きしないものです。

 

「好きな食べ物、美味しいものを食べる」

⇒お金がなければ食べられない、お店がなくなったら食べられない、食べ飽きる、

「彼氏彼女と過ごす」

⇒そもそもお互い飽きてきて惰性になる、もっと素敵な異性がいるのではと浮気する、考え、価値観が合わなくなり苦痛になる

「海外旅行をする」

⇒お金がかかる、帰国すると虚しくなる、

「エステに行き綺麗になる」

⇒お金がかかる、努力し続けるのが辛くなる。

 

脱線したので話を戻します。

「目的志向型思考」の場合、高齢者が目的、目標の設定ができなければそもそもスタートできませんね。

仮に看護師側が「こうあるべきだ」「こうしたほうが幸せだ」と押し付けようものなら「患者を中心とした医療看護サービスの崩壊につながりかねない」ということです。

「しんどいことはしたくない」「寝かせといて」

という高齢者に「目的志向型思考」は通じるのでしょうか?

それこそ、「問題解決型思考」でないと太刀打ちできないのではないかと思えます。

「なぜ、しんどいことはしたくないと考えるのか?」

「なぜ、寝かせといて?と発言するのか?」

そこからスタートするのが看護であり、それを解決するのがストレングスモデルであるということです。

・交通事故で脊損し下半身不随になった人に

”歩け”というのが医療

”バリアフリーの家に住み、ヘルパーや歩行器、車いすを活用し、生活の質を変えない”のが福祉

 

そして、形態機能の低下、つまり「喪失」に対して生活レベルを維持するためには「自助努力ではなく、社会の仕組み、サービスを変える」といった「福祉の視点」がないと解決できません。

まさに老年期看護は福祉の視点を学ぶべき領域であると言えそうです。

 

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