今回は精神科看護の受け持ちで多い、「水中毒既往のある多飲水患者の看護」について説明したいと思います。
多飲水の患者の特徴としては、いつもコップを持ち歩き、お茶を飲んでいるということでしょう。
実は、覚せい剤でも、副作用として口渇感、食欲増進があります。
千葉県警のHPの薬物乱用防止の啓発文書を転載します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(薬物乱用防止教室 薬物乱用の果てに…後悔の手記)
「後悔先に立たず」
男性(22歳)
私は、千葉市内に住む22歳の男性です。現在は、覚せい剤所持及び使用の罪に問われ、留置されています。
今回逮捕されるきっかけとなったのは、私自身覚せい剤から足を洗いたいと思っていたことと、家族からの説得です。その結果、自首する決意を固め、親父の110番通報により自宅で刑事に逮捕されました。
私は、子供の頃からオートバイを盗んだり、喧嘩をして人に怪我をさせたりして、散々親に厄介を掛けてきました。元来の性格からか、高校を出て色々な仕事に就いたもののどれも長続きせず、遊び呆けているうちに地元の暴走族メンバーと仲良くなり、暴力団とも関わりを持つようになってしまいました。
そして、暴力団の友人等から誘われるままに「覚せい剤」を使って遊ぶようになり、昼夜が引っくり返ったような乱れた生活を送っていました。2年半前に初めて覚せい剤を使った時は、好奇心から「使ったらどうなるのかなぁ。」とドキドキしました。
そして、使ってみると、「体が軽くなり、物事に集中することが出来る。」「つばが絡み喉が渇く。」「いつも人に見られているような気がする。」等の感覚があったのですが、使用後については、「あんまり良いもんじゃねえなぁ。」と思ったものです。
それからというもの、苛立つことや面白くないことから逃げたくて、覚せい剤を使い続けていました。
覚せい剤を長期間にわたって使用しているうちに、効き目が悪いように感じ始め、少しずつ1回の使用量と使用する回数が増えていきました。
不思議なもので、使い続けているうちに頭の後ろの方から「てめえ何見てんだ、ぶっ殺すぞ。」とか、「今捕まえてやっから、そこで待ってろ。」等と変な声が聞こえて来るようになりました。私は、覚せい剤を使い始める前まではこんな声が聞こえてきたことが無く、この声が聞こえ出すと怖くて仕方無くなります。この恐怖感は、体験した者でなければ絶対にわかりません。
私は、逮捕されてから暫くの間、留置場内で幻聴と腹痛に悩まされ、何度も留置場の担当さんに頼んで、精神科の医者と救急医院に連れて行なってもらいました。
今、自分のしてきたことを振り返ってみると、「何が良かったんだろう。仕事は無いは、借金は残るは、覚せい剤をやって良いことなんて何も無かった。」と反省する毎日です。
取り調べが進むうち、担当の刑事さんから覚せい剤の恐ろしさと、体調に及ぼす悪影響について、徐々に気付かされています。「後悔先に立たず」とは、よく言ったものです。私は、現在身をもってこの言葉の重みを実感しています。
ここに、世の中の若者達に声を大にして言いたいのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
覚せい剤を使う→ドーパミン作用のある向精神薬を使うと、
①幻聴が聞こえるようになる
②唾液が出なくなり、喉が渇く
③いつも誰かに監視されているように感じる
という統合失調症の症状が出ます。
実は、入院前の精神病患者は、上記①と③を感じながら入院してくるのかな?
と思うとそうではない。
統合失調症患者は、家庭内暴力や引きこもり、失禁などによる「生活レベル低下」「自傷他害」がエスカレートして家族が相談し連れてくるケースが多い。
ですから、いきなり①幻聴がある③いつも誰かに監視されているように感じる
という統合失調症の症状で入院してくるわけではないのです。
しかしながら、強いストレスで脳機能が低下したり不全を起こした状態であれば、①③は入院前から起こりうる可能性はあります。
しかし、そういったケースは少ない。
以下は断薬外来をしている医師による動画です。
覚醒剤より恐ろしい精神薬
医者が「抗精神病薬は覚醒剤と同じ」と断言していますね。
要するに、脳=中枢神経系に作用する向精神薬は覚醒剤と同じなのです。
そして、「自殺助長までする」と動画内でコメントしています。
これが真実でしょう。
人間の脳を壊し、自殺させるために作られたものが抗精神病薬なのです。
医師が処方すれば、抗精神病薬
暴力団が売れば、向精神薬=覚醒剤
さて、多飲症に戻ります。
抗精神病薬=覚醒剤を内服すると、ドーパミンの遮断だけでなく、アセチルコリンの遮断もしてしまいます。
アセチルコリンは副交感神経の働きを促進しますから、リラックスできなくなります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(元住吉こころのクリニック)
③便秘・口渇(抗コリン作用)
抗精神病薬は、アセチルコリンという物質が働くムスカリン受容体をブロックしてしまうことがあります。アセチルコリンの働きを邪魔するので、抗コリン作用と呼ばれます。
アセチルコリンは副交感神経の働きを伝える物質です。ですから抗コリン作用は、副交感神経の働きを邪魔された時に認められる症状になります。
つまり、「リラックスできない時はどういう身体の状態か?」をイメージすると理解しやすいです。胃腸の働きは抑えられるので、便秘や尿が出にくくなります。口も渇いていてしまいます。
こういった便秘や口渇といった抗コリン作用への対処法としては、4つあげられます。
生活習慣の改善
お薬の減量
下剤や漢方などの追加
他の抗精神病薬へ変更
生活習慣で改善できることは取り組んでいきます。それでも改善しない場合は、お薬の減量になります。
しかしながら効果との兼ね合いで減量できないこともあります。その場合は下剤や漢方薬などで症状を緩和していきます。どうしても合わない場合は、他のお薬に変更していきます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
要するに、ドーパミンを抑制+ムスカリン受容体抑制をして
自律神経の交感神経と副交感神経の両方ともを抑制している状態を作り出しているのです。
簡単いえば、脳機能全体を抑制しているのです。
抑制という言葉を使えば響きはよいですが、実際は、脳を機能させないようにしているだけなのです。
副交感神経がうまく作動しないようになると、リラックスできませんから、唾液分泌は低下します。
ムスカリン受容体ブロック→唾液分泌低下→口渇感、これが抗コリンエステラーゼ作用なのです。
ここまでは大脳生理学で説明がつくのですが、実は「抗精神病薬は食欲亢進する」のです。
再び元住吉こころのクリニックHPの開設を見てみましょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(元住吉こころのクリニックHP)
⑥体重増加
抗精神病薬は、体重増加してしまうことが比較的多いお薬になります。
ヒスタミンH1受容体遮断作用
セロトニン2C受容体遮断作用
などによって、食欲が増加してしまいます。
それだけでなく、代謝への悪影響があることが分かっています。このため、食べている以上に体重増加してしまいます。
非定型抗精神病薬の方が代謝への悪影響は大きく、特にMARTAのジプレキサとセロクエルで注意が必要です。糖尿病の患者さんには、この2つのお薬は禁忌となっています。
体重増加が認められた場合の対処法としては、4つあげられます。
体重測定・食事管理
運動
お薬の減量
他の抗精神病薬へ変更
まずは体重を測定することが大切です。食生活を整えることから始めましょう。運動なども取り入れながら、体重をコントロールできればそれが一番です。
お薬の減量が可能であれば、それによって食欲が落ち着くこともあります。お薬によっては量とは関係なく、問答無用で体重増加してしまうことがあります。改善が難しければ、他のお薬に変更を考えていきます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
もう無茶苦茶ですね。
「ヒスタミンH1受容体遮断作用、セロトニン2C受容体遮断作用」
だそうです。
要するに脳機能をかく乱するのが抗精神病薬だということです。
本来、緊張状態では空腹を感じません。
戦いの最中にお腹が空いてはいけません。
ですから、戦いが終わってから、交感神経→副交感神経にスイッチして空腹感を感じるのです。
空腹感とは、血糖の低下とも言えます。
血糖が低下すると脳は栄養がなくなってしまうため空腹のサインを送ります。
しかし、このメカニズムが壊れてしまうと、低血糖でもないのに空腹感を感じ食欲だけ強く感じるようになってしまうのです。
そのような状態が続けば高血糖になりますね。
副交感神経抑制をすれば、食欲減退するはずなのに、脳の他の場所にも作用して、「食欲が亢進している」これが抗精神病薬の作用なのです。
ここで一旦まとめます。
精神薬の副作用による口渇感は実際に、唾液分泌が低下してしまっているから生じるものです。
そして、そこに「ヒスタミンH1受容体遮断作用、セロトニン2C受容体遮断作用」が加わり、「食欲亢進」作用が付加されます。
つまり、飲水とは「口渇感を満たすため」と「空腹感を紛らわすため」
の2つのために行われる代償行為と考えられます。
さらに、精神病院では入院患者は何をしているかというと、「安静」です。
安静とは何か?
体動や刺激を減らして、行動しないことにより、血液循環を最低限にして心臓や脳への血流を抑制して負担をかけないことです。
つまり活動をしていないのです。
人間が暇な生活をしていたらどうなるでしょうか?
退屈でやることがない人は、気分簡単に紛らわすために食べることに走ります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(Yahoo知恵袋 ダイエット)
暇だとお腹が空いてなくても食べてしまいます。
elm********さん2010/9/2216:53:56
暇だとお腹が空いてなくても食べてしまいます。
1人で家にいる休日は暇だとお腹が空いてなくてもなぜかお腹が空いてきて食べてしまいます。普通にご飯を食べて、また菓子パン、お菓子、アイスクリーム、といった感じです。底なしの胃袋です。
そして食べたら昼寝。
夕方起きてまた晩御飯…。
情けないです。平日は仕事が忙しく3食キッチリで間食もしないし、我慢しようと思えばできるんでしょうが
休みの日だと気が緩みます。
家に食べ物がなければ近くのコンビニにわざわざ買いに行きます。
我慢ができないんです。
今は普通体系ですが、だんだん太って行きそうで恐ろしいです。
食欲を抑える方法があれば教えてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
「暇つぶしに食べる」のは脳機能が異常な状態であるようです。
人間はやることがないと、脳が倦怠感を覚えて、食べることに走るのかもしれません。
実際、「お腹が空いていない、空腹感を感じていないのに、ついつい食べてしまう」
のは暇な人の他、ストレスフルな人など、緊張とリラックスが壊れてしまっている人に多い傾向があります。
以下の論文を見てみましょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2016 年,第 57 回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(仙台)シンポジウム:ストレス関連疾患としての摂食障害)
ストレス関連疾患としての摂食障害
―脳画像研究によるアプローチ―
佐藤康弘*/福土 審*,**
抄録: 摂食障害の発症,維持にはストレスが深く関与しており,対人関係ストレス,虐待,喪失体験などが摂食障害のリスク要因として知られている.
神経性やせ症(AN)患者は認知制御が過剰で,情動処理の活動が抑制されていることがその病因,病態に深く関与していると考えられるようになってきた.
対人関係ストレスに関連する不快な語彙を用いた fMRI 研究では,AN 患者は背外側前頭前野など認知制御を司る領域の活動が亢進し,一方で失感情症傾向が強いほど情動に関わる扁桃体などの活動が低下していた.
われわれは認知柔軟性課題を AN 患者に施行した fMRI 研究により,腹外側前頭前野の機能低下を報告している.
また,認知制御と報酬評価の機能を統合した意思決定課題において,AN 患者は背外側前頭前野の活動亢進を示した.これらの知見もまた過剰な認知制御による情動処理抑制の証左となる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
おわかりっでしょうか?
摂食障害において、ストレスを感じると、MRI画像診断では、「扁桃体などの活動が低下」と「腹外側前頭前野の機能低下」がみられるのです。
人間にとってのストレスとは一体何でしょうか?
様々なストレスがありますが、「やることがない」「暇でしょうがない」「役割がない」のもストレスです。
発言小町では「仕事が暇で苦痛です」という相談がありますので転載いたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(発言小町 読売新聞)
仕事が暇すぎて耐えられない方いませんか?
ami
2011年5月23日 9:45
私は事務職をしているのですが、
とにかくする事が無く、一日のうち仕事をしているのは1時間も満たないかも!?な状態です。
特に、周りの方は忙しくしている事が多く、余計に辛いです。
事務職は私だけで、他の方は研究職なので、お手伝いする事も出来ません。
最近はこのせいだけではないですが、気持ちもおかしくなり、心療内科に通いだしました。
人によっては、贅沢な悩みである事は、承知です。
でも、就業時間内ただ座っている事がとてつもなく辛いです。
同じ様な状況下にいる方、励まし合いませんか?
また、どの様に乗り切っているのか、アドバイスいただけたら嬉しいです。
私は、ネット、お茶、トイレで8時間しのいでいます
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
正常な人ですら、暇がストレスになります。
それは焦りなのかもしれませんし、他人からの目線があるのかもしれません。
しかし、暇、やることがない事ほど人間はストレスを感じずにはいられないのです。
そして、暇で役割がなくストレスがたまると、偏桃体や前頭葉の活動が低下し、「抑制が効かなくなる」状態になります。
詳しくはこちら→『扁桃体』の暴走を止めろ。「怒り」や「不安・恐怖」や「欲望」に流されるな ...
役割がない、暇でストレスに感じる
→偏桃体や前頭前野の機能低下により、欲望などの理性をコントロールできなくなる
→唾液分泌低下
→多飲水
これが、精神病患者の多飲水のメカニズムなのです。
精神病患者は、一応治療称して、抗精神病薬を内服するという薬物療法をしていますから、薬はやめられません。
つまり、看護は「役割がない、暇でストレスを感じる」という点にスポットを当てて、日中の活動を提案していく必要があるのです。
簡単な話、気分転換、暇つぶしを一緒に行うのです。
今回は、多飲水についての考察をまとめてみました。
ちなみに多飲水の定義はこちらです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(多飲の鑑別 監修: 大滝純司 北海道大学大学院 田川美穂 奈良県立医科大学附属病院循環器・腎臓・代謝内科)
概要
症状のポイント:
多飲とは、飲水量が多くて多尿を来す状態である。
通常、1日尿量3L以上を一般的に多尿と呼ぶ。
精神科入院患者の20%に多飲がみられるという報告がある。
多飲を主訴とする疾患で緊急の対応が必要な病態として、
糖尿病性ケトアシドーシス、
低Na血症、高Na血症、高Ca血症、低K血症がある。
それぞれの診断、症状に従い治療する。
治療は原因疾患に応じて行う。
糖尿病性ケトアシドーシス、心因性多飲、中枢性尿崩症では、専門医の評価が望ましい。
診断へのアプローチ:(診察: >詳細情報 ・アルゴリズム:アルゴリズム)
多飲の原因として
①浸透圧利尿(糖尿病、Na喪失腎症)、
②口渇を起こす薬剤、
③心因性多飲、
④中枢性尿崩症、
⑤腎性尿崩症がある。
それらの鑑別は尿浸透圧を参考に診断アルゴリズムに沿って行う多飲の鑑別診断を行うために、重要な検査例
『多飲の原因として糖尿病、口渇を起こす薬によるもの、心因性多飲、中枢性尿崩症、腎性尿崩症』がある。
尿浸透圧により、水利尿(尿浸透圧<200mOsm/kg)と浸透圧利尿(同 >280mOsm/kg)に分けられる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
精神病患者の多飲は上記
②口渇を起こす薬剤、
③心因性多飲、
から起因するものでしょう。
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