まずは、難病の記事について書いて行きます。
・・・・・・・・・・・(転載こちらから)
息子は治療法ない難病、研究費集め始めた母「絶対治す」幼児10万人に1人の確率で発症するという難病「毛細血管拡張性運動失調症」(A―T)と闘う親子が青森市にいる。
余命約10年という小学生の息子のために、母はNPO法人を立ち上げ、名前さえ知られていないこの病気の治療法を探している。医師たちによる研究会もNPOの要請で立ち上がり、10日に東京で初会合が開かれた。
「きょう、112回目です。お肉がいっぱいのところに刺すぞぉ」
1月30日夜。小山内(おさない)美和子さん(36)は青森市の自宅で、ソファに横たわった次男の龍弥君(10)の脇腹に注射針を差し込んだ。「痛い」と訴える龍弥君のおなかを優しくさする。2年以上前から続く、週1回の「恒例行事」で、龍弥君はこの注射で免疫力をなんとか維持している。
小さい時からよく転んでいた。心配した美和子さんが病院に連れていくと「気を引きたくてわざとやっているのでは」と突き放されたこともあった。だが、7歳の誕生日を迎えたばかりの2014年7月、市内の病院で盲腸の手術を受けた直後、両目が左右に大きく振れ、足元はふらついて歩けなくなった
・・・・・・・・・・・・・(引用ここまで)
原因が盲腸手術じゃないですか?(汗
さておき、同難病特徴が以下の通りです。
・・・・・・・・・・・・(以下こちら転載)
毛細血管拡張性運動失調症
Ataxia telangiectasia(以後ATと省略)は「毛細血管拡張性小脳失調症」と訳されている。
特徴・症状
全国調査では今のところ100名近い患者の存在が明らかになっているが、おそらくその10倍近い患者数がいるものと考えられている。
1.発症年齢、診断年齢(疾患名にとらわれると診断が遅れる)
全国調査によると、小脳失調は中央値18ヶ月(8ヶ月~5歳6ヵ月)で明らかになっている。一方、毛細血管拡張は6歳8ヶ月(1歳8ヶ月~13歳6ヵ月)に観察されている。診断は6歳9ヶ月(11ヶ月~24歳6ヶ月)時になされているが、おそらくは毛細血管拡張とあわせて臨床診断となっているものと思われる。
毛細血管拡張は半数が6歳以上となってから明らかになることに注意すべきであり、Ataxia telangiectasiaという疾患名に捕らわれると診断時期が遅くなり、X線撮影や悪性腫瘍に対する化学療法などに際しての注意が行えなくなる可能性がある。2歳以降の小脳失調症でα-FPが高値であれば、ATを積極的に疑う必要がある。
2.神経症状
全例で体幹失調などの小脳失調症状を認める。眼球失行(apraxia)も明らかである。舞踏病も3割程度で認められ、ジストニアが認められることもある。小脳失調のみではないことに注意を要する。神経症状からの誤嚥性肺炎は生命予後に直結する問題である。
3.悪性腫瘍
AT患者が罹患する悪性腫瘍の大部分はリンパ腫や急性リンパ性白血病である。AT患者のこれらの悪性腫瘍は年齢にかかわらず発症するが、特に10歳を過ぎるとより発症しやすくなる傾向にある。化学療法は有効であるが、副作用に注意が必要である。それ以外の固形腫瘍の発症も認める。
4.感染症
ATではT細胞数が減少することが多いが、日和見感染症は稀とされており、実際に感染症は神経症状が進んでからの誤嚥性肺炎など細菌感染症が前面に立っている。また、持続性EBV感染症、難治性VZV感染症、ヘルペス脳炎などヘルペス属感染症が重症化することがある。CMV感染症、カリニ肺炎、真菌感染症は稀だが、早期からの細菌感染症などにマスクされているだけの可能性もあり注意が必要である。
5.免疫異常
ATではほぼ2/3でCD3+, CD4+, CD20+細胞の減少が認められる。CD4+CD45RA+ naive T細胞の減少も特徴的である。T細胞減少を反映してTREC(T cell receptor excision circle)は全例で低下している。
低γグロブリン血症は15-20%、低IgA血症(<50mg/dL)は30-40%程度で認められる。免疫異常は進行性ではなく、持続する。
6.その他
糖尿病、性成長異常などの内分泌異常や白髪を認めることがある。
・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
要するに、「神経症状、悪性腫瘍、感染症。免疫異常」があるそうです。
この疾患について見てみると、名前の通り、「小脳失調症」が核となるわけです。
では小脳失調症を見てみましょう。
・・・・・・・・・・・・・・・(以下こちらから転載)
小脳失調症とは?
1.小脳失調症ってどんな病気?
小脳失調症
『小脳失調症』は、名前の通り、『小脳』の調子が悪くなる病気です。
厳密にいうと、小脳だけでなく、小脳と密接に働く脊髄や脳幹などの『神経細胞』にも障害が起きます。
小脳は脳の中で大脳の次に大きな部位です。頭の後ろ下側に位置しています。主に『運動機能』に携わっています。また、「立つ」「走る」などの行為から何かを体験し、認知するといった『知覚』する働きもあります。小脳失調にかかると、これらの能力に障害が出ます。
2.小脳失調症の症状
運動機能に携わる小脳が正常に働かないため、一般的に次の症状があらわれます。
・真っすぐに歩けない
・取ろうと思ったものが取れない
・上手に字が書けない
・言葉を忘れたわけではないのにうまく話せない、
・手足がしびれる
普段、当たり前にできていたことが、なぜか出来なくなるのが特徴です。
3.小脳失調症になる原因
小脳失調症
小脳失調症の原因は、遺伝による『先天性』と、何かしらの障害によってかかる『後天性』の両方があります。2/3が後天性で、40代以降の男性に多い病気です。
原因となる遺伝子は研究によって多くが判明していますが、未だ不明のものもあります。
小脳失調症を引き起こしやすい病気は、『脊髄小脳変性症』や『血管障害』、『栄養障害』(アルコール性小脳萎縮症、胃全摘後の栄養障害)、『自己免疫性疾患』などです。病気を進行させるような食事や生活習慣などは指摘されていません。
小脳失調症の検査方法
1.小脳失調症が疑われる場合は内科か神経内科へ
小脳失調症
気になる症状があれば、まずは内科を受診しましょう。
もし近くに神経内科があれば、そちらに行くとより詳細な検査が受けられます。
2.まずは遺伝の有無を調べる
まずは問診で、血縁のある親戚や家族に小脳失調症にかかったかたの有無を確認します。合わせて『遺伝子検査』も実施します。
3.続いてCTやMRIで脳内を検査
つぎに、頭を輪切りにした写真を撮れる『CT』や、より精度のよい『MRI』 を用いて、小脳の萎縮や脳の血管の異常について調べます。
4.身体の運動機能を調べることも
さらに、身体の『運動機能』を調べることもあります。
小脳失調にかかると、日常的な転倒や、食べ物が飲み込みにくくなる『嚥下(えんげ)障害』を起こすので、定期的に検査を受けることをおすすめします。
根本治療はない!小脳失調症の治療法
現在のところ、小脳失調症を根本から治す『根本治療』はありません。
薬やリハビリによって、症状や病気の進行を抑えていきます。
1.症状に合わせた「薬物療法」
小脳失調症
小脳失調症の多くは、症状がゆっくりと進行します。そのため、各々の症状に合わせて治療します。
足のふらつきやめまいなどの症状があらわれた場合は、薬を処方することもあります。
病気が進行すると、呼吸困難やしびれをきたす『末しょう神経障害』を引き起こすこともありますが、これも、必要に応じて薬を処方し、治療を行います。
2.病気の進行を抑える「リハビリ療法」
リハビリ療法を行うことで、何もしないより、病気の進行を抑えることができます。
小脳の機能を維持するために、運動機能障害に対して歩行訓練やバランス訓練を実施します。医療機関で実施したリハビリを、自宅でも実践し病気の悪化を防ぎましょう。
・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
典型的な精神病院に長期入院している患者の症状です。
患者の副作用はEPS(錐体外路症状)などと言われますが、要するに小脳失調症だったとわかります。
厚生労働省のHPで検索すると以下のことがわかりやすく記載されています。
少し専門的になりますので、赤字とアンダーライン以外は読み飛ばしても問題ありません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下厚労省HPから転載)
B.医療関係者の皆様へ
医薬品による運動失調には、大脳、小脳以外に脊髄や末梢神経の障害に
由来するものや、医薬品自体には運動失調を起こす作用はないものの、その
使用によりもたらされる病態により 2 次性にあらわれるものがあるが、本マニ
ュアルにおいてはこれらのものは省く。
1.早期発見と早期対応のポイント
運動失調に先立つ前駆症状はとくにない。
一般的には初発症状として、書字が下手になる、箸が上手く使えなくなる、
正確な動きや円滑な動きができなくなる、といった四肢の失調、ふらつく、よろ
ける、まっすぐに歩けない、といった体幹の失調がある。また、話す際にろれ
つがまわらず舌足らずになる、といった構音障害もみられる。
患者自身がこれらの症状を運動失調と判断することは難しいと思われる。
従って、こうした症状をみたら、予定の受診日を待たずすぐに担当医師に連絡
し指示を受けるように家族を含め指導する。
運動失調は、睡眠薬や抗不安薬など一般的に処方されている薬剤でも出現
する。これらは、診療科を問わず処方されることが多いため、全処方薬を把握
する必要がある。
2.副作用の概要
薬剤の副作用としてあらわれる運動失調は、小脳の障害に起因するものが
代表的であるが、必ずしも責任病巣を特定できない場合も多い。
(1)症状
① 四肢協調運動障害
通常我々が何かの動作、運動を行う場合、そのために必要な身体のさ
まざまな筋が全体として協調して収縮し、円滑で正確な運動がなされる。
これを協調運動と呼び、小脳が大切な役割を担っている。協調運動が障
害されると、字を書く、箸を使うといった細かな動作が下手になり、進行す
ると手を伸ばして物を取る、といった粗大な動作も下手になる。また、規
則正しい運動も下手になり、リズムが崩れる。患者に自分の鼻の先を人
差し指で触るように指示すると、指先が正しく円滑に鼻尖に到達しない
(指鼻試験)。
② 起立・歩行障害
小脳には、起立、歩行の際に身体のバランスを保つ機能もある。運動
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失調では、起立の際にふらついてまっすぐに立っていられなくなる。また、
歩行では姿勢を保つために下肢を左右に開き、ふらふらと酔っ払いのよ
うに歩く。患者に、綱渡りをするように左右の踵を交互につま先に当てて
直線上を歩くように指示すると、よろけて上手く歩けない(つぎ足歩行)。
③ 構音障害
我々が滑らかに話すことができるのは、発音に関わる口唇、舌、咽頭
などの筋が順序立って協調して収縮し、次々と母音、子音を作り出すた
めである。運動失調では、これらの筋収縮の協調性が失われるため、ろ
れつがまわらず舌足らずな話し方になる。
④ 眼振
被検者に眼前の指標を眼だけで追うように指示し、指標をさまざまな
方向に動かして止めると、ある場所で眼球が停止せず、ゆっくり動いて素
早く戻る、といった往復運動を繰り返す。これを眼振と呼ぶ。眼振自体は、
運動失調の症状ではないが、小脳、脳幹、前庭などさまざまな部位の障
害で認められるため、運動失調の診断に重要な症候となる。例えば、後
述するフェニトイン中毒では、眼振が診断の重要な手掛かりとなる。
(2)発生機序
抗がん剤、抗てんかん薬では、小脳 Purkinje 細胞の脱落や神経線維の脱
髄が起こる。抗不安薬、睡眠薬などでは、後述のように中枢神経系の広範
な抑制や筋弛緩作用により、一時的に運動失調のような症状があらわれる
ものの、神経系に器質的障害は起こらない。
(代表的薬剤)
フェニトイン 1,2)
概要: フェニトインは代表的な抗てんかん薬のひとつで、過量投与により
運動失調をはじめとする精神・神経症状が出現する。本剤の血中濃度
治療域は 10-20μg/mL で、30 μg/mL 以上で運動失調があらわれる。
通常、減量、休薬により症状は改善するが、長期使用例では Purkinje
細胞の脱落、小脳萎縮を生じ不可逆性となる場合もある。
症状: 運動失調、眼振、精神症状
好発時期: 不定。薬物血中濃度の上昇に依存する。
転帰: 本剤の減量、中止により症状は改善する。長期使用例の場合、小脳
に器質的変化を生じ不可逆性となる。
機序:中枢神経系全般に対する抑制作用としてあらわれるふらつきのほか、
長期使用により小脳 Purkinje 細胞が障害され失調が起こる。
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リチウム 3,4)
概要: リチウムは躁うつ病(双極性障害)の治療薬で、過量投与により運動
失調、振戦、不随意運動、傾眠、錯乱などの中枢神経症状、嘔気、嘔
吐、下痢などの消化器症状、心伝導障害、腎機能不全などが出現す
る。これらの中毒症状は血中濃度に依存して出現する。本剤の有効治
療域は 0.6-1.2 mEq/L と狭いため、容易に中毒域に達しやすい。腎機
能障害、脱水などを合併する場合や、チアジド系利尿薬、非ステロイド
性抗炎症薬などを併用する場合、血中濃度が上昇しやすいのでとくに
注意を要する。このため、定期的な血中濃度のモニタリングが不可欠
である。
症状: 運動失調、振戦、不随意運動、傾眠、錯乱、嘔気、嘔吐、下痢
好発時期: 血中濃度に依存
転帰: 薬剤の中止により症状は改善するが、過量投与の期間が長くその血
中濃度が高いほど中毒症状は増悪し、最悪の場合死に至る。このた
め、中毒と判断すれば補液、利尿薬の投与によりリチウムの体外排泄
を促す。重症例では、血液透析により血中のリチウムを急速に除去す
る。
機序: 詳細は不明であるが、短時間血中濃度が上昇しても中毒症状は出
現せず、1-2 日続いてから起こるため、脳内リチウム濃度の上昇によ
る神経毒性と考えられている。
フルオロウラシル 5)
概要: フルオロウラシルは、主に消化器癌、乳癌などに用いられる代謝拮
抗作用を有する抗がん剤で、神経系に対する副作用として、急性の小
脳障害や大脳白質脳症がある。神経病理学的には、神経組織の脱髄
を認める。フルオロウラシルによる神経系副作用の頻度は 5%前後とさ
れている。大半は急性発症で、1 回投与量、最高血中濃度に依存し、
蓄積毒性は報告がない。本剤の減量・中止により軽快することが多
い。
症状: 急性の運動失調のほか、白質脳症として意識障害、言語障害をは
じめとするさまざまな高次脳機能障害、認知機能障害が出現する。
好発時期: 時期は不定で、総投与量との関係は明らかにされていない。
転帰: 本剤の減量・中止により大半は軽快することが多いが、投与を継続
すると神経系に重度の器質性変化が起き不可逆的となる。
機序: フルオロウラシルはいくつかの段階を経て fluorocitrate に代謝される。
本物質は細胞呼吸に重要な TCA 回路を障害し、神経系の脱髄が起こ
ると考えられている。
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注)同系薬としてカルモフール、テガフールなどがあり、白質脳症とともに小
脳失調も起こることが知られている。
(白質脳症のマニュアルも参照)
ベンゾジアゼピン系抗不安薬、睡眠薬 6)
概要: ベンゾジアゼピン系薬は、抗不安、鎮静、睡眠薬として広く用いられ
ているほか、ジアゼパムはてんかんのけいれん発作時の治療としても
用いられる。本剤には、抗不安作用、鎮静・催眠作用、筋弛緩作用があ
り、これらは用量依存性に増強する。副作用として、小脳、脊髄を含む
中枢神経系全般に対する抑制と筋弛緩作用により、眠気、ふらつき、運
動失調、歩行失調、健忘を認める。高用量では血圧低下、呼吸抑制に
まで至る。
症状: 眠気、ふらつき、めまい、倦怠感、脱力感、運動失調、歩行失調、健
忘、呼吸抑制
好発時期: 血中濃度に依存
転帰: 本剤に神経組織を不可逆的に障害する作用はなく、薬物の減量、中
止により症状は軽快する。高齢者では、本剤によるふらつきが転倒、骨
折の主因となるため、使用量を少なくし作用時間の短い薬剤を選ぶとい
った注意が必要である。高用量では、血圧低下や呼吸抑制が出現する
ため、大量の過量服薬の際には、胃洗浄、吸着剤・下剤の投与、補液、
利尿剤の投与により薬剤の排泄を促す。ベンゾジアゼピン系薬の過量
服用が間違いない場合には、ベンゾジアゼピン受容体の拮抗薬である
フルマゼニルを投与する。
機序: ベンゾジアゼピン受容体は、大脳辺縁系、大脳基底核、小脳、脊髄
と広く分布しており、薬剤の受容体への結合により神経細胞の抑制作
用を示す。副作用は神経系に対する過剰な抑制を反映するものであ
る。
(3)臨床検査、画像所見、病理所見
抗不安薬、睡眠薬などによる運動失調は一過性で可逆的なものであり、と
くに検査に異常を認めない。
抗がん剤、とくにフルオロウラシルによる障害は、中枢神経系の脱髄によ
るものであり、投与を続けると神経線維に器質的変化を生じる。MRI T2 強調
画像において大脳白質や小脳に高信号域を認める。
抗てんかん薬フェニトインは、長期使用により小脳萎縮を生じ、頭部 CT、
MRI でこれを確認することができる。病理学的には小脳 Purkinje 細胞の脱落
を認める。
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運動失調を認めた場合に鑑別すべき疾患として、脳血管障害、脊髄小脳
変性症などの神経変性疾患、多発性硬化症などの脱髄性疾患、神経感染
症を含む小脳炎、代謝性障害による脳症、中枢神経系の悪性腫瘍、および
他臓器の悪性腫瘍に伴う傍腫瘍症候群がある。これらの鑑別診断のために、
頭部 MRI、髄液検査、脳波検査、SPECT(single photon emission computed
tomography)などが行われる。
3.副作用の判別基準・判別方法
まず、運動失調の存在を確定することが大切である。このためには、四肢
の協調運動障害、起立・歩行障害、構音障害の有無を症候学的に判定する。
疑わしければ専門医への相談が望ましい。
薬物の副作用による運動失調を診断する特異的な検査はない。服薬歴と
運動失調の発症の時間的関係を病歴から確認することが大切である。リチウ
ムやフェニトインでは、薬物血中濃度の測定が決め手となる。
鑑別すべき疾患として、前述のようなさまざまなものがあるため、薬剤性の
ものと区別するために画像診断、髄液検査、脳波検査などを行う。
4.治療法
まず原因薬剤の減量、中止を行う。急性中毒の場合には、補液、利尿剤の
投与、あるいは血漿交換などにより薬物の体外排泄を促すことが必要な場合
がある。
5.典型的症例
【症例1】 70歳代、男性 7)
主訴:歩行時のふらつき
現病歴:20歳代にてんかんの診断を受け、フェニトイン 300 mg/日の投与が
開始された。約50年間服用後、400 mg/日に増量された。増量16日後、歩行
時のふらつき、嘔気、嘔吐が出現、2 日後に入院した。入院時、失調性歩行、
眼振、振戦を認め、フェニトイン中毒と診断、同薬を中止し、補液、利尿剤の投
与が開始された。頭部 CT では小脳萎縮を認めた。中止1日後、嘔気は消失し
たが失調性歩行は残存、フェニトイン血中濃度は 53.6μg/mL であった。中止
11日後、血中濃度は 3.0μg/mL 以下となった。18 日後、軽度の失調性歩行
を残すのみとなった。小脳萎縮を来す他の疾患は否定的で、フェニトイン長期
服用による小脳萎縮に急性のフェニトイン中毒が加わったものと診断した。
(要するに薬害ですね、、、)
【症例 2】 48歳、女性 8)
主訴:運動失調、意識障害、不随意運動
現病歴: 乳癌のため乳房切除術を受け、術後化学療法として OK-432、タモ
キシフェン、シクロホスファミド等が投与された。術後 3 年 4 ヵ月目より、カルモ
フール 400 mg/日 35 日間、600 mg/日 14 日間の投与が行われた。このとき胸
椎転移を認めており、2 ヵ月の休薬後、同剤 600 mg/日の投与が再開された。
その 2 ヵ月後より歩行時のふらつき、眼振、測定障害や協調運動障害が出現
した。頭部 CT は正常で服薬を続けたところ、2 週間後にはろれつがまわらず
無表情になった。その2日後、体が揺れて起き上がれず、意識も混濁したため
入院した。入院後、脊髄液検査に異常を認めず、カルモフール脳症と判断して
薬剤を中止したが意識障害は進行、無動無言となった。頭部 CT では、側脳室
深部白質に低吸収域を認めた。入院 2 ヵ月後、話しかけに対して声を出すよう
になった。しかし、癌の全身性転移が進行、入院 10 ヵ月後に死亡した。
(抗がん剤で死にましたね)
・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
小脳失調症の副作用リスクがある薬剤添付文書一覧です。
こちらも専門的ですし、小難しいため読み飛ばしてもらっても問題ありません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下転載)
表1 添付文書に運動失調が記載されている主な医薬品(2008 年現在)
薬効分類 催眠鎮静剤,抗不安剤
一般名
バルビツール酸系 アモバルビタール
セコバルビタールナトリウム
バルビタール
ペントバルビタール
ベンゾジアゼピン系 クアゼパム
クロキサゾラム
トリアゾラム
フルニトラゼパム
メキサゾラム
抱水クロラール系 トリクロホスナトリウム
抱水クロラール
その他 ブロモバレリル尿素
臭化カルシウム
臭化カリウム
臭化ナトリウム
抗てんかん剤 アセチルフェネトライド
エトスクシミド
エトトイン
カルバマゼピン
クロナゼパム
スルチアム
ゾニサミド
トリメタジオン
フェニトイン
フェニトイン・フェノバルビタール
フェニトイン・フェノバルビタール・安息香酸ナトリウムカフェイン
フェノバルビタール
プリミドン
抗パーキンソン剤
トリヘキシフェニジル塩酸塩
プロフェナミン
精神神経用剤 イミノジベンジル系 モサプラミン塩酸塩
フェノチアジン系 クロルプロマジン・プロメタジン配合剤
ブチロフェノン系 ブロムペリドール
ベンザミド系 スルピリド
三環系抗うつ剤 アミトリプチリン塩酸塩
アモキサピン
イミプラミン塩酸塩
クロミプラミン塩酸塩
ドスレピン塩酸塩
トリミプラミンマレイン酸塩
ノルトリプチリン塩酸塩
ロフェプラミン塩酸塩
四環系抗うつ剤 セチプチリンマレイン酸塩
マプロチリン塩酸塩
ミアンセリン塩酸塩
その他の抗うつ剤 フルボキサミンマレイン酸塩
トラゾドン塩酸塩
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躁病・躁状態治療剤 炭酸リチウム
アルツハイマー型認知症治療剤 ドネペジル塩酸塩
骨格筋痙攣弛緩剤 メトカルバモール
過敏大腸症治療剤 メペンゾラート臭化物・フェノバルビタール
副交感神経抑制散瞳剤 シクロペントラート塩酸塩
不整脈治療剤 アミオダロン塩酸塩
抗アルドステロン性利尿降圧剤 スピロノラクトン
5-HT1B1D 受容体作動型片頭痛治療剤 リザトリプタン安息香酸塩
鎮咳・鎮痛・解熱剤 ジプロフィリン・ジヒドロコデイン配合剤
活性型葉酸製剤 レボホリナートカルシウム
免疫抑制薬 シクロスポリン
タクロリムス水和物
抗悪性腫瘍剤 シクロホスファミド水和物
テモゾロミド
ネララビン
フルオロウラシル
シタラビン
パクリタキセル
ビンクリスチン硫酸塩
トラスツズマブ(遺伝子組換え)
アレルギー性疾患治療剤 シプロヘプタジン塩酸塩水和物
ジフェンヒドラミン塩酸塩・臭化カルシウム
抗生物質 ポリミキシンB硫酸塩
結核化学療法剤 イソニアジド
イソニアジドメタンスルホン酸ナトリウム水和物
リファンピシン
抗ウイルス剤 ガンシクロビル
ホスカルネットナトリウム水和物
サニルブジン
ザルシタビン
エファビレンツ
ロピナビル・リトナビル
アシクロビル
バルガンシクロビル塩酸塩
抗マラリア剤 スルファドキシン・ピリメタミン
表2 添付文書に歩行失調が記載されている主な医薬品(2008 年現在)
標榜薬効 一般名
催眠鎮静剤,
抗不安剤
ベンゾジアゼピン系 エスタゾラム
エチゾラム
クロチアゼパム
クロルジアゼポキシド
ジアゼパム
ニトラゼパム
ハロキサゾラム
プラゼパム
ブロマゼパム
メダゼパム
ロラゼパム
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)
こうやって見ると、何気なく内服する薬剤にもその小脳失調症のリスクがあることがわかるでしょうか?
降圧剤などにもそのリスクがあるのです。
何だか気の毒ですよね。
ここからは「精神科病棟における転倒予防対策」考察なのですが、いまだに精神科病棟では、センサーマットを使用したり
離床する際のナースコール使用による付き添い歩行といった、マンパワーに頼った対策や原始的な教育による対策しかできていない現状です。
目的を達成するために、目標を設定します。
立てた目標をクリアすることを阻害する要因が
「問題」「課題」となって表れます。
例えば、「転倒ゼロ、安全管理」という目標があるとおもいますが、何故安全管理するのでしょう?
それは、「入院生活を快適に過ごすことにより、疾病治癒の回復を促すため」という目的があるから
ではないでしょうか?
つまり、転倒させないことが目的なら、極端な話
「寝たきりにする」
「身体拘束する」
ことで問題解決することがわかるでしょうか?
また、運動失調による転倒ならば、抗精神病薬を全部オフにすればいいだけです。
しかし、クスリをオフにすれば、精神症状が活発になり、隣人ともめたり、同室者とけんかしたり、自分勝手な社会的逸脱行動を起こし、結果社会と摩擦を起こしますよね?
「本人に不利益がこうむる」ことになります。
目的と目標をごちゃ混ぜにしてはいけません。
目的と目標がごちゃ混ぜになる人は、感情的な人です。
感情的になる人とはどんな人でしょうか?
男性よりは女性です。
目の前のことをしっかりこなす女性が多い。
女性社会とは目的と目標をごちゃ混ぜにしてしまいます。
ですから、組織として弱くなってしまいますね。
先ほども書きましたが、精神病とは何か?というと
「考え方が他人と違っていて且つ社会と摩擦を起こす、迷惑行為をする人」
です。
その人達が、
「入院生活を快適に過ごすことにより、疾病治癒の回復を促すため」という目的を達成するために
果たして、
「転倒ゼロ、安全管理」という目標
が適当でしょうか?
確かに転倒して歩けなくなり、筋力低下⇒廃用症候群となり寝たきりになる生活障害がでたとしても
当事者が動き回り、社会との接触頻度は下がりますから当然摩擦もへりますね。
ですから社会に与えるデメリットは減るわけですから、ある意味において保護者、監督者の家族にメリットが出てきたりも
します。
語弊があるかもしれませんが、他疾患、他領域と異なり、精神病は当事者主体ではありません。
なぜなら、精神病の問題は「当事者と社会との関係性」という二者間にあるからです。
つまり、言い方によっては、当事者だけでなく「社会が変わらなければ」問題は解決しないのがお分かりでしょうか?
「夜中に爆音をかけて音楽を流し続ける」
「お店に入ってきて、一人でへらへら笑い出したり、ぶつぶつ独り言を言い続ける」
「町で目があっただけで、被害的になり暴力を振るってくる」
「勝手に異性に恋愛感情が芽生え、ついまとい、ストーカー行為をしてくる」
「恋愛妄想が激しくなり、話したことも無い異性にレイプされたと警察に被害届を出す」
「代金を払わずにお店の商品を持ち出して、神からのお告げがあった、宇宙人からの命令があったと正当化する」
「学業成績が悪く、学校の人間関係が上手く行かず、ひきこもりになり、お前らのせいだ!と両親をバットで殴打する」
このような人達に対して、社会がどう変われば良いのでしょうか?
ある意味、獣ですね。
つまり原因不明の狂人なのです。
未だに精神病の原因は不明であることはご存知でしょうか?
原因がわかれば、そこを除去すれば完治となります。
しかし、原因が特定できず、その症状によって引き起こされる社会摩擦を「障害」とみなし、
精神病者を「精神障害者」として「障害カテゴリー」に入れてしまったのです。
で、障害とは何でしょうか?
交通事故で足が切断されれば、「歩行障害」となりますね。
これは身体障害者となります。
再生医療が発展して、足が再生するのであれば障害ではなくなり、たんなる外傷となります。
しかし、再生医療がまだその段階まできていないため、足は元に戻りませんよね?
足がなくなった分を社会の仕組みで補うのが、福祉制度で、医療とは異なります。
つまり障害の定義は、社会の発展、文化ごとにより異なることによって変わってきます。
医療技術が発展すれば、障害でなくなる日が来るかもしれません。
精神障害に関しては、障害=福祉なのに、医療費で賄っているのです。
考え方を障害と捉えるのは人権的に無理があるからでしょうか?
少し福祉論、障害論を書きました。
目的と目標を見誤ると、疾患と障害の区別もつかなくなります。
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