室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

幾つもの扉

2006-04-12 22:01:17 | Weblog
少女A時代からピアノを弾く事でお金を頂き始めて、ちょうど30年になる。(あらまっ!)
クラシックのピアノの修行をしながら、ピアノで遊んで来た事が活かせたらいいな・・と思って、先生にも友人にもナイショで仕事を始めた。でも、色んな事をやってきた事が今日、役に立っている。クラシックだけでなく、タンゴの仕事をやったり、ジャズにチャレンジしたり・・いや、編曲したり、出版したり、頼まれて作曲したり、ワラジの数で云ったらうちの玄関と同じ。いったい何足だろう・・?どれも面白くて、たまらない。
 かなり以前に放送された「幸四郎襲名」をNHKのアーカイブスで夜中に見た。歌舞伎俳優でありながら「ラマンチャの男」をはじめ、色々なミュージカルに出演しつづける松本幸四郎さんの襲名の時のスペシャルだ。番組の中で「歌舞伎もミュージカルもやればやるほど別々の道で離れて行く。引き裂かれるようだ」と語っていた。私は幸四郎さんほどの者ではないが、近頃”別々の道に引き裂かれる”のを感じている。殊に3月に”モーツァルトづくし”をやって以来、以前は音楽のジャンルにこだわりは無いと思っていたのに、心持ち、気持ちのポジションの違いをはっきりと感じる。1本の廊下に面している幾つかの扉をひとつずつ開けて色んな事をやっているのだから、皆つながっている筈なのだが、扉の奧が深くなって来ると端と端では遠くなるのかな・・。まあ、どれも面白いと思ってやっているんだから、考える事もないか・・。