「本の街・神保町」文芸映画特集Vol.13
『シネマ大吟醸-魅惑のニッポン古典映画たち』より
昭和の原風景
美しき昭和の風景
「有りがたうさん」1936年 松竹蒲田 監督:清水宏
「当時は画期的なオールロケで作られたロードムービー。70年以上も前の南伊豆の風景が、バスの快適なリズムで描写される。」
川端康成の「掌の小説」の中の一編が原作。
映画っていうのは小型の乗り合いバスを街道で走らせる、もうそれだけで充分なんですね。
70年前の街道風景。ガードレールもない細い山道。歩く人たちとの共存。
バスの前方に歩く人の後ろ姿。
運転手、上原謙ののどかな「ありがたう・・・」の声(それでついたあだ名が有りがたうさん)
バスの後方に先刻の歩く人の姿。
この連続がなんとも楽しい。
車内の人々のやりとり(台詞が演劇的なので聞き取りやすい)もまた楽し。
羊羹やウイスキーを振舞う乗客。ちょっとした意地悪。
婚礼の客と通夜の客が乗り合わせると縁起を担いで婚礼の客が下車して歩く。
自分のために歩かせちゃあ申し訳ないと通夜の客も下車して歩き出す。
「田舎の人は義理固い」
便利なバスがあったってまだまだ自分の足で歩くことに何等抵抗がないのです。
貧困から東京に売られていく娘とその母。渡り鳥なら戻ってくるが峠を越えた娘はまず戻ったためしがない。娘のことが気にかかりながらの運転はかなり危ない。
道路を作る朝鮮女とのやりとり・・・
有りがたうさんは皆の人気者だ。(男前だしね)
車窓の風景は70年前なのでカラーである必要がまったくない。モノクロの陰影だけで美しい日本の風景は70年後の我々にも充分伝わるよ。映像フィルムってのはスゲェなとつくづく思う。
20里あまりの街道は人生の縮図ってか?
流れ者酌婦桑野通子がラスト、ハッピーエンドに持っていく立役者。なかなか良いです。
何とも幸せな気分になれる映画でした。
神保町シアター
『シネマ大吟醸-魅惑のニッポン古典映画たち』より
昭和の原風景
美しき昭和の風景
「有りがたうさん」1936年 松竹蒲田 監督:清水宏
「当時は画期的なオールロケで作られたロードムービー。70年以上も前の南伊豆の風景が、バスの快適なリズムで描写される。」
川端康成の「掌の小説」の中の一編が原作。
映画っていうのは小型の乗り合いバスを街道で走らせる、もうそれだけで充分なんですね。
70年前の街道風景。ガードレールもない細い山道。歩く人たちとの共存。
バスの前方に歩く人の後ろ姿。
運転手、上原謙ののどかな「ありがたう・・・」の声(それでついたあだ名が有りがたうさん)
バスの後方に先刻の歩く人の姿。
この連続がなんとも楽しい。
車内の人々のやりとり(台詞が演劇的なので聞き取りやすい)もまた楽し。
羊羹やウイスキーを振舞う乗客。ちょっとした意地悪。
婚礼の客と通夜の客が乗り合わせると縁起を担いで婚礼の客が下車して歩く。
自分のために歩かせちゃあ申し訳ないと通夜の客も下車して歩き出す。
「田舎の人は義理固い」
便利なバスがあったってまだまだ自分の足で歩くことに何等抵抗がないのです。
貧困から東京に売られていく娘とその母。渡り鳥なら戻ってくるが峠を越えた娘はまず戻ったためしがない。娘のことが気にかかりながらの運転はかなり危ない。
道路を作る朝鮮女とのやりとり・・・
有りがたうさんは皆の人気者だ。(男前だしね)
車窓の風景は70年前なのでカラーである必要がまったくない。モノクロの陰影だけで美しい日本の風景は70年後の我々にも充分伝わるよ。映像フィルムってのはスゲェなとつくづく思う。
20里あまりの街道は人生の縮図ってか?
流れ者酌婦桑野通子がラスト、ハッピーエンドに持っていく立役者。なかなか良いです。
何とも幸せな気分になれる映画でした。
神保町シアター
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