JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「銭ゲバ」

2009-07-24 | 映画(DVD)
「劇画≒映画(げきがニアイコールえいが)」

「銭ゲバ」1970年 東宝 監督:和田嘉訓

貧しさゆえに病気の母を失った蒲郡風太郎は、泥んこまみれのド畜生と呼ぶに相応しく、薄汚い金の亡者と化した。兄丸社長の車に体当たりしたことで兄丸家の下男として転がり込むことに成功した風太郎は、次々に一家の人間を手にかけていき…。「世の中銭ズラ!」「女が欲しいズラ!」格差社会の現代に甦る、エゴとエロを貫く極悪人・風太郎の悲しいまでの魂の叫びを聞け!

原作漫画での予習もすっかり済ませ挑んだ本作。実写版「銭ゲバ」というだけでまったく期待はしていなかったんだけど、何やら気になるこの映画。
原作と映画は「ニアイコール」であって「イコール」ではないのだから、いちいち不満を言うのは野暮です。原作を題材にいかに新しい世界観を描けるかなんでしょうが・・・さてさて、本作のニア加減はいかがでしょうか。

蒲郡風太郎幼少の頃は雷門ケン坊。子役といえば雷門ケン坊でしたな。ケン坊は良いとしても幼少の頃のエピソードによって浮き上がるキャラが不完全で、原作を読んでいなければただの殺人鬼で終わってしまう。

短い尺の中で大作「銭ゲバ」の肝をつかむのは難しかったでしょうか。
公害問題もちょっと出てくるけど、ただそれだけでほとんどスルーされてます。

特に後半に向かう風太郎の二面性の葛藤を描くところまで行かず、実子にまで手をかけて波打ち際で苦悶する風太郎で終わっちゃう。
それもそのはず1970年の本作はまだ「銭ゲバ」連載中で原作の方もエンディングを迎えていない時期の制作。

当時の問題作だから映画化して集客を狙ったわけでしょうが、続編が作られずに終わったという事実がすべてを物語っていますね。

でも見所はありますよ。
あのお嬢さまが緑魔子というキャスティングは明らかに原作とは違ったキャラを作り出そうという意図なんでしょう。
お嬢さまっぽくはないですが、妖しくも大胆な肢体を窺うことができます。
その妹が横山リエ。顔に痣は作っているものの元の素材が良すぎて醜さに欠けていて残念。
運転手新星が岸田森。風太郎の新星殺しのシーンが突拍子もなく良かったです。

社長殺害のため屋敷に忍び込む際の黄金スーツ姿が成り上がり銭ゲバらしくて悲しい。

リメイクしての劇場版続編は見てみたいですね。
松山ケンイチのTVドラマは見てないけれど蒲郡風太郎役としては唐十郎のほうが似合っているズラ。

シネマヴェーラ渋谷

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