山前 譲・編 「文豪の探偵小説」

新幹線の中での暇つぶしに駅の書店で物色。読書意欲が萎えている。読みたいと思うものが無い。困った・・・
泉鏡花の「外科室」が入っているのでこれに決め！

谷崎潤一郎　「途上」
佐藤春夫　「オカアサン」
泉鏡花　「外科室」
三島由紀夫　「復讐」
芥川龍之介　「報恩記」
川端康成　「死体紹介人」
太宰治　「犯人」
志賀直哉　「范の犯罪」
森鴎外　「高瀬舟」

文豪の作品なんて大して読んでいないのが実情。
ましてや探偵小説といったジャンルにくくられる作品なんて。
この中で既読は「高瀬舟」だけ。

「外科室」はやっぱり凄い。名作でした読みにくく理解しにくいので二度読んだけど、良くわからない所がまだまだありますが・・・

中では芥川の「報恩記」がお気に入り。「藪の中」と言い、芥川龍之介の冴えに感服。
ちょうど「キサラギ」を喬太郎が落語化した話題があったので、落語にならんかな？と思いながら・・・。落語よりも演劇向きなんでしょう。実際、演劇にはなっているようです。上手いなぁ。

「伊豆の踊り子」「雪国」さえ読んでいない川端康成がまた凄い。所収の中で一番長い中篇だが、前半部が特に良い。乗合自動車の女車掌ユキ子との一件。
文豪恐るべし。もっと読まねば・・・

久し振りに会った太宰治。お懐かしや・・・これは読んでいませんでした。
やっぱり太宰で嬉しいのです。結末の陳腐さがまた良い。

志賀直哉の「范の犯罪」古典的ですが上手い。「妻は告白する」と同様の題材。

探偵小説というと金田一とか明智とか名探偵登場の謎解き小説を思い浮かべてしまいますが、これは「文豪ミステリー」のアンソロジー。
今や「ミステリー」の要素は小説界に欠かせない物ですが、昔から面白い物を書こうとしたら避けては通れないのがミステリー。皆さんお好きなんですね。
当時「ミステリー」なんていう言葉が無かったころ「探偵小説」と呼ばれるジャンルが生まれ謎解き中心の小説だけでなく、犯罪小説、怪奇幻想、ＳＦまで含めた実に幅広い作品をそう呼んだと言う。
「文豪ミステリー」とせずに当時の言葉そのまま「文豪の探偵小説」とした所が嬉しいじゃありませんか。

山田風太郎ミステリー傑作選の未読（まだ３編ほど残していたはず）も早い所買っておかねばと思った・・・