高橋判明の映画の原作と言っても良いほど。勿論、ドキュメンタリーなのだから内容に大きな相違が無いのは当たり前だが。映画は映画の方でも取材してんだろうけど、これ読んで、イマジネーション働かせれば一丁上がりって感じ。
事件を起こすまでの第一部「梅川昭美の三十年」と猟奇的でショッキングな第二部「梅川昭和美の四十二時間」のニ部構成。
事件当時、ニュースやワイドショーで何度も繰り返し取り上げられたであろう四十二時間より、その前の三十年の方が何十倍も面白い。
そちらにスポットを当てて、この本でも少し登場する高橋恵子が演じた女との関係をクローズアップしたのは大正解だという事があらためて解るし、グラサンなしの冴えない宇崎竜童のキャスティングがズバリ的中している事も再認識できる。
自己矛盾に気付かず転落していく男の滑稽さの影にある律儀で真っ当な信条の可能性が哀しくも面白い。バカにしちゃ行けませんよ、こ奴。
毎日新聞社会部、大健闘ですが。もっと面白いのが宮崎学の解説。流石突破者です。
当時、借金地獄に喘いでいた宮崎学が一種の共感を持ちながら冷静に人物と事件を分析している。
大藪春彦、心酔の誤り。大藪を犯罪のド素人(確かにその通りだけど)と言い切れるアウトロー文庫解説プロの目。
映画でも古本屋の原田芳郎とのやりとりが楽しかったもんね。
またまた、宮崎学の本を読みたくなった。でも小説はどうなんでしょう。万年東一・・・
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