JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

横尾忠則 「名画裸婦感応術」

2006-05-02 | BOOK
絵画に関する解説書の類は読んだ事がないし、読みたいとも思わなかった。
絵なんて解ろうとするつもりは無いし、ただ好きか嫌いかだけ。だからたまに画集は買うけど・・・

嘘嘘、本当は解説書を読みたくてたまらないんだ。でもやせ我慢している。

この本は横尾忠則の「はじめに」を読んで、買ってもいいかなと思った。
「作家の生涯や、作品の背後の事情には極力触れないようにしている。絵を鑑賞する時、それらが観る者の想像力を限定してしまうことがあるから」

私の場合、身近に抽象画を書く者(親父なんですけど)がいたので、「少年時代に出会った絵画がその人の人格を決定する場合がある」と言うが、やっぱり好きな絵に少なからず影響はあるだろうな。

また、幼い頃から家の中には裸婦のデッサンなどがあり、友だちが遊びに来た時、押入れから沢山のスケッチブックが発見され、随分冷やかされたという苦い経験もある。「おまえの父ちゃん女の裸描くのか」って言われるのはやっぱり嫌だったなぁ。

さてこの本ですが裸婦の絵がカラーで載っていて紙質もいいのですが、文庫本ですから画集として楽しむにはちと辛い。でも、横尾忠則の絵や芸術に関する文章がとっても自由な感じで、なるほどと思わせる所も多く、大変満足。

昔、横尾忠則の個展に1度だけ行ったが、なんだか宗教画みたいな(インドの影響が強く出ていた)作品ばかりであまり好きでなかった。この文章は私のような絵画鑑賞のトーシロー(?)にも良い。

セザンヌの章
「美しい女と美しい絵は別。もし美人やセクシーな女をみたいのだったら別の絵を探してもらうしかない」
「しかし、セザンヌの絵自体を、筆のタッチ、色彩、構図を見ていくと・・・・それをエロチックに思えてくる事がある。こうなればしめたもの。芸術の眼を手に入れたのだ」
「女の裸の絵を見て、胸をときめかしているのは、絵を感性で見ないで頭で見ているのだ」

抽象画を描く父が人に「何の絵ですか?」と良く聞かれている。抽象画家に対してはある意味失礼な質問かもしれない。逆に「何の絵だと思いますか?」としか答えない。実の所、ちゃんと何の絵なのか答えがある物もあるようだ。たまに種あかしをしてもらうとへぇーと思う。どうも種明かしをしたい絵とそうでない絵があるような気がするけど・・・
私の好きなのは具象から抽象へ足を踏み込んでいく形跡のあるもの(?)かな。

印象に残った裸婦画はムンク、ピカソ、エドワード・ホッパー、バルテュス、トム・ウェッセルマン、エリック・フィッシェル、フランセスコ・クレメンテの作品。それに横尾忠則「天国と地獄」

そういえばニキ・ド・サンファル展がある。(ビッグ・レディは裸婦じゃないだろうが)行ってみようかな。感性で見る事って・・・・うーむ。



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