JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「金環蝕」

2014-12-29 | 映画(DVD)
「伝説の女優 桑野通子と桑野みゆき ――母と娘が紡いだ、一瞬の夢」

「金環蝕」1934年 松竹 監督:清水宏

さる農村に、法学士となった神田が帰省、人々は女学校卒で美しい絹枝こそ嫁にふさわしいと噂する。神田は旧友で絹枝の従兄の大崎に、あっせんを頼む。しかし絹枝は、大崎が好きなのだと答える。板挟みになった大崎は東京へ出て、選挙の手伝いをした代議士・岩城圭之輔を訪ねるが、冷たくあしらわれての帰途、松村の運転する岩城の自動車に轢かれてしまう。
岩城の娘・鞆音と運転手の妹・嘉代がこもごも見舞いに来て三角関係となり、治った大崎は岩城の息子茂の家庭教師になるが、鞆音とばかり親しく・・・

「恋も忘れて」ですっかり魅了された大昔の美人女優・桑野通子の母娘特集。
サイレント・サウンド版「金環蝕」
「金環蝕」というと石川達三・山本薩夫をすぐ思い浮かべるけれど、これはまったく違う久米正雄の原作で恋の物語。
で、多分山本薩夫の汚職の奴(未見)よりこっちの方が好きだろう。
ダンスホールの花形だった八頭身美女・桑野通子の鮮烈なデビュー作。

最初に噂になっている法学士・神田さんの物語かと思いきやその友人の大崎さんのお話。
大崎さんと神田さんが木にぶら下がって絹江さんの事を話すシーン。いいね。
ご都合主義的に偶然と偶然がたびたび重なる(これがタイトルの意味なのかな)にも関わらず大崎さんを巡る恋だけは、なかなかままならない。
方々でモテ男のズングリ一九分けの大崎さん(藤井貢)の間の悪さが天才的で可笑しい。
桑野通子は代議士の我儘お嬢様・鞆音。モダンなスタイルで颯爽と歩く姿がステキに愛らしい。
昭和9年の肉食系女子。前半部でふられちゃって一旦退場となるのが残念。以後、絹江さんと嘉代さんの物語。
川崎弘子の絹江さんや坪内美子の嘉代さんは時代ならではの身を引く美学。これは法学士の神田さん(金光嗣郎)にも言える。
こちらも女給の仕事帰り、2人並んで和服で歩く姿が美しい。

最後には神田と結婚した鞆音さんも登場。我儘娘であったことを反省しているけど、そんなに悪くない。鞆音さんは鞆音さんで成長したって事で良いんじゃないですか。

ところどころ散りばめられるユーモアが微笑ましい。特に大崎さんが家庭教師になって課外授業と称してゴルフに行くくだりはサイレント喜劇の魅力に溢れてる。空振りしているのにボールの行方を目で追うベタなギャグを繰り返す桑野通子がカワユイ。

スポンサーなのか、健康のためワカモト飲んでたり、森永ミルクチョコレートが出てくる。
桑野通子さんは森永製菓に勤めキャンペーンガールみたいな事をしていたらしい。

神保町シアター

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