この秋オムニバス映画として公開される文豪の短編アンソロジー。
映画というか、もとはテレビ番組だったよう・・・
以前はアンソロジーというものは好まなかったんだけど、最近は良く買うな。
普段読む事のない作家の作品と出合えて、それがまた掘り出し物だったりすると嬉しい。
しかし、この短編集は、あまりにも有名な作品が多く、さすがに私でも既読のまのがチラホラ。
何気にカバー装丁に魅かれ、ふらふらっと買うてしもうた。
映画を見る事になるかどうかは解らないが、見る事になった場合、やはり原作を先に読んでしまっておく方が良いと思うわけです。
○高瀬舟/森鷗外
○富美子の足/谷崎潤一郎
魔術/芥川龍之介
○注文の多い料理店/宮沢賢治
檸檬/梶井基次郎
鮨/岡本かの子
○黄金風景/太宰治
幸福の彼方/林芙美子
○グッド・バイ/太宰治
人妻/永井荷風
握った手/坂口安吾
乳房/三浦哲郎
○は過去に確実に読んでる作品。12本中5本だから、吝い私にとってもったいない買い物だが、いずれも大昔だから再読もOKか。
「高瀬舟」は中学か高校の時読んだ。確か面白くなかった。今なら楽しめる。
名作老人日記に繋がる「富美子の足」既読の中では一番最近読んだものか。谷崎は宝庫ですから。ラビリンスをまた読みたくなる。
「魔術」は恥ずかしながら読んでません。芥川龍之介はまだ読んでないものが沢山あるので読書選択に困った時に使えそうだな。
「注文の多い料理店」もう何度読んだことか、回数ではこの中で最多じゃないかな。
「檸檬」この名作短編、手つかずに居た。読む前に想定していた内容から逸脱する事もなし。初物とは思えない。
「鮨」岡本かの子初読み。ほら来た!女流だけれどもこれは儲けもの。太郎ちゃんの母ちゃんだけの事はある。他の短編にいつでも進んでやろう。
「黄金風景」新潮文庫「きりぎりす」に所収だから絶対に読んでるはずなんだけど、これほどの名品なのに、読み終わっても記憶が戻って来ない。高校の頃、こんな太宰ばっかり読んで大喜びしていた。太宰は私にとってギャグでありコント。
「幸福の彼方」林芙美子初体験。ああそうですか。何かごまかされた感じがいいですね。
「グッド・バイ」これが本短編集中2番目に読んだ回数が多い作品。新潮文庫の太宰治はほとんど処分したけれど「グッド・バイ」だけは捨ててない。未完である事が何とも惜しいが、未完だからこその魅力があるのかも。強いキヌ子にだんだんびくついておどおどする色男・田島、最高。他の作品で太宰再読なんて気はなかったけど、やはり又読んでも良いかも。
「人妻」これはいかに永井荷風であっても時代が時代、オブラートに包みすぎ。完全にエロ小説でしょ。聞こえてくるのは話声だけな事あるもんか。包みすぎていてもエロいです。
「握った手」悩むことも純情で良い時代ですよね。映画の方は、眼鏡女子に脚光が当たる現代に、昔の物語として描いてくれれば面白いかも。ロイド眼鏡は成海璃子ですか。
「乳房」三浦哲郎も初体験。少年の性的悩み。題材があまり好きでないのでこの1作だけでは解らない。床屋のおばちゃん、実はエロい。
こんな記事をUPした以上、見ちゃうんだろうな映画。劇場に行けなくてもいづれDVDは見るでしょう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます