「太陽族とギラギラの若者たちーー狂熱の刹那的青春映画史」
「狂った果実」1956年 日活 監督:中平康
裕次郎初主演映画で「太陽の季節」の姉妹篇として製作された太陽族映画の金字塔。「月曜日のユカ」等、モダンな演出で人気の中平康のデビュー作でもあり、若きフランソア・トリュフォーからも絶賛された。
久々に劇場で観た。まだ若い時分名画座で観て感銘し深夜TVでやっているのをベータビデオに録っていたくらいなので内容はだいたい覚えているけれど初めて観た時のあの新鮮な感覚が蘇ったのは良かった。
モノクロでのカット割りが佐藤勝・武満徹の劇伴と相まって痺れる。1対1の会話を一人づつのアップでテンポ良く編集。
金持ちのお坊ちゃんの不良と言う本来嫌う代物なのに流石にこれはカッコいいと思ったもんだ。「太陽に吠えろ」しか知らないから裕次郎の何処がカッコ良いんだよ?と思っていたが若い頃は足長くて背広の肩幅たくましくお茶目な表情にスター性に溢れていて感心したものだ。でも本当に一番カッコいいのはファンファンだよね。
津川雅彦がまだ少年で太陽族な兄・裕次郎たちとは一線を引きながら背伸びしてる感じ。裏事情のある事など知らず北原三枝と恋仲。外国人妻の北原三枝は若い時に経験すべき感覚を津川との交際に見出している。裕次郎との三角関係の悲惨な結末への助走ぶりがスリリング。
キスに行って噛まれ血が出る裕次郎のカットが強く印象に残っている。
当時もう一つ驚いたのがゼスチャーのおばちゃんタレントの名がプロデューサーとしてクレジットされていた事。ぜんぜん知らなかったもので。ターキーの手腕たるや。
神保町シアター
2024年8月
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます