今年は、中国とパキスタンが国交を結んで60周年になるということで、中国政府からの招請を受け、パキスタンのジラーニ首相が5月18日より中国を公式訪問されました。
パキスタンといえば、先のビンラディンの潜伏、そしてアメリカの特殊部隊による殺害と、まるで映画のような事件が起こり、パキスタンとアメリカの間の外交関係がぎくしゃくしています。また、アルカイダによる報復テロも発生しています。そういう時期のパキスタン首脳の訪中だけに、外交的なパワー・ゲームの色彩も見え隠れしています。
さて、ジラーニ首相は、5月21日に胡錦涛主席と面会しましたが、以下は、その際の胡錦涛の発言です。
胡錦涛会見巴基斯坦総理
2011年05月21日 来源:人民網
クリックしてください。中国語原文が見られます。
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□ 胡錦涛は語った。双方は首脳レベルの交流を保ち、タイムリーにそれぞれの核心の利益に関わる重大な問題について、意見交換をしなければならない。双方は実務協力を強化し、インフラ、エネルギー、農業等の重点領域の協力項目を迅速に実行し、経済貿易、金融、科学技術等の領域の協力を着実に推進し、新たな協力方式と道筋を積極的に探究し、潜在力を絶えず発掘し、協力の質とレベルを向上させなければならない。同時に長期的視野に立ち、人文分野の交流を拡大し、教育、文化、マスコミ、政党、地方の友好交流と相互交流を促進し、「中国・パキスタン友好年」、及び百名の青年の相互訪問等の活動をうまく運営しなければならない。中国側はパキスタン側が反テロ活動で行った重大な努力と重要な貢献を賞賛し、パキスタンと安全対話と協力を強化し、共同で“三股勢力”(*以下に解説)、麻薬密輸、グローバル犯罪を打倒し、両国の経済社会の発展のため、良好で安全な環境を打ち建てたいと願っている。
この中で、“三股勢力”とはどういう意味でしょうか?
“三股勢力”とは、宗教的過激派、民族分裂主義者、国際テロ組織のことを言います。
“股”は量詞で、通常は細長いものを数えるのに使われます。“両股線”と言えば、二本の糸のこと。ここから派生し、においや感情、力も“股”で表されます。“一股香味儿”、“一股勁儿”などがそうです。そして、そこから更に派生し、「一味・グループ」を数えるのに使われ、こうした場合は、特に「憎むべき集団」を言う時に用いられます。この場合が正にそうで、三つの憎むべき「勢力」ということです。
この“三股勢力”という言葉が公式に使われたのは、2001年6月15日、上海協力機構が署名した「テロ、分裂主義、過激派の打倒に関する上海公約」が最初ということになっています。上海協力機構、中国語名「上海合作組織」は中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタンの5カ国で構成され、中央アジアの戦略的安定を目的に1996年に設立され、定期的に首脳が一堂に会し、課題協議がなされています。ちなみに、テロリズムは中国語で“恐怖主義”kong3bu4 zhu3yi4です。
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