構造的に整った文、“整句”を使った修辞表現の二回目は“排比”です。
(二) 排比
“排比”とは、いくつかの構造の似た語句を並列に並べて、関係する意味を畳みかけるように話していくという修辞手法である。
(10) 戈壁灘依旧那様蒼茫,天気依旧那様熾熱,風依旧那様猖狂。
可是,在那一塊塊大大小小的緑洲里,在那臨風揺曳的青沙帳里,
在那一大片連着一大片的庄稼地里,在那枝頭累累的果林里,
哪儿還能找到一点荒涼的影子呢?
・蒼茫 cang1mang2 見渡す限り青々としたさま
・熾熱 chi4re4 非常に熱い。灼熱の
・猖狂 chang1kuang2 勝手気ままに暴れ狂う
・揺曳 yao2ye4 揺らめく。揺れ動く
“排比”は語意の上で互いに関連し、それらは一般に同じ範囲、同じ性質の事物である。構造上はよく似たものが並列に並び、一般にある語句が重複している。数量的には、一般に三つ以上の言語成分から成り、言語成分は“詞組”(短語)、或いは句(分句)でなければならないが、場合によっては段落である場合もある。
“排比”の中の各言語成分は意味上の関係はそれぞれ異なる。あるものは、意味の上では並列である。例えば:
(11) 老郷們,男女老少仿佛从地底下鑚出来似的活動開了:
有的幇部隊碾打粮食;有的幇部隊焼飯;有的幇戦士們縫補衣服;
有的扛着槍四処巡邏;有的扛着担架,急急地奔走……
・碾 nian3 石臼でひく
・扛 kang2 担ぐ
・巡邏 xun2luo2 巡邏する。パトロールする
(12) 花花崗,是他們的刑場,是他們的戦場,也是他們挙行
那庄厳而高尚的婚礼的礼堂。
ここで時に異なる事物を列挙することがあり、異なる面には説明を加えることで、しばしば一つの事例から全体の概要を理解させる役割を果たしている。例(11)がそうである。時には一つの事物に対して、異なる角度から立て続けに説明することで、テーマを強調し深化させる効果を得ている。例(12)がそうである。どのような状況であっても、これらの間の関係は並列的である。
あるものは意味の上で順を追って展開(“逓進”)していく。排比句の間には意味の軽重、大小、前後の違いがある。これを“層逓”と呼ぶ人もいる。
(13) 在他革命的一生中,他是真正做到了有一分熱発一分光,
永不変色,永遠忠実于党,忠実于階級,忠実于人民。
(14) 第一個月,咱們娘娘有説有笑;第二個月来,咱們娘娘不苟言笑;
第三個月来,咱們娘娘不言不笑。
・不苟 bu4gou3 いいかげんにしない。おろそかにしない/不苟言笑:気ままにしゃべったり笑ったりしない
この時、範囲が次第に拡大したり縮小したりすることがある。例(13)では、範囲が次第に拡大している。また、時間が次第に経過したり前に遡ったりすることがある。例(14)では、時間が次第に経過している。どのような状況であれ、これらの間の関係は、“層逓”、つまり順を追った展開になっている。
言語形式の上で均整がとれるようにしたり、音声の韻律上、繰り返しの美を追求するため、文のレベルの排比では不十分な場合、段落の単位での排比に拡大させる場合がある。例えば:
(15) 有時丈夫対她説:“今晩開群衆会,你去参加吧!”她対他笑笑,
不説什麼,依然坐在灯下,仍然拿起針線来。
過不久,丈夫又対她説:“明天党支書作報告,你去聴聴!”
她対他笑笑,不説什麼,第二天照常托着洗衣籃子,照常到井辺去了。
不久,丈夫又対他説:“村里要辧個婦女識字班,你也去報名吧!”
她対他笑笑,不説什麼,仍旧低着頭,仍旧去做自己早已安排好的
三百六十天毎天該做的事。
段落の単位の排比は、散文や詩歌で多く用いられる。排比は、ことばが整い、話の筋道がはっきりし、読んでみると、色々な内容が入り混じっているようで実は均整がとれており、筋回しがきれいで、ゆらゆらと行きつ戻りつするような味わいがある。段落と段落の間が互いに受け継がれ呼応し、読む人の印象が鮮明となるだけでなく、情趣に満ちあふれているように感じさせる。上の例では段落の排比により、三つの状況を列挙し、良妻、呉淑蘭の善良でやさしい性格をありのまま描き出し、その姿形だけでなく話声まで伝わってきそうである。
排比の使用範囲は広く、排比と文章の表現力は密接な関係にある。排比は、時にいくつか典型的で代表的な事物を取り上げて用いることがある。典型を取り上げてそれを一般化してまとめることで、強い概括力が備わる。また時に詳しく、こと細かに道理を説くことがあり、道理を明晰かつ漏れなく説明することができる。事柄の叙述に用いると、整然と秩序立って、微に入り細をうがって述べることができる。物の描写に用いると、その声や色まで描き出し、生き生きとして今にも動き出しそうなほどである。もちろん、排比の主な機能は“壮文勢”(文の勢いを強める)[①]ことにある。文の形が整っており、一気呵成に畳みかけてくるので、読んでみると言葉が互いに連なってすらすら流れ、長江の流れのように一瀉千里の勢いがあり、文の格調は勇壮豪放、勇ましく美しい情景を描写するのに適している。
注①:陳騤《文則》
【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社 1995年
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(二) 排比
“排比”とは、いくつかの構造の似た語句を並列に並べて、関係する意味を畳みかけるように話していくという修辞手法である。
(10) 戈壁灘依旧那様蒼茫,天気依旧那様熾熱,風依旧那様猖狂。
可是,在那一塊塊大大小小的緑洲里,在那臨風揺曳的青沙帳里,
在那一大片連着一大片的庄稼地里,在那枝頭累累的果林里,
哪儿還能找到一点荒涼的影子呢?
・蒼茫 cang1mang2 見渡す限り青々としたさま
・熾熱 chi4re4 非常に熱い。灼熱の
・猖狂 chang1kuang2 勝手気ままに暴れ狂う
・揺曳 yao2ye4 揺らめく。揺れ動く
“排比”は語意の上で互いに関連し、それらは一般に同じ範囲、同じ性質の事物である。構造上はよく似たものが並列に並び、一般にある語句が重複している。数量的には、一般に三つ以上の言語成分から成り、言語成分は“詞組”(短語)、或いは句(分句)でなければならないが、場合によっては段落である場合もある。
“排比”の中の各言語成分は意味上の関係はそれぞれ異なる。あるものは、意味の上では並列である。例えば:
(11) 老郷們,男女老少仿佛从地底下鑚出来似的活動開了:
有的幇部隊碾打粮食;有的幇部隊焼飯;有的幇戦士們縫補衣服;
有的扛着槍四処巡邏;有的扛着担架,急急地奔走……
・碾 nian3 石臼でひく
・扛 kang2 担ぐ
・巡邏 xun2luo2 巡邏する。パトロールする
(12) 花花崗,是他們的刑場,是他們的戦場,也是他們挙行
那庄厳而高尚的婚礼的礼堂。
ここで時に異なる事物を列挙することがあり、異なる面には説明を加えることで、しばしば一つの事例から全体の概要を理解させる役割を果たしている。例(11)がそうである。時には一つの事物に対して、異なる角度から立て続けに説明することで、テーマを強調し深化させる効果を得ている。例(12)がそうである。どのような状況であっても、これらの間の関係は並列的である。
あるものは意味の上で順を追って展開(“逓進”)していく。排比句の間には意味の軽重、大小、前後の違いがある。これを“層逓”と呼ぶ人もいる。
(13) 在他革命的一生中,他是真正做到了有一分熱発一分光,
永不変色,永遠忠実于党,忠実于階級,忠実于人民。
(14) 第一個月,咱們娘娘有説有笑;第二個月来,咱們娘娘不苟言笑;
第三個月来,咱們娘娘不言不笑。
・不苟 bu4gou3 いいかげんにしない。おろそかにしない/不苟言笑:気ままにしゃべったり笑ったりしない
この時、範囲が次第に拡大したり縮小したりすることがある。例(13)では、範囲が次第に拡大している。また、時間が次第に経過したり前に遡ったりすることがある。例(14)では、時間が次第に経過している。どのような状況であれ、これらの間の関係は、“層逓”、つまり順を追った展開になっている。
言語形式の上で均整がとれるようにしたり、音声の韻律上、繰り返しの美を追求するため、文のレベルの排比では不十分な場合、段落の単位での排比に拡大させる場合がある。例えば:
(15) 有時丈夫対她説:“今晩開群衆会,你去参加吧!”她対他笑笑,
不説什麼,依然坐在灯下,仍然拿起針線来。
過不久,丈夫又対她説:“明天党支書作報告,你去聴聴!”
她対他笑笑,不説什麼,第二天照常托着洗衣籃子,照常到井辺去了。
不久,丈夫又対他説:“村里要辧個婦女識字班,你也去報名吧!”
她対他笑笑,不説什麼,仍旧低着頭,仍旧去做自己早已安排好的
三百六十天毎天該做的事。
段落の単位の排比は、散文や詩歌で多く用いられる。排比は、ことばが整い、話の筋道がはっきりし、読んでみると、色々な内容が入り混じっているようで実は均整がとれており、筋回しがきれいで、ゆらゆらと行きつ戻りつするような味わいがある。段落と段落の間が互いに受け継がれ呼応し、読む人の印象が鮮明となるだけでなく、情趣に満ちあふれているように感じさせる。上の例では段落の排比により、三つの状況を列挙し、良妻、呉淑蘭の善良でやさしい性格をありのまま描き出し、その姿形だけでなく話声まで伝わってきそうである。
排比の使用範囲は広く、排比と文章の表現力は密接な関係にある。排比は、時にいくつか典型的で代表的な事物を取り上げて用いることがある。典型を取り上げてそれを一般化してまとめることで、強い概括力が備わる。また時に詳しく、こと細かに道理を説くことがあり、道理を明晰かつ漏れなく説明することができる。事柄の叙述に用いると、整然と秩序立って、微に入り細をうがって述べることができる。物の描写に用いると、その声や色まで描き出し、生き生きとして今にも動き出しそうなほどである。もちろん、排比の主な機能は“壮文勢”(文の勢いを強める)[①]ことにある。文の形が整っており、一気呵成に畳みかけてくるので、読んでみると言葉が互いに連なってすらすら流れ、長江の流れのように一瀉千里の勢いがあり、文の格調は勇壮豪放、勇ましく美しい情景を描写するのに適している。
注①:陳騤《文則》
【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社 1995年
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