前回から、中国語の文法について、その基本単位である詞を中心に見ています。詞を文法上の機能から分類すると、実詞と虚詞に分かれることを前回お話しました。また、実詞の具体的な種類として、名詞、動詞、形容詞を見てきました。今回は、続いて、数詞、量詞、副詞、代詞について、見ていきたいと思います。
二 各種の実詞とその特徴(2)
(四)数詞
例:零 半 一 二 両 五 八 十 百 千 万 億
数詞は数量を表す。数量は一つの数詞で表すことができる。例えば、“一”、“五”。また数詞の詞組によっても表わすことができる。例えば、“一千三百五十七”、“四分之一”。
数詞や数詞詞組は、前に助詞の“第”、“初”を加えて、順序を表すことができる。例えば、“第十五(排)”、“第一二(名)”、“初九”、“初三四”。
“初”の後ろに付けることのできる数詞は一から十までに限られる。
数詞や数詞詞組の後ろに“多”、“把”、或いは方位詞“以上”、“以下”を加えることで、概数を表す。例えば、“一百五十多(塊銭)”、“百把(個人)”、“五十(歳)以上”、“三(公尺)以下”。
数詞と量詞の組合せを数量詞組と呼ぶ。数量詞組は常に別のことばといっしょに組み合わさり、偏正(修飾構造)、補充等の関係を形作る。
(五)量詞
例:
第一組:尺 寸 斤 両 公斤 克 畝 公顷qing3 点 些
第二組:個 只 件 条 根 架 堆 隊 双 副
第三組:下 次 遍 趟 場 回 番 陣
第一組は、名詞や形容詞の前(“一尺布”、“両公斤油”、“一尺長”、“両公斤重”)に置き、名詞や形容詞にかかる量詞である。第二組は専ら名詞の前に置き、名詞にかかる量詞である。この二組を“物量詞”と総称する。第三組は、通常動詞の後ろで用い(“看一下”、“説一遍”)、動詞にかかる量詞であるので、“動量詞”と呼ばれる。
どの量詞が、どの名詞や動詞と使われるかは、一定の習慣がある。この面では、普通話(標準語)と方言の間で顕著な違いがある。普通話で“一把刀”と言うのを、広東語では“一張刀”と言う。普通話で“一輌車”と言うのを、湖南語では“一把車子”と言う。普通話で“一頭牛”と言うのを、上海語では“一只牛”と言う。
同じ名詞や動詞に使われる量詞は、しばしば複数あるが、量詞ごとにそれぞれ別の意味がある。例えば、“解釈一番”(ひと通り~)は“解釈一下”(ちょっと~)とでは“解釈”の内容が多少異なる。“解釈一遍”(始めから終わりまで)もまた意味が異なる。“一遍”には、“従頭到尾”の意味があるが、“一番”にはそういう意味は無い。
数詞一と量詞を組み合わせ、繰り返して、“一AA”、或いは“一A一A”の形式にすることができる。こうした繰り返しは、時に“毎一”(皆、それぞれ)の意味を表し、例えば“一個個身強力壮”というように使う。時に“逐一”(一つ一つ、全て)の意味を表し、例えば、“一本本看過書”、“一件一件仔細検査”というように使う。時に“多”の意味を表し、“造起了一幢幢新房子”、“収到一批一批来信”というように使う。
数量詞組は、名詞を修飾する時、一般に名詞の前に置くが、次のような状況下では、通常、名詞の後ろに置く。一に説明されている語句が比較的複雑で、例えば、“父子両個”、“大小房間一百多間”というような時。二に量詞自身が比較的複雑で、例えば、“毎天出動飛机三十架次”というような時。三に数量の内容が複雑で、例えば、“毎月消耗原材料五十噸至六十噸不等”というような時。この他、目録に記帳や列挙する時には、数量詞組は名詞の後ろに置く。例えば、“白菜三斤、肉一斤”というように書く。
(六)副詞
副詞の基本用途は、動詞や形容詞を修飾することである。これには、以下の要素が含まれる。
1.程度を表す。
例:很、十分、非常、最、太、極、更加、比較、稍微、過于、越発(ますます)、格外。
2.状況を表す。
例:親自、互相、肆意(力を尽くす)、竭力、大力、大肆(躍起になって)、相継、陸続、悄悄、緊。
3.時間、頻度を表す。
例:立刻、正在、馬上、已経、曾経、常常、剛、永遠、漸漸、忽然、才、便、就、又、再三、頓時、暫且、仍旧、依然、終于、一直、一向、始終。
4.範囲を表す。
例:都、総、統統、也、僅僅、只、一共、全部、総共。
5.否定を表す。
例:不、没、没有、未、別。
6.語気を表す。
例:難道、究竟、也許、偏偏、莫非、豈、大概。
副詞の主要な文法上の機能は、動詞や形容詞を修飾することだが、主な賓語(目的語)となる名詞を修飾することはできない(この点が形容詞と異なる)。程度副詞は主に形容詞を修飾し、“対他很了解”のように、動詞を修飾することもある。状況副詞は、動詞を修飾する。語気副詞は通常、全文を修飾する。その他は、動詞を修飾することも形容詞を修飾することもあり、大部分がこの二つの機能を兼備している。
副詞の中には、連結機能があり、動詞、形容詞、或いは詞組、フレーズをいっしょに組合せることができる。例えば、“越做越好”、“又酸又苦”、“既有現代化工業,又有現代化農業”というようにすることができる。
(七)代詞
代詞は実詞や詞組に取って替わる(代替)ものである。ここで言う“代替”とは、その全体の機能から言っている。細かく言うと、いくつかの代詞の主要機能は代替であり、いくつかの代詞の主要機能は疑問であり、いくつかの代詞の主要機能は指点、ある事物を指し示すことである。
役割の違いから、代詞を三つに分類する。つまり、人称代詞、疑問代詞、指示代詞である。
◆ 人称代詞: 我、你、他、自己、別人、大家、人家、等。
◆ 疑問代詞: 誰、哪、哪儿、多会儿、几、几時、多少、怎麼、怎様、怎麼様、等。
◆ 指示代詞: 這、那、那儿、這会儿、那会儿、那麼些、這様、這麼様、那麼様、等。
これら三種類の代詞の関係は、下記のようになっている。
疑問代詞 指示代詞 人称代詞
人、或いは事物 : 誰、什麼、哪 這、那 我、你、他
場所 : 哪儿、什麼 這儿、那儿
時間 : 多会儿、几時 這会儿、那会儿
什麼(時候) 這(時候)、那(時候)
数量 : 几、多少 這麼些、那麼些
性質、状態、 : 怎麼、怎様 這麼、那麼、這様、那様
程度 怎麼様 這麼様、那麼様
注意すべきは、三種類の代詞は、必ずしも特定の人や事物を指す必要はないことで、これが代詞の“虚指”用法である。
“你一言,我一語”、“你望着我,我望着你”と言う時、ここでの“你”、“我”は特定の人を指さない。これは、人称代詞の虚指用法である。“看看這,瞧瞧那”と言う時の“這”、“那”も特定のものを指さない。これは指示代詞の虚指用法である。
疑問代詞の虚指用法はもっとよく見かける。例えば:
(1)有了朋友的幇助,什麼也難不倒我們。
(2)這些話,我記得誰説過来着。
(3)哪儿都可以去嗎?
これらの文の疑問代詞は何れも疑問を表さない。例(1)の“什麼”には、“任何困難、任何敵人、任何東西”の意味がある。例(2)の“誰”は、確定できない、とある人物である。例(3)は疑問文だが、文中の“哪儿”は単に“任何地方”の意味である。
この他、“跳他一個痛快”、“吃他一個飽”の中の“他”は虚指で、しかもこうした虚指は人を指すという役割を失い、単に語気を強める働きがあるだけである。
【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年
以上が、文法上の機能から見た、実詞の分類と、その特徴です。次回は、虚詞を見ていきます。
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二 各種の実詞とその特徴(2)
(四)数詞
例:零 半 一 二 両 五 八 十 百 千 万 億
数詞は数量を表す。数量は一つの数詞で表すことができる。例えば、“一”、“五”。また数詞の詞組によっても表わすことができる。例えば、“一千三百五十七”、“四分之一”。
数詞や数詞詞組は、前に助詞の“第”、“初”を加えて、順序を表すことができる。例えば、“第十五(排)”、“第一二(名)”、“初九”、“初三四”。
“初”の後ろに付けることのできる数詞は一から十までに限られる。
数詞や数詞詞組の後ろに“多”、“把”、或いは方位詞“以上”、“以下”を加えることで、概数を表す。例えば、“一百五十多(塊銭)”、“百把(個人)”、“五十(歳)以上”、“三(公尺)以下”。
数詞と量詞の組合せを数量詞組と呼ぶ。数量詞組は常に別のことばといっしょに組み合わさり、偏正(修飾構造)、補充等の関係を形作る。
(五)量詞
例:
第一組:尺 寸 斤 両 公斤 克 畝 公顷qing3 点 些
第二組:個 只 件 条 根 架 堆 隊 双 副
第三組:下 次 遍 趟 場 回 番 陣
第一組は、名詞や形容詞の前(“一尺布”、“両公斤油”、“一尺長”、“両公斤重”)に置き、名詞や形容詞にかかる量詞である。第二組は専ら名詞の前に置き、名詞にかかる量詞である。この二組を“物量詞”と総称する。第三組は、通常動詞の後ろで用い(“看一下”、“説一遍”)、動詞にかかる量詞であるので、“動量詞”と呼ばれる。
どの量詞が、どの名詞や動詞と使われるかは、一定の習慣がある。この面では、普通話(標準語)と方言の間で顕著な違いがある。普通話で“一把刀”と言うのを、広東語では“一張刀”と言う。普通話で“一輌車”と言うのを、湖南語では“一把車子”と言う。普通話で“一頭牛”と言うのを、上海語では“一只牛”と言う。
同じ名詞や動詞に使われる量詞は、しばしば複数あるが、量詞ごとにそれぞれ別の意味がある。例えば、“解釈一番”(ひと通り~)は“解釈一下”(ちょっと~)とでは“解釈”の内容が多少異なる。“解釈一遍”(始めから終わりまで)もまた意味が異なる。“一遍”には、“従頭到尾”の意味があるが、“一番”にはそういう意味は無い。
数詞一と量詞を組み合わせ、繰り返して、“一AA”、或いは“一A一A”の形式にすることができる。こうした繰り返しは、時に“毎一”(皆、それぞれ)の意味を表し、例えば“一個個身強力壮”というように使う。時に“逐一”(一つ一つ、全て)の意味を表し、例えば、“一本本看過書”、“一件一件仔細検査”というように使う。時に“多”の意味を表し、“造起了一幢幢新房子”、“収到一批一批来信”というように使う。
数量詞組は、名詞を修飾する時、一般に名詞の前に置くが、次のような状況下では、通常、名詞の後ろに置く。一に説明されている語句が比較的複雑で、例えば、“父子両個”、“大小房間一百多間”というような時。二に量詞自身が比較的複雑で、例えば、“毎天出動飛机三十架次”というような時。三に数量の内容が複雑で、例えば、“毎月消耗原材料五十噸至六十噸不等”というような時。この他、目録に記帳や列挙する時には、数量詞組は名詞の後ろに置く。例えば、“白菜三斤、肉一斤”というように書く。
(六)副詞
副詞の基本用途は、動詞や形容詞を修飾することである。これには、以下の要素が含まれる。
1.程度を表す。
例:很、十分、非常、最、太、極、更加、比較、稍微、過于、越発(ますます)、格外。
2.状況を表す。
例:親自、互相、肆意(力を尽くす)、竭力、大力、大肆(躍起になって)、相継、陸続、悄悄、緊。
3.時間、頻度を表す。
例:立刻、正在、馬上、已経、曾経、常常、剛、永遠、漸漸、忽然、才、便、就、又、再三、頓時、暫且、仍旧、依然、終于、一直、一向、始終。
4.範囲を表す。
例:都、総、統統、也、僅僅、只、一共、全部、総共。
5.否定を表す。
例:不、没、没有、未、別。
6.語気を表す。
例:難道、究竟、也許、偏偏、莫非、豈、大概。
副詞の主要な文法上の機能は、動詞や形容詞を修飾することだが、主な賓語(目的語)となる名詞を修飾することはできない(この点が形容詞と異なる)。程度副詞は主に形容詞を修飾し、“対他很了解”のように、動詞を修飾することもある。状況副詞は、動詞を修飾する。語気副詞は通常、全文を修飾する。その他は、動詞を修飾することも形容詞を修飾することもあり、大部分がこの二つの機能を兼備している。
副詞の中には、連結機能があり、動詞、形容詞、或いは詞組、フレーズをいっしょに組合せることができる。例えば、“越做越好”、“又酸又苦”、“既有現代化工業,又有現代化農業”というようにすることができる。
(七)代詞
代詞は実詞や詞組に取って替わる(代替)ものである。ここで言う“代替”とは、その全体の機能から言っている。細かく言うと、いくつかの代詞の主要機能は代替であり、いくつかの代詞の主要機能は疑問であり、いくつかの代詞の主要機能は指点、ある事物を指し示すことである。
役割の違いから、代詞を三つに分類する。つまり、人称代詞、疑問代詞、指示代詞である。
◆ 人称代詞: 我、你、他、自己、別人、大家、人家、等。
◆ 疑問代詞: 誰、哪、哪儿、多会儿、几、几時、多少、怎麼、怎様、怎麼様、等。
◆ 指示代詞: 這、那、那儿、這会儿、那会儿、那麼些、這様、這麼様、那麼様、等。
これら三種類の代詞の関係は、下記のようになっている。
疑問代詞 指示代詞 人称代詞
人、或いは事物 : 誰、什麼、哪 這、那 我、你、他
場所 : 哪儿、什麼 這儿、那儿
時間 : 多会儿、几時 這会儿、那会儿
什麼(時候) 這(時候)、那(時候)
数量 : 几、多少 這麼些、那麼些
性質、状態、 : 怎麼、怎様 這麼、那麼、這様、那様
程度 怎麼様 這麼様、那麼様
注意すべきは、三種類の代詞は、必ずしも特定の人や事物を指す必要はないことで、これが代詞の“虚指”用法である。
“你一言,我一語”、“你望着我,我望着你”と言う時、ここでの“你”、“我”は特定の人を指さない。これは、人称代詞の虚指用法である。“看看這,瞧瞧那”と言う時の“這”、“那”も特定のものを指さない。これは指示代詞の虚指用法である。
疑問代詞の虚指用法はもっとよく見かける。例えば:
(1)有了朋友的幇助,什麼也難不倒我們。
(2)這些話,我記得誰説過来着。
(3)哪儿都可以去嗎?
これらの文の疑問代詞は何れも疑問を表さない。例(1)の“什麼”には、“任何困難、任何敵人、任何東西”の意味がある。例(2)の“誰”は、確定できない、とある人物である。例(3)は疑問文だが、文中の“哪儿”は単に“任何地方”の意味である。
この他、“跳他一個痛快”、“吃他一個飽”の中の“他”は虚指で、しかもこうした虚指は人を指すという役割を失い、単に語気を強める働きがあるだけである。
【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年
以上が、文法上の機能から見た、実詞の分類と、その特徴です。次回は、虚詞を見ていきます。
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