中国語学習者のブログ

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世界投資フォーラム(厦門)での習近平副主席の基調講演(全文)

2010年09月08日 | 中国ニュース
 国連貿易開発会議、略称UNCTADは、発展途上国の経済開発促進と南北問題の経済格差是正の為、国連が設けた会議。タイ人のスパチャイ・パニチャパック氏が事務局長を勤めています。世界投資フォーラムは2年に1度開催されることになっており、第1回は、2008年にアフリカのガーナで開催され、アフリカの地位強化につながりました。

 その第2回が、厦門で開催され、ポスト胡錦涛の最有力候補と言われ、昨年12月に来日された習近平副主席が基調講演を行いました。

 中国はポスト胡錦涛、ポスト温家宝をにらみ、国際会議で次の国家主席、首相候補に積極的にスピーチをさせており、今年はじめのダボス会議では、李克強国務院副首相にスピーチをさせています。

 この会議で、習副主席はどのようなスピーチを行ったか。その全文が人民網に掲載されたので、内容を見ていきたいと思います。

        習近平 「国連貿易開発会議第2回世界投資フォーラム」
                 開幕式での基調講演(全文)
                   2010年9月7日 厦門
               中華人民共和国 副主席 習近平

尊敬するスパチャイ事務局長、
ご来賓の皆さん、

 国連貿易開発会議の第2回世界投資フォーラムは9月6日から9日まで、活力に溢れた中国厦門経済特区で行われる。厦門経済特区の設立30年での持続的で迅速な発展は、発展開放型経済の正しさを証明し、広範に外資を吸収し、互いにメリットのある協力関係を展開する重要性を物語っている。ここに、私は中国政府と人民を代表し、今回のフォーラムの開会に、熱烈な祝福を贈りたい。フォーラムに出席される各国の国家元首、政府首脳、要人、関連する国際組織の代表、及び1000名あまりのビジネス界の精鋭の皆さんを心から歓迎する。

 2008年に国連貿易開発会議が初めての世界投資フォーラムを発起し主催したことは、世界投資環境の改善、投資協力の促進に、積極的な作用を発揮した。今回のフォーラムは、「投資と持続的発展」をテーマに、世界各国、特に発展途上国が、国を跨いだ投資を導入し、経済発展を促進するという普遍的な願望に順応し、国連の一千年発展目標の実現の推進を有利に進めるだろう。ここに、私は謹んで、長期に亘り発展途上国の利益の維持、促進の為、重要な貢献をしてきた国連貿易発展会議に崇高な敬意を表したい。

皆さん、

 現在、国際社会の共同の努力の下、世界経済は、国際金融危機の暗い影から次第に脱却し、復興に向け歩みだしたが、復興の基礎は強固でなく、歩みは均衡がとれておらず、大きな不確定性が存在している。中国は、国際金融危機の衝撃に対応する過程の中で、改革開放を堅持し、互いに利益を得、共に勝利する開放戦略の実施を堅持し、通用している国際経済規則に基づき市場参入を拡大し、貿易自由化と投資利便化を推進し、経済発展方式の転換の加速を堅持し、国内需要の拡大に力を入れ、住民消費を増加させ、主体的で、制御可能で、漸進的であるという原則に基づき、人民元の為替レート形成メカニズムの改革を穏やかに推進した。2009年、中国が吸収した外資は900億US$の規模に達し、世界第二位に位置している。今年上半期、中国で新たに承認された外資の投資企業は1.2万社あり、実際に使用した外資は514億ドルで、前年同期比でそれぞれ19%と21%増加した。中国域内の投資者は世界111の国と地域に直接投資を行い、非金融性の対外直接投資は178億米ドルに達し、前年同期比で44%増加した。このことにより、中国経済は国際金融危機の衝撃下、率先して回復、好転を実現するのに重要な基礎を築き、世界経済復興にも積極的に貢献した。

  対外開放の基本国策を堅持し、確固不動に開放型経済を発展させ、共に利益を得、共に勝利する開放戦略を実施することは、改革開放で30年あまり中国経済が持続し且つ快速に発展した成功経験である。企業誘致して資本を導入し、優良な資本を選び、「資金の導入」と「知識の導入」を結合することは、中国の対外開放の重要な内容である。2010年7月までで、中国に設立された外商投資企業は累計で69.8万社、実際に使用された外資は1兆500億米ドルに達した。現在、中国の22%の税収、28%の工業生産増加量、55%の輸出入金額、50%の技術導入、約4500万人の就業人口は、外商投資企業の貢献によるものである。対外開放、外資吸収は、互いに利益を得、共に勝利できるものである。中国から言えば、継続した外資の吸収は、国家の現代化建設に必要な資金、先進的な技術、貴重な管理経験と多くの国際化人材を提供した。外商投資企業にとって言えば、満足できる投資回収を勝ち取ることができ、多くの外商投資企業は、親会社のグローバルでの事業の成長の希望の星、利益の中心となった。国連貿易開発会議の最新の調査にも示されている通り、現在中国は依然として全世界で最も魅力的な投資の主催国である。

 近年になって、中国は対外開放の段階的特徴を全面的に把握し、内外が連動し、相互利益、共に勝利し、安全で高効率の開放型経済体系を完成させるという要求に基づき、実践の中での成功経験を総括し、「導入してきた」ものと「打って出ていく」ものをより良く結合させ、対外投資と協力の方式を生み出し、企業の研究開発、生産、販売等の面での国際化経営の展開を支援してきた。2009年末までに、中国は域外で、全部で1.3万社の企業を設立し、域外企業の資産総額は1兆米ドルを超え、対外投資残高は2457億米ドルに達し、投資地域は世界で177の国と地域に及ぶ。現在、中国は各種形式の対外投資協力を加速推進しており、中国の多国籍企業を育成発展し、実力ある企業が国際的な販売ネットワークを構築するのを支援し、域外のインフラ建設協力を強化し、対外労務協力を規範化発展させ、域外の経済貿易協力地区建設を積極推進し、我国の生産能力の過剰、内需不足の矛盾を緩和し、国内産業の転換を促し、関連製品とサービスの輸出を率先垂範させている。

 中国は開放型経済を推進する過程で、各種の方式で発展途上国が自主発展能力を増強し、民生を改善し、南北格差が縮小することを支援してきた。例えば、中国は国際通貨基金に500億米ドルを増資し、資金を後進国に優先的に使うよう明確に要求してきた。100億米ドルの中国―ASEAN投資協力基金を設立し、ASEAN諸国に150億米ドルの貸付支援を行い、地域経済や金融情勢の安定化を促した。上海協力機構の他の構成国に100億米ドルの信用貸付を行い、アフリカ諸国に100億米ドルの優遇貸付を行い、アフリカの重債務国と最後進国の債務を免除した。全ての中国と国交のある後進国の95%の製品の輸入関税免除待遇を徐々に進め、発展途上国の国際金融危機の衝撃を緩和し、就業圧力を軽減し、経済情勢を安定化させる支援を行った。今後、私たちはより多くの中国企業に「打って出」させ、発展途上国との協力を強化し、誠心誠意、発展途上国が経済発展能力を発展させる支援を行っていく。

皆さん、

 中国は過去も、現在も、将来も、国際と国内の二つの市場、二つの資源をうまく利用し、外資導入と対外投資により、対内では科学発展と、調和のとれた発展を促進し、対外では平和発展、協力発展を堅持の長期戦略方針を堅持する。中国の開放型経済の弛まぬ発展に伴い、外資企業の中国投資は必ずやより幅広い空間とより豊かなリターンをもたらすことになるだろう。現在、中国は幅広い外商投資企業がより開放された、より最適な投資環境を作るべく積極的に努力している。

 第一に、引き続き開放的で透明な法律環境を建造することに努める。中国社会主義市場経済は、法治経済である。中国の投資環境には、公開透明な法律の保障がある。改革開放の30年来、中国は既に前後四回、《外商投資産業指導目録》を修正し、毎回の修正はより一層の市場参入範囲の拡大と外資構造の最適化を重点にしてきた。2001年に中国がWTOに加入して以来、外資の吸収に関する法律を絶えず改善ずることを通じ、政策決定の透明度を増加させ、行政行為を規範化し、タイムリーに発展計画、産業政策、参入基準、産業動向等の情報を発布し、投資環境の透明化と利便化を効果的に推進した。最近、中国は又《外資の利用をより一層うまく行う作業に関する若干の意見》を発布し、一連の新たな行動の創造を推進し、外資利用の構造を最適化し、開放領域を拡大し、外資利用方式の多様化を促進した。例えば、外資が先端の製造業、ハイテク技術産業、現代サービス業、新エネルギー、省エネ、環境保護等の産業に投資するのを奨励する。外資が中西部地区に移転し、投資を増加するよう誘導し、外資が中西部地区で環境要求に符合する労働集約型産業を展開することを奨励する。外資が株式への出資、購入等の方式で中国国内企業の改組、改造、合併等による組織変更に参与することを奨励し、外商投資企業の域内融資チャンネルを拡げ、外資を利用し、科学技術創造、産業のレベルアップ、地域協調発展等の面への積極作用をより良く発揮させる。

 第二に、公平な競争の市場環境の造営に引き続き努力する。発展は競争と離れられず、競争は公平でなければならない。中国政府の自主創造奨励の政策は中国域内の全ての企業が対象であり、合法的に中国に設立された全ての外商投資企業も対象である。これは、広範囲に国際協力を展開する条件下の開放型の創造であると言うことができる。今年4月、中国は国内外の投資者に公開で意見を求めることを通じ、「自主創造」製品の認定基準に対して調整を行い、外商投資企業は「中国製造」を構成する一部であり、中国本土資本の投資企業と同様の原産地規則を適用し、一視同仁の平等の国民待遇を享受することを確認した。現在、中国政府は真面目に責任をとる態度でWTOの《政府購入協定》加入の交渉を進めている。政府資金に関わる購入、建設プロジェクトに対し、中国政府は公開、透明の方法を採り、内資、外資企業とその製品が平等な待遇を享受できるようにする。2009年、1.2万個の機電製品の購入プロジェクトで国際入札を行い、外商投資企業が落札した項目総数は55.4%を占める。

 第三に、安定した秩序ある経営環境の造営に引き続き努める。中国政府は知的財産権の保護を高度に重視し、この20年あまりにわたり、比較的完全な知的財産権保護の体系を建設してきた。2008年、中国は《国家知的財産権戦略綱要》を制定し、知的財産権の保護を国家戦略に昇格させた。2006年から2010年にかけ、中国は連続5年、知的財産権保護の行動計画を実施した。中国政府は絶えず知的財産権の行政と法律執行への力を強化し、ネットによる権利侵害や違法コピーの取り締まり等の専門の管理行動を展開してきた。今後、中国政府は市場体系を引き続き完全なものにし、市場障壁を取り除き、市場秩序を維持し、投資者の利益を保護し、外商投資企業を含む各種の市場主体者が強くなり、大きくなり、実力を発揮する機会があり、経営発展に後顧の憂いが無いようにする。同時に、中国は知的財産権の保護の体制、メカニズム、法律法規をより一層完全なものにし、広大な投資者と権利人の為により有力で有効な保護を加える。外商投資企業が、中国の知的財産権侵犯への取り締まりの行動や成果に対し、引き続き歩調を合わせ、監督されることを歓迎する。

 中国は絶えず投資環境を最適化し、絶えず外資利用の質を向上させ、幅広い領域で、様々なランクに亘り、全方位の対外開放構造を形成し、製造業、農業の大部分の領域と、100のサービス、貿易部門を既に対外開放し、中国は引続きグローバルで最も吸収力のある投資主催国になるよう努力する。これらの事実から明らかなのは、中国の優位性は尚失われておらず、投資環境は依然として多くの外商投資企業にとって好ましいものだということである。改革開放の新しい段階に入った中国は、正に対外経済発展方式の転換を、国内経済発展方式の転換と結びつけ、経済のグローバル化の条件下での国際経済協力への参与と競争での新たな優位性を速やかに形成しようとしている。

皆さん、

 現在、世界は開放された世界であり、グローバル経済は開放された経済である。このような大きな背景の下、一つの国家が速やかに発展するには、開放型経済を大いに発展させなければならない。開放の程度は、開放型経済の発展速度で決められ、開放のレベルは開放型経済の発展の見通しで決められる。中国は対外開放の広さ、深さを開拓し、引続き沿海地域開放を深化し、内地開放を加速し、辺境開発のレベルを上げ、開放により改革を促し、開放により発展を促し、開放によって民生を豊かにし、世界経済が強靭で、持続可能で、バランスが強化され、経済のグローバル化が均衡、互助、WIN-WINの方向に向け発展することを推進するため、新たな貢献を行っていく。

 最後に、私は「国連貿易発展会議第二回世界投資フォーラム」の円満成功を心からお祈りする。
皆さん、ありがとう。

【注】・習近平:1953年生まれの57歳。中華人民共和国副主席、中央政治局常務委員。中国共産党中央書記処第一書記。中国共産党中央党学校校長。党内序列第六位。父親は元国務院副総理・習仲勲。ポスト胡錦涛の最有力候補とされている。  

 このスピーチで注目されるのは、中国への投資が依然魅力あるものであることを強調する一方、中国企業が海外に打って出ることを強調し、2009年末までの対外投資の累計を紹介していることで、世界の177の国と地域に投資し、投資残高は2457億米ドルに達するとのことです。過去、あまり中国の対外投資の実績は、紹介されることがなかったと思います。

 もうひとつは、外資企業に対し、内国民待遇を約束するとともに、ハイテク、先端技術投資、中西部への投資を促していることで、経済政策の転換を明確に打ち出しています。

 今後も、このような国際会議での中国政府要人のスピーチ内容は、目が離せません。

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