中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

中国の温室効果ガス排出削減目標の発表と気候外交

2009年12月12日 | 中国ニュース

 12月7日より始まったCOP15、気候変動対策の国際的な新たな枠組みを決めるコペンハーゲン会議は、来週、いよいよ後半戦の各国の首脳による会議が行われる。ここでどのような発言がなされ、どのような結果が導かれるか、注目される。

中国宣布2020年前大幅減排目標
2009年11月27日 東方早報 呉佳俊 張穎

单位GDP碳排放比2005年降40%~45% 温家宝将出席哥本哈根気候大会
気候外交的数字游戯

● 游戯 you2xi4 は遊び。「游戯机」と言えばゲーム機だが、「気候外交的数字游戯」気候外交の数字の遊び。今回のCOP15、コペンハーゲン会議は、気候変動対策の新しい枠組み作りで、世界中の元首が顔を揃え、正に環境外交、気候外交の色彩を帯びているが、一方、各国の環境対策、温室効果ガス排出削減の目標数値は、数字の遊びではないか?本当に実現するのか?と疑いたくなる面もあるような気もする。

 まず、各国の目標数値を列記している;
・ブラジル 38.9%
2020年までに、温室効果ガスの排出量を36.1%~38.9%減少させる。

・EU 30%
2020年までに、1990年のレベルと比較し、20%削減。更にコペンハーゲン会議での交渉の進展を見て、30%の排出削減を考慮。

・インドネシア 26%
2020年までに温室効果ガスの排出を26%削減。

・日本 25%
2020年の温室効果ガスの排出量を1990年のレベルの25%削減する。

・ロシア 25%
2020年までに温室効果ガスの排出を、1990年を基礎に25%削減する。

・アメリカ 4%
2020年までに2005年の基礎のうえに約17%削減する。しかし1990年の温室効果ガス排出量を基準にすると、わずか4%に相当するだけである。

・中国
2020年の単位GDP当たりのCO2排出量を2005年に比べ40%~45%下降させる。この数字は「炭素強度(碳強度)」基準で、上記各国の数字の単位とは異なる。

・インド
なお明確な排出量の数値目標を宣言していない。

 これらの数字に、各国の政治的な目算が見え隠れし、「気候外交的数字游戯」と言うのである。

 作為全球主要温室気体排放大国,中美看来都不願背負哥本哈根的“罵名”,両国在不到一天之内先后“誓師”

● 背負 bei4fu4 背負う。ここでは、後ろに「罵名」ということばを伴い、比喩的に用いている。
● 罵名 ma4ming2 悪名。汚名 「背負~罵名」で、~という悪名を背負う、となる。
● 誓師 shi4shi1 出陣する前に、将兵が集まって必勝の誓いをする → 任務達成を誓う

[訳]世界の主要な温室ガス排出の大国として、中国、アメリカは何れもコペンハーゲンの「悪名」を背負いたくなく、両国は一日も経たないうちに前後して「任務達成を誓った」。

 これまで、環境対策の数値公約を国際的に掲げることを拒んできた中国、アメリカ両国が、COP15を前に、相次いで数値目標を示したのである。

 在白宮宣布美国総統奥巴馬将出席哥本哈根気候大会并且提出減少温室气体排放具体目標后僅僅10几個小時,中国官方昨天下午宣布,国務院総理温家宝将出席于12月7日至18日在哥本哈根挙行的《聯合国気候変化框架公約》第15次締約方会議曁《京都議定書》第5次締約方会議。

● 締約方会議 di4yue1fang1hui4yi4 締結国会議。「方」は側、サイド。「我方」、「対方」の「方」である。ここでは《聯合国気候変化框架公約》の「締約方」、つまり《国連気候変動枠組条約》の締結国である。
● 曁 ji4 および。文章表現。改まった言い方。

[訳]ホワイトハウスが、オバマ大統領がコペンハーゲン気候会議に出席し、温室効果ガス排出の具体目標を提出すると発表してからわずか10数時間後、中国政府は、国務院 温家宝総理が12月7日から18日までコペンハーゲンで開催される《国連気候変動枠組条約》第15回締結国会議、および《京都議定書》第5回締結国会議に出席すると発表した。

 同時,中国昨天也宣布,到2020年中国単位国内生産総値二氧化碳排放比2005年下降40%~45%,作為約束性指標納入国民経済和社会発展中長期規劃,并制定相応的国内統計、監測、考核辧法。這也是中国官方首次就2020年的減排発布量化行動目標。

● 約束性指標 yue1shu4xing4zhi3biao1 約束:拘束する。「約束性」は「有約束性」ということで、拘束性のある。「約束性指標」で、拘束性のある指標。
● 考核 kao3he2 審査する。監査法人の監査は、中国語では「審計 shen3ji4」である。

[訳]同時に、中国は昨日、2020年までに中国の単位GDPあたりのCO2排出を2005年比40%~45%下降させ、拘束性のある指標として国民経済と社会発展の中長期計画に組み入れ、それに対応する国内統計、モニター、審査方法を制定する、と発表した。

 この、中国、アメリカ両国の相次ぐ動きにより、今回のCOP15で、京都議定書に続く、新たな気候温暖化対策への新たな国際的な協定が締結される可能性が高まった。

 注目すべきは、中国のこの目標は、温家宝が25日に開催した国務院常務会議で決定していたにもかかわらず、その時点ではすぐに公表されず、アメリカが排出削減の目標を発表してから発表したことである。上海国際問題研究院国際組織、国際法研究センター副主任で、エネルギー、環境外交問題専門家の于宏源は、中米両国がほぼ同時に削減目標数値を公表したのは、胡錦涛・オバマ会見で協議した結果であり、中米両国の環境問題での長期の共同歩調の結果であると言っている。

 ところで、この記事は11月27日に書かれたもので、この時点では、オバマ大統領の会議出席は12月9日を予定されていた。他の主要国首脳が17日に参加するより1週間早く来るということで、様々な憶測を呼んでいた。

 一些人懐疑,奥巴馬的算盤是,既能得到峰会成功的功労,又能与任何失敗保持距離。但其他人対奥巴馬将出席会議的消息表示歓迎,表示這提高了達成協定的可能性。但白宮顧問邁克•弗勒曼辧解説,奥巴馬决定参加這次会議意在“推動(気候変化)談判勢頭”。

● 算盤 suan4pan2 そろばん。ここから転じて、計画やもくろみの意味。
「奥巴馬的算盤是」オバマがはじいたそろばん(つまり目論見)は~
● 功労 gong1lao2 功績。
● 勢頭 shi4tou2 形勢。情勢。
「推動談判勢頭」で、交渉の形勢を(有利な方向に)推進する、ということ。

[訳]オバマのそろばんは、サミットの成功の功績を得られるだけでなく、如何なる失敗とも一定の距離を保てるということであると疑っている人もいる。しかし、その他の人はオバマの会議出席のニュースに歓迎を示し、協定が達成される可能性が高まったと表明した。しかしホワイトハウスのマイク・フリーマン顧問は、オバマの今回の会議参加決定の意味は「(気候変動会議の)交渉の形勢を有利な方向に推進する」ことにあると解説した。

 対于中国提出的碳強度減排数字,緑色和平組織気候与能源項目経理楊愛倫表示,中国宣布的減排目標是“意料之中的”,延続了中国応対気候変化的相応措施。

● 碳強度 tan4qiang2du4 単位GDP当たりの二酸化炭素排出量のこと。是指单位GDP的二氧化碳排放量。
● 意料 yi4liao4 予想する。意料之中:予想通り。意料之外:予想外
● 延続 yan2xu4 引き続く。延長する。(ある状況、活動がまだ続いているということに重点を置く)

[訳]中国が提出した炭素強度排出削減の数字について、グリンピース気候、エネルギー項目経理、楊愛倫は、中国が発表した排出削減目標は「予想通り」であり、中国の気候変動に対応する相応の措置を継続するだろうと表明した。

 于宏源還特別強調,各国宣布的数字只是一个虚的概念,能不能完成仍是一个問題。目前国際没有強制力和懲罰措施,関鍵要看如何落実。美国需要降低在清潔能源領域的技術門檻,有利于技術合作。“減排需要資金,需要技術,并不能只靠中国本身,需要発達国家的支持。在這個方面美国没有宣布什麼額外的帮助。”于宏源説。

● 門檻 men2kan3 (門や入口の)敷居。「降低門檻」敷居を低くする、つまり、入りやすくする、という意味合いで使っている。

[訳]于宏源は、各国の発表した数字は空虚な概念に過ぎず、完成できるかどうかが問題だと特に強調した。現在、国際的には強制力も懲罰措置も存在せず、鍵となるのは如何に実行するかである。アメリカはクリーンエネルギーの技術の敷居を低くしなければならず、このことは技術協力に有利であろう。「排出削減には資金が必要で、技術が必要で、また中国自身の力だけではだめで、先進国の支援が必要である。この面でアメリカは如何なる追加の支援も表明していない。」于宏源はこのように言った。

 同時于宏源表示,上世紀90年代以前気候問題還只是環境問題、科技問題,而現在已経変成了一個国際政治経済問題,甚至是互相争奪領導権的問題,逐漸演変成了気候外交。欧美国家把環境問題当成博弈工具和牌来打。但是欧美国家也清楚全球発展低碳経済和節能減排只靠発達国家是不够,還需要発展中国家的支持,全球一体。因此中国和其他発展中国家有必要在哥本哈根的談判中加大力度,尽可能的争取発達国家更多的承諾和譲步,尤其是在技術方面。

● 博弈 bo2yi4 碁を打つ。弈:囲碁のこと。博:元々囲碁のようなゲームをすることから、賭博の意味に用いられる。ここでは環境問題のことを言っているので、比喩的に使っている。「博弈工具」でゲームの道具。「牌来打」カードを切る。

[訳]同時に、于宏源は、1990年代以前の気候問題は環境問題、科学技術の問題に過ぎなかったが、現在は国際政治経済の問題となり、互いの主導権争いの問題にさえなり、次第に気候外交に変化してきた、と語った。欧米諸国は環境問題をゲームの道具としてカードを切ってきている。しかし欧米諸国もグローバルな低炭素経済の発展や省エネ排出削減は先進国に委ねるだけでは不十分で、発展途上国の支持で、世界が一丸となる必要があるということを十分承知している。したがって中国やその他の発展途上国はコペンハーゲンでの交渉で力を強め、できるだけ先進国のより多くの承諾と譲歩、とりわけ技術面で、勝ち取る必要があるのである。

 このように、気候変動対策の問題というのが、外交の駆け引きの場になってきている、ということを、記者は強調しているのである。


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