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富岳とAIで1000兆通りの可能性から未知の因果を発見する技術、富士通などが開発 202203

2022-03-07 23:18:00 | 気になる モノ・コト

富岳とAIで1000兆通りの可能性から未知の因果を発見する技術、富士通などが開発
 マイナビニュース より 220307  波留久泉


 富士通と東京医科歯科大学(TMDU)は3月7日、富士通が開発した現場のデータから新たな発見の手掛かりを提示する技術「発見するAI」をスーパーコンピュータ(スパコン)「富岳」上に実装し、1000兆通りの可能性があるがん患者の遺伝子の特徴の中から、未知の因果関係を発見することに成功したと発表した。

(光でがん細胞など狙った細胞だけを自死させる新技術、岡山大が開発)

 今回の研究は、2020年5月より開始された、文部科学省のスパコン「富岳」成果創出加速プログラム「大規模データ解析と人工知能技術によるがんの起源と多様性の解明」の一環として実施されたものだという。

 がんの分子標的薬は、患者への投与を続けると、その薬剤に対して耐性を獲得したがん細胞が増殖し、再発することがあることが知られているが、こうした複数のドライバー変異を獲得した細胞群が変幻自在に異常な振る舞いをするがん耐性獲得のメカニズム解明には、精緻なデータと解析技術が不可欠とされている。

 薬剤開発や既存薬の再配置の臨床治験では、薬剤効果が期待される患者のおおまかな同定が重要だが、個人や臓器における遺伝子やその発現量などにより薬剤効果が異なるため、複数の遺伝子の発現量を組み合わせたパターン数は1000兆通りを超す規模になり、効率性の高い探索技術の開発が求められていた。

 富士通の開発技術「発見するAI」は、判断根拠の説明や知識発見が可能なAI技術「WideLearning」を用いて、特徴的な因果関係を持つ条件を網羅的に抽出する技術として開発されたが、同技術であっても、ヒトのおよそ2万個ある遺伝子を対象とした網羅的な探索を通常の計算機で行った場合は、4000年以上かかるという試算が出されたため、処理の高速化が課題となっていた。

 そこで富士通とTMDUは、「富岳」上にヒトの全遺伝子を実用的な時間で分析できるよう、条件探索と因果探索を行うアルゴリズムを並列化して実装することで、計算性能を最大限引き出すことにしたとするほか、「発見するAI」を活用し、統計情報に基づき薬剤耐性を生み出す条件となりうる有望な遺伝子の組み合わせを抽出することで、1日以内で網羅的な探索を実現する技術の開発を試みることにしたという。

 具体的には、「富岳」上で米Broad Instituteが提供する約600種のさまざまながん細胞株に対する約4500の薬剤の感受性、耐性のデータである「DepMap」の公開データを実行。ヒトの全遺伝子に対して条件と因果関係を1日以内で網羅的に探索し、肺がんの治療薬に耐性を持つ原因となる遺伝子を特定することに成功したとする。

 肺がんの治療薬などで用いられる「ゲフィチニブ」は、上皮成長因子(EGF)の刺激を受け取って細胞増殖を活性化するメカニズムであるEGFR経路の活性化を押さえてがんの進行を抑える分子標的薬であり、耐性が発生する現象が知られているが、DepMapのがん細胞株約300種の遺伝子発現量データとゲフィチニブの感受性、耐性データの解析が行われ、ゲフィチニブが効かないがん細胞株の条件とメカニズムの網羅的な探索が実施された結果、3つの転写因子の発現量が低いという条件が探り当てられ、その条件を満たす肺がん細胞株における耐性を生み出す因果のメカニズムが示唆されるに至ったという。

 なお、両者は今後、遺伝子の発現量や変異のデータに加え、時間軸や位置データを組み合わせた多層的、総合的な分析を実施し、薬効メカニズムやがんの起源の解明などの重要課題における発見の手掛かりを提示する研究を加速させると同時に、創薬、医学分野における実験研究の現場と連携していくとする。
 また、TMDUとしては、今回の研究で開発された技術を用いて、がんをはじめとする難病の攻略法の研究を推進していくとしているほか、富士通としては、マーケティングやシステム運用、生産現場において複雑に交錯する因子を発見し、意思決定を支援する取り組みを進めるとしている。


今回開発された技術により示唆されたゲフィチニブ耐性の条件(上)と因果関係(下) (出所:富士通Webサイト)
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なぜ、今の時代に、「物理」の学び直しが必要なのか 202203

2022-03-07 23:08:00 | 📗 この本

なぜ、今の時代に、「物理」の学び直しが必要なのか
 ALLREVERWs より 220307  祥伝社


『一生モノの物理学 文系でもわかるビジネスに効く教養』(祥伝社)著者:鎌田 浩毅,米田 誠

⚫︎いまの時代に、「物理」の学び直しが大切なワケ
 文系ビジネスパーソンにとって、学生時代に学んだ理系科目にはいい思い出がない人も多いのではないでしょうか?
 なかでも、「物理」はハードルが高く感じられ、もっとも敬遠されがちな科目です。
しかし、理系人材がより強く求められる昨今にあって、「物理」をまったく知らないままでは、ビジネスの世界を渡っていけなくなりつつあります。
 では、物理とは何なのか、社会のテクノロジーにはどんな物理が使われているのか、物理の学び直しはどうやって行えばいいのか――。
 本稿では、それらのポイントを平易に解説した、京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏と関西難関大受験予備校研伸館の米田誠氏による共著『一生モノの物理学 文系でもわかるビジネスに効く教養』より、特別にまえがきを掲載します。


⚫︎日本の「物理力」が危ない
 教えるプロフェッショナルが物理を解きほぐす
はじめまして。こんにちは。
この本は画期的な物理学習の本です。
高校生・大学生、ビジネスパーソンを問わず、すべての人に物理はこんなに面白いのか! と知ってもらうための本です。

 理系の本ですが、最後まで苦労なく読めるように、たくさんの工夫をしています。
それはこの本が、鎌田浩毅と米田誠の二人三脚で書かれたからです。
 どうしてそんなことが言えるのか、僭越ながら私たち著者の自己紹介から始めさせていただきます。
 まず、著者の一人である鎌田浩毅は、京都大学の教授として24年間、地球科学の研究と教育に携たずさわりながら、物理を日常的に使ってきました。

 その中で『世界がわかる理系の名著』(文春新書)や『理科系の読書術』(中公新書)、『理学博士の本棚』(角川新書)などの著作のほか、テレビ・雑誌等で科学をわかりやすく解説する「科学の伝道師」活動を行なっています。
そして現在は、京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・名誉教授として、近未来に日本を襲ってくることが確実な南海トラフ巨大地震、首都直下地震、富士山噴火のアウトリーチ(啓発・教育活動)と防災に邁進しています。

 また、もう一人の著者である米田誠は、大阪大学大学院修了後にメーカー勤務を経て、いまは研伸館という関西の予備校で、東大・京大・難関大医学部などの大学入試突破を目指す高校生や中学生を指導する物理講師です。

 この本は、そんな日常的に物理を扱っている二人の手で執筆されました。

 では、なぜいまこの本を出す必要があるのか――それは、日本人の物理を理解する力、いわば「物理力」の低下が顕著だからであり、それを憂えているからです。

 そもそも高校理科には、化学・生物・物理・地学といった4つの科目があります。
化学は物質の変化の仕組み、生物は生命のメカニズム、地学は地球環境の成り立ち、というように、自然界にある特定の現象を取り扱うものです。

 一方、物理は、化学・生物・地学で扱う現象の背後にある法則に注意を向け、根本的な原理を明らかにします。
 つまり、高校物理は、様々な事物や現象に共通する性質を抽出して、少ないルールでそれを整理する思考過程を身につけることを学習の柱に据えているのです。

 ところが、残念なことに多くの日本人は、その物理についての内容を理解していません。
というのも、高校において物理を全範囲にわたって履修する生徒は、半分にも満たないのが現状だからです。


⚫︎日本人の物理の知識は「中卒」レベル!?
 日本人がいかに物理から遠ざかっているのかがよくわかるのが、表1の大学入学共通テスト(旧センター試験)における科目ごとの受験者数です。

  (表の右側にある受験者数を見てください。 )
化学の受験者が最も多く、次いで物理、生物、地学の順になっています。

 これは、理科系志望者の国公立大学志向が強く、国公立大学の入試において理系受験者の多くは2科目の受験が必要となっているので、「化学+物理」もしくは「化学+生物」を受験する受験者が多いためです。
 化学に次いで物理の受験者数が多いとはいえ、理科系であっても、物理の延べ受験者数は理科系全体の4割弱にとどまっているのです。

 ところが、それ以上に特筆すべきは、国公立志望の文科系の人の多くが受ける「〇〇基礎」(物理や化学といったそれぞれの科目の入門編に位置づけられるもの)についてでしょう。この「〇〇基礎」の科目の中で、「物理基礎」の受験者数は圧倒的に少ないのです。

 ましてや、私立の文科系学部では理科が受験科目に設定されてさえいません。
ほとんどの私立文科系志望者は、高1まででそもそも理科の学習から離れてしまっているのです。
 つまり日本では、大学を卒業した学士であっても高校内容の物理をある程度理解できている人は半分にも満たず、特に文科系出身者の物理知識はなんと中学生止まりなのです。

STEAM教育(Science, Technology, Engineering, Art, Mathmatics に注力した教育)の重要性が叫ばれている昨今の時流からも、この状況は日本の未来の国力を左右する重大事ではないかと、私たち二人は考えています。

⚫︎物理は万物の原理となるもの
 では、そんな学習離れが進んでいる「物理」とは何なのか。
ここで改めてご説明しておきましょう。
 そもそも「物理」とは物の理(ことわり)という意味であり、「物理学」は自然界の現象を支配する法則について理解・整理することを目的としています。

 ちなみに、江戸後期から明治初期には「窮理学(きゅうりがく)」と呼ばれていました。理を窮(きわ)める学問という意味です。

 そして、物理学には現象の持つ性質を実際に確かめてみる「実験・観測」と、それが成り立つ原理を突き詰めて考える「理論」の2つの柱があり、この2つが車の両輪のように嚙み合わさりながら、物理学の体系をつくっています。
 すなわち、実験と理論の両方を使って物の本質を探ることで、宇宙に起きている様々な現象の原因や原理を知ろうとすることが「物理学」なのです。

 また、こうした学問は大学では理学に分類され、社会に直結して役立つ何かを創り出す工学とは分けられています。
 ですから物理学は、直接的な社会貢献を目的とする工学、農学、医学、そして薬学などとは異なり、「物事の根本を突き止める」目的意識の強い理系学問といえるのです。

 とはいえ,社会に直結しない物理学が,現実世界の役に立っていないわけではありません。
むしろ物理学は自然科学の基本となるものであり、他の理系学問の根底にもその考えは息づいています。

 例を挙げれば、部屋に電球が灯ともり、電車で会社に出勤し、スマホで友人と連絡を取り、ジェット機で海外旅行ができる……といったような、これらの技術のほとんどが、物理学により発見された法則によって機能しているのです。

⚫︎ビジネスパーソンは物理を学べ!
 このように物理が様々な技術に応用されているということは、裏を返せば、日本人の物理知識が中学レベルで止とどまっている現状は、それだけ由々しき事態だということです。

 実際、先程述べたような、なぜジェット機が空を飛べるのか、スマホはどのような仕組みで動いているのか、どうして身の回りにある電化製品は動くのか、といったことについて、多くのビジネスパーソンがその原理を説明できない状況にあるのではないでしょうか。

 物理に明るいビジネスパーソンと、物理を苦手とするビジネスパーソンでは、たとえば自社製品を理解すること一つとっても差がつくでしょう。
販売や宣伝といったことを考えても、原理がわかっている人とそうでない人では、おのずと説得力に差も出ます。

 実際の技術面に関する理解に乏しい人物は、次の時代に通用する革新的なビジネスプランをひらめくことも難しいのではないでしょうか。
すべての現象に通じる物理をまったく理解できていないというのは、やはりそれだけで大きな損失なのです。

 だからこそ、本書はビジネスパーソンをはじめとする物理に苦手意識を持つ人に向けて高校物理の内容を楽しく復習しながら身につけていただける再学習書としてつくりました。

 まず、一見難しそうな物理の法則を、ビジュアルでわかりやすい図を使って、理科の苦手な人にも直観的に理解してもらえるように工夫しました。

 さらに、ビジネスにも関連の深い最先端医療などの話題やお茶の間で目にする物理現象など、なるべく日常生活で親しみのある面白いトピックスを紹介しながら、予備知識なしでも理解できる内容で、ほぼすべてを高校物理の範囲内で説明しています。
読みながら自然に物理に親しんでいただければ嬉しい限りです。


⚫︎物理を学ぶことで身につく能力
 物理を学ぶことにより、ビジネスパーソンにとっても必要な力である、自分が直面した課題を簡略化・抽象化する能力が身につきます。

 たとえば、世の中にある数多くの課題は一つの要素のみからできているのではなく、複数の要因・要素が影響を及ぼし合いながら、その課題を構成している場合が多いのではないでしょうか。

 こういった場合、物理ではまず一番重要な要素だけを抽出して、簡略化して解決しようとします。
 言い換えると、物理では問題の一般化と抽象化を行ないます。問題の本質は何か、何が最も重要な要素かを先に考え、どうやって解決するのかへと導いていくのです。

 実際、宇宙を含めて自然界の諸現象をいくつかの美しい原理に抽象化し、少数の数式で記述しようとする試みがいまなお研究され続けています。
 こうした考え方に基づく物理を学ぶと、技術系の仕事を遂行するときに有用なのはもちろん、社会に出て様々な仕事をする際に論理的な解決策を考えるうえでも役に立ちます。

 すなわち、物理の知識と運用能力は世の広い分野で活用されているといっても過言ではないでしょう。

いかがでしょうか?
文系のみなさんも物理に興味を持っていただけたのではないでしょうか?
それでは早速、ビジネスパーソンに必須の教養としての、高校物理の世界へご案内しましょう。

[書き手]著者 鎌田浩毅・米田誠
本稿は『一生モノの物理学 文系でもわかるビジネスに効く教養』の「まえがき」をもとに作成

【書誌情報】
一生モノの物理学 文系でもわかるビジネスに効く教養
著者:鎌田 浩毅,米田 誠
出版社:祥伝社
装丁:単行本(ソフトカバー)(288ページ)
発売日:2022-03-01
ISBN-10:4396617410
ISBN-13:978-4396617417
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電波で給電、来年度解禁 将来はスマホ充電も―総務省 202203

2022-03-07 22:51:00 | 気になる モノ・コト

電波で給電、来年度解禁 将来はスマホ充電も―総務省
 時事通信社 より 220307


 総務省は7日、離れた場所にある機器に電波で電力を供給する無線給電を解禁すると発表した。2022年度の早い時期に関係省令を施行する。
 まずは工場など屋内での利用に限定し、屋外への拡大は今後、検討する。スマートフォンの充電に使うことも期待されるが、実現は少し先になりそうだ。

 無線給電は電動歯ブラシなどの充電で実用化されている。「近接結合型」と呼ばれ、コイルに発生する磁界を用いて給電する。近距離・高効率が特徴だ。
 これに対し、来年度に解禁されるのは「空間伝送型」。電力を電波に変換して送る仕組みで、10メートル程度離れた機器にも給電できる。
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京セラが開発、潮流で発電したわずかな電力を生かす「スマートブイ」の価値  202203

2022-03-07 22:40:00 | 気になる モノ・コト

京セラが開発、潮流で発電したわずかな電力を生かす「スマートブイ」の価値
 ニュースイッチ by 日刊工業新聞 より 220307


 潮流を利用して発電した電気でデータを収集、送信する「スマートブイ」を京セラと長崎大学が共同開発した。
 発電量はわずかだが、電池交換が難しい海でも永続的に稼働する。小さなエネルギーを使った発電はエナジーハーベスティングと呼ばれる。エネルギー消費を抑えながらIoT(モノのインターネット)の普及を支える技術として注目されており、スマートブイの実用化にも期待がかかる。

 京セラなどが開発したスマートブイは2種類。
 水平分離型は海に浮くブイと発電部で構成する。海に沈んだ発電部の羽根が潮流を受けて回ると、タービンも回転して発電する。
 もう一つの垂直一体型は、ブイの底に羽根が取り付けられている。羽根が回転するとブイに内蔵したタービンが稼働する。
 2種ともブイに搭載したセンサーやアンテナ、蓄電池に発電した電気を供給する。

 潮の流れを使った発電は潮流発電と呼ばれ、原理は水力や風力発電に近い。潮流は規則的に流れるため、天候に左右されずに発電できる。ただ、時間帯によって流れの速度が変わる。長崎大学の坂口大作教授は人工知能(AI)と遺伝的アルゴリズムによって低速時でも効率的に発電する構造を導きだした。「小型でシンプルであり、さまざまな速度に対応できる構造を求めた」(坂口教授)という。

⚫︎垂直一体型。弱い潮流でも効率的に発電できる構造を追求
 京セラらは21年4月の9日間、五島列島(長崎県)付近の海で実証した。
水平分離型は1日に最大44・6ワット時、最小0・9ワット時を発電した。
 平均発電量は16・3ワット時、センサーとデータ送信の平均消費電力量が15・2ワット時だった。発電量が消費量を上回ったので、電池交換や電力供給がなくても稼働することを証明できた。垂直一体型も22年1月の実証で発電量が消費量を上回った。

 スマートブイが実用化されると海にセンサーを張り巡らせることができる。長崎大学の経塚雄策教授は「衛星画像は海表面の観測だが、海にセンサーがあると現地の状況が分かるようになる」と語る。海水温の変化をきめ細かく収集できると気象予想の精度も上がる。またセンサーによって魚群を確認できると、漁船が魚を探しながら航行する燃料費を節約できる。

 実用化に向けて京セラIoT事業開発部プロジェクト2課の永山時宗氏は「実海域は何が起きるかわからず、1年を通した試験にも取り組みたい」と意気込む。


⚫︎水平分離型スマートブイによる潮流発電。永続的稼働を実証
 ナジーハーベスティングは小さなエネルギーを落ち穂拾いのように“収穫(ハーベスト)”することから名付けられた。
 未利用エネルギーを活用するので環境発電とも呼ばれる。他社ではリコーが照明で発電する色素増感太陽電池を商品化した。電池交換が不要なセンサーとして倉庫や製造工程の温度管理などで活用されている。コマツ子会社のKELK(神奈川県平塚市)は、熱を電気に変える部材を使ったセンサーを実用化した。生産設備が発する熱で発電できる。

 データ量の増加に伴う電力消費の増大が懸念されている。デジタル化と環境問題の解決を両立するエナジーハーベスティングの研究開発にも拍車がかかりそうだ。
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⚠️ JR西日本に聞く、「ローカル線の見直し」に踏み切る深刻な事情とは 202203

2022-03-07 22:20:00 | 🚃 鉄道

JR西日本に聞く、「ローカル線の見直し」に踏み切る深刻な事情とは
  ダイヤモンド onlainより 220307  枝久保達也


 JR西日本の長谷川一明社長は2月16日の会見で「ローカル線に関する課題認識」を示し、17路線30線区のあり方を見直す方針を明らかにした。
 JR西日本の意図と目指す先は何か。ローカル線は廃止されていく運命にあるのか。JR西日本総合企画本部地域共生部の飯田稔督次長に話を聞いた。
  (鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

⚫︎沿線人口の減少などで 維持が困難な線区も
 JR西日本の長谷川一明社長は2月16日の会見で「ローカル線に関する課題認識」を示し、芸備線や木次線、大糸線など17路線30線区のあり方を見直す方針を明らかにした。

 背景にJR発足から35年が経過する中で沿線人口の減少や高速道路をはじめとする道路等の整備、自動車を中心としたまちづくりが進んだことを挙げ、この結果、一部ローカル線区はJR西日本の経営努力だけで維持するのは困難になっていると説明する。

 そこで輸送密度(1キロ当たりの1日平均旅客輸送人員)が2000人未満の線区は「大量輸送機関として鉄道の特性」が発揮できず、「このままの形で維持していくことは非常に難しい」として、地域のまちづくりに合わせた持続可能な交通体系に転換するために話し合いを進めたいというのである。

 同社がローカル線の見直しに言及するのはこれが初めてではない。ちょうど1年前の2021年2月の社長会見でも「ローカル線の今後のあり方について課題提起をスピードアップし、関係の皆さま方と一緒になって、持続可能な地域交通を実現していきたい」と語っている。

 さらにさかのぼれば、2013年に策定した前中期経営計画の時点で「地域と課題を共有し最適な輸送モード等の検討を通じ、持続可能な地域交通のあるべき姿を追求」と記載されている。

 また2016年には「輸送モードとして鉄道が地域のニーズに合致して」おらず「『拠点間を大量に輸送する』という鉄道の特性を発揮できていない」という今回の「課題認識」と同様の理由で、島根県の江津駅と広島県の三次駅を結んでいた三江(さんこう)線の廃止を決定した。

 JR西日本の意図と目指す先は何か。ローカル線は廃止されていく運命にあるのか。JR西日本総合企画本部地域共生部の飯田稔督(としまさ)次長に話を聞いた。

⚫︎輸送密度2000人未満を見直しの基準にした理由

――今回、ローカル線の見直しに言及した背景は。

 首都圏のあるJR東日本、東海道新幹線のあるJR東海とは異なり、当社は本州三社の中では基盤が脆弱です。関西圏・岡山・広島の都市圏など利用者が集中的にいるところは競争力をもってやっていますが、利用の少ないローカル線をどうしていくか、発足当初からいろいろな経営努力、利用促進を積み重ねてきました。

 しかしJR発足から35年が経過し、北陸、中国エリアの人口は1割ぐらい減り、今後もどんどん減っていきます。高規格道路も整備が進み、地域のまちづくりも道路中心になって、ますます利用が少なくなっています。

――見直しはコロナ禍を受けてのものなのか。
 コロナで赤字だからやるんだろうと言われますが、コロナ前から厳しい状況でした。中期経営計画に掲げて地域と取り組みを進めているように、何とかしないといけないという課題認識はコロナ前からありました。

 2期連続赤字で大変な状況でもあり、結果としてコスト削減や損失改善につながるのかもしれませんが、ますますローカル線が鉄道として役に立てない状況が進んでいくため、なるべく早く議論を始めましょうということです。

――輸送密度2000人未満という基準は。
 元々、国鉄時代の国鉄再建法に、鉄道よりバスの方が効率が良いとされる基準として輸送密度4000人未満、2000人未満というのがあって、社内的にも常に意識してきました。自治体に具体的に提示したのは初めてですが、この機会に沿線の自治体の方に投げかけ、具体的に議論ができる形にしたいと思っています。

 国も同じように問題意識をもって検討会(鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会)が始まったところなので、私たちもこの機会に経営状況が分かる資料の公表など材料を出して具体的に議論ができる形にしたいと思っています。

⚫︎ローカル線の見直しにおける具体的な選択肢とは

――「このままの形で維持していくことは非常に難しい」とはバス転換を意味するのか。
 報道を見ていると、「ローカル線の見直し=バス転換」みたいな話になってしまっていますが、何が一番ふさわしいか、ご利用しやすい姿かを議論しましょうという話なので、バス転換が前提という話ではありません。

 このままの形で維持は難しいとは、地域の役に立てていない状況の中で、車両の運行と設備の保守を全て自前でやっていくことは難しいということです。

――JR西日本が第1種鉄道事業として運行する以外に鉄道として存続する形もあり得るのか。
 例えば地域が鉄道を使いやすいまちづくりを進めることで、設備面は自治体で持ってJRが運行する上下分離も一つの選択肢です。実際、富山ではLRT(JR富山港線から転換した旧富山ライトレール、現富山地方鉄道富山港線)で街がよみがえった事例もあります。

――地域の実情にあった交通機関とは具体的にどのような選択肢があるのか。

 一般論として申し上げると、鉄道であれば上下分離、自治体と共同で新しい地域の鉄道会社の設立。バスであれば鉄道跡地を専用道にしたBRT(バス高速輸送システム)、路線バス、もっと利用が少ない路線であれば、(利用者の予約があった場合のみ運行する)デマンド交通などの組み合わせも考えられます。

――選択肢の中からどうやって選ぶのか。

 交通事業者や住民を交えた議論を通じて、自治体が主体的に地域交通計画をつくる地域公共交通活性化再生法(※)があります。今の議論は路線バスが中心ですが、ローカル線もまぜて一緒に議論しましょうということです。

 どうやったら地域と共生し、地域の課題を解決できるのか、鉄道としてお役に立てる場合もあるし、違うモードで役に立てる場合もあるだろうし、地域のまちづくりで変わっていきます。

 これからどういうまちづくりをするかを聞かなければ何が最適かは分かりませんし、(どのモードが)地域のまちづくりに合っているのか、いないのかは地域の方が決めることです。まちづくりを含めてどういう移動手段を確保するのが地域の人にとって一番利用しやすいのか、そこのところを率直に議論したいという趣旨です。

※全ての地方公共団体に対し、地域交通に関するマスタープランとなる計画(地域公共交通計画)を策定する努力義務を課し、交通事業者をはじめとする地域の関係者と協議して公共交通の改善や移動手段の確保に取り組める仕組みを拡充するための法律(2007年に施行)。

――JR西日本は転換後の交通機関にも関わるのか。

 当社は鉄道が主なので、例えばLRTは不得意です。得意分野を活かしたほうがよいでしょう。ローカル線の沿線には鉄道に並行してバスが運行されていることが多く、少ない利用者を両方で取り合っています。(JRが参入すれば)それをさらに食い合うことになるので、議論が必要です。

――地域と合意が得られない場合は廃線に踏み切るのか。

 法律上は1年以上前に届出をすれば廃止できますが、合意が得られない場合にそのような手続きをするという前提はありません。当社としてはきちんと地域と対話し、最適な交通体系をともに実現したいと考えており、それに向けて全力で取り組みます。

⚫︎日本のローカル線の議論はいよいよ避けられない状況に
 今回のインタビューで感じたことは、日本の鉄道が100年来抱えてきた問題から、いよいよ目をそらせなくなってきているということだ。

 19世紀から20世紀初めまで鉄道は唯一の高速かつ大量輸送が可能な交通機関であった。特に「地方」において鉄道は「中央」とのつながりを示すものであり、近代化そのものを意味していた。

 世界に目を向けるとアメリカでは1910年代、ヨーロッパでも1930年代からモータリゼーションが始まり、鉄道は衰退の時代に入るが、日本では1960年代まで待たねばならず、その後も長くシンボルとしての鉄道が希求され続けた。こうした地方の声を背景に「我田引鉄」を推し進めた政友会内閣は1922年に鉄道敷設法を改正し、1万キロ以上に及ぶローカル線の建設を推進する方針が確立される。

 しかし当時からこれを危惧していた人もいた。鉄道院(国有鉄道)で運輸局長を務めた木下淑夫は1923年に、鉄道の本分は大量輸送であり、輸送量を見込めない地方に莫大な資本を投下しても回収できないとして、小規模な輸送需要に柔軟に対応可能で、線路建設よりもはるかに少ない費用で整備できる自動車輸送を拡大すべきだ、と問題提起している。

 戦後、公共企業体としての国鉄が発足した後も鉄道敷設法に基づくローカル線建設は推進されるが、国鉄の経営が悪化してペースダウンすると、ローカル線を中心とした新線建設の受け皿として1964年に鉄道建設公団(鉄道公団)が設立された。

 国鉄が1966年に赤字に転落すると「使命を終えたローカル線」の廃止に向けた議論が始まるが、その一方で鉄道公団はローカル線の建設を進めるという矛盾した状況に陥った。ローカル線の建設が凍結されるのは、国鉄再建法が成立した1980年のことだった。

 同時に国鉄再建策としてのローカル線の見直しが動き出す。輸送密度4000人未満の線区はバスによる輸送を行うことが適当であるとして、バス転換が可能な83線区3157キロの路線を「特定地方交通線」に指定し、廃止または第3セクター鉄道に転換する方針が示された。鉄道敷設法は国鉄が民営化した1987年にようやく廃止された。

 ところで国鉄再建法の審議過程で運輸省は、議員からの「公共性の放棄ではないか」との指摘に対し、「地域の足を奪うのではなく、バスへの転換によって公共交通の効率化をはかり、むしろその長期的維持を目的として」おり、「地方交通線は輸送量の低落によって鉄道特性を失っている状況にあり、収支改善の回復力がない経営努力の限界を超える赤字」が発生していると説明している。これもJR西日本の主張につながる話だ。

 この時、輸送密度4000人以下の路線が廃止されたにもかかわらず、輸送密度9人の芸備線(東城~備後落合間)や18人の木次線(出雲横田~備後落合間)、50人の大糸線(南小谷~糸魚川間)が存在するのは、特定地方交通線には鉄道を代替する道路が整備されていないなどの除外規定があり、それに該当する路線は廃止されずJRに継承されたからだ。

 つまり国鉄再建法当時の考え方に基づくならば、当時除外された要因が解消されたのであれば使命を終えたローカル線として廃止するのは当然の流れということになる。JR西日本も、今回公表した30線区に当時の除外規定に当てはまるものはないと説明する。

 ちなみに国鉄再建法施行令は、輸送密度8000人以上の黒字路線(幹線鉄道)、4000人以上の赤字でもバスより経済的な路線(地方鉄道)、4000人未満の廃止対象路線(特定地方交通線)と分類している。今回JR西日本が発表した「線区別ご利用状況」も8000人以上、4000人以上~8000人未満、4000人未満と区分していることからも、基本的に論点は国鉄時代の延長線上にあるのだろう。

 国鉄はローカル線を維持してきたが、民営化によって安易に廃止されるようになったという認識を持っている人は少なくない。だが上述のようにローカル線問題の論点や対処方針は当時からほとんど変わっていない。それでも変わったものがあるというのなら、それは鉄道以上に道路や街が変わったのである。

 JR発足から35年という月日は、鉄道開業から鉄道国有化までの34年、国鉄発足までの43年、国鉄民営化までの38年に匹敵する長さである。鉄道のあり方は時代とともに、地域との関係とともに変わってきた。日本鉄道史上、4度目の転換期を迎えた今、単なる赤字路線の切り捨てではなく、地域の活性化につながる議論が進むのか注目したい。

【訂正】記事初出時より以下のように訂正します。
24段落目:上限分離→上下分離
26段落目:地域交通活性化再生法→地域公共交通活性化再生法
(2022年3月7日15:00 ダイヤモンド編集部)
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