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大量出血も瞬時に止められる、体液に触れると固まる合成ハイドロゲルで迅速な止血を実現 202203

2022-03-09 23:31:00 | 気になる モノ・コト

大量出血も瞬時に止められる、体液に触れると固まる合成ハイドロゲルで迅速な止血を実現
 TechCrunchJapan より 220309 tetsuokanai


 東京大学は3月7日、血液などの体液に触れると瞬時に固化する合成ハイドロゲルを開発。大量出血も速やかに止血ができることを実証したと発表した。大規模な組織損傷や、血液をサラサラにする薬を服用している人にも効果があるという。

 外科手術では、出血の制御が重要になるという。通常、人の血液は凝固反応によって自然に固まるものの、太い血管からの出血には止血剤を使い、圧迫止血を行う。しかしその方法では、止血までに長い時間がかかる。また、止血剤はヒトの血液由来なので、感染症の危険性を排除しきれない。
 東京大学医学部附属病院血管外科(大片慎也医師、保科克行准教授)、東京大学大学院工学系研究科(鎌田宏幸特任研究員、酒井崇匡教授)らによる研究グループが開発した新しい合成ハイドロゲルは、通常は液体だが、体液の一種である血液に触れると瞬時に血液を巻き込んで固化し、止血されるというもの。血液凝固反応とはまったく別の作用で固まるものであり、合成物質なので感染症の心配もない。

 主成分は、4分岐型ポリエチレングリコール(PEG)。弱酸性では液体だが、中性になると急速に固まる。血液と反応すると、血液が中性を保とうとする緩衝作用により瞬間的に中和されて固化するということだ。

 ラットを使った実験では、下大静脈大量出血の状態を作って合成ハイドロゲルを適用したところ、1分後には安定的な止血効果が得られた。比較対照のために既存の止血剤と圧迫止血を行ったラットでは、同じ時間内には止血はできなかった。止血から1週間後に再び開腹して合成ハイドロゲルを適用した部位を調べたところ、既存の止血剤よりも炎症反応が軽かった。

 この合成ハイドロゲルは、「病気や抗凝固薬によって血液が固まりにくい状態にある患者さんにおいても、速やかに止血を達成できる局所止血材を開発できる可能性」があるとのこと。また、血液以外にも髄液などの体液漏出防止剤としても応用できるという。それにより、医師と患者の双方の精神的負担軽減に貢献できると、研究グループは話している。
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CNT配向膜を用いて広波長帯域の偏光を直接発生させる熱光源、慶大が開発 202203

2022-03-09 23:17:00 | なるほど  ふぅ〜ん

CNT配向膜を用いて広波長帯域の偏光を直接発生させる熱光源、慶大が開発
 マイナビニュース より 220309  波留久泉


慶應義塾大学(慶大)は3月9日、カーボンナノチューブ(CNT)が高密度に配列・積層された「CNT配向膜」を用いて、広波長帯域の偏光をダイレクトに発生させる電気駆動の熱光源を開発することに成功したと発表した。

NIMSなど、らせん構造の局所的変化によりCNTトランジスタの開発に成功

 同成果は、慶大理工学部 物理情報工学科の牧英之教授、ライス大 電気・コンピューター学科のJunichiro Kono教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、米化学会が刊行する材料と化学・工学・生物学などとのインタフェースに関する基礎と応用の両研究を扱う学術誌「ACS Materials Letters」に掲載された。

 電場や磁場が進行方向に振動しながら進んでいくのが光(電磁波)で、その振動方向が規則的なものは光の重要な性質の1つである「偏光」であり、それを活用する技術は分析・センシング・光デバイスなど幅広い分野で活用されるようになっている。

 偏光を直接発生させる光源の現在の主流はレーザー光源であり、その高輝度、発光スペクトルが単色で狭線幅であるといった特徴を活かして広く応用されている。しかし、狭線幅のレーザーは、広い波長範囲でのスペクトル測定には利用できないことから、広波長領域での分析・センシングなどへの応用は困難とされていた。

 そうした領域に向けて、広波長帯域の光源を用いれば解決できるかというと、光源としては「通電加熱による黒体放射」を用いた熱光源、いわゆる白熱電球が主であり、これは非偏光しか発生させられないため、偏光を得るには偏光板を組み合わせて取り出す必要があり、その集積化が難しいという課題があったという。

 そうした背景を踏まえ、研究チームは1平方cmあたり10兆本のCNTが最密充填された「CNT配向膜」に着目。新たな熱光源の材料としてCNT配向膜を活用し、シリコンチップ上でデバイス化して可視~赤外で発光する熱光源の開発を試みることにしたという。

 実際に開発された素子に通電加熱して発光させたところ、黒体放射由来の広波長帯域の熱放射でありながら、ダイレクトに偏光が発生可能であることが確認されたという。また、さまざまなCNTの配向方向を持つ素子も作製され、CNTの配向方向に沿った偏光が得られることも確かめられたという。


(左):開発されたCNT配向膜の熱光源デバイスの模式図。(中央)実験で得られた近赤外カメラにおける発光カメラ像。(右)今回開発された熱光源の偏光発光依存性。同デバイスからの発光を偏光板を通して測定をした結果であり、偏光板の成す角度に対する光強度の依存性が示されている。非偏光の場合、偏光板の角度によって測定される光強度は変わらないため光強度依存性は円の形状を示すが、測定結果は0度方向に広く伸びた形状をしており、同デバイスが偏光発光していることが示されている (出所:慶大プレスリリースPDF)

 さらに、得られた発光特性や偏光特性から理論モデルが構築され、配向膜を構成するCNTの低次元性が寄与していること、偏光度がCNTの温度に依存して変化することも解明されたほか、CNT配向膜の電気的・熱的異方性を積極的に利用することで、発光特性を制御したり、マイクロメートルオーダーの局所発光を実演したりすることにも成功したという。


@(左):マイクロメートルオーダーの局所発光を実演したデバイスの模式図。電極の位置を意図的にずらすことにより、CNT配向膜の異方的特性を活かし、幅1μmの局所発光が実現された。(右)実験で得られた局所発光の近赤外発光画像。電極間全体ではなく、電極(左側)の上端から電極(右側)の下端にかけた局所発光が観察された (出所:慶大プレスリリースPDF)

 今回の研究で開発された広い波長帯域で偏光した光が直接得られる熱光源について研究チームでは、偏光を用いた新たな応用を開拓する新光源として期待されるとするほか、熱光源であるにもかかわらず、ピンセットでもつまめるマクロな材料から直接偏光が得られる現象そのものについても、理科教育でも紹介されるような「熱光源は非偏光である」という常識を覆すものであり、物理的にも興味深い成果となるとしている。

 なお、開発された熱光源は、電気駆動で広い発光スペクトルを有する偏光光源であることに加えて、チップ上でマイクロサイズに微細加工することで、微小なチップ上の偏光熱光源となることから、今後、分析・センシング・光デバイスなどのさまざまな分野において、偏光の応用を開拓すると期待されるとしている。
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⚠️ “デジタル小作人”から脱する手立てはあるのか--日本と中国の比較調査から読み解く 202203

2022-03-09 23:02:00 | なるほど  ふぅ〜ん

“デジタル小作人”から脱する手立てはあるのか--日本と中国の比較調査から読み解く
 ZDnet Japan より 220309   田中克己

 「デジタル小作人」――。経済産業省でデジタルトランスフォーメーション(DX)施策を推進する和泉憲明氏が先日、ある講演会で日本のデジタル化の現状をこう表現していた。
 富士通やNECなど大手ITベンダーだけでなく、日本の政府から企業までがクラウドベンダーをはじめとする米IT企業に高い使用料を支払って、重要な価値を搾取される。そんな姿を想像する。

 そこから脱する手立てはあるだろうか。ヒントとなる興味深い調査データがあった。
 野村総合研究所(NRI)が中国の騰訊研究院(テンセント研究院)と共同で実施したオンライン会議ソフトの利用状況調査だ。調査に当たったNRI未来創発センター・上級コンサルタントの李智慧氏は2月22日の会見で、働き方から教育、医療、行政、生活など日中共通の課題を取り上げて、それぞれのデジタル化状況を報告した。

 最大の違いは、中小企業のデジタル化にある。中国の場合、中小企業のデジタル化が大手にそん色ないほど進展している。リモートワークやオンライン教育・研修にとどまらず、オンライン診療も進む。一方、日本のデジタル化は大企業を中心に進展している。

 中国は新型コロナウイルス感染症の流行前から政府や企業でオンライン会議ソフトの利用を始めていたので、数多くの業種で利用率が8割を超える。
 それに対して、日本は5割弱にとどまり、しかも中小企業の利用率は大企業の半分程度。なぜ、中国のオンライン対応は素早かったのか。

 1つ目は、オンライン会議ソフトの機能が豊富なことにある。例えば、阿里巴巴集団(アリババグループ)の「DingTalk」は、人事管理や会計管理、顧客管理などコミュニケーション以外の機能も備えている。李氏によれば、DingTalkは1000万社以上が導入し、コロナ禍には期間限定で無償提供された。
 一方、日本で働く従業員の約4割が「自分はリモートワーク制度の対象外」と、出勤を余儀なくされる。紙でやりとりする業務が根強く残っていたからだろう。

 2つ目はオンライン会議ソフトの利用シーンにある。日本は社内会議での利用が圧倒的に多いのに対して、中国は研修や教育など多様な分野で活用される。オンライン授業では、学校管理システムと連携させたり、授業の予定登録や宿題管理、入試面談に利用したりする。「中国では、先生に技術能力がなくても、画面の作成や配信が容易にできるようになっている。生徒が授業に参加したかなど、学習の進行状況も管理できる」(李氏)。オンライン授業の環境整備に大きく遅れた日本には、そうしたノウハウが乏しい。

 3つ目は行政サービス。調査によると、中国では、政府職員によるオンライン会議ソフトの利用率は、一般企業の従業員よりも高いという。クラウド型の行政向けプラットフォームがあるなど、コロナ禍前から行政サービスのオンライン化が進んでいたことも影響しているのだろう。広東省は「WeChat」上で稼働するミニプログラムを用いて1000種以上の手続きをオンラインで完結させている。上海市では、行政サービスだけでなく、モバイル決済やネット通販、レストラン予約などの生活サービスも提供する。

 日本の行政サービスは、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最もオンライン化率が低い(2019年調査)。日本の行政は対面を重視し、オンライン化に慎重だったからだろう。部門間のデータ連携もできていないため、手続きはどうしても手作業になってしまう。

 4つ目はオンライン会議ソフトの開発元だ。中国はテンセントやアリババなどの国産ソフトを導入しているのに対し,日本は「Zoom」など米国製ソフトを利用する企業がほとんど。
 つまり、日本にはトップシェアを採れるようなソフトウェアを開発する有力なIT企業が育っていないということ。中小・零細企業に無償提供するIT企業も現れない。プラットフォーマー不在は痛い。米国依存を改めるデジタル戦略を練るしかないのだろうか。


⚫︎田中 克己 IT産業ジャーナリスト
日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任、2010年1月からフリーのITジャーナリスト。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書は「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)。
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理研、光で強誘電体の比誘電率を簡便かつ可逆に制御できる材料を開発 202203

2022-03-09 22:54:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

理研、光で強誘電体の比誘電率を簡便かつ可逆に制御できる材料を開発
  マイナビニュース より 220309  波留久泉


 理化学研究所(理研)は3月3日、強誘電性を持った「ネマチック液晶」に光応答性を付与し、光によって比誘電率を広範囲にわたって制御できる材料を開発し、その応用例として「フォトコンデンサ」の開発に成功したと発表した。

北大、二段階のテンプレート化で光学的に制御可能な高分子安定化液晶を作成

 同成果は、理研 創発物性科学研究センター(CEMS) ソフトマター物性チームの西川浩矢特別研究員、同・荒岡史人チームリーダー、理研 CEMS 創発生体関連ソフトマター研究チームの佐野航季基礎科学特別研究員(現・信州大学助教)らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。

 高い流動性を持った状態の有機物であるネマチック液晶は、光シャッターとして利用できることから、スマートフォンやテレビなどの表示素子に広く用いられているほか、近年、強誘電性を有するネマチック液晶が報告され、有機物としては最大級の1万を超える比誘電率が確認された。その強誘電性の発現原理はまだ解明されていないものの、優れた特性から、広い分野での活用が期待されるようになっている。

 そこで研究チームは今回、強誘電性ネマチック液晶を応用して、光の応答により電気を蓄えたり放出したりする「フォトコンデンサ」の開発を試みることにしたという。

 今回の研究でその材料として選ばれたのは「含ジオキサンフッ素系液晶性化合物」の「DIO」で、そこに光応答性を持つ有機分子を少量添加することで、可視光に応答し、比誘電率がおよそ100倍ほど変化する材料を開発することに成功したとする。

 また、添加された光応答性の有機分子には、強誘電性ネマチック液晶に対する高い混合親和性を持ちながらも、可視光によって光異性化反応を示すアゾベンゼン基を持つ色素、通称「Azo-F」を新たに合成して用いられた。

 Azo-Fを添加した強誘電性ネマチック液晶は、波長500~550nmの緑色の光を照射すると比誘電率が減少し、波長400~450nmの青色の光を照射すると比誘電率が増加するという特性を見せることが確認された。具体的には、Azo-Fを4%混合した強誘電性ネマチック液晶では、光照射前の比誘電率は最大値で約1万8000だったものが、緑色の光(波長525nm)の30秒照射で、最小値が約200まで下がることを確認。また、そこから青色の光(波長415nm)を30秒照射すると、比誘電率が約1万8000までほぼ戻ることも確認されたという。

 緑色と青色の光を交互に照射して、可逆的な変化を100回ほど繰り返しても変化が維持されていること、レーザーなどのより強い光を用いると数秒以下で同様の変化が得られることなども確認されたとする。

 詳細な調査から、緑色光が照射されたときにはAzo-Fが「シス体」と呼ばれる嵩が高い状態に光異性化することで、強誘電性ネマチック液晶の配向秩序に擾乱を与えて強誘電性の分極構造を破壊し、強誘電性ではない通常のネマチック液晶に相転移していることが判明したほか、青色光を照射したときには、Azo-Fは「トランス体」という親和性の高い状態に光異性化することで、強誘電状態を復元することが判明。この結果について研究チームでは、強誘電性ネマチック液晶では、分子の局所的な配向構造が強誘電性の発現に関わっていることが示されているとしている。

(左)光照射によって比誘電率が変化する仕組み。(右)今回開発された光応答性強誘電性ネマチック液晶混合物の化学構造式。強誘電性ネマチック液晶DIO(上)を主材料として、新しく合成されたアゾベンゼン色素Azo-F(下)が少量添加された (出所:理研Webサイト)

 これらの成果を踏まえ、実際にフォトコンデンサへの応用を確認すべく、強誘電性ネマチック液晶を可視域において光透過性を持つインジウム・スズ酸化物半導体(ITO)の電極で挟んだだけの簡易的な平行平板コンデンサを製作し試験を実施。その結果、静電容量を約4nFから360nFにわたって光制御できることが確認されたほか、より実用状態に近い電気回路での動作を確認するために、フォトコンデンサを電気発振回路へ組み込み、光照射下での動作を調べたところ、100Hz~8.5kHzの範囲で発振周波数を変化させることに成功。研究チームでは、100Hz~8.5kHzの動作周波数範囲は4nF~360nFの静電容量変化に対応するが、動作限界周波数はこの外側にあると考えられるとしている。

@従来のフォトレジスタ、フォトダイオードとフォトコンデンサの比較。これまでに実現されている光に応答する電気素子(フォトレジスタ、フォトダイオード)と、今回実現されたフォトコンデンサの比較。フォトコンデンサの回路記号は、これまでの光応答素子の記号に倣って考案された (出所:理研Webサイト)

@光照射による比誘電率の変化。(A)緑色、次いで青色の光を各30秒ずつ照射した際の比誘電率の変化。(B)照射時の比誘電率(1kHz)の時間変化とその繰り返し試験。(C)さまざまな外部刺激(熱、電気、化学、物理、光)で比誘電率を変える既知材料群との比較 (出所:理研Webサイト)

 液晶を用いた平行平板コンデンサの概略図。(A)従来のネマチック液晶を使ったコンデンサと、強誘電性ネマチック液晶を2枚のITO(インジウム・スズ酸化物半導体)電極板で挟んで作製した平行平板コンデンサ(液晶セル)。(B)静電容量と誘電率の関係 (出所:理研Webサイト)

@フォトコンデンサの概略図と可視光照射による静電容量の制御。フォトコンデンサは強誘電ネマチックと光応答性アゾベンゼン色素の混合物を液晶セルに注入しただけで作製できる (出所:理研Webサイト)

 研究チームによると、光応答性の強誘電性ネマチック液晶は、今回のフォトコンデンサ以外にも、これまでにないさまざまな光電気素子の実現が期待できるという。
 単純な構造でありながら光照射によって高容量状態と低容量状態とを行き来できることから、電力需要に応じて自在に出力電力を変化させる蓄電装置など、新たな電気素子の要素技術となり得るとするほか、今回の研究では加熱が必要な材料が使われたが、室温でも利用できる強誘電性ネマチック液晶はすでに開発されていることから、それを用いることで室温でも動作するフォトコンデンサが実現可能だとする。また、基本的な素子構造は液晶ディスプレイと同じであるため、既存の液晶技術・産業基盤を利用できる可能性も期待できるともしている。
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4000年かかるヒト遺伝子の網羅的探索を富岳と「発見するAI」利用し1日で完了、肺がん治療薬と耐性の因果メカニズム抽出 202203

2022-03-09 22:23:00 | 気になる モノ・コト

4000年かかるヒト遺伝子の網羅的探索を富岳と「発見するAI」利用し1日で完了、肺がん治療薬と耐性の因果メカニズム抽出
 TechCrunch より 220309  tetsuokanai

 東京医科歯科大学と富士通の研究グループは3月7日、スーパーコンピューター「富岳」と、富士通が開発した「発見するAI」を用いて、肺がん治療薬の耐性の原因と思われる遺伝子の、新たな因果メカニズムの抽出に成功したと発表した。
 これは、2万変数ものデータを1日以内で超高速計算し、1000兆通りの可能性から未知の因果を発見できる技術の開発によるもの。

 がんの原因となる分子だけに作用する「分子標的薬」は、投与を続けると、それに対する耐性を持つがん細胞が増殖し再発するという課題があり、そのメカニズムを解明するには、精緻なデータと解析技術が不可欠となる。
 また,薬の臨床治験では,効果が期待できる患者を選ぶ必要があるが,個人の遺伝子やその発現量により薬剤効果が異なり,遺伝子の発現量の組み合わせパターンは1000兆通りを超える。
 がんに関係することが判明している主な50個の遺伝子の組み合わせに限定し、各遺伝子の発現量を2分類(遺伝子の発現の「高い」「低い」など)とした場合でも、条件数は2の50乗となり、1000兆通り以上となるそうだ。

 そのため、効率的な探索技術が求められており、その有力な候補となるのが富士通が開発した「発見するAI」だ。
 これは、判断根拠を説明でき、知識発見が可能なAI技術「ワイドラーニング」(Wide Learning)を用いて、特徴的な因果関係を持つ条件を網羅的に抽出する技術なのだが、2万個あるとされるヒトの全遺伝子を網羅的に探索しようとすると、通常の計算機では4000年以上かってしまう。

 そこで研究グループは、富岳に条件探索と因果探索を行うアルゴリズムを並列化して実装し、計算能力を最大限に引き出した。そこに「発見するAI」を活用したところ、ヒトの全遺伝子に対する条件と因果関係の網羅的探索が1日以内で実現した。
 そして、肺がんの治療薬に耐性を持つ原因となる遺伝子の特定に成功した。

 研究グループは、今後、薬効メカニズムやがんの起源の解明といった重要課題に取り組むとしている。
 また東京医科歯科大学は、この技術を用いてがんや難病の攻略法の研究を推進する。
富士通は、マーケティングやシステム運用などで複雑に交錯する因子を発見し、意志決定を支援する取り組みを進めるとのことだ。
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