ノーサイドの瞬間、どよめきが歓声に変わった。
トップリーグ優勝候補と言われているサントリーが格下のコカコーラ・ウエストに負けた瞬間だ。
ラグビーの試合で番狂わせが起こるというのは無い。フィットネス・スキルの差が絶対的に点数として現れるからだ。
だから22対23と言う一点差の勝利であれ、ジャイアントキリング(大物食い)を目の当たりにできるとは思ってなかった。
でも、今日の試合はひょっとしたら?と思っていた。
その理由は一つだけ。
関東学院OBの意地・・・である。
この10年間、大学ラグビーを盛り上げてきた関東学院。そこから出てきた素晴らしい選手たち。彼らは今もトップリーグで活躍している。その中でもコカコーラ・ウエストには関東学院OBが特に多い。天才SO淵上宗志、No.8山口智など関東学院の黄金時代を支えてきた面々がこのチームには揃っている。今年、黄金時代はあっけなく終わりを迎えてしまった。
関東出身者の意地。それが全面に出れば・・・
いい試合だった。サントリーに先制されようと、焦らずPGで3点を積み重ねていく。後半6対22で負けている時もPGを選択した時、応援しているスタンドからはトライを狙えという空気が漂ったが、僕は全く違う風に思っていた。このPGを決めれば13点差。2トライ2ゴールで逆転できる。こいつらは全然勝負を諦めていない。残りの時間で2トライ2ゴールを取れると思っている・・・
果たして試合はその通りの展開となった。コカコーラウエストは後半15分・23分と立て続けにトライ・ゴールを決めて逆転。そこからノーサイドまでの20分、ウエストはよく守った。そのポイントポイントで出る淵上のキックは素晴らしく相手陣地を奪い取っていった。モールで押そうとするサントリーをしっかり止めていたFWも素晴らしかった。そしてノーサイド。
今日のウエストは本当に強かった。
勝負事に絶対は無い。