日本語おもしろ発見

日々の生活から

「美しい」と「きれい」の違い

2007-07-25 11:23:24 | 日本語豆知識

  安倍首相のスローガンが「美しい国日本を作る」であることや、自身の政権を「美しい国づくり内閣」と命名したのは、皆さんもよくご存知のことです。

 ところで、似た言葉に「きれい」がありますが、「美しい」と「きれい」は何が違うんでしょう。まず、品詞が違います。「美しい」は形容詞(イ形容詞)ですが、「きれい」は「きれいだ」の語幹ですから、形容動詞(ナ形容詞)です。(したがって、「きれかった」「きれくない」というのは文法的に間違っています。)

 次に意味ですが、どちらも*「姿・形・色・音などが、整っていて鮮やかで快く感じられるようなさま」という意味です。では、何が違うのでしょう。次の例を見てみましょう。

   ? きれいな友情、きれいな行為

   〇 美しい友情、美しい行為

   ? 美しく手を洗う、美しく忘れる

   〇 きれいに手を洗う、きれいに忘れる

  つまり、「きれい」は、汚れていなくて清潔なさま、残りの全くないさまにも遣われます。具体的ですね。それに対して、「美しい」は、人の行為や態度にも遣われますが、かなり抽象的ですね。雰囲気はわかりますが、具体的に何を言っているのかはわかりにくいです。

 話は戻りますが、「美しい国」というのはイメージ優先で具体的ではありません。それを意識しているのかどうかはわかりませんが、ある地下鉄構内でこのようなポスターを見つけました。

「きれいな国・日本へ!!」

 これは、「美化推進条例」制定10周年のポスターです。ゴミなどのない、清潔な町にしようということですね。はい、非常にわかりやすいです。

参考文献 『使い方の分かる類語例解辞典』(1994)小学館

 

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