思へば、年賀状に「新春」や「迎春」の文字が踊つてゐるのを見た時に、真冬なのに春だといふのは奇妙な感じがしたものだ。
もうひとつ。皆さんは一年のなかで、「お盆」と「お正月」の配置のバランスが悪いと思つたことはないであらうか。多くの地方でのお盆は八月の半ばであり、さうすると、もうひとつの日本の大きなイベントであるお正月まで四ヶ月半しかない。
これは明治時代に新暦を採用した時に、「冬だらうが何だらうが一月は正月である」、といふ原理原則を貫いた為に生じた問題である。私の提案としては、現行の暦の一月一日だけは「年初の日」と称する休日にして、お正月の行事は春の兆しがある旧暦の期間に移行したらどうであらうか、といふものだ。政府には是非、この「お正月の解釈変更」を閣議決定してもらいたいものである(笑)。
さうすれば自然と「七夕」も旧暦に移り、今年の現行暦では八月の二十五日になる。梅雨ではないから晴れる確率も高いであらうし、何より、古来から秋のはじめの行事である七夕の位置が元に戻る。厳密には “lunar calendar” の訳である太陰暦と、ここでいふ旧暦は少しずれるやうであるが、織姫と彦星の会へる口実が増えるのでよいであらう。
https://www.youtube.com/watch?v=HzeGOu6rSC8&feature=emb_err_woyt
風従昨夜聲弥怨
露及明朝淚不禁
風は昨夜より聲いよいよ怨(うら)む
露は明朝に及んで淚禁ぜず
『和漢朗詠集』
黒玉(ぬばたまの)
宵霧隠(よぎりにこもり)
遠鞆(とほくとも)
妹伝(いもがつたへは)
速告与(はやくつげこそ)
人麿