『こんにちは、母さん』⑬
黒澤明の『夢』「トンネル」は公開された当時、なぜ今更戦争の記憶を描く意味があるのか訝しがった声も上がったし、私も当時の日本には戦火の兆しは感じられなかったけれど、監督にははっきりと、その後の日本のその兆候が見えていたのだ。
今回の山田監督の映画にも、言問橋でイノさんが子供のころの東京大空襲の記憶を現在のこととして自分が突き動かされている場面がある。それに対し私の後ろの観客が「(田中泯さんの演技が)うまいわねぇー」と上映中に感嘆していたけれど、それは無理にシーンを客観視しようとしているようにも私には聞こえた。現在の用語は空襲から空爆へと変わっているが本質的には同じであり、もう日本は1990年の日本ではないのだ。
そこで、原作戯曲を確認しようと思い県立図書館へ行ったら、図書整理日で臨時休館だった(笑)。原作はここに収蔵されているのでいいとしても、あの言問橋の資料の『炎に覆われる言問橋』と、『言問橋浅草側の火焔地獄』はないので、今度、すみだ郷土文化資料館か国会図書館へ行ってみようと思う。
黒澤明の『夢』「トンネル」は公開された当時、なぜ今更戦争の記憶を描く意味があるのか訝しがった声も上がったし、私も当時の日本には戦火の兆しは感じられなかったけれど、監督にははっきりと、その後の日本のその兆候が見えていたのだ。
今回の山田監督の映画にも、言問橋でイノさんが子供のころの東京大空襲の記憶を現在のこととして自分が突き動かされている場面がある。それに対し私の後ろの観客が「(田中泯さんの演技が)うまいわねぇー」と上映中に感嘆していたけれど、それは無理にシーンを客観視しようとしているようにも私には聞こえた。現在の用語は空襲から空爆へと変わっているが本質的には同じであり、もう日本は1990年の日本ではないのだ。
そこで、原作戯曲を確認しようと思い県立図書館へ行ったら、図書整理日で臨時休館だった(笑)。原作はここに収蔵されているのでいいとしても、あの言問橋の資料の『炎に覆われる言問橋』と、『言問橋浅草側の火焔地獄』はないので、今度、すみだ郷土文化資料館か国会図書館へ行ってみようと思う。