知らざりし大海《おほうみ》の原に流れきてひとかたにやはものは悲しき
とて、ゐたまへる御さま、さる晴《はれ》に出でて、言ふよしなく見えたまふ。海の面《おもて》うらうらとなぎわたりて、行く方もしらぬに、来し方行く先思しつづけられて、
八百《やほ》よろづ神もあはれと思ふらむ犯せる罪のそれとなければ
とのたまふに、にはかに風吹き出でて、空もかきくれぬ。御祓《はらへ》もしはてず、立ち騒ぎたり。肘笠《ひぢかさ》雨とか降りきて、いとあわたたしければ、みな帰りたまはむとするに、笠も取りあへず。さる心もなきに、よろづ吹き散らし、またなき風なり。浪いといかめしう立ちきて、人々の足をそらなり。海の面は、衾《ふすま》を張りたらむやうに光り満ちて、雷《かみ》鳴りひらめく。落ちかかる心地して、からうじてたどりきて、「かかる目は、見ずもあるかな」「風などは、吹くも、気色《けしき》づきてこそあれ。あさましうめづらかなり」とまどふに、なほやまず鳴りみちて、雨の脚あたる所|徹《とほ》りぬべく、はらめき落つ。かくて世は尽きぬるにやと、心細く思ひまどふに、君はのどやかに経うち誦《ず》じておはす。暮れぬれば、雷《かみ》すこし鳴りやみて、風ぞ夜《よる》も吹く。「多く立てつる願《ぐわん》の力なるべし」「いましばしかくあらば、浪に引かれて入りぬべかりけり」「高潮《たかしほ》といふものになむ、とりあへず人損はるるとは聞けど、いとかかることは、まだ知らず」と言ひあへり。暁方みなうち休みたり。君もいささか寝入りたまへれば、そのさまとも見えぬ人来て、「など、宮より召しあるには参りたまはぬ」とて、たどり歩《あり》くと見るに、おどろきて、さは海の中の龍王の、いといたうものめでするものにて、見入れたるなりけりと思すに、いとものむつかしう、この住まひたへがたく思しなりぬ。”
『源氏物語』 https://roudokus.com/Genji/12-22.html (左大臣どっとこむ)
【お知らせ】
— 朝ドラ「舞いあがれ!」 (@asadora_bk_nhk) February 26, 2023
3/31に大阪で開催するイベント「#舞いあがれ !感謝祭」に歌人 #俵万智 さんの出演が決定!
▼観覧応募・イベント詳細はこちらhttps://t.co/nsiIExcsap
俵さんは今夜放送の「#プロフェッショナル 仕事の流儀」にもご出演です。ぜひご覧ください。
2/27(月)夜10時~〈総合・全国〉 pic.twitter.com/M1V1iZxY3I
テレビを持っていない私は、この番組を見ることができなかった。残念なことである。
【#2分で舞いあがれ 第20週】
— 朝ドラ「舞いあがれ!」 (@asadora_bk_nhk) February 19, 2023
1週間分の物語をだいたい2分にまとめました🛩
※ネタバレ満載ですので、本編をこれからご覧になる方はお気を付けください
<出演>#福原遥 #赤楚衛二 #山下美月 #古舘寛治 #八木莉可子 #川島潤哉 #大浦千佳 #葵揚 #山口紗弥加 #永作博美 ほか#朝ドラ #舞いあがれ pic.twitter.com/r5ONQtwHaY
三百首の短歌のなかに、ひとつだけ、恋の歌。
— 朝ドラ「舞いあがれ!」 (@asadora_bk_nhk) February 15, 2023
「本歌取りやからですよ」
目立たぬように並んでいる恋の歌に、秋月さんは気付いていました。。#川島潤哉 #八木莉可子 #朝ドラ #舞いあがれ pic.twitter.com/HtIXvaAJVh
北條さんに言われた恋の歌十首
— 朝ドラ「舞いあがれ!」 (@asadora_bk_nhk) February 15, 2023
まだ、ひとつも詠めないでいる貴司くん…#赤楚衛二 #朝ドラ #舞いあがれ pic.twitter.com/NBBBtJvngp
北條さんの問いかけに、小さくうなずく貴司くん。
— 朝ドラ「舞いあがれ!」 (@asadora_bk_nhk) February 17, 2023
編集者・リュー北條のもどかしさが感じられた一幕でした。。
もうすぐお昼の放送です。舞ちゃん、貴司くん、秋月さん、北條さん…みんなの思いが詰まった15分、ぜひぜひご覧ください。#赤楚衛二 #川島潤哉 #朝ドラ #舞いあがれ pic.twitter.com/aVuNxyCz9h
貴司くん(とリュー北條)に捧ぐ…
— 俵万智 (@tawara_machi) February 16, 2023
千億の星の一つになりたくて心が空を舞いあがる夜
一瞬の君の微笑み永遠にするため僕は歌い続ける#舞いあがれ
“世ゆすりて惜しみ きこえ、 下に朝廷をそしり、恨みたてまつれど、「 身を捨ててとぶらひ参らむにも、何のかひかは」と思ふにや、かかる折は人悪ろく、恨めしき人多く、「 世の中はあぢきなきものかな」とのみ、よろづにつけて思す。”
『源氏物語』 http://www.genji-monogatari.net/html/Genji/combined12.1.html
“社会全体が源氏を惜しみ、陰では政府をそしる者、恨む者はあっても、自己を犠牲にしてまで、源氏に同情しても、それが源氏のために何ほどのことにもならぬと思うのであろうが、恨んだりすることは紳士らしくないことであると思いながらも、源氏の心にはつい恨めしくなる人たちもさすがに多くて、人生はいやなものであると何につけても思われた。”
『同上』 (現代語訳 与謝野晶子)