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映画『東京家族』について

改元記念(7)NHK受信料

2019年03月27日 | 映画『東京家族』
 私は現在テレビを持っておらず、テレビ放送を受信できるというスマート・フォンもない。ところが今、NHKには、PCを持っている人からも受信料を徴収しようという計画があるそうだ。これには私も対象者として該当する。尤も、私もNHKが昔のように、良質な番組を続々と生み出し続けてくれるなら、たとえPCで見る番組が少なかったとしても、受信料を払うのに吝かでない。
 例えば今、反原発の運動をされているルポライターの鎌田慧氏が、『反骨のジャーナリスト』と題し、時の政府,権力と激しく対峙した八人の仕事を再評価し、紹介した連続講座がNHKにあった、と言っても、若い世代の方々には信じられないであろう。これは2002年の放映だから小泉政権の時であり、今から考えるとNHKもまだ、正常な「ジャーナリスト精神」が働いていたのだと思える。















『人間講座,反骨のジャーナリスト(1)陸羯南(くが・かつなん)』鎌田慧


























『3.21さようなら原発全国集会』U PLAN,2019.3.21

 









 NHKのニュースで試しに見た、この10月に行われる『195 nations to be invited to enthronement ceremony』も昔と違い、政府広報のようにやけに、首相Aが映っている時間が長かった。今は映像が消されているが、PCへ配信する政治ニュースはこんな感じになるのだろう。



 














 私が思うお金を払ってでも見たい番組の一例は、上記の『人間講座』の前身である『人間大学』、そのまた前身の『市民大学』である。














 これだけの講師が毎週三十分、または四十五分とじっくりと時間をかけて、多様で深いテーマを教えてくれるのだ。いまはもう、梅原先生もキーン先生もいないので、日本に限らず世界中からNHKの取材網で、第一線の研究をまた、紹介してほしい。









































※ ウィキペディアではこの講座の講師名が間違っていた。こういう過去の動画も整備し、いつでも視聴できるようにしてくれたなら、私は喜んで受信料を払う。



 
























































 そういえば、『クイズ面白ゼミナール』なども楽しい番組だった。


































































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改元記念(6) 三の丸尚蔵館,糸箪笥 

2019年03月21日 | 映画『東京家族』
 実を言うと、先日書いた迎賓館へ行った暫く前に、三の丸尚蔵館の特別展も拝観していた。その時は大変混雑していたのと、時間がなかったのとで、駆け足の鑑賞であった。そのため、まだ期日はあるので後日あらためて訪れてから記事を書こうと思っている。今日は、ご展示品のひとつ、「糸箪笥」に関するメモだけを、簡単に載せておく。

 私が拝見した時は、十三種類の絹糸の束がご展示されていた。


あけび (鉄)
柊 (鉄)
白樫 (鉄)
団栗〔どんぐり〕 (鉄)
紫根〔しこん〕 (椿灰)
現の証拠 (鉄)



 

 団栗が二種類、紫根が七種類で、計十三種類である。植物で染められた糸は繊細で優しい色をしている。特に、七種類ある紫根の、淡い紫から濃い色へ移っていく gradation は美しい。括弧内の鉄や椿灰は媒染剤である。



【媒染】 染料が直接染着しない場合に、繊維を媒染剤の溶液にひたし、これをしみこませて染料を固着させる染色法。 『広辞苑第六版』(最新の第七版は買っていないので、八版が出たら必ず買います ^Ⅲ^)







 また、萬葉集にこんな歌がある。

紫草(むらさき)は灰さすものぞ。海石榴市(つばいち)の八十(やそ)の衢(ちまた)に会へる子や。誰


 “紫草の汁には、椿の灰の汁を注して染めるという、その名を持った椿市の、人のたくさん行き交う、四通八達(しつうはったつ)の辻で出会うたお前さんは、一体誰だ。名を名告って聞かせなさい。” 折口信夫訳




 






 そして、志村ふくみさんの『小裂帖』には、「裂(きれ)によせて」という詩が載っている。




なぜ、ひとは
ガラス絵や、貝殻や、玉(ぎょく)をみるように
織物をみようとしないのだろう

どんな材料で
どうして染め
どのようにして機にかけ
織り上げたのかと
まず問いかける

まるでそういう仕掛しか
織物にないかのように

私はまず その仕掛から
織物を解きほぐして
鳥籠の上で ヒラヒラする細長い旗や
マッチ箱みたいに小さな裂を

もっと身近に
掌にのせ、陽に透かして
かざしてみたい
螺鈿の筥(はこ)に宝石のように
しまってみたい

そうすればきっと
それらの裂の中から
色の粉々が空中に舞い散ったり
糸のあわいから、響いては消えてゆく
かすかなさざめきが
聞こえるかもしれない

裂は何か姿を変えたがっているかもしれない
色も、少し光の領域にはみ出したがっているかもしれない

紺の甕(かめ)のぞきまで
藍の一家眷族(けんぞく)が
しんから心を寄せ合うと
汀に打ちよせる漣(さざなみ)の光になる

紅からうす紅まで
紅花の一片(ひとひら)ずつが
そっと顔をよせ合うと
北国の朝咲きの花になる

それからまた
裂の中に、まるでからくりみたいに
子犬の十字架
五重の塔や、お姫さん
利休鼠の夕顔や
竹薮に雪までそえて
かくしてあるのが、わかるかもしれない


(昭和五十二年)

























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改元記念(5) 迎賓館赤坂離宮

2019年03月18日 | 映画『東京家族』
 よく晴れた春の一日、訪れたのは迎賓館赤坂離宮。接遇に使用されない日には一般公開もされている。現在、『御在位三十年慶祝行事』の一環として本館内に、両陛下が外国の賓客とお会いになっている写真が展示され、平成の三十年間を振り返るビデオも上映されている。東京サミットでのジスカール・デスタン,ジミー・カーター,大平正芳等各国首脳のサインも展示されている。


 迎賓館には初めて入ったが、明治三十二年から十年をかけて、この巨大で異常に美しい建築物を作った時代精神には圧倒された。現在は改修中で来月から公開される部屋もあるそうなので、四月にもう一度行ってみたいと思った。館内は撮影禁止であり、ネット上にあるこの記事は迎賓館の歴史等がよく纏まっている。



『迎賓館赤坂離宮のアフタヌーン・ティーで贅沢すぎる非日常体験を!』 LINE トラベル jp
https://www.travel.co.jp/guide/article/33850/

『迎賓館赤坂離宮』 HP
https://www.geihinkan.go.jp/akasaka/asahi_no_ma/






 


 主庭と前庭の撮影は自由となっている。



























































 広大な前庭を抜けて、白と金色に彩色された華麗なメイン・ゲートが出口となる。この場所で、結婚記念であろう写真を撮影している人たちがいた。新婦は美しい白のウェディング・ドレスで、新郎は昼の正装であるモーニング姿である。









 



 プライバシーの関係があり、人物が特定できる接写はしなかったので、代わりにイメージ映像として、‘Zuhair Murad,Haute Couture Spring Summer 2019’をお楽しみ下さい(笑)。

https://youtu.be/tdiE4BCLVxA?t=903




 





 









 少しすると、警備の人がカメラマンに、「あと2~3分で天皇陛下がお通りになるので、その間撮影を中止してほしい」と言った。私は自分の耳を疑ったが、暫くして実際に、学習院初等科の方角から白バイが現れた。




































 続く黒い車列の一台にはまさに、美智子皇后陛下がお乗りになっていられ、開いた窓からやさしく微笑む美智子さまを間近で拝見できたので思わず手を振ると、美智子さまも手を振り返して下さった。一瞬の偶然な僥倖に深く感謝しながら、幸せな気持ちで帰途についた。あの時夢中で押したシャッターの一枚には、肉眼では見えなかった反対側の席で、同じく穏やかに手を振っていられる天皇陛下と、お隣に白とピンクの花束をお抱えになった皇后陛下のお姿が映っていた。勿体ぶるわけではないが、これは私の宝物として公開はしない(笑)。ただ、両陛下の御前で失礼がないようにネクタイを締めていたのは、偶然ではあったがよかったことである。






















































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改元記念(4) 新元号大予想 ^Ⅲ^)!

2019年03月10日 | 映画『東京家族』

 少し前、英語の勉強のために『The Japan Times』を読んでいたら、こんな記事があった。


『March 3, 2019 The Japan Times』


https://www.japantimes.co.jp/news/2019/03/02/national/japans-next-era-name-might-draw-japanese-classics-sources/#.XITgmMn7Tct




 新元号は4月1日に発表されるということであるから、政府内部ではもう決定しているのだろう。そしてその元号の典拠は、史上初めて、中国の古典からではなく日本のそれから採られることを、“the sources”が各メディアに流している感じの記事だった。 首相が長年にわたる伝統を覆してまで中国を嫌う心理は、私には判りかねるが、“inferiority complex”の裏返しのような気がしないでもない。更に、ネット上では、自身の名前である「安」や「晋」を元号に入れるという予測もあった。まあ、普通の人なら恥ずかしくてやらないだろうけれど、あの人ならそうするかもしれない、という感触はある。
 これはつまり、今迄に前例のない大きな変更をふたつもするのだから、それ相応の目に見えない反作用が起きることは覚悟の上なのであろう。

 


 その上で、私が最初に思い浮かべた元号は「安水(ansui)」であった。「安」は規定路線として、新陛下は「水」のご研究をライフ・ワークとされているので、「安らかな水」、という意味なら日本の古典の一節にもあるだろうし、「安」は「水」にかかる形容詞であるから、ぎりぎりの許容範囲であろう。しかしこれには大きな落とし穴があった。「安水」をネットで検索すると「アンモニア水」の意味があるとあった。これでは駄目である。


 次に、「水」を大きく解釈して「海」とすると「安海(ankai)」となるが、これも相撲取りの四股名のようで駄目である。では角度を変えて、太平洋等の「洋」ならどうなるかというと、「安洋(anyō)」である。これは、そのまんま「安●洋子」であるが、語感はいいので第一の候補としよう。


 

 ここまで来ると、「安」ではなく、「岸」でもいいような気がしてきた。「岸」は案外詩的な言葉であり、啄木の有名な歌、




やはらかに柳あをめる
北上の岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに






にも入っているし、何より歌会始のお題になったこともある美しい言葉である。

http://www.kunaicho.go.jp/culture/utakai/pdf/utakai-h24.pdf (宮内庁)










 「岸 (kishi, gan)」を入れた元号で最初に思いついたのは、「岸米(ganbē)」である。岸米元年、岸米二年、岸米三年……と、なかなか重厚な響きがあっていい感じである。もうひとつ「岸」+「水」の類語でいろいろ試したが、一番良かったのは「青岸(sēgan)」であった。一応これも検索してみると、西国三十三所第一番札所の「青岸渡寺(せいがんとじ)」が出てきた。


https://www.nachikan.jp/kumano/seiganto-ji/

https://www.saikoku33.gr.jp/place/1

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E5%B2%B8%E6%B8%A1%E5%AF%BA


 
 由緒のあるお寺のようなので、いつかは訪れてみたいと思った。しかし問題は、ローマ字表記の頭文字が「昭和」と同じく「S」となってしまう事だ。だがこれは「Sho」と「Se」で書き分ければいいので、「青岸」を第二候補とする。





 


 こうなってみると、「名前」や「日本の古典」から離れて、従来の漢籍から採るとどうなるかと思い、私の少ない蔵書を繰っていたら、『論語』にこの言葉があった。




子曰、知者楽水、仁者楽山。
知者動、仁者静。
知者楽、仁者寿。

子曰く、知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。
知者は動き、仁者は静かなり。
知者は楽しみ、仁者は寿(いのち)ながし。


 


 新陛下は「水」をご研究され、「山」を楽しまれているようなので、典拠としてはぴったりなのではないだろうか。『論語』全体のキー・ワードでもある「仁」が先に来るかつての元号には、「仁寿」「仁和」「仁平」「仁安」「仁治」の五例がある。そして「仁」の読み方は全て「にん」である。新しい元号はこれを「じん」と読み、第三案を「仁知(jin-chi)」とする。



















①「安洋(anyō)」
②「青岸(sēgan)」
③「仁知(jin-chi)」
























この三案を以って、私は「有識者懇談会」に提出したい ^Ⅲ^)



















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