小泉元首相から好意的な目で見られてきた前原外相が、拉致被害者奪還の先頭に立っているのは因縁的だ

2011年01月12日 20時04分48秒 | 政治
◆北朝鮮による日本人拉致被害者救出問題が、ここにきて急展開してきた。埼玉新聞が1月12日付け朝刊「第2総合面」で、「『6カ国』とらわれ 日朝交渉で前原外相」との見出しをつけて、以下のように報じている。
「前原誠司外相は11日の記者会見で、北朝鮮核問題に関する6カ国協議再開の見通しが立たなくても日本人拉致問題解決に向けた日朝交渉の再開を模索する考えを明らかにした。『6カ国協議開催の是非にとらわれず、話し合いが行われるべきだ』と述べた。北朝鮮が2008年の日朝実務者合意に基づく拉致被害者再調査委員会の設置に応じなくても、交渉再開に応じる可能性にも含みを残した。
 従来、日本政府は日朝交渉が6カ国協議に先行することを控えてきた。6カ国協議は長らく中断している上、北朝鮮の韓国砲撃による朝鮮半島緊迫化を受け、再開のめどが立っていない。外相発言は、日朝交渉への積極姿勢を示すことで、北朝鮮側の出方を探る狙いがあるとみられる。ただ、日米韓3カ国は北朝鮮に厳しい姿勢で臨む方針で足並みをそろえており、日本が交渉を急ぎすぎると米韓との連携に影響が出ることも予想される。
 前原氏は、日朝交渉に向けた基本姿勢に関して『2002年の日朝平壌宣言を踏襲する』と強調。核、ミサイル、拉致問題の包括的解決と『不幸な過去』の清算を通じて国交正常化を目指す立場に変わりがない考えを強調した。
 拉致被害者再調査委員会設置を日朝交渉入りの事実上の条件としてきた従来方針については『政権交代があったので、どのような形で今後臨むかは白紙だ』と説明した。前原氏は4日の記者会見でも日朝交渉に前向きな考えを表明。北朝鮮の朝鮮中央通信が論評で『新世紀の平和と安定を進める時代的流れと国家関係の発展に符合する』と評価した経緯がある」
◆このニュースの最大のポイントは、「6カ国協議開催の是非にとらわれず、話し合いが行われるべきだ」というところである。6カ国協議は、緒戦半島の「非核化」にしか関心のない米国が、障害になり、小泉純一郎元首相の2度の訪朝による拉致被害者奪還以来、まったく前進しなかった。小泉元首相が初めて訪朝したとき、米国ブッシュ政権に事前連絡なく実行したことから、米国の怒りを買い、「勝手なことをするな」と脅された。
 その小泉元首相から好意的な目で見られてきた前原外相が、拉致被害者奪還の先頭に立っているのは、いかにも因縁的である。
◆中国は、北朝鮮を依然として「属国」扱いしているえに、レアメタルなど地下資源を独占しようとして、北朝鮮の国際的犯罪を止めようとしてこなかった。北朝鮮崩壊時、難民が押し寄せてくるのが、恐いからでもある。ロシアも、ほぼ同様である。
 各国の利害が複雑に絡まり、にっちもさっちも行かなくて、経済発展できず困っているのは、北朝鮮自体であるのは、だれの目にも明らかだ。中国やロシアとの古い絆から解放されて、米国との友好関係を一番望んでいるのは、何を隠そう北朝鮮である。朝鮮戦争をいつまでも休戦ではなく、終戦にして欲しいと切望している。
◆北朝鮮が、いまの膠着した状態を解きほぐすキッカケを前原外相の発言から掴もうとしているのは、新しい動きとして、大いに期待できるだろう。前原外相は、「日朝交渉に向けた基本姿勢に関して『2002年の日朝平壌宣言を踏襲する』」と強調している。小泉元首相は、国交正常化の暁には、一説によれば「3兆円規模の援助」を約束してきたとも言われている。とりあえず、拉致被害者を解放すれば、その見返りが、日本から受け取ることができるというのでもあれば、北朝鮮にとって、損はない。やはり、「大砲よりバター」なのである。兵器は、食えない。
 ついでに言えば、軍拡に励む中国も然りだ。内陸部の貧困を解消もしないで、潜水艦隊、航空母艦、ステルス戦闘機などをせっせとつくって、悦に入っている民族は、バカの骨頂である。

本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
前原誠司外相が、米ヒラリー・クリントン国務長官の了解を得て、小沢一郎元代表が工作中の日本人被害者奪還交渉を日朝国交正常化交渉に併せて着々進める

◆〔特別情報〕北朝鮮による日本人拉致被害者奪還に向けて、このところの動きを振り返ってみよう。
 ①自民党旧田中派系の人物の仲介で「たちあがれ日本」の与謝野馨共同代表が、菅直人首相と密会、拉致問題での共闘問題が話し合う。だが、菅直人首相の拉致問題に対する意識が低レベルのため、話が噛み合わず、物別れに終わる。

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『政治家の交渉術』目次

第2章 「すべてを賭けるな」
        ― 最後に笑う奴が最もよく笑う

2 立場に執着するな

  「内なる交渉」が「外なる交渉」を決定づける

 それでも、日本外務省は、常任理事国入りを諦めていない。それは、あくまでも「外交官の都合」が先に立っているとしか考えられない。このため、外務事務次官から国連大使を務めた小和田恒(皇太子妃雅子殿下の父)は、常々、
 「常任理事国になって、情報が取れるようにして欲しい」
 と不満を漏らしていた。早い話が、日本外務省の外交官たちは「情報取り」が便利になるようにするための理由だけで、熱心に、「常任理事国入り」を画策し続けてきていたとも言える。

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