◆菅直人首相は、よほど首相執務室が嫌いらしい。「情報過疎地帯」と言われる広い執務室は、「孤独に堪えられる総理大臣」には、耐えられない。一人では寂しいからである。朝日新聞は1月22日付け朝刊「政治面」(4面)で「脱・脱官僚宣言や社会保障改革案指示」-「”決意表明”首相が奔走」と題する記事の最後のところで、面白い記述をしている。
「結局この日は出勤してから、首相執務室に30分以上1人でいることはなかった」
歴代総理大臣は、就任すると決まって、諮問機関として新しい「研究会」や「懇談会」「会議」などをいくつもつくる習性、いうなれば「クセ」がある。総理大臣の「無くて七癖」の1つである。
だが、大概は、報告書がまとまるころには、政権が崩壊してしまい、報告書のほとんどが陽の目を見ないまま、「お蔵入り」している。つまり、せっかく有識者が努力してまとめていながら、ついには「ゴミ」と化しているということである。
最も多くの「懇談会」をつくった総理大臣として有名なのが、大平正芳首相だった。「田園都市国家構想研究懇談会」をはじめ、24もの「懇談会」をつくり、大平正芳首相の知的好奇心を満足させるのに、十分だった。当時、大平番記者をしていた私は、24もの懇談会の論議の様子を取材すべく各会場を渡り歩いていたものである。
しかし、大平正芳首相は、福田赳夫前首相(当時)のいやがらせに合い、「40日抗争」の末、衆参同日選挙の最中、心臓疾患が元で急死してしまう。この結果、報告書は、お蔵入りしたまま実際の政策として実現されることはなかった。
◆この報告書に関心を示したのは、中曽根康弘首相だった。娘婿の森田一元衆院議員から報告書をもらい、景気浮揚に役立ちそうな報告書を探したが、どれもこれも役立ちそもなかった。中曽根康弘首相が、景気浮揚を目的につくったのは、「国公有地に関する研究会」だった。当時の理財局長に命じて、払い下げて、土地価格を引き上げるのに役立ちそうな国公有地をリストアップさせた。中曽根康弘首相が、用いたのは、建設業界と鉄鋼業界合同の研究機関「JAPIC」がすでにまとめていた「社会資本整備について」と野村総合研究所の研究員が作成していた「都市再開発」をテーマにした研究レポートであった。政権誕生後、泥縄式にまとめられたものではなかった。これが、バブル経済を発生させる発火点となった。
この手法は、田中角栄首相が、「日本改造論」をベースに経済政策を実行したのと同一線上にある。小泉純一郎首相も同列である。経済財政会議も、単なる「研究会」や「懇談会」ではなく、実行するための決定機関だった。
◆ところが、どうだろう。菅首相は、政権を担当してかなりの日時を経て、プロジェクトチームを立ち上げているのだ。「食と農林漁業の再生実現会議」「新卒者雇用・特命チーム」などである。
しかし、民主党の「マニフェスト」という政権公約は、政権誕生後、すぐに実行に移すのを目的に作成されているはずである。これは、民主党のだれが、政権を担当しようとも、必達目標とコミットメント(期限)を設けて、実行されるように準備されているものである。つまり、「研究会」や「懇談会」により改めて、検討されなくてもよいようにつくられているはずのものである。そうでなければ、何のためのマニフェストかわからなくなる。それをかなぐり捨ててでも、独自性を発揮しようとするのは、本来の政党政治に反するのである。
◆民主党の「マニフェスト」には、TPPへの参加は明記されておらず、「消費税アップ」は、4年間は行わないとしているはずである。この意味で、菅首相は、マニフェストを否定し、公約に違反するような所業に走っている。それでも菅首相は、「研究会」や「懇談会」「会議」などを、やたらとつくりだがるのは、大平正芳首相のように知的好奇心を満足させるためにくるのではなく、「孤独」からの逃走をはかり、「精神安定剤」として利用するためなのである。そうとしか考えられない。
しかし、いま一番あり得るのは、菅首相のプロジェクトチームが、報告書をまとめて報告し、これを受けて何かを決めようとする前に、菅政権そのものが、崩壊しているであろうという可能性が極めて大ということである。
本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
胡錦涛国家主席がオバマ大統領に「朝貢外交」、無条件降伏国・日本は、「潜在的核保有国」「大日本帝国陸海軍の戦死英霊たちが、いまでも近隣諸国に脅威」を忘れるな
◆〔特別情報①〕
米国オバマ大統領が、日中首脳会談後の晩餐会の席で、胡錦涛国家主席にボソボソと「中国が北朝鮮に圧力をかけなけれげ、米国は、北東アジアの米軍兵力を増強することになる」と話しかけ、やんわりと脅しをかけたという。胡錦涛国家主席は、ボーイング機200機(3兆7000億円)購入というお土産を持って米国を訪問、かつて中国の家伝であった「朝貢外交」を実演してみせたのに、オバマ大統領は、満足していない。
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第一次中曽根康弘政権の官房長官だった後藤田正晴は、アメリカからの強い要請と圧力を受けていた中曽根首相が、自衛隊の海外派兵に積極的な考えを示したとき、猛然と反対した。
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◆この報告書に関心を示したのは、中曽根康弘首相だった。娘婿の森田一元衆院議員から報告書をもらい、景気浮揚に役立ちそうな報告書を探したが、どれもこれも役立ちそもなかった。中曽根康弘首相が、景気浮揚を目的につくったのは、「国公有地に関する研究会」だった。当時の理財局長に命じて、払い下げて、土地価格を引き上げるのに役立ちそうな国公有地をリストアップさせた。中曽根康弘首相が、用いたのは、建設業界と鉄鋼業界合同の研究機関「JAPIC」がすでにまとめていた「社会資本整備について」と野村総合研究所の研究員が作成していた「都市再開発」をテーマにした研究レポートであった。政権誕生後、泥縄式にまとめられたものではなかった。これが、バブル経済を発生させる発火点となった。
この手法は、田中角栄首相が、「日本改造論」をベースに経済政策を実行したのと同一線上にある。小泉純一郎首相も同列である。経済財政会議も、単なる「研究会」や「懇談会」ではなく、実行するための決定機関だった。
◆ところが、どうだろう。菅首相は、政権を担当してかなりの日時を経て、プロジェクトチームを立ち上げているのだ。「食と農林漁業の再生実現会議」「新卒者雇用・特命チーム」などである。
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第4章 平気で「断言」しろ―「舌は長く記憶は短く」
1 「弱者の戦法」しろ
「やっぱり考え方でしょうね」
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