安倍首相肝いりの「教育再生会議」は、時間のムダだ!

2007年01月20日 16時24分20秒 | 政治
◆光陰矢の如し、もう10年も前のことだが、埼玉県内にある全寮制受験校「秀明学園」の依頼で、英国に取材旅行に赴いた。この高校の姉妹校が英国に設けている学校の様子を一冊の本「今こそ英国で学ぼう 真剣に留学を考えているあなたへ」にまとめるため、現地では、英国人の教師らにインタビューした。
 このなかで印象的だったのは、当然のことながら英国流の教育だった。少人数のクラスで、教師がテーマを学生に与える。学生は、テーマの核心をつかみ、現状を分析し、問題点を摘出し、それに対応する解決策を考えるという思考方法に従い、まず図書館に篭り、必要な関係図書を調べて、「エッセー」(小論文)にまとめて教師に提出する。学生の自主的な学習態度を養うことに重点が置かれているようであった。
 そこで1人の女性教師が、当時の英国における教育の問題点を教えてくれた。教師が一方的に知識を教え、叩き込むいわゆる「詰め込み教育」に対する反省から、学生の自主性を重んずる教育に転換したところ、今度は、こうした教育方法の欠陥が指摘されるようになり、基礎学力の低下が深刻な問題になってきた。このため、もう一度、「詰め込み教育」を行わざるを得なくなったというのである。自主性を重んじる教育には、それに耐え得る基礎学力が不可欠であると痛切に感じられてきたらしい。
◆このころ、日本では「詰め込み教育」が、子供たちに過重な負担を課しているとの批判が高まっていた。やがてそれは、「詰め込み教育」に対する反省に立ち、「自ら学ぶ態度」と「ゆとり教育」が提唱されてくる。この結果、文部省は、「自ら学ぶ態度」から「総合学習」を生み出し、「ゆとり教育」のために、「教科内容」を減らし、「週休2日制度」を推進させて行った。つまり、英国とは、逆の方向に改定して行ったのである。
◆ところが、日本では、児童生徒、さらに大学生の基礎学力の低下が大問題となってきた。その元凶として「ゆとり教育」が、槍玉に上げられ、再び、「詰め込み教育」の必要性が叫ばれるようになったのである。
今回、安倍首相の肝いりで出来た政府の教育再生会議(野依良治座長)が1月19日、「ゆとり教育見直し」「教育委員会改革の実施」などを柱とする第1次報告の最終案を大筋で了承したという。再び、「詰め込み教育」に戻そうという趣旨らしい。第1次報告案の骨子は、以下のようになっている。
【当面の取り組み】
▽ゆとり教育見直し▽授業時間の10%増加▽いじめや暴力行為を繰り返す子供に出席停止措置▽高校で奉仕活動必須化▽大学9月入学の普及▽教員免許更新制度▽教育委員会の抜本改革
【今後の検討課題】
▽学校週5日制見直し▽小学校の英語教育▽教育バウチャー制度
◆このように、日本の教育は、大きく左右に揺れ動いてきた。迷惑しているのは、児童生徒、学生たちである。自民党文教族をはじめ、文部科学省、あるいは、教育専門家たちの一貫性のなさが、根本的な原因である。しかも、政府の教育再生会議が、いくら活発に議論して報告書をまとめようとしても、ムダである。文部官僚が描くもの以上のアイデアは生まれてこない。また、中央教育審議会の審議を無視していろいろ案を出したとしても、ただ単に参考資料にされるのが、オチである。要するに、時間のムダということである。
本当にヤル気があるのであれば、「官立大学の民営化」「6334制度の見直しと複線化」「英才教育」「国防教育」「職業教育の強化」「育英制度の充実」「師範学校の復活」などである、と思うのである。
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安倍政権は、優秀な「軍師」を持たず、閣内が乱れ早くも「末期症状」だ

2007年01月19日 15時15分40秒 | 政治
◆主役・武田信玄の軍師・山本勘助を演じている内野聖陽氏の好演が評判を呼び、NHK大河ドラマ「風林火山」が、視聴率を上げているのに対して、安倍首相が、羨望の目で見ている。「軍師」不在が禍して「危機状態」に陥っているからだ。
朝日新聞の1月19日付朝刊が、3面「政治面」で、安倍首相が「残業ゼロ法案」を通常国会上程見送り決断をするまでの顛末について「鈍い」という厳しい表現を使って克明に報じている。安倍首相と塩崎恭久官房長官は、国民世論の大勢が、この法案に批判的で、与党自民党内でも強い反対論が噴出しているにもかかわらず、日本経団連の御手洗冨士夫会長らの要請を受けて、強引に法案を提出して成立を図ろうとした。安倍首相にしても、塩崎官房長官にしても、「庶民感覚」から相当ズレていることを、またしても露呈してしまったのである。
◆「天声人語」という言葉があるように、「天の声」とは、「人の声」すなわち「世論」である。世論が常に正しいとは限らないが、事が「生活」にかかわることであれば、国民は敏感である。自民党大会(1月17日)で安倍首相は「7月の参議院議員選挙で、憲法改正を争点にして戦う」と檄を飛ばしたのに対して、加藤紘一元幹事長が「基本概念が間違っている。憲法改正ではなく、いまは生活が大事だ」と記者団に語っていたように、安倍首相には、どうも、「生活感」が少しも感じられない。
これも、安倍首相の側に優れた「軍師」がいないのが、元凶である。国鉄出身の側近の井上義行秘書官はガードマン以上の役には任が重く、下村博文(衆議院議員)と鈴木政二(参議院議員)、的場順三(事務方)の3人の官房副長官が、情報収集力に欠け、おまけに5人の補佐官(小池百合子、根本匠、中山恭子、山谷えり子、世耕弘成)が、バラバラな動きをしているため、機能低下に陥っている。知恵袋の岡崎久彦元タイ大使や八木秀次高崎経済大学教授の助言は、「右より」すぎてバランスを欠いているとの批判を浴びている。
そこで、安倍首相は、せめて補佐官に官僚を指揮できる権限を与えるための法整備をしようと決断したものの、省庁からは、「指揮系統が混乱する」と激しく抵抗されて、困惑気味である。麻生太郎外相が「ポスト安倍」を睨んだ言動を繰り返しており、閣内の乱れも顕在化しており、自民党内では「このままでは七月の参議院議員選挙には、とても勝てない」と憂慮する声も出始めている。
◆安倍首相が五月のゴールデンウイークに訪米し、ブッシュ大統領と首脳会談することが決った。これに先駆けてチェイニー副大統領が二月来日し、安倍首相に会い、イラクに対する新しい戦略について説明し、理解を求めるという。安倍首相はブッシュ政権から敬遠されていた。それがチェイニー副大統領の方から先に来日するというのは、泥沼化したイラク情勢に余程困っているのであろう。
アメリカはイラク戦争に事実上敗北し、イラク国内は、すでにベトナム戦争以上に泥沼化しており、にもかかわらず、さらに2万人を増派するという。 
しかし、チェイニー副大統領は、これまでブッシュ政権を支えてきたディビッド・ロックフェラー(チェィス・マンハッタン銀行会長、シティグループオーナー、エクソン・モービルオーナー、91歳)から見放されていると言われている。後釜の最有力候補者としてライス国務長官の名前さえ取りざたされている。
◆何度も言うように、この戦争は、負け戦が明々白々。安倍首相は防衛庁の省への昇格を契機に、自衛隊の海外派遣を恒久化する法律をつくろうとご執心である。その勢いで安易に「イエスマン」になるのは危険極まりない。閣内が乱れ、早くも政権が「末期症状」に陥っている安倍首相は、チェィニー副大統領の「足下」をしっかりと見定め、相手の弱味につけ込むチャンスをつかむことができるのであろうか? はなはだ疑問である。
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さあ、どうする! 安倍首相はいまや「四面楚歌」である

2007年01月17日 13時01分33秒 | 政治
◆安倍首相は1月17日の自民党大会で挨拶し、春の統一地方選挙、7月の参議院議員選挙を控えて、「正攻法により目指すべき方向で実績を上げていけば必ず勝利する」と決意を示した。だが、安倍政権に対する国民支持率が低下のスピードを上げているなかで、自民党内ですでに「ポスト安倍」に向けて各派が蠢き始めており、「四面楚歌」の大ピンチで、このままでは、「10か月政権」に終わってしまう公算が大である。
◆安倍首相の敵は、以下の通りである。
①共産党・・・閣僚や党幹部らの政治資金をめぐり得意の調査力をフルに発揮して、攻撃を続けている。(石原慎太郎東京都知事の政治資金に関する不祥事の掘り起こしにも熱心である)
②麻生太郎外相ら・・・「ポスト安倍」を窺い、策謀を活発化させている。
③小沢民主党・・・自民党内の「反安倍勢力」に対する調略が進んでいる。政界再編への動きである。
④安倍政権内のスタッフ連・・・不調和。足の引っ張り合い。
⑤安倍首相自身の内なる敵・・・強力な指導力もなく、有力な「軍師・参謀」も持たず、正攻法と言いながら、戦略も戦術もなし。「分かりやすく」を標榜しながら、言葉は多弁にして、意味不明」(チューインガムをくちゃくちゃ噛みながらの発言に聞こえる)
⑥東大法学部、工学部出身の官僚・・・「お手並み拝見」と依然として冷ややか。
⑦ブッシュ政権・・・米軍のイラク増派に向けて、自衛隊派遣に応じた場合、国民世論から反発を受けるのは必至。
◆このほかに挙げればキリがない。間もなく始まる通常国会でどこまで堪えられるか。神経過敏が障りになり、胃腸を直撃する可能性がある。安倍首相の「顔色」を注視する必要がある。
◆片や、民主党は、「強い小沢一郎」を熱望する声が、民主党内に沸き上がってきている。「亀田兄弟」を思い出すまでもなく、「安倍自民党(実態は、自民公明党)VS小沢民主党(実態は、自由民主社会党)」のデス・マッチは始まっている。観客としては、この劇場型政局は、作り物のテレビドラマよりワクワクする。「面白半分」に観戦するのも一興である。
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「風林火山に学ぶ経営学―人は石垣 人は城」(講師:板垣英憲)が、今春からインターネット配信されます

2007年01月16日 23時34分47秒 | 演劇・映画
◆東京都内のある取引先の会社に訪問した。今春からインターネット配信(会員制・有料)の「講座」を始めるということで、私をトップ・バッターに選んでくれた。政治経済評論家として活動してきたが、その一方で「歴史」をテーマにして呼んでくれている。「元禄繚乱―忠臣蔵」「宮本武蔵の五輪所」「山内一豊と千代」などの小冊子に続いて、昨年は、「風林火山に学ぶ経営学―人は石垣 人は城」というタイトルで制作してもらった。すでに全国の商工会議所や商工会、法人会から注文が殺到しているという。
◆NHK大河ドラマは、武田信玄の軍師である主人公・山本勘助役の内田聖陽氏の好演もあり、出だしから評判で高視聴率を取っているそうである。内田聖陽氏は、藤沢周平原作の「蝉しぐれ」で好評を博し、今回、「風林火山」の主演が決まったという話も話題に上った。
それもさることながら、この大河ドラマがキッカケになり、全国の経営者の多くが「孫子の兵法」に対する関心を俄かに高めているという。この機会をとらえて、「ビジネス孫子」をインターネット配信しよという企画である。
源氏の嫡流・八幡太郎義家に伝えられた「孫子の兵法」は、実朝、公暁が殺されて源氏の嫡流が断絶した後、義家の弟である新羅三郎義光直系の子孫である武田信玄に伝えられ、しかも山本勘助が実戦のなかで体得した。それを象徴する旗印が「風林火山」であった。
◆インターネット配信では、「孫子の兵法」をビジネスに役立ててもらおうという立場から、経営者向けに講義スタイルで行われる。主な内容は、日本における孫子の系譜、十三篇に構成されている孫子の兵法の構造、ソフトバンクの孫正義社長が青年時代につくった「二十五文字」からなる「孫の二乗の法則」を中心に解説することになる。
経営学といえば、アメリカの経営学者・ドラッガー博士の経営方法やハーバード大学ビジネススクールの講座などが、有名だが、これら以上に、欧米の経営者の間で人気が高いのが、「孫子の兵法」である。英語版「ソン・ツー」を熟読玩味して、ビジネス実戦に生かしている。その代表者が、マイクロソフト社の創業者、ビル・ゲイツである。
◆経営者が、ビジネスを展開するうえで、「経営の原理原則」あるいは「マニュアル」を持っていることは、極めて心強い。しかし、日本の公的教育体系のなかには、リーダー養成プログラムはなく、ましてや「孫子の兵法」に立脚した「経営の原理原則」あるいは「マニュアル」を教えるビジネス・コースは、皆無に近い。
この意味で、今回のインターネット配信は、 NHK大河ドラマ放映という時代のめぐり合わせもあり、誠に時宜を得たものと受け止め精魂込めて制作に協力したいと心に決め、早速準備に取り掛かっている。
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武田信玄の軍師・山本勘助は浪人中、「毛利の孫子」にめぐりあった?

2007年01月15日 12時41分49秒 | 演劇・映画
武田信玄の軍師・山本勘助は、永禄4年(1561)の川中島の戦いにおいて、69歳で戦死している。この事実に基づけば、勘助は、おそらくは明応元年(1492)ごろ、生まれたことになる。戦国時代が始まった応仁元年(1467)から25年を経たころである。慶長5年(1600)9月15日、関が原の合戦の108年前に生まれ、39年前に戦死したことになる。武田信玄(晴信)に仕えたのが、51歳のころというから、天文22年(1553)のころであろう。在職は僅か18年にすぎない。
14~15歳ごろ元服し、浪人しながら諸国を放浪し、各地で合戦を目撃したり、ときには、雑兵に紛れて参戦したりしながら、兵法を実戦的に学んだという。NHK大河ドラマ「風林火山」の第2回目(1月14日)は、そのことを連想させる作りであった。
 山本勘助の兵学の師匠がだれであったか、また、兵法の最高峰「孫子の兵法」にいつごろめぐりあい、開眼したかは、定かではない。勘助が浪人中に起きた合戦のなかで、戦国の勢力図を動かしたに主なものには
●北条早雲が三浦義同を滅ぼして相模を平定したのが、永正13年(1516)=山本勘助24歳のころ。
●毛利元就が山陰の雄・尼子晴久を破ったのが、天文9年(1540)=山本勘助48歳のころ。
などがある。このうち、「孫子の兵法」に最も縁の深い家系が、「毛利家」と「武田家」であった。
 「孫子の兵法」は、遣唐使・吉備真備が天平7年(735)、唐から持ち帰った数々の文物のなかに含まれていた。吉備真備も実戦に使い、勝利を得て、天皇、公家から高い評価を得た。平安時代末期、当代随一と言われた学者・大江匡房によって大成され、これが源氏の嫡流・八幡太郎義家に伝授され、「源氏の孫子」となる。これが八幡太郎義家の弟・新羅三郎義光にも伝えられ、その嫡流の子孫が、武田信玄(正式には、源朝臣・武田信玄)である。
大江匡房の曾孫・広元と源氏の嫡流・源頼朝で合流。大江広元の息子・季光が現在の神奈川県厚木市に当る「毛利荘」の領主となり、「毛利姓」を名乗るようになる。この家が安芸国に領地を得て、その子孫のなかから、毛利元就(正式には、大江朝臣・毛利元就)が生まれる。これが「毛利孫子」となる。
 山本勘助は、浪人中、安芸国にも足を伸ばしていたと言われ、「毛利文書」にも「山本勘助らしき人物」の記述も見られるという。とすると、勘助は、毛利元就の合戦を通じて、「孫子の兵法」を実戦的に見聞、あるいは、体験した可能性がある。
 だが、出身地である三河の隣国である甲斐国の「武田家」が、「孫子の兵法」を継承している家系であるとは、直には、気付かなかったのかもしれない。
毛利元就が「孫子の兵法」を活用して陶晴賢を破った「職厳島の合戦」は、弘治元年(1555)10月1日、山本勘助が63歳のころであった。勘助は、「源氏の孫子」を我が物にして、戦いの日々を送り、知力を尽くして越後の虎・上杉謙信と対決していたのである。
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 【日本における「孫子の兵法」の系譜】
吉備真備(693~775)
  735年(天平7)遣唐使として中国に渡り「孫子」を持ち帰る
     清和源氏の嫡男・源頼信(甲斐守、甲斐源氏始まる)
               ↓
              源頼義
               ↓    
大江匡房 〈孫子を伝授〉→源義家 新羅三郎義光(源義家の弟)
(1041~1111)       ↓     ↓*頼信の孫
大江広元(匡房の曾孫) 源頼朝 武田義清(義光の2男)
 ↓  *頼朝の政治参謀   義経   ↓
大江季光(毛利の荘の領主)     武田信義(義清の孫)
 ↓  *神奈川県厚木市 *甲斐巨摩郡武田村(
大江経光(越後毛利) 現・韮崎市)に住む
                   
毛利元就「尼子家に偽手紙」     武田信虎(石和から躑躅ケ崎
  「陶晴賢に偽手紙・厳島の奇襲」   ↓ 館に移る)
  織田信長⇨〈三方ケ原の合戦〉 武田信玄(風林火山を旗印)
       ⇨〈長篠の合戦〉    武田勝頼(武田軍団壊滅)
毛利輝元 〈関が原の合戦〉  徳川家康
      *1600年9月15日      ↓山鹿素行・荻生徂徠
                  大石内蔵助〈吉良邸討ち入り〉
                    ↓
毛利敬親  〈明治維新〉 徳川慶喜

乃木希典〔素行会を残す〕
     山本五十六〈真珠湾の奇襲攻撃〉
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安倍首相は「風林火山」の山本勘助に学び、米国チェィニー副大統領が訪日しても、「イエスマン」になるな!

2007年01月14日 18時36分54秒 | 政治
米副大統領、早ければ来月訪日へ イラク政策など協議(朝日新聞) - goo ニュース

◆弱り目に祟り目、泣きっ面に蜂の米国チェィニー副大統領が来月、日本にやってくる。朝日新聞1月13日付夕刊が報じた。安倍首相に会い、イラクに対する新しい戦略について説明し、理解を求めるという。日米首脳会談が、未だに開かれていないのに、チェィニー副大統領が先に来日するというのは、余程困っているのであろう。
 アメリカは、イラク戦争に事実上敗北している。イラク国内は、内戦状態にある。すでにベトナム戦争以上に泥沼化しており、米軍がこれ以上、イラクに留まることは、米軍の戦死者をさらに増やすことになりかねない。にもかかわらず、懲りもせず、さらに2万人を増派するというのであるから、ブッシュ大統領、チェィニー副大統領以下、もはや精神異常としか言いようがない。
◆安倍首相の最大の弱点は、武田信玄の軍師・山本勘助のような名軍師に恵まれていないことにある。その安倍首相は最近、どうも精神が正常でないのではないかと疑われている。防衛庁の省への昇格を契機に、自衛隊の海外派遣を恒久化する法律をつくろうとご執心である。最高指揮官としてヘルメットに重武装して戦場に赴く覚悟を持っているのであろうか。
地球上のどこにでも自衛隊を展開できるような道を開くのは、明らかに憲法違反である。もしもこの法案が国会に上程されて成立でもすれば、国民の側からは、裁判所に「違憲立法審査権」を行使してもらわねばならない。司法権、とりわけ最高裁判所は、これまでのように「高度な政治判断」とか「統治行為論」とか、法匪に特有の「屁理屈」を振り回して、責任を放棄することは許されない。
 それはともかく、日本政治家や外交官に強く求められているのは、「兵学」である。それも「孫子の兵法」である。折りも折り、NHK大河ドラマ「風林火山」が、放映中であり、14日は、第2回目で、後に武田信玄の軍師となる主人公・山本勘助が、「故郷・三河」を去る場面である。
 このドラマを見ながら、「敵を知り己を知らば百戦して危うからず」という有名な言葉を思い出し、現在の日本と照らし合わせてみるのも、一興である。
◆チェィニー副大統領は、アフガニスタン空爆からイラク戦争まで指導した事実上の張本人である。ハリバートンという石油会社のオーナーであり、アメリカの石油利権を握り、イラクにも工場を持っている。子分のラムズフェルド前国防長官に命じ、米軍を出動させたのである。イラク戦争は、石油・軍需・ゼネコンの3業界の利益追求を最大目的に行われたと言っても過言ではない。
日本は、名実ともにアメリカの属国として、「石油・天然ガス」の確保のためにも、アメリカが起こしたこの戦争に協力せざるを得ない立場にある。
 しかし、いまや負け戦が、明々白々のこの戦争に、日本は、いつまでもグズグズと付き合っている暇はないのである。イラク派遣の航空自衛隊の輸送部隊を一気に引き上げるべきである。自衛官の貴重な生命を「一兵たりとも」危険に晒してはならないからである。戦死するのは、米軍兵士や韓国軍兵士で十分である。
◆ここは、日本政治家や外交官は、冷厳なマキャベリストに徹するべきである。安倍首相は、安易に「イエスマン」になってはならない。というのは、「ご案内のように」、チェィニー副大統領は、これまでブッシュ政権を支えてきたディビッド・ロックフェラー(チェィス・マンハッタン銀行会長、シティグループオーナー、エクソン・モービルオーナー、91歳)から見放されていると言われている。後釜の最有力候補者としてライス国務長官の名前さえ取りざたされている。
それだけに、安倍首相は、チェィニー副大統領の「足下」をしっかりと見定め、相手の弱味につけ込むべきである。まさに山本勘助に学び、「孫子の兵法」を活かす必要がある。
◆さらに付言するとすれば、民主党の小沢一郎代表は、安倍首相がチェィニー副大統領の言いなりになるようであれば、すかさず徹底追及していく絶好のチャンスがめぐってくる。
 米軍の増派が火に油を注ぐ結果を招き、戦死者が続出するのは、いまやだれの目にも明らかである。航空自衛官から、「戦死者」がでる危険性が高まってきている。不幸にして
もしも自衛官から犠牲者が出れば、安倍政権は、アッと言う間に崩壊する。
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安倍首相は、塗炭の苦しみを国民に背負わせた「昭和の妖怪・岸信介」が憑依しているのか?

2007年01月13日 16時27分20秒 | 政治
◆安倍首相が1月12日、NATО理事会で演説し、「自衛隊の海外派遣をためらわない」と発言したという。「ためらわない」という言葉自体は、極めてバター臭いアメリカ流の言い方であり、ハイカラな感じがしないでもない。
だが、日本人としては違和感がある。「・・を排除しない」という表現も同様で、ハーバード大学留学経験のある塩崎恭久官房長官の口からもしばしば発せられる。こうした言葉を使うのを禁止することはできないけれど、日本の法体系のなかで政治・行政を行なっている立場に立っている以上、憲法と法律は、法解釈を含めて厳格に守らなくてはならない。
たとえ古いと言われようとも、政治家や行政官、司法官は、日本社会に定着した法律用語を駆使しつつ、法的拘束力の下で、厳しく制約された発言や行動を行なうべきである。
 元々、内政に弱い安倍首相は、「外交」によって国民からの支持を高めようとするきらいがある。国民の意識と目を外に向けて、内政問題を誤魔化かそうとする姑息なやり方である。古来、国民に不人気な政権がよく使う手である。
◆小泉前首相以来この方、憲法がないがしろにされてきた。内閣法制局が積み重ねてきた「法匪的解釈」が完全に破綻してしまっている。一体、東大法学部出身の「法匪」たちは何をしているのか。安倍首相の「自衛隊の海外派遣をためらわない」というような勝手な発言を許しておけるのか。憲法学会などは、安倍首相に「一体、どこへ自衛隊を派遣するつもりなのか」を質し、速やかに見解を示すべきではないのか。
◆安倍首相は、アメリカのブッシュ大統領との首脳会談を行なう前に、中国、韓国と首脳会談を行い、日本の親中派や親韓派からヤンヤの喝采を浴びた。その反面、ブッシュ大統領らから顰蹙を買い、いまやブッシュ政権から、「排除」されているという説がある。靖国神社問題をめぐり、ブッシュ大統領は、小泉前首相に「もっとうまくやるように」と養成していた手前、中国と韓国に先に接触した安倍首相に対して表立って「不快感」を示せないでいるが、ブッシュ大統領は、安倍首相を意識的に避け、会おうとしないのだそうである。安倍首相も、ブッシュ政権をレイムダックと見て、相手にしていないのかも知れない。その代わりに、今回、欧州各国を歴訪したようである。
◆しかし、海洋国家・日本が、同じ海洋国家・アメリカの不信を買い、大陸国家や半島国家とあまりにも親密になりすぎるのは、好ましくない。フト、「日独伊防共協定」や「日ソ不可侵条約」の悪夢が思い浮かぶ。と同時に、東条内閣の「岸信介商工大臣」の顔も脳裏をよぎった。安倍首相は、「昭和の妖怪・岸信介」が憑依しているのか?
 東京帝国大学(帝国主義大学?)卒、商工省の超エリート官僚だった祖父を真似ようとしている。だが、「及ばざるは過ぎたるより勝れり」(徳川家康公遺訓)という言葉がある。無理に背伸びしようとすると国民を塗炭の苦しみを背負わせることになる。肝に命ずるべきである。
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民主党の小沢一郎代表は、伊吹文明文部科学相を辞任に追い込め

2007年01月12日 13時50分13秒 | 政治
◆政治資金が、不明朗になるのは、政治の性格上、やむを得ない面がある。政治は、権力闘争であり、最悪の場合は、命を狙われ、暗殺のターゲットになりかねないからである。
 まず、「入り」については、だれが献金しているかがわかると、政治家の活動に巻き込まれて献金主自身が、危険にさらされる可能性があるからである。かつて、奥野誠亮元法務相の政治資金を調べたことがあるが、少額の献金者の氏名と住所、献金額まで細かく記載しているのを見て、「さすが内務官僚出身者だ」と感心させられた記憶がある。こうした政治家は、稀である。
◆日本国憲法は、第15条第4項で「秘密投票の保障」を規定している。いわく「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない」と。これを政治献金と直接結びつけるのは、飛躍しているかも知れないが、「政治闘争の危険性」に鑑みれば、政治献金主がだれであるかを政敵に見破られないことは、ある程度必要である。政治家個人やその他の政治団体への企業献金や労働組合献金が禁止され、個人献金中心の制度となっている現在は、なおさらである。
◆「出」の方も、何に使ったかを明示すると、裏工作などの「秘密活動」ができなくなる。バレれば、やはり政敵から妨害を受けたり、政治権力から弾圧の対象されかねない。だからこそ、政治団体の収支報告書は、「領収書」についても、「大雑把」なものにしてあるのである。 政治資金を議論する場合、このところをしっかりと、押さえたうで議論する必要がある。
◆そうであるにしても、「文部科学大臣」が疑われたのでは、示しがつかない。これを放置していては、日本の教育は成り立たない。「うそつき」や「言い訳上手」を養成するのが、教育の目的ではないからである。伊吹文明文科相は、通常国会が始まる前に潔く辞任すべきである。一切の言い訳は、聞きたくない。民主党の小沢一郎代表は、伊吹文明文部科学相を辞任に追い込め。
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安倍政権の足下を揺るがす「政治資金収支報告書」は、特ダネの宝庫だ

2007年01月11日 12時13分00秒 | 演劇・映画
◆金銭をめぐり日ごろから悪評の高い松岡利勝農水相、一見清廉そうな伊吹文明文科相、自民党の中川昭一政務調査会長、衛藤征士郎元防衛庁長官の名前が次々に取りざたされ、佐田玄一郎前行革担当相の二の舞になるのかと、このところの永田町は新年早々から、賑やかである。
 それが、安倍政権を根底から揺がせて、新年早々、ヘロヘロにさせているのである。地震にたとえれば、「政治資金地震」である。マグニチュードは、いまのところ、「3~4程度」と言ったところである。野党第1党の民主党でも、松本政調会長の政治資金も不明朗さが摘出されているので、野党がどこまで政府与党を追及できるかは、不明ではある。
◆しかし、これが単発ならともかく、「群発性」なので、予断は許されない。安倍政権全体が、活断層であり、震源地であるから、報道機関も気を抜けない。
 政治資金収支報告書は、主に総務省が届け出先であり、管理・監督官庁である。以前は、旧自治省の古い建物内にあった政治資金担当課に備えつけられた棚に並んだ簿冊を一つ一つ引っ張り出し、必要な部分を直接、書き写さなければなかった。コピーは禁じられており、作業は大変だった。それでも昭和59年夏ごろから自治省の内政記者会に限っては、各社共同作業により、一斉コピーが許された。この頃、ある一般主婦がコピーをさせろと自治省を提訴して最高裁判所まで争ったが、敗訴している。
◆情報公開法の施行などを経て、現在は、インターネットで検索すれば、届出されている政党や政治家の政治資金管理団体、その他の政治団体の政治資金収支報告書を引き出すことができる。これらを政治資金規正法の規定に照らし合わせて、丹念に分析していけば、罰則規定に抵触する「違反容疑」を発見できる。そのうえで、収支報告書に記載されている「代表者」や「主たる事務所」「会計責任者」「会計責任代行者」などについて、裏付を取り、そのうえで、収入と支出を分析していく。
 総務省が現在、公表しているのは、「平成17年(2005)分」である。平成18年度末までに届けられたものであるから、この点で最新のものではない。「平成18年(2006)分」は、本年3月末までに届けられて、秋以降公表される。
◆三木武夫元首相が口癖だった「金権政治の打破」という言葉は、いまだに死語になっていないようである。「政界の腐敗・汚濁」は、発見すれば、「ニュース」になる。他社を出し抜けば、「特ダネ」になる。
 ターゲットを「大物」に絞れば、大魚が釣れる。たとえば、「金満政治家」で名高い森喜朗元首相、青木幹雄参議院自民党会長らである。当面の究極の大物は、言うまでもなく安倍首相である。マスコミ各社の皆さんの健闘を祈る!
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現行憲法で何でもありの安倍首相は、皮肉にも「日本国憲法の改正」を不要にしつつある

2007年01月10日 13時33分44秒 | 憲法問題
◆防衛庁が1月9日、防衛省に昇格した。防衛庁・自衛隊が昭和29年に創設されて53年を経て、自民党や防衛関係者は、やっと宿願を果たした気持ちであろう。強いて不満を言うなら、「防衛省」とは、生温い。「国防省」と命名すべきであった。今後の課題は、「大日本帝国陸海軍の再建」であり、併せて、「空軍と海兵隊」の建軍である。さらに欲を張って、「徴兵制度復活」(男女平等も適用)と「核武装」ということになる。
安倍首相は、陸海空三自衛隊の最高指揮官として防衛省で開かれた記念式典に出席して訓示した。このなかで、省昇格を「戦後レジーム(体制)から脱却し新たな国づくりを行うための第一歩」と位置付け、今後、「集団的自衛権行使の研究を進める」との考えを改めて強調したという。
◆これで「アーミテージ・レポート」で日本に示された事実上の「対日要求」のほぼ80%が達成されたとも言える。残るのは「集団的自衛権行使の容認」と「第9条を中心とする憲法改正」である。さらにあえて言えば、「原子力空母と潜水艦の建造」と究極の「核兵器」を保有することである。ここまで行ってはじめて、米英仏中ロ、インド、パキスタン、さらに北朝鮮と肩を並べる「核大国」に昇格できる。
「アーミテージ・レポート」は、アメリカのブッシュ政権で国務副長官を務めたアーミテージ氏らが政権誕生直前の2000年10月にまとめて、山崎拓元防衛庁長官ら自民党国防族に突きつけたものである。アーミテージ・レポートは、「日米のパートナーシップ」を強調し、このなかには、「有事法制の整備」「防衛庁の省への昇格」、「集団的自衛権行使の容認」などに加えて、「日本人が判断すること」と内政不干渉の姿勢を保ちつつ、暗に「憲法改正」を願望する意向も示されていた。
◆政府自民党は、公明党を抱き込み、「アーミテージ・レポート」に明記された「要求」を忠実に実現してきたのであった。アーミテージ副長官から「ショウ・ザ・フラッグ」と言われれば、軍艦旗を旗めかす海上自衛隊の補給艦をインド洋にも派遣した。
政府与党は、防衛省昇格に合わせて「自衛隊の海外派遣」をこれまでの「副業」から「本務」に格上げしている。安倍首相は、「自衛隊の海外派遣」をさらに「恒久化」する法律をつくろうとしている。
◆しかし、ここまでくると、皮肉なことに、「憲法改正はもう不要なのではないか」という疑問も生じてくる。改正するまでもなく、「日米のパートナーシップ」を果たせるなら、もう十分である。むしろ、アメリカが恐れるのではないか。「憲法という檻」に閉じ込めた獰猛な「人食い虎」を野に放つようなものだからである。
それ以上に危険なのは、安倍首相が提唱している「美しい国」の目指すところが、ひょっとしたら「軍事超大国」ではないかという疑念があるからである。日本政府の法制局はすでに破綻し、遺物化しており、最後の砦である最高裁判所は、「憲法裁判所」としての使命を放棄し無責任なままである。ブッシュ政権がイラク攻撃の「有志連合」を組んだ際、これに参加を決めたコスタリカ政府に対して、たった一人で立ち上がったコスタリカの青年ロベルト・サモラ氏が、「憲法違反だ」として裁判所に提訴したのに対し、最高裁判所が、訴えを認めて「違憲判決」を下した。このため、コスタリカ政府は、イラク参戦を思い止まったという。コスタリカでは、憲法が生きており、最高裁判所もしっかりと機能しているということである。それに引き換え、日本は、どうだろう。憲法9条は死文化しており、最高裁判所は、「狸寝入り」を決め込み、ストライキ中である。これでは、最高裁判所こそ、もう要らない。
さてさて、いま使用しているパソコンは、キーボードを叩いても「防衛省」とストレートに文字は出てこない。IT社会の必需品であり、最先端技術の一つとして現在も、日進月歩で進化しているパソコンでさえ、「戦後レジーム(体制)からの脱却」を迫られている。
【参考】
2006年9月6日、悠仁親王誕生。皇紀2666年9月6日。9月20日、安倍晋三自民党総裁に当選。党内支持率66%、国民支持率66%。2006年9月26日、第90代総理大臣として安倍首相誕生。9月29日、初の所信表明演説。「憲法第9条改正」を念頭に「憲法改正」を明言。改正条項は、「第96条」。防衛庁が「省」に変わったのが何と2007年1月9日。安倍首相は、「6」と「9」に取り付かれ続けている。その意味は、いまのところ、不明。「ご96さん」です。
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