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人間は130歳まで生きられることが判明、ただし運次第

2024年12月22日 03時03分35秒 | 医学と生物学の研究のこと
>「110歳を超えた人が130歳まで生き残る確率は、コインを20回投げたときに連続で表面が出る確率とほぼ等しいです。

この可能性は100万分の1未満だそうです。

2021/10/01(金) 10:20



人間は130歳まで生きられることが判明、ただし運次第 


人間の寿命の限界を導こうとする研究は数多く行われており、これまでに「人間の寿命は115歳で頭打ちする」「人間の寿命は120~150歳が限界」「人間は105歳を超えると死ににくくなる」といった研究結果が報告されています。

 新たに、スイス連邦工科大学ローザンヌ校で統計学教授を務めるアンソニー・デイヴィソン氏が率いる研究チームによって「人間は非常に運が良ければ130歳まで生きられる」とする研究結果が報告されました。

人間の寿命に関する研究は、これまでに生物学的手法や統計学的手法によって行われてきました。例えば、2021年に発表されたバイオテクノロジー企業geroによる研究では、健康な20~80歳の被験者から歩数データや血液検査結果を収集し、ストレスを受けてから血液の状態や歩数が通常時の水準に回復するまでに必要な時間をモデル化して、「人間の寿命は120~150歳が限界である」という結論を導き出しています。

人間はいったい何歳まで生きられるのか? - GIGAZINE



統計学的な手法を用いた研究としては、ローマ・ラ・サピエンツァ大学の研究チームによって行われた「2009年~2015年の間で105歳を超えていたイタリア国民3836人分のデータを分析して死亡率を算出する」という研究が知られています。この研究の結果、人間の死亡リスクは年齢と共に上昇するものの、105歳を超えると死亡リスクの上昇が緩やかになることが示されました。

人間は105歳を超えると「死ににくくなる」という傾向が判明、人類はまだ寿命の上限に達していない可能性も 


新たに、デイヴィソン氏が率いる研究チームはローマ・ラ・サピエンツァ大学が用いたイタリア国民のデータに加えて「アメリカ・カナダ・ヨーロッパの11カ国から収集された、110歳に達した高齢者1100人以上のデータベース(International Database on Longevity)」を用いて、年齢と死亡リスクの関係を分析しました。

分析の結果、人間の死亡リスクの上昇は年齢が上がるほど緩やかになり、110歳を超えると死亡リスクがほぼ一定になることが明らかになりました。

デイヴィソン氏は110歳を超えた人は「来年も生きられるか否かを決めるコイン」を毎年投げているようなものだと述べ、

110歳を超えた人が130歳まで生き残る確率は、コインを20回投げたときに連続で表面が出る確率とほぼ等しいです。このようなことが起こる可能性は100万分の1未満であり、近い将来に発生する可能性はほとんどありません。

しかし、110歳を超える人の数が増えれば、21世紀中に130歳に達する人が現れる可能性があります」と語っています。

なお、2021年9月30日時点での世界最高齢者は、日本人の田中カ子(かね)さんで、2021年1月2日に118歳の誕生日を迎えています。





(以下略、続きはソースでご確認下さい)

Gigazine 2021年09月30日 21時00分 


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新型コロナ、武漢「美人すぎる39歳の武漢病毒研究所/所長」が握る発生の謎

2024年12月19日 23時03分23秒 | 医学と生物学の研究のこと

新型コロナ、武漢「美人すぎる39歳の研究所長」が握る発生の謎
ある判決から沸いた「疑念」


 
 いまや日本も中国も、新型コロナウイルスのニュース一色の感があるが、それと一見関係なさそうで、実は大いにあるかもしれない中国の話から始めたい。


2/18/2020

新型コロナウイルス、実は「マスク着用」より先にやるべきことがある

 先月3日、新型コロナウイルスの震源地である湖北省武漢市から2183kmも北上した吉林省松原市の中級人民法院(地方裁判所)で、「2015年第15号」と呼ばれる汚職事件の裁判の判決が出た。それは、李寧(リー・ニン)被告(57歳)に12年の実刑、及び罰金300万元(約4700万円)、かつ賄賂として得たすべてのものを国庫に上納させるという厳しい判決だった。

 李寧被告は、中国の農業部門の最高学府である北京の中国農業大学の教授だった。私の友人に、中国農業大学の卒業生がいるが、確認したらクローン研究の第一線に立つスター教授だったという。

 この判決文は、計20ページもある長文で、日本人の私からすれば、「まさか!」と思うようなことが縷々書き連ねられている。それらを簡述すると、以下の通りだ。

 〈 被告人:李寧、男、1962年7月9日江西省信豊県生まれ、漢族、博士、中国工程院院士、中国農業大学教授、中国農業大学生物技術国家重点実験室主任、北京済普霖生物技術株式会社社長、北京市海淀区在住。2014年6月21日に逮捕し、吉林省拘置所に拘置中。

 罪状:李寧被告は2008年7月から2012年2月の期間、課題の研究の中で科学研究費を使って、実験用の豚と牛を購入した。李寧被告は課題研究の実験を終えた豚、牛、牛乳を、不法に処理した。その過程で、1017万9201.86元(約1億6000万円)を個人の銀行口座に振り込ませた。

 かつ、研究費の残額2559万1919元(約4億円)を着服していた。また、人件費621万2248.51元(約9800万円)を虚偽申告していた。

 これらも含めて、李寧被告は部下の張磊研究員と共に、職務上の権限を利用して、国有財産3756万6488.55元(約5億9000万円)を着服した。これは中華人民共和国刑法第382条、第383条の規定に抵触し、汚職の罪で刑事責任を負うべきである。かつこの共同犯罪において、李寧被告が主導的な役割を担っており、主犯として処罰されるべきである。

 本訴は、2015年4月10日に起訴され、同日に吉林省松原市人民法院が受理した。2015年8月20日、21日、及び2019年12月30日に公開の審理を裁判所にて行い、結審した 〉

 この判決の日、杜岩裁判長は、異例とも言えるメディアとの一問一答を許可した。正確に言えば、実際には行っていない「メディアとの一問一答」という形式で、判決文の正しさを主張したいために補足説明を発表したのである。これは中国人民銀行などでも使われている手法だ。

 杜裁判長は、その中で罪状について、こう述べている。

 「李寧の汚職は3つのものを含んでいる。第一に、実験後の動物や牛乳を売って利益を得ていたこと。第二に、本人及び他人名義で課題研究費を着服していたこと。第三に、本人及び他人名義で人件費を着服していたことだ。

 その中で、李寧は本人名義の課題研究費を着服していた以外に、虚偽の領収書を223枚も切っていた。それによって他人名義の科学研究費2092万元(約3億3000万円)を着服していた。これは全体の82%にあたる。検察機関はそれらの書証を調べ上げ、証人の証言を取り、共犯者の供述と照らし合わせ、証拠を確定させていったのだ」

 この1月3日に判決が出された刑事事件が、いま中国で、にわかに注目を集めている。それは、農業部門における中国の最高学府である中国農業大学でさえ、「実験を終えた豚や牛、牛乳を、密かに業者に売り渡していた」という事実が明らかになったからだ。業者はそれらを素知らぬ顔で市場へ持って行き、市場では他の豚や牛、牛乳と一緒に売られていたに違いない。

  これと同じことが、新型コロナウイルスの発生源と言われる湖北省武漢の華南海鮮市場でも行われていたのではないか――そんな疑念が、中国のインターネットやSNS上で飛び交っているのである。
武漢病毒研究所」が怪しい 
 中国のネットやSNS上で飛び交う情報というのは、中国当局が指摘するように「流言飛語」の類も一部にはある。例えば私は「安倍晋三が突然死した」「金正恩が逮捕された」といった「ニュース速報」を見たこともある。

 だが、後で振り返ると真実だったというニュースも少なくない。特に、新型コロナウイルスに関しては、中国全土で現在、「戦い」が続けられている最中であり、かつ多くの中国人が自宅待機を余儀なくされている。そのため、「伝えられていない正しい情報」を知ると、それを拡散させようとする傾向が強い。その結果、それらを一刻も早く削除しようとする中国当局との壮絶なイタチごっこが続いている。

 そんな中、いまネットやSNS上で疑惑の目が向けられているのは、「中国科学院武漢病毒研究所」である。新型コロナウイルスの発生源とされる華南海鮮市場から、わずか15.8㎞しか離れていない。

 中国科学院武漢病毒研究所のホームページによれば、いまの中国が建国されて7年後の1956年に創設された。中国で初めてのP4(国際的な生物安全の最高クラス)生物実験室を備えている中国最高峰の病毒学の研究所である。

 研究所内には、分子病毒学病理研究センター、分析微生物学ナノ生物学研究センター、微生物菌毒種資源応用センター、新型伝染病研究センター、それに2018年11月に中国科学院、国家衛生健康委員会、湖北省人民政府が共同で創設した中国科学院生物安全大科学研究センターがある。

 また、国家衛生健康委員会が指定した「国家級保存センター」として、微生物菌毒種保存センター、国家アフリカ豚コレラ実験室、病原生物学生物安全重点実験室などを備えている。合わせて34の研究学科グループがあり、325人の研究者が研究に従事している。

 この巨大組織を率いているのは、39歳の美人所長・王延軼氏である。

 王延軼(ワン・イエンイー)所長は、2004年に北京大学生命科学学院を卒業、2006年に米コロラド大学で修士号を取得。帰国して2010年、武漢大学で博士号を取得した。取得後すぐに武漢大学副教授となった。2012年に武漢病毒研究所に入り、病理研究センター副主任を経て、2018年に37歳の若さで、所長に就任した。

 王所長は今年の正月、武漢病毒研究所のホームページで、次のような新年の辞を述べている。

 〈 2019年、武漢病毒研究所は、重要な責務に勇気を持って挑み、担当してきました。生物安全大科学研究センターの活動は、重要な進展を見せました。同センターの第1回理事会第1次会議を北京で開き、国家衛生健康委員会、湖北省政府、中国科学院の3者が共通認識を持ち、生物安全国家実験室の建設を推進していくことになったのです。

 湖北省の肖菊華副省長(注:昨年9月に湖北省副省長に抜擢された時、やはり53歳の美人副省長として話題になった)も武漢病毒研究所を視察し、同センターの建設を全力で支持すると述べました。(中略)

 新たな一年に入り、私たちは党中央、国務院及び国務院党組織の各決定を真摯に貫徹していき、科学技術のイノベーション能力を不断に引き上げ、生物安全大科学研究センターのさらなる建設準備の進展を進めていきます 〉

 日本と同様の年功序列社会である中国の公的機関で、なぜ王所長はこんなスピード出世できたのか? それは、中国ではしばしばあることだが、バックに強力なパトロンがいるからに他ならない。パトロンとは、15歳年上の夫・舒紅兵(シュイ・ホンビン)武漢大学副学長だ。

 1967年重慶生まれの舒紅兵副学長は、免疫学が専門で、蘭州大学を卒業後、1995年に米エモリー大学で博士号を取得した。2000年から2004年まで北京大学生命科学学院で特任教授をしていた時、教え子だった王延軼氏と知り合い、後に結婚。2005年に武漢大学生命科学学院院長になり、2013年から武漢大学副学長、2014年からは武漢大学医学研究院長も兼任している。

  中国のネット上では、舒副学長にとって王所長は4回目の結婚相手とも書かれているが、真偽は不明である。確かなのは、王所長には舒副学長という「外助の功」が大きく役立っているということだ。そして王所長自身が新年の辞で、自分が進める新たな研究センターを誇っているように、「外からカネを持ってこられる所長」ということで、周囲も受け入れていたのかもしれない。
スキャンダル」の臭いがする 
 だが、新型コロナウイルス騒動が、すべてを変えてしまった。

 武漢病毒研究所に疑惑の目が向けられる中、北京首都医科大学の饒毅学長(元北京大学生命科学学院教授)が、旧知の舒紅兵副学長に、「微信」(WeChat)でメッセージを送った。

 〈 紅兵、私が注意した武漢病毒研究所の所長の問題だが、彼女はかつて北京大学の生命科学学院の学生だった。それは私が北京大学へ行く前のことだったが(私が就任してからは教え子との恋愛は禁止した。おそらくもうそのような問題は起きないだろうが)、いくつか苦言を呈したい。

 おそらく最良の解決方法は、彼女に辞職願を提出させて、中国科学院に害を及ぼさないようにすることだ。あなたの夫人は、武漢病毒研究所のリーダーとして、実に不適切である。

 1)彼女の専門は、病毒学でも微生物学でもない。免疫学とはスレスレのところだが、実際には細胞生物学が専門だ。武漢病毒研究所の研究の中心は病毒学であり、彼女はあまりに専門性に欠ける。おそらく研究所内の多くの研究者たちも、彼女をリーダーとして認めていないだろう。これでは研究所内の威信やリーダーシップもあったものではない。

 2)彼女の研究レベルは、やはり比較的低い。少なくとも病毒研究所内で群を抜いたものではない(言っているのは学問的レベルであって人間的評価ではない)。彼女のレベルでは、北京大学、清華大学などでは、副教授にさえなれない。一般的に言って、おそらく助理教授のレベルさえもないだろう。そんな状況下で、武漢病毒研究所は国内で尊重されないし、発展もおぼつかない。

 3)彼女は若すぎる。もしも上記の2点が極めて突出しているというなら、若者がリーダーとなることにも道理がある。だが専門もレベルも問題があって、しかも若造ということになると、これは雪の上に霜が加わる(注:泣きっ面に蜂の意)というものだ。(中略)

 武漢病毒研究所長と中国科学院長にもこれを同時に送っておく 〉

 このメッセージは、武漢病毒研究所の管理が杜撰だったことを示唆していると言えないだろうか。全体を読んでも、饒毅学長は知っていることのうちごくわずかしか書いていないというニュアンスが伝わってくる。

 加えて、中国科学院長にもこのメッセージを送ったということは、美人所長を早くクビにすることで、何らかのスキャンダルが中国科学院全体に及ぶのを事前に防ぐべきだという進言とも考えられる。そして王所長本人にも同時に送信することで、「早く辞めろ」とプレッシャーをかけたのだ。

 武漢では、すでにこの美人所長が追い詰められていることを物語る「人事」もあった。

 武漢市が「封鎖」された1月23日、湖北省は新型肺炎応急科学研究攻撃専門家グループの第1回会議を開き、湖北省の科学技術庁、衛生健康委員会、疾病コントロールセンター、伝染病の専門家らが一堂に会した。

 そこでグループ長に選ばれたのは、王所長ではなく、同じ武漢病毒研究所の石正麗・新型伝染病研究センター主任だった。アメリカ微生物科学院の正会員でもある実力派の55歳で、ネット上では「上司の美人所長と最も激しく対立している女性研究員」と書かれていた。

 この日、湖北省は、石正麗グループ長と武漢病毒研究所が中心になって今後の新型コロナウイルス対策を進めていくと決めたにもかかわらず、王所長は13人の専門家グループの一員になったにすぎなかった。

  いまなお「封鎖」が続く武漢では、2月16日までに、1309人もの死者を出している。現段階では救急治療が最優先だが、新型コロナウイルスの流行が一段落した暁には、武漢病毒研究所の問題が浮上してくる可能性がある。
美人所長が送った一斉メール
 
 2月16日には、また一つ、「王延軼所長のメール」が暴露された。1月2日午前10時28分に、武漢病毒研究所の職員全員に宛てて、次のようなメールを打っていたというのだ。

 メールのタイトルは、「重要提示 武漢の原因不明の肺炎に関する公開を厳禁する通知に関して」。

 〈 最近、原因不明の肺炎が、すでに社会の騒動を引き起こしている。われわれは関連した業務を、現在進行している。衛生健康委員会が要求しているのは、メディア、インターネット、SNS、提携する技術会社などを含む外部に対して、今回の肺炎の状況を公布することを禁止するということだ 〉

 このメールが本物ならば、すでに1月2日の段階で、中国政府の衛生健康委員会は事実を隠蔽するよう指示を出していたことになる。また、王所長が書いた「われわれは関連した業務を、現在進行している」という文字も意味深である。

 科学技術部(省)社会発展司(局)の呉遠彬司長は2月15日、「新型ウイルスの高レベルウイルス微生物実験室生物安全管理の指導意見に関して」という通達を出したと、会見で述べた。つまり今後は、ウイルス微生物実験室の安全管理を徹底させるということだ。

 ということはやはり、何らかの「事故」が発生していたということではないのか? 
 中国の整形外科医の武小華博士は2月4日、多くの中国人の疑念を代弁するかのように、SNS上でこう述べている。

  「今回の新型コロナウイルスの原因はコウモリとの見方が支配的だが、コウモリから人間にウイルスが移る過程で、中間に一、二の媒介や変異がある。つまりネズミと霊長類との間で、ある種の人工的なタンパク質が関わっているわけだ。そうしたタンパク質を生成できるのは、ネズミを使って実験している実験室しかない









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冬眠前に食べまくっても平気なクマ、ヒトの糖尿病予防につながる手がかりを発見

2024年12月17日 11時03分03秒 | 医学と生物学の研究のこと


10/4(火) 17:10配信


インスリン抵抗性の上げ下げにかかわる8つのタンパク質を特定


ハイイログマは体重360キロほどまで成長する。写真は米ワシントン州立大学のクマ飼育施設「WSUベア・センター」で飼育されているハイイログマ。(PHOTOGRAPH BY ROBERT HUBNER)

 1日に何万キロカロリーも食べて体を太らせたあと、ほとんど動かずに数カ月間を過ごす。もし人間がこんな生活をすれば、健康状態は最悪になるだろう。ではなぜ、ハイイログマ(グリズリー)はそんな生活をしても糖尿病にならないのだろうか。科学者たちを長年悩ませてきたこの疑問が解かれつつある。

 ギャラリー:大迫力!のグリズリー百面相 写真10点  

米ワシントン州立大学の研究者たちは、ハイイログマ(Ursus arctos)でインスリンの効き具合(抵抗性)をコントロールできる遺伝子的な仕組みがあることを示す手がかりを発見した。2022年9月21日付けで学術誌「iScience」に掲載された論文によると、この結果はヒトの糖尿病の治療に活かせる可能性もあるという。 

 インスリンはほとんどの哺乳類がもつホルモンだ。例えば肝臓や筋肉、脂肪細胞が、エネルギー源である血糖を取り込む入り口の鍵を開けるような役割をもっていて、体内の血糖値のレベルを調整する働きがある。 

しかし、血流に大量の血糖が入り込むと、やがて細胞がインスリンに抵抗を示すようになる。つまり、インスリンがあっても十分に働かず、細胞が糖を取り込めなくなるのだ。 

 これが、心臓発作、脳卒中、失明などにもつながる2型糖尿病の主な原因のひとつだ。米国人のほぼ10人に1人、およそ3700万人が2型糖尿病を患っている(編注:日本の厚生労働省の平成28(2016)年国民健康・栄養調査では「糖尿病が強く疑われる者」が約1000万人に達し、平成29(2017)年患者調査によると糖尿病の総患者数は推定328万9000人に上る)。

  だが、どういうわけか、クマはヒトと違ってインスリンの抵抗性をコントロールできる。まるでスイッチのように、オンとオフを切り替えられるのだ。

  その仕組みを解明するため、研究者らは米ワシントン州立大学のクマ飼育施設「WSUベア・センター」にいる5~13歳の6頭のハイイログマを使って、さまざまな時期の血清を採取した。さらに、脂肪細胞も採取して培養した。

論文の著者の一人で同大学の博士研究員であるブレア・ペリー氏は、

「この方法により、完全に成熟したクマではできないような実験もできました」と話す。 

 血清と脂肪細胞を組み合わせて違いをあぶりだすこの実験から、クマが遺伝子的にインスリン抵抗性をコントロールしている秘密を、8つの主要なタンパク質にまで絞り込むことができた。これらはクマの生態において独特な役割を果たしており、単独でまたは連携して冬眠中のクマのインスリン抵抗性を調整している。 

 ヒトとクマの遺伝子は大半が共通しているため、この8つのタンパク質の働きが解明できれば、ヒトにおけるインスリン抵抗性についても、より多くのことが明らかになるかもしれない。

ハイイログマの1年

 ハイイログマは、米国西部、カナダ、アラスカの一部地域に生息する。このクマの1年は、活動期、過食期、冬眠期という3つの時期に分かれている。春から夏にかけては、食事や交尾、子育てなどをして過ごす。そして秋になると過食期に入る。

「ほぼ全精力を、できる限りたくさん食べることに注ぎます」と、ペリー氏は説明する。 

 この時期のハイイログマは、冬に備えるため、毎日最大2万キロカロリー相当の食事をとり、最大で1日あたり3.6キロほど体重を増やす。 

 初冬に冬眠を開始してからは、蓄えた脂肪だけを頼りに冬を越すことになる。「冬眠はただの深い睡眠とは異なります。何も食べずに長い冬を乗り切れるよう、多くの生理学的な変化が起こるのです」とペリー氏は話す。冬眠中は代謝率、心拍数、体温が下がり、インスリンに対する抵抗性が高まる。 

 冬眠中のクマは一時的に目を覚ますことがある。ただし、動きまわりはするが、食事はしない。研究チームは、目を覚ましたクマに好物の蜂蜜を混ぜた水を2週間にわたって与え、血液を採取した。同じクマの血液サンプルは、春と夏にも採取済みだ。

  次に、例えば、活動期のクマから採取した血清と冬眠中のクマから採取した脂肪組織の培養細胞など、研究室でさまざまな血清と培養細胞を組み合わせて、細胞内の遺伝子の働きの変化を観察した。

  結果的に、インスリンへの感受性と抵抗性をコントロールする8つの主要なタンパク質を絞り込むうえで一番役立ったのは、蜂蜜を与えた冬眠中のクマの血清だった。 

 米モンタナ州にあるシノパー野生生物研究協会でクマについて研究している生物学者マイク・サワヤ氏は、「このすばらしい研究」によって、クマの冬眠からヒトの健康に役立つたくさんのヒントが得られる可能性があることが示されたと称賛する。なお、氏は今回の研究には関与していない。

 「これら8つのタンパク質を特定したことは重要なステップです」とサワヤ氏は話す。また、クマがインスリンへの抵抗を変化させるときに「厳密に何をオン・オフさせるか」を突き止めることも重要だと氏は指摘する。


糖尿病の予防に一歩近づけるか

 インスリンに対する抵抗性とそれがもたらす結果はよく理解されている。しかし、遺伝子との関係はまだよくわかっていない。ペリー氏は、それを解明する絶好の方法は、クマがどのようにして毎年、インスリンの抵抗性を上げたり下げたりしているのかを調べることだと言う。 

 例えば、ヒトの体内でこれら8つのタンパク質を操作する方法が見つかれば、「高まったインスリン抵抗性を再び低下させる」ことも可能になるかもしれない。このような糖尿病の治療法や進行予防法が可能になるのはまだ先のことだろうが、ペリー氏は「少しずつそこに近づいています」と話す。

  サワヤ氏も同意見だ。「これは間違いなくパズルの新たなピースの1つです」と述べ、クマの生理機能の謎を解くことが糖尿病の予防につながることを期待している。  

研究チームは今後、8つのタンパク質がどのようにインスリン抵抗性を低下させているのかを突き止める計画だ。


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死は終わりではなく>生でも死でもない「第3の状態」が生物には存在する【研究結果】

2024年12月16日 23時03分12秒 | 医学と生物学の研究のこと



生でも死でもない「第3の状態」が生物には存在する【研究結果】 


生でも死でもない「第3の状態」が生物には存在する【研究結果】
© 提供元:https://tabi-labo.com/310207/wt-third-state-between-life-and-death


「黄泉がえり」「死者の蘇生」などは、超常現象やSF映画の話だと思うだろう。しかし、そのような非科学的なことが、現実に起こり得るかもしれないらしい。


生と死を超えた


「第3の状態」が存在すると判明


これまで、生物の状態は生と死の2つしかないと思われてきた。ところが、最近の研究では、生でも死でもない「第3の状態」の存在が明らかになってきたという。研究者たちによると、「第3の状態」は死んだ生物の細胞が死後も機能し続けることで発生するとのこと。しかも、生きている間にはなかった新たな能力を獲得し、多細胞生物として"蘇る"場合もあるそうだ。


この「第3の状態」に関する実験は、カエルの細胞を使って行われたとのこと。死んだカエルの皮膚細胞を別の環境に適応させると、自発的に「ゼノボット(xenobots)」と呼ばれる多細胞生物になった。ゼノボットは髪の毛のような構造を使って周囲を移動できるうえ、自己の修復や複製もできるそう。これらは、本来の生物学的な役割を遥かに超えた行動だという。



同様の現象は、人間の肺細胞でも見られたという。人間の肺細胞が自己組織化すると「アンスロボット(anthrobots)」という多細胞生物になり、これはゼノボット以上の能力を持っているとのこと。移動や自身の修復に加えて、付近の細胞の治癒もできるそうだ。


「第3の状態」が


死の概念や医療を大きく変える可能性


「第3の状態」の解明が進むと、死の定義が大きく変わるかもしれないと研究者。死は生命の終わりだとされてきたが、じつは"新たな始まり"である可能性も考えられるという。


また、「第3の状態」は医療に革命を起こす可能性も秘めているとのこと。例えば、人間の生体組織から作られるアンスロボットを活用すれば、免疫反応や拒否反応を引き起こすことなく治療ができるようになるかもしれないそう。しかも、アンスロボットのような多細胞生物には寿命があり、4〜6週間後に自然分解されるため、有害な細胞が増殖するリスクを抑えられるとも。


まだまだ謎が多い、「第3の状態」。しかし、解明が進むと、生と死の概念や生物の在り方が大きく変わるかもしれない。


Reference: "Third state" of existence between life and death confirmed by scientists








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老化細胞除去薬の開発で見えてきた「健康寿命120歳」の可能性

2024年12月12日 20時03分45秒 | 医学と生物学の研究のこと
【加齢】老化細胞除去薬の開発で見えてきた「健康寿命120歳」の可能性

2022/01/09(日) 12:48:31


老化細胞除去薬の開発で見えてきた「健康寿命120歳」の可能性
東京大学教授の中西真氏に聞く
取材・文/福島 安紀=医療ライター


 老化制御の切り札として、老化細胞を除去する薬(セノリティクス)が世界的な注目を集めている。

 その中で、種類の異なる老化細胞を一網打尽に取り除く、世界初の老化細胞除去薬の開発を進めているのが、東京大学医科学研究所副所長で、癌防御シグナル分野の中西真教授らの研究グループだ。

 中西教授は、日本発の破壊的イノベーションの創出を目指して内閣府が進めるムーンショット型研究開発事業「老化細胞を除去して健康寿命を延伸する」のプログラムマネジャーも務める。

 老化細胞除去薬の実用化の可能性と、老化研究を進める目的について、中西教授にインタビューした。

(以下略、続きはソースでご確認ください)

日経BP 2022.1.7


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