準備の整った、また、順調に進行している物事に介入して、振り出しに戻してしまうこと〉…105人あるはずの名簿に99人しか名前がなかった。最初に気付いた人は、こう感じなかっただろうか。「ちゃぶ台返しだっ」
▲“学者の国会”とも呼ばれる日本学術会議の新会員任命を巡り、同会議の推薦リストから6人を外した菅義偉首相の対応が波紋を広げている。推薦された候補者が任命されなかったのは初めて
▲新しい安全保障法制に異を唱えた憲法学者や“共謀罪”を「最悪の治安立法」と批判した刑事法の学者らが除外された。「意趣返しかっ」と考えるのはごく自然な想像なのだが
▲もちろん政権はこれを認めない。首相は「法に基づいて適切に対応した結果」と短く語る。全く問題ない、指摘は当たらない-を連発した前政権の官房長官時代を見る思いがする。繰り返しだ
▲昨日の識者評論に〈さながら腕利きの人事部長〉との新首相評があった。ただ「部外の推薦通り」が慣例の人事に口を挟み、手を突っ込む人事部長は見たことも聞いたこともない
▲キライだから入れない。手法が子どもっぽい、と書いたら失礼が過ぎるか。スタートが高支持率だった分だけ世論の失望もきっと深い。「しっぺ返し」の倍返しが待っていそうな気がしてならない。(智)