慶応幼稚舎「現役教員に現金バラマキ」報道の衝撃…TBS福澤克雄氏の「自分が入れた」発言に再び注目も(田中幾太郎)
© 日刊ゲンダイDIGITAL
「すべて事実無根といって、やりすごすわけにはいかないだろう」と話すのは慶応大の文系教授。1日から「私立小学校の最高峰」と称される慶応幼稚舎の25年度入試が始まった。その前日の10月31日、衝撃のニュースが飛び込んできた。同日発売の「女性セブン」(11月14日号)が「現役児童の父が告白『教師たちに現金2000万円バラマキ』汚れたお受験」と報じたのだ。ブローカーの医師を通し、幼稚舎の現役教員15人に現金がバラまかれていたという。入試の試験官は現役教員が務める。
幼稚舎を傘下に持つ学校法人「慶応義塾」は、「掲載されたような事象は一切確認されていない」と全面否定。「細心の注意を払って公正かつ厳正に入試を実施している」とする。しかし、自身も幼稚舎OBである前出の文系教授は、「この程度の対応で乗り切ろうというのは甘すぎる」と批判。「当局は“人の噂も75日”と高をくくっているのかもしれないが、今回の報道は具体的で細部まで描かれ、放っておくと幼稚舎の命取りになりかねない」と心配する。
小学校受験事情にくわしい幼児教室経営者も「これまでも幼稚舎の不正入試に関する記事がしばしば出ているが、慶応側はまともに相手にしてこなかった。しかし今回はそれでは済まないのではないか」と話す。半年前、「週刊文春」は5月2.9日合併号で「慶応幼稚舎65人合格お受験有名塾が賄賂斡旋770万円」という記事を掲載。同誌の取材に対し、幼稚舎は「個別の幼児教室とは一切関わりがない」と回答している。
■詐欺まがいのお受験ブローカーの暗躍
「幼稚舎合格をエサにブローカーが暗躍している話はよく耳にするが、ほとんどは詐欺まがい。その手の記事に対して、慶応側が学校は関係ないと突っぱねるのもわかる。ただ、女性セブンの記事は今も勤務する教員を巻き込んでのもの。事実でないのなら、教員の潔白を晴らすためにも、もっとしっかりした対応が必要ではないか」(幼児教室経営者)
幼稚舎の周辺で入試詐欺が横行するのは「コネがないと入れないとまことしやかにささやかれている」(同)からだ。逆にいえば、強力なコネさえあれば、幼稚舎合格も約束されると一部の保護者の間で信じられてきた。
昨年春、TBSの演出家の福澤克雄氏が福澤諭吉の誕生日を祝うイベントで幼稚舎に合格した大物俳優の子どもを「自分が入れた」と発言した。福澤氏は福澤諭吉の玄孫で、自身も幼稚舎出身。同イベントに出席していた幼稚舎関係者は「場を盛り上げるためのリップサービス」と話すが、福澤氏の発言が報道され広く知られるところとなると「やはり今でもコネや口利きが幅を利かす」と思った人は多かったようだ。
「近親者に塾員(慶応OB・OG)がいると有利だったのは否定しませんが、それはずいぶん前の話。入試改革が進み、この20年は受験者が誰か特定できないようにして、試験を行っている」と幼稚舎関係者は不正などありえないと強調する。
しかし、今回のスクープ記事では、買収された試験官が受験者を判別できるように、事前に工作が行われている様子を生々しくレポートしている。幼稚舎の入試は10日まで続くが、今後、波紋を広げそうだ。
(田中幾太郎/ジャーナリスト)
◇ ◇ ◇
都市伝説のように語られる“慶応幼稚舎お受験とコネ”の関係だが、芸能人の子女が毎年のように入学しているのも事実。水面下で一体、何が起きているのか?読み応え十分の【あわせて読む】【もっと読む】の関連記事もご覧ください。
「すべて事実無根といって、やりすごすわけにはいかないだろう」と話すのは慶応大の文系教授。1日から「私立小学校の最高峰」と称される慶応幼稚舎の25年度入試が始まった。その前日の10月31日、衝撃のニュースが飛び込んできた。同日発売の「女性セブン」(11月14日号)が「現役児童の父が告白『教師たちに現金2000万円バラマキ』汚れたお受験」と報じたのだ。ブローカーの医師を通し、幼稚舎の現役教員15人に現金がバラまかれていたという。入試の試験官は現役教員が務める。
幼稚舎を傘下に持つ学校法人「慶応義塾」は、「掲載されたような事象は一切確認されていない」と全面否定。「細心の注意を払って公正かつ厳正に入試を実施している」とする。しかし、自身も幼稚舎OBである前出の文系教授は、「この程度の対応で乗り切ろうというのは甘すぎる」と批判。「当局は“人の噂も75日”と高をくくっているのかもしれないが、今回の報道は具体的で細部まで描かれ、放っておくと幼稚舎の命取りになりかねない」と心配する。
小学校受験事情にくわしい幼児教室経営者も「これまでも幼稚舎の不正入試に関する記事がしばしば出ているが、慶応側はまともに相手にしてこなかった。しかし今回はそれでは済まないのではないか」と話す。半年前、「週刊文春」は5月2.9日合併号で「慶応幼稚舎65人合格お受験有名塾が賄賂斡旋770万円」という記事を掲載。同誌の取材に対し、幼稚舎は「個別の幼児教室とは一切関わりがない」と回答している。
■詐欺まがいのお受験ブローカーの暗躍
「幼稚舎合格をエサにブローカーが暗躍している話はよく耳にするが、ほとんどは詐欺まがい。その手の記事に対して、慶応側が学校は関係ないと突っぱねるのもわかる。ただ、女性セブンの記事は今も勤務する教員を巻き込んでのもの。事実でないのなら、教員の潔白を晴らすためにも、もっとしっかりした対応が必要ではないか」(幼児教室経営者)
幼稚舎の周辺で入試詐欺が横行するのは「コネがないと入れないとまことしやかにささやかれている」(同)からだ。逆にいえば、強力なコネさえあれば、幼稚舎合格も約束されると一部の保護者の間で信じられてきた。
昨年春、TBSの演出家の福澤克雄氏が福澤諭吉の誕生日を祝うイベントで幼稚舎に合格した大物俳優の子どもを「自分が入れた」と発言した。福澤氏は福澤諭吉の玄孫で、自身も幼稚舎出身。同イベントに出席していた幼稚舎関係者は「場を盛り上げるためのリップサービス」と話すが、福澤氏の発言が報道され広く知られるところとなると「やはり今でもコネや口利きが幅を利かす」と思った人は多かったようだ。
「近親者に塾員(慶応OB・OG)がいると有利だったのは否定しませんが、それはずいぶん前の話。入試改革が進み、この20年は受験者が誰か特定できないようにして、試験を行っている」と幼稚舎関係者は不正などありえないと強調する。
しかし、今回のスクープ記事では、買収された試験官が受験者を判別できるように、事前に工作が行われている様子を生々しくレポートしている。幼稚舎の入試は10日まで続くが、今後、波紋を広げそうだ。
(田中幾太郎/ジャーナリスト)
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