新型コロナで買い占め暴走する老人たち。身勝手な行動は高齢者から!?
世界中で感染者数約50万人、死者2万人を突破し、今なお猛烈な勢いで拡散する新型コロナウイルス。日本全体が緊張感に包まれるなか、社会に新たな火種が生まれつつある。
モラル皆無な高齢者の行為に現役世代の怒りが最高潮に!
3月25日の夜に開かれた東京都の緊急会見。小池百合子都知事は「何もしないで推移すれば、ロックダウンを招く」と言及した。翌26日の朝、都内スーパーには首都封鎖に備え、食料品の確保に長蛇の列を成す都民の姿があった。都内に住む40代の会社員・Nさんの話。 「朝9時開店の近所のスーパーに7時から並んでいる人が20人ほどいたんですが、全員老人でした。10時に妻が買い物に行ったら、冷凍食品と袋麺が売り切れで、また買い占められていた。3月以降、トイレットペーパーを朝イチで並んで買い占めていたのも全部、老人。連中の行動を見ていると、すごい生命力だなと逆に感心しますよ」
コロナ禍を機に、若者や子育て世代の間では身勝手な高齢者に対する怒りが最高潮に達している。SNSではトイレットペーパーやマスクを早朝から買い占める老人たちに怨嗟の声が溢れている。さらに休校措置となり公園で遊ぶしかない小学生に対してクレームを入れたり、恫喝する老人も報告されている。ドラッグストア店員に対し、罵詈雑言を浴びせるモンスター老人の目撃談も数多い。
自宅マンションで増長する高齢者について、憤っているのは都内在住の自営業・Oさん(40代)だ。 「高齢者ばかりで編成される入居者組合が、エレベーター内での感染防止対策として『若者はできるだけ階段で』と呼びかけ始めた。最近では、高齢者が割り込んでエレベーターに乗り込み、先に待つ人が乗る前に閉ボタンを押すので頭にきますよ。あと先日、妻がベランダで布団を叩いているとインターホンが鳴り、初老の女性の声で『ウイルスが飛び散るからやめて』とすごい剣幕で注意されたそう。そんな元気なら感染しても重篤化しないよ!」
一方、東京・中央区在住の会社員・Kさん(34歳)は、買い出しのために区を跨いだところ、こんな迫害を受けたという。 「トイレットペーパーがなくなり、SNS情報を頼りに隣の江東区にあるドラッグストアに早朝、車で出かけたんです。開店前で初老の男性が5人ほどすでに並んでいた。店の駐車場に停めて列に加わろうとしたら、私の車が品川ナンバーであることを見つけ『越境してこられちゃ困るよ。品薄なんだから』と言い出した。その5人は開店直後に棚にあったトイレットペーパーをすべて奪い取った。当然一人1個までなのですが、彼らは独占した商品を私の後から行列に加わった仲間たちに手渡していた」
子供たちが高齢者から迫害されたという報告も。都内の地方公務員・Iさん(30代)は言う。 「一斉休校が決まってすぐ、小学生の2人の子を実家の愛媛県に疎開させたのですが、1週間たたないうちに母から『これ以上預かれない』と言われた。老人ばかりの限界集落なので、子供が遊んでいると老人から白い目で見られるとか。路線バスでは優先席の老人が『向こうへ行け』と言ってきたり、近所の人からも『ここらで感染者が出たら診てくれる病院もない』と遠回しに嫌みを言われたとのことでした」
買い占めや迫害行為はモラルの問題というしかない。しかし、コロナ禍に乗じて違法行為に走る者も。都内のショッピングモールで働く30代の女性は話す。 「ウチでは感染対策として、各トイレの洗面台にアルコール消毒剤を設置しているのですが、持参したペットボトルに移し替えて持っていく人が複数いる。何人か現場で注意したことがあるんですが、決まって老人で、身なりのいい上品な感じの女性が多い」
情報源はテレビのみで不安でいっぱいの老人
こうした一部の老人の暴走について、精神科医で評論家の和田秀樹氏はこう話す。 「死亡する感染者が高齢者ばかりという事実もあり、老人たちが不安になるのも仕方ない。加えて高齢者はインターネットを使えない方も多く、主要な情報源はテレビです。視聴率至上主義で恐怖を煽るばかりの情報バラエティ番組を見て、不安に駆られてしまうのでしょう。
本来なら政府や行政が、高齢者に届く方法での情報発信や彼らへの直接的なケアを提供するべきですが、今行われているのは一斉休校やイベント・外出の自粛要請など『やってますアピール』を目的とした根拠に乏しい取り組みばかり。高齢者がパニックになってしまうのも頷けます」 高齢者に対する怒りの発端となったのは、ダイヤモンド・プリンセス号の騒動だろう。その舞台が時間とカネを持て余した高齢者が集うクルーズ船で、さらに隔離中の高齢者乗客の不満の声が報じられると「自業自得」「贅沢言うな」といった冷たい言葉がSNS上で投げかけられたのだ。
こうしたなか、現役世代の“積年の恨み”がコロナ禍で一挙に噴出したという見方もある。作家の橘玲氏はこう指摘する。 「アメリカの一部の若者は新型コロナウイルスのことを『ブーマー・リムーバー(ベビーブーマー除去剤)』と呼んでいますが、日本でも既得権益を守ろうとする団塊世代と、そのために割を食っている団塊ジュニア世代の間には大きな溝があり、世代間対立と同時に『上級国民』と『下級国民』という社会階級的な分断ができている。
政府は一貫して、最大の票田である団塊世代の既得権を守ろうとしていますが、例えばイギリスではまず70歳以上の高齢者に外出自粛を呼びかけた。一斉休校が先行する日本とは真逆の動きです」
リーマンショック後、中高年男性の自殺率が上がったが、今回のコロナ禍による不況はリーマンショックの比ではなく恐慌の様相を帯びつつある。このままでは自殺者は3万人を超えることが予想されている。 「団塊世代の命を守るために働きざかりの中年が生け贄になるわけです。一方、30代以下の若い世代は『自粛と決まったんだから従え』という同調圧力に辟易している。いずれにせよ、すべての現役世代で『なんで高齢者のために俺たちが割を食わなければいけないの?』という不満が高まっていることは確かです」(橘氏)
ウイルスによる最も深刻な症状は「社会的分断」かもしれない。
<高齢者コロナ事件簿>
▼マスク行列で30代女性に暴行! 79歳……3月25日、北海道旭川市のドラッグストアで、79歳の男性が並んでいた女性に暴行を加えて逮捕。行列の順番を巡ってトラブルになり、女性に体当たりするなどしたという
▼「ウイルスばらまく」感染男性が飲食店へ 57歳……愛知県蒲郡市在住の男性は陽性反応が出たあと、故意に飲食店に行ったことが判明。狙い通り従業員が感染した。店側は被害届を提出したが、男性は持病を持っておりその後死亡
▼クルーズ船下船後にスポーツジムを利用 60代……ダイヤモンド・プリンセス号の乗客で静岡市在住の男性が、下船当日にジムに行ってシャワーを利用していたことが判明。下船時は陰性だったが、後に陽性となった
▼クルーズ船下船後に飲食店を利用 60代……同じくDP号の乗客だった秋田県在住の男性は、船内で陽性反応が出て入院。2回目の検査で陰性になったことで帰宅、飲食店などを利用した。3回目の検査で再び陽性になった
▼海外旅行していた複数の高齢者が感染 60~70代……すでに感染拡大が始まっていたにもかかわらず、3 月に入ってスペインやモロッコにツアー旅行に出かけていた高齢者たち(計7人)の感染が帰国後、判明した