

虚偽説明、管理費踏み倒し…憧れの会員制リゾートクラブがまぎれもない「負動産」になってしまった“残念すぎる理由”〈1250もの区分所有権を売り出し〉(文春オンライン) - Yahoo!ニュース
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虚偽説明、管理費踏み倒し…憧れの会員制リゾートクラブがまぎれもない「負動産」になってしまった“残念すぎる理由”〈1250もの区分所有権を売り出し〉
3/15(土) 6:12配信
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文春オンライン
電気、水道といった施設の利用に必要なインフラが止められ、他者の権利に阻まれて解体もできなければ売却もかなわない……。「負動産」状態になってしまっているリゾートマンションや会員制リゾートがいまや少なくない。
【画像】廃墟化してしまった、かつてのリゾート「エクストラクラブ岩原」の現在の様子
はたして、一世を風靡した数々の物件はなぜ無用の長物になってしまったのか。ここでは、不動産の調査を続けるライターの吉川祐介氏による『 バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮 』(角川新書)の一部を抜粋し、1250もの区分所有権を売り出していたエクストラクラブ岩原について紹介する。(全2回の1回目/ 続き を読む)
◆◆◆
ある会員制リゾートクラブの会員権の販売手法
エクストラクラブ苗場。建物裏はガラスが破損している箇所もある
新潟県長岡市に本社を置き、いわゆるラブホテルなどの経営を行っていた「協和観業株式会社」が、1980年代半ば頃から新潟県湯沢町において運営していた会員制リゾートクラブが「エクストラクラブ」だった。現役時は3か所の施設を運営していたが、すべて湯沢町内に存在していた。
1号店となる「エクストラクラブ湯沢」は、独立した施設ではなく、85年10月に新築された「ライオンズマンション越後湯沢」の9階のワンフロアをすべて協和観業が取得し、200口に分割した共有持分として販売することでクラブの運営を行っていた。
その後86年、苗場エリアにあった三国小学校浅貝(あさかい)分校(閉校)の隣に5階建ての専用施設「エクストラクラブ苗場」をオープン。
そして同社の真打ちの施設となる、地下1階地上14階建ての「エクストラクラブ岩原(いわっぱら)」が88年に完成し、それぞれの施設の会員(共有持分者)が、相互にその3施設を利用できるシステムだった。
同じ町内に三か所もの施設を構えたのは、前章で解説した通り、当時の湯沢町は苗場を中心に大変なスキーブームで、恒常的に宿泊施設が不足していたからであろう。
協和観業が進出した時点で、すでに湯沢町内にはいくつかの会員制リゾートが存在していたが、マンションの建設ラッシュが続く湯沢町において、マンションの1室を購入できるほどの資金力を持たない層をターゲットに事業を拡大していたことは間違いない。
協和観業は、会員権の販売手法も、また運営もトラブル続きの問題企業であった。そもそも1店目である「エクストラクラブ湯沢」が置かれたライオンズマンション越後湯沢の9階は13室あるのだが、各部屋はそれぞれ区分所有登記が行われておらず、協和観業は9階部分のワンフロアを丸ごとを200口に分割して販売していた。
会員制リゾートの会員は、自分が共有持分を所有している部屋しか使用できないわけではなく、予約時の状況に応じて施設のいずれかの部屋が割り振られる。
そのため、ワンフロアを200口に分割して登記していたとしても、施設の運営に直ちに影響が出るわけではなく、問題は表面化しないかもしれない。
建物一棟全120室を1250口に分割して販売
しかし建前上は、その共有持分登記は会員の入会金などの担保になるものなので、他のリゾート会員施設では各居室にそれぞれ10〜20人単位で共有持分登記を行うのが一般的だ。
苗場、岩原で新築された2施設についても、苗場は全32室を320口、岩原は全120室を1250口に分割して共有持分登記が行われている。ちなみに第一次会員の販売価格は一口303万円である。
建物1棟全体を会員全員の名義で共有する手法は、エクストラクラブに限った話ではないだが、1200人を超える見ず知らずの赤の他人と共有している、自分がどの部屋の権利を有しているかも明確ではない状態の「所有権」に、果たして数百万円の担保価値があると言えるのか。
もちろんそれは、結果を知っている今だからこそ言える話なのかもしれないが、このエクストラクラブの新築時点で、不動産共有型のリゾート会員権には同様の懸念が持たれていたのも事実なのだ。
会員権購入者からの批判の高まりを受けて通産省がリゾートクラブ業界の実態に関する報告書を公開したのは、エクストラクラブ湯沢の開業からわずか9か月後のことである。
同社のパンフレットでは「元金は不動産として保証されます」などと断定しているが、多くの施設において、その謳い文句通りになっていなかったからこそ、運営会社と会員の間で紛争が頻発していたのだ。
前述の東京弁護士会のパンフレットにおいても、セールスの謳い文句通りの売却価格が一切保証されていない事例が数多く掲載されている。
管理費や修繕積立金を20年以上払わなかった運営会社
また協和観業は、およそ企業としての責任感も持ちあわせていない会社であった。
前述のように「エクストラクラブ湯沢」は、一般の分譲リゾートマンションであるライオンズマンション越後湯沢の9階のワンフロアを丸ごと自社の会員施設として運用しており、全13室中12室は自社名義で区分所有権を取得・所有していた。当然区分所有者としてマンションの管理費や修繕積立金を支払う義務があった。
ところが同社が管理費等を支払っていたのは新築からおよそ半年間ほどの期間だけである。施設の運営は、管理費を滞納しながら継続していた。おそらく最初からまともに費用を支払う気などなかったのだろう。
あきれたことにその後同社は20年以上にわたって管理費を滞納し続けた。
最終的にその滞納額は億単位に膨れ上がり、2019年、地元の管理会社が競売を申し立て、協和観業、および901号室にまだ残されていた会員の共有持分を差し押さえた。その後改装が施され、現在ライオンズマンション越後湯沢の9階部分は、地元企業が運営する民泊施設として運用されている。
会員の承諾を得ずに一般宿泊客を受け入れ
最後に完成したエクストラクラブ岩原は、1〜3階部分に喫茶店やボウリング場、テニスコートなどの共有設備を備えており(商業施設の区分は協和観業が単独で所有)、会員用の施設としてだけではなく、一般の宿泊施設(ホテルエクストラ)として宿泊客の受け入れも行っていた。
しかしこれも信じがたい話であるが、同社が区分所有権の販促用に発行していたパンフレットのどこを見ても、一般客を受け入れる宿泊施設として運用するなどという記載はない。それどころか広告内には「限定オーナー制」との文言があり、あたかもオーナーしか利用できないかのような(というより、そうとしか読み取ることができない)記載がある。
会員制リゾートとして運用する一方、一般の宿泊客も別料金で受け入れている施設はあるが(例えば東急ハーヴェストクラブの一部施設も非会員の利用が可能)、共有持分であれ当然部屋の所有者の承諾が必要になるものであるし、クラブによっては部屋の権利を有する会員に対し、ホテルの収益の一部を分配するところもある。
協和観業はそうした会員へのリターンを行った形跡もなく、そもそもホテルとしての運用自体、会員すべての承諾を得て行われていたものですらなく、あまつさえ、より高額の宿泊料を取れる(会員向けの割引価格が適用されない)一般客の予約を優先するあまり、会員の方が逆に予約を断られるという本末転倒の有様だった。
虚偽だった「未利用宿泊券買上げシステム」
エクストラクラブの会員には、年間に、夏季利用券と冬季利用券がそれぞれ10枚ずつ、つまり年20泊分の宿泊券が送付されていたが、協和観業はこの宿泊券の未利用分について、1枚8500〜1万円で買い上げるので、エクストラクラブの会員権は「財テク」としても有効であると謳われていた。
パンフレットにはご丁寧にも、利用券買い上げシステムの財源確保の手段まで記載しているが、それを読む限り会員が宿泊時に支払う施設利用料(ルームチャージ1室3000円、一人1泊1000円)を、未利用宿泊券の買い上げ資金に充当するという。
本来、施設の維持管理に充てられるべきルームチャージを、換金性の低い宿泊券(運営会社自身が引き取るのならなおのこと換金性がない)の買い上げに回していたら、施設の維持管理費用はどこから捻出するのか。
会員は年会費を支払っているが、それだけでは到底施設の修繕や管理・スタッフの人件費などまかなえるものではない。
僕のYouTube チャンネルでこのエクストラクラブを扱ったのち、エクストラクラブの元会員であるという視聴者の方から連絡をいただいた。
その方によれば、結局この利用券買い上げシステムなるものは実際には一切機能しておらず、未利用の宿泊券が買い上げられることは一度もなかったという。パンフレットの記載は完全に虚偽であった。
リゾートクラブ存続中に宅建業免許を失っていた
万事がこんな有様なので、ほとんど詐欺のような話であり、そのため協和観業は常に顧客とのトラブルが絶えなかったようである。
協和観業は、管理費すらも踏み倒したことからもわかるように、積極的な情報公開やアフターフォローを行うような体質の企業ではなく、僕に連絡をくれた元会員の方は、裁判によって共有持分の買戻しに応じさせたと振り返っている。
協和観業が所有していた長岡市内の自社ビルは、94年の時点で売却済みで、以降はそのビルに賃借人として入居して営業を続けていた模様だが、協和観業のグループ会社であり、エクストラクラブの会員権販売を手掛けていた「エクストラ販売」は95年には宅建業者としての業務を休止して、95年4月28日付の官報の宅地建物取引業保証協会弁済業務保証金(宅建業法により宅建業開業時に法務局への供託が義務付けられている営業保証金)取りもどし公告に、エクストラ販売の名前が記載されている。
協和観業、エクストラ販売はともに登記上は今なお存続しているが、宅地建物取引業免許は、まだエクストラクラブが現役だった時点で失っていることになる。
当時新聞に出されていた広告などの資料を見ると、協和観業は90年代以降、湯沢町だけではなく千葉県の旧大原町(現・いすみ市)にも同様の施設の建築を計画していたらしい。
今でも同市内には、協和観業名義の開発用地や開発許可申請の記録が残されたままだが、施設そのものの建築は実現されることなく、進入路の舗装と擁壁工事のみが行われた状態で放置されている。
バブル崩壊後の90年代以降の協和観業は、会員制リゾートクラブの運営はほぼ停滞状態で、裏で複数の訴訟を抱えつつ、岩原の施設を使用したホテル経営を細々と続けていたようである。
写真=吉川祐介
〈写真あり〉「小さな投資で大きく楽しめる会員制別荘」はいまや“有名心霊スポット”に…なぜそんな惨劇が起こってしまったのか へ続く
怪しいビジネス? 売却も国庫帰属もできない不動産を処分できる「有料引取サービス」の実態(MONEY PLUS) - Yahoo!ニュース
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怪しいビジネス? 売却も国庫帰属もできない不動産を処分できる「有料引取サービス」の実態
3/6(木) 7:31配信
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MONEY PLUS
イメージ画像(PIXTA)
日本各地で、使われなくなった不動産が増加しています。これらの不動産は、所有者にとって負担となり、手放したくても売却が難しいケースが多々あります。そんな中、資産価値が低く、なかなか買い手がつかずに困っている不動産を有料で引き取る「不動産有料引取サービス」が注目を集めています。
【画像】不動産引取サービスとは
一方で、一般的な不動産仲介サービス等と異なり、法規制が及ばない部分があることや、怪しい事業者も散見されるということで、国も注視すべきサービスの一つとして公表しています。
本記事では、要らない不動産が生まれた背景から、不動産有料引取サービスの実態や利用時の注意点までを詳しく解説します。
要らない不動産が生まれた背景
少子高齢化と人口減少により、地方の空き家や山林、農地といった未利用地が増加し、需要と供給のバランスが崩れています。そして、これらの不動産の多くは相続をきっかけに所有しているケースが多く、所有者にとっては必要のない不動産として、望まない所有になっていることが少なくありません。特に、遠方に住む相続人にとっては、利活用や管理が難しいことも相まって、何もせず放置される傾向にあります。
一方、未利用だからといって、草刈りなどの維持管理や固定資産税が不要になるわけではなく、さまざまな支出を伴います。そのため、”資産”であるはずの不動産が”負債”と化し、「負動産」と呼ばれることもあるほどです。
また、バブル崩壊以降、地方不動産の価格の下落や需要の変化により、売却が難しい物件が増えている側面もあります。特に、交通の便が悪い地域や過疎地の不動産は、買い手がつかず、所有者が手放せない状況が続いています。
要らない不動産を処分する方法は
要らない不動産を処分するための最も一般的な方法は、地元の不動産会社などに依頼して、不動産を売却することです。しかし、前述の通り、需要の低い地域や条件の悪い物件は、買い手が見つからないことが多いため、必ずしも容易に売却処分できるとは限りません。そのため、依頼を受ける不動産会社側にとっても、市街地の不動産に比べ売却までに時間や手間を要すこと、それに対して期待できる手数料収入などが見合わないことから、相談にすら乗ってもらえないケースも散見されます。
そんな中、2023年に「相続土地国庫帰属制度」が施行されました。この制度は、所有者不明となっている土地を抑制する目的で創設され、相続によって取得した土地のうち、一定の条件を満たす土地は国に有料で引き取ってもらうことが可能になりました。かかる費用は20万円~と決して安くはないものの、所有経費がかさんでいき、いずれは自分の子や孫などに押し付けてしまうことを避ける手段として期待されています。
しかし、申請書類が多く煩雑で、審査期間も半年~1年程度と時間を要すうえ、建物のある土地(空き家)や境界が定かでない土地は引き取りの対象外とされているなど、審査の結果引き取ってもらえないケースも多く、誰もが気軽に利用できる制度とはいえない側面もあります。
そこで、近年注目されているのが、不動産有料引取サービスです。これは、所有者がサービス事業者に対して一定の費用を支払うことで、不動産を引き取るサービスを提供しており、その仕組みは国の制度と同様です。
不動産有料引取業者の特徴と魅力
不動産有料引取サービスの特徴は、処分するまでの手続きが簡単であるという点です。国の制度と比べても、引取条件が緩く、一部の農地を除いて、どんな不動産でも引き取ってもらえます。また、ほとんどの場合は最低限の資料を提供すれば、サービス事業者が自ら物件調査などを行い、契約に向けサポートしてもらうことができます。例えば、境界や場所すらも不明な山林や、傷みが著しく進行している空き家などでも引き取ってもらうこともできるため、遠方在住や高齢といった事情で処分にあたっての準備や整備に十分な時間を割けない所有者にとっても、気軽に利用できる点が魅力です。
不動産有料引取業者は怪しいビジネス?
不動産引取サービスの注意点
不動産引取サービスは、要らない不動産の処分に困った所有者にとって、非常に魅力的なサービスですが、一方で注意すべき点もあります。
以前より国民生活センターにおいて警鐘を鳴らしているほか、国土交通省においても、2025年2月14日に開催された不動産部会において、不動産引取サービスは多くの所有者にとって魅力的なサービスであり大きな期待を寄せている一方、注意点についても部会報告とともに公表されました。
注意点をまとめると、以下の3点が挙げられます。
①取引の安全性
サービス事業者の中には、不動産取引の経験や知識の少ない個人の弱みにつけこんで、しつこく契約を迫る営業手法を取ったり、契約前に名目不明な前金や契約後に説明のなかった追加費用を請求したりと、取引の安全性が脅かされるケースがあります。
そのため、不動産引取サービスを利用するうえでは、
・契約締結前までに、業者から費用や引取条件等の明確な提示と説明があること
・原則として、契約不適合責任が免責であること
・引取料金の支払が、所有権移転登記申請時以降であること(前金の支払がないこと)
といった点を慎重に確認することが重要といえるでしょう。
②不動産の適正価格での取引機会を確保すること
前述のように、サービス事業者の中には、契約を取るために、本来は資産価値がある不動産に対しても資産価値がないことを強調して、不動産所有者にとって有益な取引機会を奪ってしまう場面が生じるリスクがあります。
そのため、豊富な不動産知識に基づいて、消費者目線で客観的なサポートが期待できるかを見極めることが重要といえます。
③引取後の不動産の適正な管理を確保すること
不動産引取サービスで処分できた所有者にとっては、所有者名義がサービス事業者に移転した以上、その不動産の管理責任からも解放され、その後にトラブル等に巻き込まれる可能性は低いことになります。
しかし、その不動産の近隣所有者にとっては、サービス事業者が適正な管理をしないことで、例えば草木が伸び放題になったことで害虫や日照障害、倒木などの影響を被る可能性があります。実際に、サービス事業者の中には引き取った後に何もせず、近隣苦情等にも対応しない事業者もあるという噂もあり、最悪の場合は処分したはずの所有者に対して「新所有者が管理をしてくれないから、なんとか言ってくれ」といった苦情を受け、間に挟まれてしまうリスクも否めません。
その意味で、一つの目安として
- 引取後の管理や売却等の方針について、ホームページ等で提示すること
- 引取後の不動産の管理について、近隣からの苦情等があれば適切に対応し、放置しないこと
- 営業実態のある事務所住所、連絡先を、ホームページや郵送物等を用いて公表していること
といった点を確認することが重要といえるでしょう。
ちなみに、サービス事業者が引き取った後に、その不動産をどうしているかは各社方針がまちまちですが、自社でキャンプ場や宿泊施設に整備をして利活用をしているケースやソロキャンプ用地、DIY、家庭菜園といった利用目的の一般個人に転売しているケースなど、所有中の維持管理は当然として、遊休状態からの脱却を積極的に図っている事業者も多数あります。
これらの不動産引取サービスについては、宅建業法等では規制対象外であるという法律面の現状もあり、現在は引取サービス事業者同士で自主規制を図り、安全な取引環境を目指す取り組みも進んでいます。
信頼できる事業者を探すことが重要
使い道のない不動産を持ち続けることは、精神的にも経済的にも大きな負担となります。手放す手段として、不動産引取サービスの活用は有効ですが、事業者選びには十分な注意が必要です。
以下はリンクで、